Tel: 090-3718-2803

営業時間:9:00~23:00
(年中無休)

メニュー

コラム

行政書士の受任率が上がりやすくなった相談準備ルーティン【行政書士×開業×AI】

Q:行政書士として相談は来るのに受任につながらないのは、相談準備が足りないからですか?
A:
一般的には「知識量」そのものより、相談者が安心できる段取りと方針の提示が弱いと受任につながりにくいです。理想は"正解を出す"こと、疑問に「全部答える」ことですが、新人期に毎回それをやり切るのは難しい場面もあります。大切なのは、確認が必要な点を整理し、次の打ち手を示して「任せても前に進む」と感じてもらうことです。準備の作業部分はAIで効率化できますが、法的判断や受任可否などの核は人が握る前提で進めるのが安全です。


開業前後は、相談は入るのに「最後の一歩」で止まることがあります。理想は、相談の場で"正解を出す"ことですし、疑問に「全部答える」ことができれば最良です。ただ、新人期は現実的に難しい場面もあります。私も当初は、全部を埋めようとしてその場で考え込み、場が止まったり、説明が散らかったりして、結果として相談者の不安につながることがありました。
そこで大事だと感じたのが、全部を即答できなくても、段取りを組み、方針を提示できる状態を先に作ることです。そのために、相談準備をルーティン化しました。本記事では、まず着手すべき要点に絞って共有したいと思います。


受任が決まるのは「答えの量」より見極めポイントが満たされるとき

相談者は発注先を「任せても大丈夫か」で見極めている(不確実性の扱い方が鍵)

相談者は、専門知識の細部まで評価するというより、「この人に任せたら前に進むか」を見ています。言い換えると、不確実な部分が残っていても、どう扱うかが鍵になります。
その場で無理に断定せず、①現時点の前提、②確認が必要な点、③確認後にどう進むか(分岐)を整理して示せれば、安心は作れます。逆に、即答を優先して前提が曖昧なまま進めると、後で説明が揺れて不信につながりやすくなります。

受任に至らない一般的な対応との比較

自身のメソッドの優位性を可視化するため、受任しにくい対応との比較を示します。

比較項目 一般的な(受任しにくい)対応 本ルーティンの対応
目指すもの その場での「正解」の提示 安心できる「段取り」の提示
不明点への反応 曖昧に濁す、または沈黙する 確認事項として整理し、分岐を示す
相談後の出口 「また検討してください」で終了 「48時間以内の要点送付」で次へ繋ぐ

「専門性」より先に見られるのは、段取り提示・前提確認・リスク説明の姿勢

受任に近い相談ほど、次の3点が揃いやすいと感じます。

段取り提示:何をどの順に進めるのかが見える

前提確認:必要な事実(時期・目的・制約など)を押さえている

リスク説明:良い面だけでなく注意点も扱う姿勢がある

難しい用語で飾るより、「今日の相談で何が決まり、次に何をするか」が言えることの方が強いです。


相談前の段取りを整えると受任につながりやすい

ヒアリングシート:聞く順番を固定して、相談者の認知負荷を下げる

相談者は緊張しています。話があちこちに飛ぶのも自然です。そこで、聞く順番を固定したヒアリングシートがあると、「整理してもらえている」と感じてもらいやすくなります。
ポイントは網羅より順番です。事実確認→希望→制約の流れにすると、会話が前に進みやすくなります。

具体例で理解を加速する

たとえば建設業許可の相談なら、「要件を満たしています」と答えるだけでなく、「現時点で未整備の書類は何か、それをいつまでに揃えれば来月の申請期限に間に合うか」というロードマップを示すイメージです。このように、抽象的な「段取り」という概念を実際の業務フローに落とし込むと、相談者は自分の案件がどう進むかを具体的にイメージできるようになります。

想定問答集:よくある質問を「結論→条件→次の確認」の型で揃える

新人期は「想定外の質問」が怖くなりますが、実際には"よくある質問"の比率が高いので、頻出質問だけでも型を揃えると、当日の迷いが減ります。
おすすめは、結論→条件→次の確認。断定しすぎず、相談者にも判断の筋道が伝わります。

想定ロードマップ:手続きの流れ・分岐・必要資料を"仮置き"して方針提示に備える

受任につながる相談では、「どう進むか」が相談者の頭の中で見えています。想定ロードマップは、その見え方を支える下準備です。
すべてを確定させる必要はありません。"仮置き"でよいので、分岐(Aならこの流れ、Bなら別の流れ)と必要資料の候補を用意しておくと、方針提示がしやすくなります。

補助の代表例:論点チェック/リスク観点/見積前提のメモ

相談の場は、案件の立ち上げに近いです。だからこそ、最低限の「抜け防止」が効果的です。

論点チェック:判断に影響するポイントの見落とし防止

リスク観点:先に共有すべき注意点の整理

見積前提メモ:範囲・期限・必要資料など、前提の言語化

これがあるだけで、同じ相談でも"進められる感"が出やすくなります。


相談当日は進行5ステップで「任せられる感」を設計する

ステップ1:冒頭でゴール・時間配分・今日決めることを共有する

冒頭で「今日は何を持ち帰れるか」を共有すると、相談者の不安が下がります。安心すると話が整理され、必要情報が出やすくなります。

ステップ2:事実・希望・制約を分けて確認し、前提をズラさない

準備したヒアリングシートを活かし、事実(現状)→希望(どうしたい)→制約(できない・避けたい)を分けて聞きます。前提が揃うだけで、後半の説明が楽になります。

ステップ3:論点とリスクを言語化し「確認が必要な点」を先に出す

ここで"できる/できない"を急がず、論点とリスクを言語化します。確認が必要な点を先に出すと、「隠さずに進めてくれる」という安心につながりやすいです。

ステップ4:2案の方針提示で、相談者が選べる状態を作る

方針は1本より、2案あるほうが意思決定が進むことがあります。「自分で選べる」と感じると腹落ちしやすく、受任の検討に入りやすくなります。

ステップ5:終了時に次アクションを確定し、相談後のフォロー文書につなげる

最後に「次に何をするか」を確定します。ここが曖昧だと、相談は"良い話を聞いた"で終わりがちです。

相談後48時間以内のフォロー文書(コンパクト):要点整理文書/提案・見積文書の役割分担

相談後は、短時間で「迷い」を減らすことが目的です。ここでの「48時間以内」は目安で、案件の緊急度や相談者の状況によって調整します。

要点整理文書:相談内容、合意事項、追加確認、必要資料

提案・見積文書:手続きの流れ、期限の考え方、報酬、次の行動

長い文書にするより、「次に進める形」に整える意識が大切です。


AIで効率が上がるのは「準備ルーティンの作業部分4つ」

ヒアリングシートの改善:抜けやすい項目候補の洗い出しと整理

ヒアリングシートは運用して初めて「抜け」が見えます。AIは、相談結果を材料に「抜けやすい項目候補」を整理する作業で役立ちます。
※相談結果を扱う際は、個人名・住所・会社名などの特定情報は入れず、要点を匿名化した形で扱うのが安全です。

想定問答集の整形:言い回しの統一、条件分岐の見える化

想定問答集は増えるほど読みにくくなります。AIは、言い回しの統一や条件分岐の整理といった整形が得意です。
ただし、最終的に相談者へ提示する表現は、誤解が出ないよう人が読み直して調整します。

想定ロードマップの下準備:分岐パターンの候補出し、必要資料の候補整理

ロードマップは分岐の漏れが不安要素になります。AIは「分岐の候補」「必要資料の候補」を広めに出し、たたき台にする作業で効きます。
一次情報(官公庁の案内、根拠規定、申請先の最新運用など)での確認は前提にします。

相談後フォロー文書の下書き:メモ整理・要点抽出・構成の整形

相談メモから要点整理文書や提案・見積文書の形に整えるのは時間がかかります。AIは、要点抽出や構成の整形といった下書き工程で時短になりやすいです。
※相談者の特定につながる情報や機微情報は入力せず、抽象化した要点にして扱うのが安全です。

人が握る範囲:法的判断、受任可否、リスク説明、最終文書の確定

一方で、AIに任せない線引きも重要です。法的判断、受任可否、リスク説明、最終文書の確定は、人が責任を持って行う前提で運用します。


1週間で回す最小ルーティンは「事実ログ→再投入→振り返り」で十分

相談ログで失注理由を"推測"ではなく"事実"で残す(どこで迷ったか/何が決め手にならなかったか)

「受任しなかった理由」を想像で補うと、改善がズレやすくなります。相談直後に、事実として残します。たとえば「報酬の説明で止まった」「必要資料のイメージが持てなかった」「確認事項が多くて前に進まなかった」などです。

更新した1点を次回相談で使い、使い勝手をメモして再更新する

改善は増やしすぎると続きません。ヒアリングシート/想定問答集/想定ロードマップのどれか1つだけ更新し、次回相談で使います。使い勝手をメモし、気づきを次の更新に回します。

実体験:準備の型と見直しが回り始めて、当日の迷いが減った変化

私自身、最初は「毎回その場で考える」状態でした。相談中に思考が止まり、確認事項も散らかり、終盤で方針提示が弱くなることがありました。
相談結果を残し、事前資料を更新して再投入する。これを回し始めてから、当日の迷いが減り、「次に何をするか」を言いやすくなった実感があります。相談者の反応も落ち着きやすくなりました。


脚注

※1 ここでいう「受任率」は、相談件数に対して受任に至った割合を指します。案件類型・地域性・相談者側の事情などで変動し、同じ方法でも結果が同一になるとは限りません。
※2 AIの出力は誤りや抜けを含む可能性があります。一次情報の確認を前提とし、最終的な判断と文書の確定は、必ず人が行う前提で運用してください。
※3 AIに相談内容を扱わせる場合は、個人情報・機微情報を入力しない、匿名化する、利用するサービスの利用規約や取扱いを確認するなど、守秘と安全に配慮してください。


免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別具体的な案件に対する法的助言を行うものではありません。案件の内容や状況により対応は異なります。申請先の最新運用や必要書類は変更されることがあるため、官公庁等の一次情報での確認を前提にしてください。紛争性が高い事案や弁護士対応が適切な領域が疑われる場合は、必要に応じて弁護士等の専門家への相談もご検討ください。


HANAWA行政書士事務所

HANAWA行政書士事務所公式サイト

AI活用学習サイト

前の記事:生成AIのプロンプトは覚える必要がある?

次の記事:行政書士の初回相談は「任せても前に進む」を設計する(第2部まとめ)