コラム
【特定行政書士試験に向けた学習記録】特定行政書士試験対策|自白と権利自白の違いを民事訴訟法と行政事件訴訟法で徹底解説
はじめに:自白と権利自白の混同に注意
特定行政書士試験では、民事訴訟法や行政事件訴訟法の知識が問われる中で、「自白」と「権利自白」の違いを正確に理解することが重要です。
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自白:事実の存在や法律関係の成立を認める意思表示
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権利自白:法律関係そのものを認める意思表示で、裁判所を直接拘束しない
この違いを押さえておかないと、問題文の設問に正しく対応できず、得点を落とす可能性があります。特に行政事件においては、職権探知主義の原則があるため、民事訴訟法の概念をそのまま適用できない点にも注意が必要です。
自白の定義と効力(民事訴訟法上)
民事訴訟法上、自白とは**「当事者が自己に不利な事実の存在を認める意思表示」**を指します。
自白の特徴
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裁判所を拘束する効力
自白した事実については、原則として裁判所がその事実を認定する必要がなくなります(不要証事実)。 -
証拠ではない
自白は「証拠能力が高い」という意味ではなく、証明の必要をなくす効力を持ちます。 -
無効・無効事由
錯誤・強迫による自白は無効です。したがって、無効自白は裁判上効力を持ちません。
具体例
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A社が「納品が遅れた事実」を認める発言をした場合 → 事実の自白
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この自白があると、裁判所はその事実について証明を求める必要がなくなります。
権利自白の定義と効力
権利自白とは、**「当事者が法律上の権利・義務の存在を認める意思表示」**を指します。
権利自白の特徴
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裁判所を拘束しない
民事訴訟法上、権利自白は裁判所を直接拘束するものではなく、裁判官は独自に判断します。 -
事実自白との違い
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自白:事実の存在を認める → 証明不要
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権利自白:法律関係の存在を認める → 裁判所の判断は不要にならない
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具体例
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B社が「遅延損害金を支払う義務がある」と認める発言 → 権利自白
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この発言があっても、裁判所は契約条項や法令に基づき判断します。
行政事件訴訟法・審査請求における自白・権利自白
行政事件では、職権探知主義が原則であり、裁判所は当事者の自白に依存せず事実を調査します。
ポイント
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行政庁の主張に対して代理人として自白を行う場合、事実だけを認めるか、権利関係まで認めるか慎重に判断する必要があります。
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権利自白を行っても、行政事件訴訟法上は裁判所を拘束せず、代理人は反論の余地を残すことが可能です。
実務的思考法:代理人として何を認め、何を争うか
特定行政書士が審査請求代理を行う際には、以下の思考プロセスが重要です。
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事実関係の整理
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どの事実が明確か、争いがあるか
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自白すると有利になるか不利になるか
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権利関係の検討
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法律上の義務や権利を認めることが妥当か
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認める場合、裁判所や行政庁の判断にどの影響があるか
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戦略的自白
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事実だけを認め、権利関係は争う → 代理人の防衛策
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不利な自白は避け、必要な範囲で認める
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具体例で理解する自白と権利自白
事例
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C社は建設工事の遅延を理由に行政指導を受ける。
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代理人は「遅延事実は認めるが、違約金支払い義務は争う」と戦略を立てる。
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遅延事実 → 事実の自白
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違約金支払い義務 → 権利自白せず争う
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このように、事実と権利の区別を意識した自白戦略が、行政事件の代理人業務で重要です。
まとめ:試験と実務で押さえるポイント
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自白は事実を認める意思表示で、裁判所を拘束する効果がある
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権利自白は法律関係を認める意思表示で、裁判所を拘束しない
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行政事件では職権探知主義が原則で、自白の効力は限定的
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代理人は事実と権利を区別し、戦略的に自白することが重要
HANAWA行政書士事務所からのメッセージ
特定行政書士試験対策として、自白・権利自白の理解は得点にも直結します。
また、実務での代理人業務においても、事実と権利を戦略的に整理する力は必須です。
HANAWA行政書士事務所では、試験学習のポイントと実務的視点の両方を押さえた解説を提供しています。
不明点やより深い理解を目指す方は、ぜひご相談ください。