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コラム

やさしく整理:見守り契約と任意後見の違い(使い分け)(一次情報に基づく)

親の介護が始まると、「今のうちに契約すべきか」「成年後見制度を使うにはまだ早いのか」と迷うご家族は少なくありません。とくに横浜市で暮らす方にとっては、どこに相談し、どの制度をどの段階で選ぶべきかが分かりにくい場面もあるでしょう。

本記事では、法務省が所管する成年後見制度、厚生労働省が示すACP(人生会議)の考え方、そして横浜市の高齢者相談体制などの一次情報に基づき、見守り契約と任意後見の違いと使い分けを、法律を学んだことのない方にも理解できるように整理します。

※本記事は一般的な制度説明です。特定の契約や制度利用を推奨するものではありません。


目次

■ ①:見守り契約と任意後見の違いを整理すると分かる3つの判断軸
■ ②:横浜市で迷ったときに確認したい4つのチェックポイント
■ ③:見守り契約が向いている場合と任意後見を検討する場合
■ ④:ACP(人生会議)と契約をどう位置づけるか
■ ⑤:横浜市で実際に動くための基本的な流れ


■ ①:見守り契約と任意後見の違いを整理すると分かる3つの判断軸

まず押さえておきたいのは、両者の法的性質が異なるという点です。

・見守り契約:民法上の「委任契約」などに基づく私的契約(法定の制度ではありません)
・任意後見:任意後見契約に関する法律に基づく法定制度

① 判断能力と効力発生の違い

任意後見契約は、本人に十分な判断能力があるうちに、公正証書で締結します。そして将来、判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めて効力が生じます(法務省所管)。

つまり、契約を締結しただけでは直ちに代理権が行使されるわけではありません。

一方、見守り契約は、原則として契約締結時点から効力が生じます。ただし、その内容は当事者間で合意した範囲に限られます。

② 公的関与の有無

任意後見では、将来、家庭裁判所が関与し、任意後見監督人が選任されます。監督人は任意後見人の事務を監督する役割を担います。

これに対し、見守り契約には公的な監督制度はありません。そのため、契約内容や報酬、業務範囲を明確に定めておくことが重要です。

③ できることの範囲

任意後見では、契約で定めた範囲内において、財産管理や法律行為の代理が可能です。ただし、医療行為への同意については、法律上、後見人等に包括的な同意権が与えられているわけではありません。医療現場では本人意思の確認が基本とされ、状況に応じた判断が行われます。

見守り契約は、通常、安否確認や相談対応、関係機関との連絡調整などが中心となります。預金の払戻しや不動産売却などの法律行為を行う場合には、別途、委任契約や代理権授与が必要です。


■ ②:横浜市で迷ったときに確認したい4つのチェックポイント

① 現在の介護サービス利用状況

すでに介護保険サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターが関与しています。制度利用を検討する前に、現在の支援体制で足りている点・不足している点を整理することが第一歩です。

② 判断能力の程度

任意後見契約は、本人が契約内容を理解する能力を有していることが前提です。すでに判断能力が著しく低下している場合には締結できません。その場合は、法定後見制度(後見・保佐・補助)の利用を家庭裁判所に申立てることになります。

③ 将来の大きな契約予定

施設入所契約や不動産処分など、重要な法律行為が予定されている場合には、代理権の整備が必要となることがあります。何を、誰が、どのような権限で行うのかを整理します。

④ 家族間の合意

制度利用にあたっては、家族間での話し合いが欠かせません。費用負担や役割分担を明確にしておくことが、将来的な紛争予防につながります。


■ ③:見守り契約が向いている場合と任意後見を検討する場合

見守り契約が活用されることが多い場合

・日常生活は概ね自立している
・定期的な安否確認や相談支援が主な目的である
・直ちに包括的な財産管理代理が必要ではない

ただし、見守り契約は法定制度ではないため、権限の範囲を具体的かつ明確に定めることが不可欠です。

任意後見を検討する場合

・将来の判断能力低下に備えたい
・財産管理や契約締結を代理してもらう必要が想定される
・公的監督のある仕組みを利用したい

任意後見契約は、必ず公正証書で作成します。契約締結後、判断能力が低下した段階で、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行います。


■ ④:ACP(人生会議)と契約をどう位置づけるか

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、厚生労働省が普及を進めている取組であり、将来の医療・ケアについて、本人・家族・医療介護職が話し合うものです。

ACPは法的義務ではありませんが、本人の価値観や希望を共有することを目的としています。

任意後見契約や見守り契約は、財産管理や生活支援の枠組みを整える制度・契約です。一方、ACPは「どのような医療や生活を望むか」という意思の共有を行う取組です。役割が異なるため、両者を混同しないことが大切です。


■ ⑤:横浜市で実際に動くための基本的な流れ

① 相談窓口に連絡する

横浜市地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口です。原則無料で相談できます。制度の必要性や緊急性を整理する出発点となります。

② 任意後見契約を締結する場合

公証役場で公正証書を作成します。契約内容について本人が理解し、同意していることが前提です。費用や必要書類については、事前に公証役場へ確認します。

③ 法定後見を申立てる場合

すでに判断能力が不十分な場合は、居住地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。医師の診断書や財産資料などが必要となります。手続の詳細は裁判所の案内に従います。


まとめ

・見守り契約は私的契約、任意後見は法律に基づく制度
・任意後見は公正証書で締結し、家庭裁判所の関与によって効力が生じる
・医療同意は後見人に包括的に与えられるものではない
・ACPは意思共有の取組であり、契約制度とは役割が異なる
・横浜市では地域包括支援センターが相談の出発点となる

制度は、本人の権利と尊厳を守るための仕組みです。焦らず、一次情報に基づいて確認しながら進めることが大切です。


脚注

本記事は、法務省および厚生労働省等の公表資料に基づく一般的な説明です。具体的な契約内容や申立手続は個別事情により異なります。最終的な判断は公的機関や専門職にご確認ください。


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