コラム
「問い合わせが来ない」を改善する文書はAIで作れる?【行政書士×開業×AI】
Q:行政書士のホームページやGoogleプロフィールで、検索はされるのに問い合わせが来ないのですが、問い合わせにつながる文書はAIで作れますか?
A: 一般的には、「文書の型(構成)と配置」を人が決めたうえで、AIにたたき台作成や言い回しの整理を任せると、問い合わせにつながる文書は作りやすくなります。ただしAIは万能ではないため、誰に何を約束するか/言い過ぎになっていないかなど、最後の判断は人が担うのが安全です。
開業準備中・開業直後の行政書士の方から、「アクセスはあるのに問い合わせが増えない」「掲載する文書がしっくりこない」という相談をよく伺います。私自身も開業当初、文書を整えたつもりでも反応が薄く、原因が分からず遠回りしました。
結論から言うと、問い合わせにつながらない理由は"やる気"ではなく、文書の役割分担(何をどこで伝えるか)がズレていることが多いのです。本記事では、直しどころを整理し、AIはどこで効くのかも線引きしながらまとめます。
問い合わせが来ない原因は大きく3つに分かれる
検索されても「誰のための文書か」が曖昧だと止まる
検索されるのは良い兆候です。ただ、問い合わせが増えないときは、最初の数秒で「これは自分向けだ」と確信できていない場合があります。
たとえば「各種許認可に対応」と書いてあっても、訪問者には「自分の悩みに強いのか」「どのケースの相談が多いのか」を判断しづらいものです。業務範囲が広いほど、対象者の輪郭がぼやけ、比較検討に戻られやすくなります。
「安心材料」が不足すると比較で負けやすい
行政手続きは失敗したくないという気持ちが強く、依頼前に不安が残ると一歩が出ません。そのため、最後は安心感で決まりやすい分野です。
実績やクチコミが十分にあれば強力ですが、開業前・開業直後は積み上げに時間がかかります。早い段階では、実績以外の安心材料(資格・経歴・専門テーマ・活動の蓄積・説明の分かりやすさなど)を意識して補う必要があります。
「次に何をすればいいか」が見えないと行動されにくい
文書が整っていても、相談までの導線が弱いと問い合わせは増えにくいものです。たとえば、次のようなズレがあると、訪問者はそのまま離脱しやすくなります。
- 連絡先はあるが「どんな相談を歓迎しているか」が書かれていない
- 相談の流れが不明で心理的ハードルが下がらない
- ボタンがページ下部だけにあり、比較中のタイミングを逃す
問い合わせにつながる文書は「構成×配置」の4ポイントで整える
ファーストビューは「約束→根拠→相談導線」で迷いを減らす
最初に見える範囲は、不安が最も強い場所です。ここで長い説明をするより、次の3点を短く置いて、迷いを減らすのが基本です。分量を増やすより、順番を整える方が効果的なことが多いのです。
- 何を解決できるか(約束)
- なぜ任せてよいか(根拠)
- どう連絡するか(相談導線)
サービス説明は「対象者・解決・流れ」で誤解を防ぐ
サービスページは、丁寧に書くほど良いとは限りません。一般的には、次の順番だと誤解や不安が減り、比較の判断材料になります。制度名や書類名を先に並べるより、「何がどう進むか」を先に示した方が伝わりやすい場合があります。
- 対象者:どんな状況・業種の相談が多いか
- 解決:何を代行し、何が楽になるか(言い過ぎない)
- 流れ:初回相談から完了まで
安心材料は「見える場所」に置く(実績・対応範囲・人柄)
安心材料は、内容だけでなく置き場所も大切です。深い位置にまとめると、そもそも到達しないことが起こります。
実績・対応エリア・営業時間・得意分野・プロフィール・FAQなどは、訪問者が「ここで比べたい」と感じる位置に置く意識が有効です。
相談導線は「2つのタイミング」で用意する
相談ボタンや連絡先は、少なくとも次の2回は提示したいところです。最後だけだと、途中で納得した人の行動を取りこぼします。導線の文言も、「無料相談」「初回相談」など実態に合わせて分かりやすくするのが安全です。
- 「読んでみよう」と思った直後(上部)
- 「依頼できそう」と思った直後(中盤〜下部)
実績がなくても"安心材料"は3種類つくれる
実績やクチコミが強い理由と、載せるときの注意点
実績やクチコミは、第三者の視点が加わるため安心材料として強く働きます。
一方で、掲載時には誤解を招かない表現が重要です。許可率・取扱件数などの数値を出す場合は、期間・対象範囲・分母などの前提を整理し、「個別事情により結果は異なる」旨も添えると安全です。行政書士の広告宣伝は、事実不一致・誤認/誤導のおそれ・誇張はさけるのが望ましいです。
開業前・開業直後は「実績以外の強み」で補う
実績が薄い時期は、別の安心材料で補います。たとえば、次のような方向性です。
- 対応範囲を絞って分かりやすくする(専門テーマの明確化)
- 発信や資料の整備で、説明の丁寧さを可視化する
- 経歴や学びを、依頼者メリットに変換して示す
「何でもできます」に見える書き方は強みが埋もれやすいので、設計の見直しも考慮に入れましょう。
強みは「経験の棚卸し」で作れる(前職・学び・地域性)
強みが思いつかないときは、才能探しより経験の"棚卸し"の方が進みやすいです。前職の業界、得意だった業務、学び続けてきたテーマ、地域との関わりは、依頼者にとっての安心材料になり得ます。
ポイントは、「自分にとって普通」の中の価値を言語化することです。一人で抱えると視野が狭くなるため、次章のようにAIを壁打ち相手として使うと整理しやすくなります。
開業1年目に私が遠回りしたのは3つの書き方だった
「説明しすぎ」で結局何が強みか伝わらなかった
開業当初は「説明すれば伝わる」と思い、サービスページを長くしがちでした。結果として、読む側は情報量に圧倒され、要点が見えにくくなっていたように思います。
問い合わせにつながる文書は"説明書"ではなく"判断材料"です。まずは見せる順番を整える方が、反応は変わりやすいと感じました。
「丁寧すぎ」で比較の判断材料が不足した
丁寧さを意識するあまり、「できます」「対応します」を重ね、比較の軸が弱くなった時期がありました。訪問者は複数の事務所を見比べます。丁寧さだけでは差が出にくく、「結局どこも同じ」に見えてしまいます。
丁寧さは保ちつつ、対象者・範囲・根拠を具体化する必要がありました。
実績がない不安を「文書の厚み」で埋めようとして空回りした
実績が少ない時期ほど不安で、つい分量を増やして安心してもらおうとしました。ただ、分量が増えても安心材料が増えたわけではありませんでした。
後から振り返ると必要だったのは、量ではなく安心材料の種類と配置でした。ここを整えてからAIで文書を整えると、改善につながることがあります。
強みが分からないときはAIで2方向に壁打ちする
AIが得意なのは「強み候補の整理」と「比較軸の言語化」
AIは、ゼロから正解を当てるというより、材料を渡したうえで整理・言い換えをさせると力を発揮しやすいツールです。
棚卸しした経歴や学び、対応可能な業務をもとに、強み候補を複数パターンに整理したり、比較されやすい軸(料金、スピード、専門性、対応範囲など)を言語化したりする用途は相性が良いと感じます。
人が握るのは「誰に・何を・どこまで」の線引き
人が決めるべきなのは、次の3点です。
- 誰に向けた文書か(ターゲット)
- 何を約束するか(提供価値)
- どこまで言うか(表現の安全性)
AIが作った文書が整っていても、対象者がズレれば刺さりませんし、言い過ぎが混ざるとリスクになります。ここは実務としての判断が必要です。
強みが固まったら、文書は"型"に当てると整いやすい
強みや対象者が定まった後は、「構成×配置」に当てて整えると、分量が少なくても伝わりやすくなります。AIはこの"型に当てはめる作業"の補助として使うと、時間短縮になりやすいです。
ただし、AIの出力には誤りや言い過ぎが混ざることもあるため、最後は人が読み、実態に合う表現へ整えるのが安全です。
失敗を避ける注意点は5つある
専門用語が多いと"安心"より"壁"になりやすい
専門用語は正確でも、一般の方には壁になることがあります。使う場合は短い言い換えを添えるだけでも印象が変わります。
できること全部を書くと「結局どれが得意?」になる
網羅性は安心につながる一方、開業初期は強みが埋もれやすいものです。ページごとにテーマを絞り、入口を分かりやすくする方が相談されやすい場合があります。
実績表現は「誤解を招かない言い方」に寄せる
許可率や件数は強い材料ですが、前提や範囲が曖昧だと誤解につながります。事実に合致しない表示や、誤認・誤導・誇大と受け取られる表現は避けるのが安全です。
料金の書き方を曖昧にしすぎると逆に不安が増える
「応相談」だけだと不安が残ります。目安・幅・追加費用が発生しやすい条件などを、言い切りすぎない形で示すと相談のハードルが下がりやすいのです。
AIの文書をそのまま載せると"人柄"が消えやすい
AIの文書は整う反面、どのサイトも似た雰囲気になりがちです。「どんな相談が多いか」「どういう方に来てほしいか」など、あなたの言葉を少し足すだけで安心感が増すことがあります。
実践編では3つの文書をAIと一緒に整える
ホームページ(サービスページ)の整え方
サービスページを「対象者・解決・流れ」に沿って組み直し、問い合わせにつながる導線まで一緒に整えます。
プロフィール文の整え方
経歴の羅列で終わらせず、経験の棚卸しをもとに「安心材料として伝わる形」に整える流れを扱います。
Googleプロフィール文の整え方
Googleビジネスプロフィール(Googleプロフィール)は見られる枠が限られるため、短い文書で誤解なく伝える工夫が必要です。
本記事では考え方と実体験を中心にお伝えしました。実践編では、実務でAIをどのように使い整えていくかをもう少し具体的に整理する予定です。ぜひ続編もご覧ください。
脚注
※1 行政書士の広告宣伝については、事実不一致・誤認/誤導のおそれ・誇大広告宣伝をしない旨が、行政書士職務基本規則に定められています(日本行政書士会連合会「行政書士職務基本規則」等を参照)。
※2 役務の表示でも、一般消費者に誤認される不当表示(優良誤認等)は禁止されています(消費者庁「景品表示法(不当表示)」等を参照)。
※3 事例・クチコミ・実績の掲載は、守秘義務や個人情報保護の観点から、依頼者が特定され得る情報の扱いに注意が必要です(同意取得・匿名化等。個人情報の保護に関する法律等を参照)。
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案についての法的助言を行うものではありません。個別の状況により最適な対応は異なりますので、必要に応じて専門家へご相談ください。
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