コラム
許認可・補助金・外国人雇用をバラバラにしない。 忙しい経営者のための最短整理術
忙しい経営者ほどハマる「許可・お金・人」3つの詰まりポイント
この章のポイント
- 手続きが分散して「どれが先か」分からなくなる
- 期限が連鎖して、1つ遅れると全部が止まる
- 判断材料が社内に散って、決めるだけで消耗する
建設・製造業の経営は、いわば三つ口コンロでの同時調理に近いといえます。許可を"メイン料理"として火にかけながら、補助金の準備を"副菜"として進め、人の手当てを"盛り付け"として整える。レシピ(全体設計)がないまま始めると、焦がす・足りない・出せない(=受注できない)になりやすい——そういうイメージです。
手続きが分散して「どれが先か」分からなくなる
最初にやることが見えないと、着手が遅れます。許可・補助金・雇用が別々の窓口と書類で進み、頭の中で整理しにくい構造になっているためです。たとえば補助金の計画を先に固めても、後で許可の条件に合わせて体制説明を作り直すと二度手間になります。まずは「今の受注に必要な許可は何か」「そのためにお金と人をどう動かすか」を一枚にまとめることで、迷いが減り動き出せます。
期限が連鎖して、1つ遅れると全部が止まる
怖いのは締切そのものより、遅れが連鎖する点です。許可の更新・変更、補助金の締切、採用や在留手続きの時期が重なると、1つ遅れて現場が止まることがあります。たとえば設備投資を急いでいるのに申請準備が間に合わず、更新が遅れて生産性が上がらない、という流れも起きがちです。対策は、期限を並べて「早め通知」を入れること。90日・60日・30日前の3段階で先回りすれば、止まりにくくなります。
判断材料が社内に散って、決めるだけで消耗する
決める前に疲れる原因は、情報の散らばりにあります。現場・事務・外部先に数字や書類が点在すると、判断のたびに探すことになります。たとえば「元請に急かされた」「補助金も狙いたい」「人も足りない」が同時に来ると、要件・見積・資金繰り・採用計画が揃わず決裁が進みません。材料を最小セットに絞るのが近道です。案件一覧/期限一覧/足りないもの/概算コストの4つが揃えば、次の一手が決まります。
バラバラ対応が一番コスト高になる3つの理由
この章のポイント
- 手戻り(書類の作り直し・二重準備)が増える
- 機会損失(受注・採用・資金調達のタイミングを逃す)が起きる
- 外注費・社内工数が「点在」して見えないまま膨らむ
手戻り(書類の作り直し・二重準備)が増える
バラバラに進めると、作り直しが増えます。同じ情報を別の形で何度も集め直す構造になりやすいためです。たとえば補助金用に計画書を作った後で、許可や雇用の条件に合わせて体制や実績説明を作り直すと、文章も添付資料も二重になります。最初に「共通で使う材料」を決めると楽になります。会社情報・財務・体制・実績(領収書や証明書類が必要なものはメモ)をまとめておけば、各手続きは差分対応で済みます。
機会損失(受注・採用・資金調達のタイミングを逃す)が起きる
コストは支出だけでなく、取り逃しでも増えます。許可が間に合わない、採用が遅れる、資金手当が遅れると、受注や設備投資のタイミングがズレます。たとえば元請から「この区分の許可が必要」と言われているのに準備が遅れ、入札・契約に間に合わないケースがあります。採用も同様で、応募が来たときに受入準備が整っていないと逃します。全体設計で「いつまでに何が必要か」を先に出すことで、稼げるチャンスを守りやすくなります。
外注費・社内工数が「点在」して見えないまま膨らむ
点在コストは、気づいたときには大きくなっています。許可・補助金・雇用で外部先や社内担当が分かれると、同じ資料を何度も作っていても見えにくいためです。たとえば会社資料や証明書類を、別々の窓口へ何度も提出している状態が起きます。ここは「見渡す人」を1人置くのが効きます。全体の窓口を一本化し、実務は分担にすると、外注費も社内工数も把握しやすくなります。
最短化のカギは"全体設計"で決める4つの前提
この章のポイント
- 受注計画:元請要請・必要許可・求められる体制を先に確定
- 資金計画:補助金・融資・キャッシュのどれで繋ぐか整理
- 人員計画:日本人採用/外注/特定技能のどれをいつ入れるか決める
- 運用体制:誰が何を持つか(社内担当/外部パートナー)を固定する
受注計画:元請要請・必要許可・求められる体制を先に確定
最初に受注計画を固めると、必要な許可と体制が見えてきます。元請から求められる区分や提出物、体制は案件ごとに変わるため、ここが曖昧だと全てがズレます。受注見込みの案件を2〜3件に絞り、「いつ・どの現場・どの条件か」を短く書き出すのがおすすめです。そのうえで必要許可の当たりを付けると、準備の範囲が絞れます。まず受注から逆算するのが実務的です。
資金計画:補助金・融資・キャッシュのどれで繋ぐか整理
資金計画は「何でつなぐか」を先に決めるのが要点です。補助金は準備と審査に時間がかかり、入金まで間が空きやすいためです。補助金だけを前提にすると、着工や発注が遅れてしまいます。キャッシュで回す部分、融資でつなぐ部分、補助金で後から回収する部分を分けると現実的になります。役割分担が決まれば、申請準備も迷いにくくなります。
人員計画:日本人採用/外注/特定技能のどれをいつ入れるか決める
人員計画は「手段」より「時期」を決めると進みます。採用は予定通りにいきにくく、外注や特定技能と組み合わせないと稼働が安定しないためです。短期は外注で埋め、中期は日本人採用、長期は特定技能で厚くする、といった設計が現実的です。各手段の立ち上がり期間を見積もり、いつまでに何人必要かを出すと、申請や契約の優先順位も決まります。
運用体制:誰が何を持つか(社内担当/外部パートナー)を固定する
運用体制を固定しないと、計画があっても回りません。手続きは単発ではなく、更新・変更・報告が続くためです。基本は「全体窓口は1人」「実務は2系統」。窓口が全体表を見て、実務は許可・資金・雇用の担当に分けると崩れにくくなります。外部パートナーに任せる範囲も決まり、社内負担も読めます。結果として、経営者の判断回数が減りやすくなります。
「許可→お金→人」を同時に整える3フェーズロードマップ
この章のポイント
- フェーズ1:現状を10分で棚卸し(案件・期限・不足の可視化)
- フェーズ2:優先順位を決める(止まるリスク順/効果が出る順)
- フェーズ3:申請・採用を"並行で回す"段取りにする(依存関係だけ守る)
フェーズ1:現状を10分で棚卸し(案件・期限・不足の可視化)
最初の10分で棚卸しすると、一気に楽になります。案件・期限・足りないものが見えるだけで、次の作業が絞れるためです。紙・メール・口頭の情報を、ひとまず4列に並べます。案件名/必要な手続き/期限/足りないもの。完璧に埋める必要はありません。空欄があっても次に進めます。まず「見える化」して、悩む時間を減らすのが第一歩です。
フェーズ2:優先順位を決める(止まるリスク順/効果が出る順)
優先順位は感覚ではなく基準で決めます。忙しいほど判断が場当たりになり、期限や順番を見落としやすいためです。基準は2つで十分です。止まるリスクが高いものを先に、次に効果が大きいものを前倒しします。許可の更新・変更のように止まりやすいものを最優先に置き、補助金は準備に時間がかかるため早めに着手します。採用や特定技能は立ち上がりを見て前倒しするのが有効です。
フェーズ3:申請・採用を"並行で回す"段取りにする(依存関係だけ守る)
同時に回す形にすると速度が上がります。許可・補助金・雇用は共通で使える材料が多く、まとめて準備した方が二度手間を減らせるためです。まず会社情報・財務・体制などの「共通セット」を作ります。そのうえで、許可は要件確認、補助金は制度選び、雇用は受入条件の整理を同時に進めます。前後のつながりだけ守れば、直列の待ち時間が減り、最短化につながります。
許認可で迷わないための「必要性・区分・要件」3チェック
この章のポイント
- 必要性チェック:どの工事・金額・取引条件で必要になるか
- 区分チェック:一般/特定、業種、更新・変更の論点を整理する
- 要件チェック:人(技術・経営)/財産/書類を"埋める順番"で確認する
必要性チェック:どの工事・金額・取引条件で必要になるか
最初に必要性を判断すると、無駄な準備を減らせます。必要かどうかが曖昧なまま動くほど、調べ物とやり直しが増えるためです。工事の種類、契約金額、取引条件、元請からの要請などを案件ごとに整理し、「必要になりそう/要確認/不要」の当たりを付けます。ここで当たりが付くと、次は区分と要件に集中できます。要否を切ることが、最短化のスタートです。
区分チェック:一般/特定、業種、更新・変更の論点を整理する
区分を整理すると、準備が一直線になります。一般/特定や業種の違いで、求められる体制・提出物が変わるためです。さらに役員変更や本店移転などで必要になる手続きも出てきます。「チェックすべきポイント」を先に並べ、関係するものだけ拾うのがコツです。今の受注と今後の拡大方針を踏まえて必要な区分を固めると、集める資料もブレにくくなります。
要件チェック:人(技術・経営)/財産/書類を"埋める順番"で確認する
要件は、埋める順番が命です。まず財産要件(残高証明や資本金など)は数字で判定がつくため、最初に確認します。特に「特定」許可は基準が厳しく、たとえば資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上などの条件があり、不足があると増資など対策に時間がかかります。次に、人の要件(技術・経験)は準備に時間がかかりやすいので早めに当たりを付けます。最後に書類を揃える流れにすると、遠回りを避けやすいです。
補助金申請を取りこぼさない3つの逆算(準備が9割)
この章のポイント
- 制度選定:自社の目的(設備・DX・省力化)から候補を絞る
- 事前準備:アカウント・見積・体制・証憑を先に揃える
- 計画設計:やることを「採択前にやっていい/ダメ」で線引きして事故を防ぐ
制度選定:自社の目的(設備・DX・省力化)から候補を絞る
制度選びは「目的」から入ると迷いません。補助金は種類が多く、対象経費や条件が違うためです。設備投資が目的なのか、DXで間接作業を減らしたいのか、省力化で人手不足を補いたいのかを一文で決めます。そのうえで候補を2〜3に絞ると、申請書の軸がブレにくくなります。目的が固まれば、見積や体制づくりも一直線になります。
事前準備:アカウント・見積・体制・証憑を先に揃える
事前準備を先に済ませると、取りこぼしが減ります。アカウント取得、見積取得、領収書や証明書類の整理は時間が読みにくく、直前に詰まりやすいためです。「置き場」を固定するだけでも効果があります。会社情報、財務、体制図、見積、過去実績の根拠(領収書や証明書類の所在メモ)を1つのフォルダに集約します。探す時間が減ると、申請の質も上がります。
計画設計:やることを「採択前にやっていい/ダメ」で線引きして事故を防ぐ
計画設計は、線引きができると経営事故を防げます。多くの補助金では、交付決定前の発注・契約・支払いは原則として補助対象外だからです。採択=発注してOKではありません。例外として「事前着手届」等が認められる制度もありますが、事務局の事前承認が前提になります。迷ったら「見積を取るまで」「契約は交付決定後」とルールを固めると安全です。
特定技能(外国人雇用)をスムーズに回す3つの段取り
この章のポイント
- 要件整理:職種・業務範囲・受入枠・社内の受入条件を確定する
- 体制設計:自社でやる/登録支援機関に任せるの切り分け
- 運用設計:入社までの申請と、入社後の定着・更新・報告をルーチン化する
要件整理:職種・業務範囲・受入枠・社内の受入条件を確定する
要件整理を先にやると、採用がブレません。職種や業務範囲が曖昧だと、必要書類や受入準備が固まらず、後で修正が出るためです。「どの現場で」「何を任せるか」「教育担当は誰か」「住居・通勤はどうするか」まで決めると、手続きも現場運用も安定します。受入枠や配置計画を先に確定し、募集や面談の前提を揃えるのが近道です。
体制設計:自社でやる/登録支援機関に任せるの切り分け
体制設計ができると、スピードと品質が両立します。手続きを自社で抱えすぎると日常業務が回らず、丸投げだと社内に判断材料が残りにくいためです。社内が全体の窓口を持ち、書類作成や支援業務は登録支援機関に任せる分担がおすすめです。役割が決まると、必要資料の集め方も明確になります。無理なく続く形にするほど、採用が単発で終わりません。
運用設計:入社までの申請と、入社後の定着・更新・報告をルーチン化する
運用設計を「いつもの作業(仕組み)」にすると、トラブルが減ります。入社までの申請だけでなく、入社後も定着支援・更新・報告が続くためです。入社前に「いつ・誰が・何をするか」をカレンダーに置き、月1回だけ確認します。更新時期が近づいてから慌てる状況を避けやすくなります。仕組みに落とせば、忙しい時期でも抜け漏れが起きにくくなります。
1枚の管理表で守る「期限・書類・担当」5つの運用ルール
この章のポイント
- 期限は「90日・60日・30日」の3段階で先にアラートを出す
- 書類は"箱を分ける"だけで減る(共通書類/案件別/更新系)
- 担当は「窓口1人+実務2系統」で崩れにくくする(許可・資金・雇用)
- 変更が出たら"全体設計"に戻して、やる順番を即更新する
- 月1回の棚卸しで「詰まる前」に潰す(10分で回す型)
期限は「90日・60日・30日」の3段階で先にアラートを出す
期限管理は3段階通知が実務的です。直前に気づくと選択肢が減り、追加確認や書き直しで間に合わなくなるためです。90日前は「要件と不足の確認」、60日前は「資料集め」、30日前は「最終確認と提出」に分けます。管理表に入れるだけで回りやすくなります。
| 期限まで | やることの目安 |
|---|---|
| 90日 | 要件確認・不足洗い出し・関係者決定 |
| 60日 | 書類収集・見積取得・計画の詰め |
| 30日 | 最終チェック・提出・追加対応の時間確保 |
書類は"箱を分ける"だけで減る(共通書類/案件別/更新系)
書類負担は「箱分け」で体感が変わります。探す時間と作り直しが減り、同じ資料を何度も作らなくて済むためです。おすすめは3箱です。共通書類(会社情報・財務・体制)/案件別(契約・見積・計画)/更新系(期限・変更履歴)。紙が混じるならスキャンして共通箱に入れます。置き場が決まると、誰が見ても迷いにくくなります。
担当は「窓口1人+実務2系統」で崩れにくくする(許可・資金・雇用)
担当設計は、窓口一本化が基本です。全体の優先順位と期限を1人が見ないと、各担当が自分の案件だけを最優先にしがちなためです。窓口が管理表を持ち、実務は2系統に分けます(例:許可系/資金・雇用系)。外部先が入る場合も窓口が調整役になると、やり取りが減ります。崩れにくい形にするほど、経営者の判断回数も減りやすいです。
変更が出たら"全体設計"に戻して、やる順番を即更新する
変更が出たときこそ、全体設計に戻ります。案件・体制・資金計画が変わると、必要な手続きの順番も変わるためです。受注金額や工期が変われば、許可の区分やチェックすべきポイントが動くことがあります。補助金の予定や採用計画の変更も同様です。個別対応に走る前に、管理表の「期限」「不足」「担当」を更新し、優先順位を付け直します。これが最短ルートになります。
月1回の棚卸しで「詰まる前」に潰す(10分で回す型)
月1回の棚卸しは、手間が少なく効果が大きいです。問題が小さいうちに潰せば、後の手戻りを避けやすいためです。やることは3つだけに絞ります。期限が近いもの/足りないものが残るもの/外部待ちのもの——この3点を確認します。会議は不要で、10分で十分です。短く回せる型にすると、多忙でも続きます。
次の記事で深掘りする「建設業許可を最短で取る」3つの段取り
この章のポイント
- 許可が必要になるケースを一発で判断する軸
- 要件不足があるときの埋め方(人・経験・技術)
- 最短で申請まで持っていく準備リスト(作業順つき)
許可が必要になるケースを一発で判断する軸
要否を早く判断できると、無駄な準備が消えます。必要かどうかが曖昧なまま動くほど、調べ物とやり直しが増えるためです。工事の種類、契約金額、取引条件、元請の要請を軸に整理し、案件一覧に「必要になりそうか」を仮で入れます。仮置きでも、次の行動が決まります。判断軸を持つことが最短化の出発点になります。
要件不足があるときの埋め方(人・経験・技術)
要件不足は、早く見つけて先に動くのが鉄則です。人・経験・技術の条件は、準備に時間がかかりやすいためです。配置できる人が足りないなら、採用・配置転換・外部活用などの打ち手を決めます。経験の整理が弱いなら、経歴の確認や根拠書類の所在確認が必要になります。穴埋め方針が決まれば、残りは書類作業に集中できます。
最短で申請まで持っていく準備リスト(作業順つき)
準備リストを作業順で持つと、迷いなく進みます。「集めやすいもの」から始めると、後で重要な不足が見つかって止まりやすいためです。安全な順番は、要件確認→不足の手当て→共通書類の整理→個別書類です。窓口と実務の分担を決めれば、同時進行もしやすくなります。次の記事では、この順番付きリストを具体化し、申請まで最短で運べる形にします。
まとめ
- 許可・お金・人が詰まる原因は、作業量より「全体が見えないこと」にあります
- バラバラ対応は、作り直しと稼げるチャンスの取り逃しを増やしがちです
- 最短化は、受注・資金・人員・運用の前提を先に決めると進みやすくなります
- 3フェーズ(棚卸し→優先順位→同時進行)で、止まりにくい流れが作れます
- 1枚の管理表と月1回10分の棚卸しが、期限不安と抜け漏れを減らします
