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コラム

※ブレイク※生成AIのプロンプトは覚える必要がある?【行政書士×開業×AI】

Q:生成AIを使うなら、プロンプトの書き方を本格的に覚える必要がありますか?

A: いまは「型の暗記」までは不要で、目的・前提・制約(禁止事項)を短く渡す「要件定義の文書」として扱えば十分な場面が増えています。ただ、面倒さが理由で雑な運用(条件不足のまま投げる/出力をそのまま使う)が始まりやすいので、最低限の観点(変数と禁止事項)を知っておくと有利です。今後はAIが自律的に動くほど、プロンプトは指示というより「責任範囲を確定する文書」に寄り、検収(サインオフ)の重要度が上がると見ています。


はじめに

今回は少しブレイク(休憩)として、私がAI導入コンサルタントとして企業の現場でよく聞かれる「プロンプトって結局、面倒じゃないですか?」という問いです。

結論から言うと、以前ほど「プロンプトを頑張って書かないと使えない」とは感じなくなりました。曖昧な指示でもAI側で筋道を立ててくれる場面が増えたからです。

ただ、だからといって「プロンプトは完全に不要」とも思っていません。面倒だと感じる現場ほど、AIを使わないよりも適当な運用が始まりやすいからです(雑に投げる/返ってきたものをそのまま使う/根拠を確認しない、など)。

そこでこの記事では、「いまの実務感として、プロンプトはどこまで覚えるべきか」「知っておくと何がラクになるのか」「今後どこが重要になるのか」について私見を述べたいと思います。


現場で「プロンプトが重かった」背景

「結局プロンプトって面倒じゃない?」

AI導入支援の現場でよくあるのは、「使い方が難しい」よりも、もっと素朴な「入力が面倒」という悩みです。

ここで起きがちなのは、AIを「使わない」方向ではなく、雑に使う方向に流れることです。

  • 条件が足りないまま投げる
  • それっぽい出力が返る
  • そのまま共有・提出に回ってしまう

この流れは、手戻りや説明コストを増やしやすいです。面倒さは、運用を歪ませます。

指示がズレやすい

少し前は、意図がズレる体験が起きやすく、

  • 手順を細かく分解して渡す
  • 条件を長く列挙する

といった「手取り足取り」になりがちでした。

結果として、入力が重くなり、「使うほど疲れる」状態を作りやすかったと思います。

プロンプトエンジニアリングが複雑

「この型さえ覚えれば精度が上がる」という空気感が強いと、現場ほど疲れます。

なぜなら、実務は案件ごとに前提が違い、結局は「型の暗記」では埋まらない穴(固有事情)が出るからです。

この時期のしんどさは、プロンプト以前に「入力を完璧にしないといけない」圧が強かった、という見立てもできます。


現場でのAIの変化

推論型の普及で、曖昧な指示でも裏で論理構成を組み立てやすくなった

最近は、曖昧な指示でもAI側で筋道を作ってくれる場面が増えました。

その結果、「最初から完璧な指示の文書を用意しないと詰む」感覚は薄れてきています。

一度で正解を狙うより、対話で意図を収束させる運用が主流になってきた

いま回りやすいのは、叩き台→直す→もう一段詰めるという対話で収束させる運用です。

これができると、「プロンプトを完璧に仕上げる」より、「ズレたら戻す」方がラクになります。

ドラフトへの修正指示が通りやすくなり、再整理がラクになってきた

以前は「直して」と言っても、直したいポイントだけが抜け落ちることがありました。

最近は、修正の意図を拾いやすくなり、文書を育てる運用がしやすくなっている印象です。

推論と時間対効果

推論に強いモデルほど、応答までに時間がかかることがあります。

だから「何でも推論型」ではなく、

  • 速さ重視: たたき台、言い回し、箇条書きの整理
  • 推論重視: 条件が多い整理、矛盾の点検、比較検討

のように使い分ける方が、実務としては続きやすいです。

ここが、いまの現状だと思います。


「書く手間」を減らした技術的ブレイクスルー

長文保持が進み、前提・制約・材料をまとめて渡しやすくなった

長い前提や材料を一度に扱えるほど、説明し直しが減ります。

これは「プロンプトを短くしても回る」感覚につながりやすいです。

「何を書くか」より「何を読ませるか」

言い回しを磨くより、根拠となる資料を参照させる方が実務では強いこともあります。

言い換えると、プロンプトの勝負は「巧い文面」よりも、材料(根拠)を揃える設計に移ってきています。

ここが噛み合うと、「プロンプトが面倒」問題も、書く量ではなく「揃える材料の質」へと論点を動かせます。


「要件定義」と「要件充足」は、同じ"言語の精度"でつながる

申請文書と設計書の共通点:言葉の曖昧さが致命的な手戻りを生む

SEの設計書で曖昧さが残ると、実装とテストで手戻りが出ます。

行政書士の申請文書でも、要件のズレは補正・追加資料・再説明につながります。

どちらも、「言葉の精度」が工程全体のコストを左右します。

プロンプトはAIへの発注書(要件定義の文書)であり、ロジックの設計図になる

ここで言うプロンプトは、技巧的な「呪文」ではありません。

目的・材料・制約をまとめた発注書=要件定義の文書として捉えると、仕事に直結します。

「プロンプトを覚える」とは、実務的には「AIに渡す設計図を作る」寄りの話です。


「書き方」ではなく「変数と制約」を管理する

独自のこだわりや個別事情は、言語化しない限りAIに伝わらない

AIが賢くなるほど、こちらの「言い足りなさ」は見えにくくなります。

だからこそ、依頼者の固有事情や、あなたの方針は、変数として言語化して渡すのが近道です。

押さえる変数:目的/対象/前提/制約を埋めれば「書き方」は自由でよい

プロンプトの暗記より、次の4点を「毎回そろえる」方が再現性が出ます。

  • 目的: 何を作る/何を決める
  • 対象: 誰向けの文書か
  • 前提: 事実関係、時点、利用できる資料
  • 制約: 分量、語調、含める/外す項目

ネガティブ要件を定義する

禁止事項(ネガティブ要件)を先に置くことも有効です。

たとえば、次のような「させないこと」をテスト項目のように決めると安定します。

  • 根拠資料がないのに断定しない
  • それっぽい引用や参照を作らない(不明なら不明で止める)
  • 固有事情を一般論で上書きしない

ここまでの結論として、いま覚える価値があるのは「巧い文面」ではなく「変数と禁止事項の置き方」です。


逆転の発想としての「逆プロンプト」

良い文書は、書き手の腕より「良い質問」から生まれやすい

行政書士の相談でも、最初の聴取が粗いと、後で何度も確認が発生します。

AI活用も同じで、質問が整うほど、文書も整います。

AIを質問役にして、人は「依頼者」として答えるだけにする

「自分がプロンプトを頑張って書く」より、AIに質問役を担ってもらい、あなたは依頼者のつもりで答える。

この形にすると、入力負担が減り、要件が自然に埋まっていきます。

AIに「ヒアリングシート」を作成させ、目的・前提・制約を自律的に固めさせる

コンサル現場でも有効なのは、最初にヒアリングシート(質問項目リスト)を自動生成して、埋めながら進めるやり方です。

「何を書けばいいか分からない」を質問で分解していけば、結果として「要件定義の文書」が出来上がります。


人は「検収(サインオフ)者」になる

AIにできない領域:個別事情(情状)の汲み取りと法的・倫理的な評価

AIは一般論を整えるのは得意でも、個別事情(情状)をどう評価するかは、人が責任をもって扱う領域です。

要件充足の判断と、根拠(エビデンス)の妥当性確認

実務では「主張」以上に「根拠(エビデンス)」が重要です。

SEならテストで裏付けを取り、行政実務なら条文・通達・手引・添付資料などと照合します。

AIの出力は、根拠と照合して初めて使える状態になる、という前提を置くと運用が安定します。

職印の重みと同じく

AIが自律的に動くほど、最後に検収して「これでOK」と言える人が必要になります。

いまの段階でも、プロンプトを「うまく書ける人」より、要件を揃え、根拠を照合し、サインオフできる人の方が価値が出やすいです。


まとめ

ここまでを「いま/今後」でまとめると、私の所感はこんな感じになります。

いま: プロンプトの「型の暗記」は不要寄り。ただし「雑な運用」を防ぐ最低限(変数と禁止事項)は知っておくと有利。

今後: プロンプトは指示の工夫というより「責任範囲を画定する文書」に寄り、検収(サインオフ)が中心になる。


脚注

  • 本稿でいうプロンプトは、AIへの指示全般ではなく、「何を・どんな前提で・どんな制約のもとで」出力してほしいかを伝える指示の文書という意味で使用しています。

免責

本稿は一般的な情報提供を目的としたもので、個別案件への法的助言を構成するものではありません。生成AIの出力は誤りを含む場合があるため、最終的には一次資料・根拠資料との照合、関係者への確認等を行ってください。


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