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コラム

「コピー不可」をコピーして提出? 重要書類の矛盾を解く「原本証明」の正体と実務ルール

Q:「コピー不可」の書類をコピーして出せと言われました。矛盾していませんか?
A:矛盾していません。「原本を汚さず、かつ内容が正しいことを証明する」ためにコピーを利用し、そこに「原本と相違ない」という証明を付与する手続きが必要になるからです。

住民票や免許証、重要な契約書。これらには偽造防止技術が施され、コピーすると「複写」や「COPY」の文字が浮かび上がることがあります。それでも提出先から「コピーを一部提出してください」と指示される場面は珍しくありません。

この一見矛盾した指示の背景には、提出先が「内容の確認(原本照合)」と「記録の保管(写しの保存)」を同時に行いたいという事情があります。そこで重要になるのが「原本証明」という考え方と、その実務ルールです。

「原本」は手元に、「写し」は相手に。

この記事では、次の3つのポイントを解説します。

  • なぜ提出先はコピーを欲しがるのか(保存義務と責任)
  • コピーに浮かび上がる「複写」の文字は無効の証拠ではない
  • 例え話:金型(原本)は渡せないが、鋳物(コピー)なら渡せる

これらを理解すれば、「コピー不可 提出 理由」という疑問が解消され、原本を守りながらスムーズに手続きを進められるようになります。提出先が本当に求めているのは"原本そのもの"ではなく、"確認できて記録に残せる状態"だと理解することが第一歩です。


なぜ提出先はコピーを欲しがるのか(保存義務と責任)

提出先が写しを求める理由は明確です。「確認した事実」を後から説明できるよう、写しを保管したいからです。

窓口業務や金融機関では、審査の根拠資料を一定期間保存する義務があります。もし原本を預かり続けると、紛失リスクや返却漏れといった責任問題が発生します。そこで、原本はその場で照合し、記録は写しで残すという方法が合理的な解決策となるのです。

たとえば、融資審査で契約書を確認した場合、写しが残っていれば、後日の監査や問い合わせにも対応できます。原本は本人の手元で守り、相手は写しで管理する――これが基本形です。

コピーに浮かび上がる「複写」の文字は無効の証拠ではない

「複写」「COPY」などの透かし文字は、偽造防止や不正利用の抑止を目的としたものです。コピーされたことが一目で分かるようにする仕組みであり、透かしが出たからといって即座に「提出不可」や「無効」になるわけではありません

提出実務で本当に重視されるのは、次の3点です。

  • 原本提示で照合できるか
  • 写しが判読可能か
  • 必要情報が欠けていないか

透かしの有無に動揺するより、提出先の指定事項(白黒・カラー、縮小の可否、両面コピーなど)を優先して整えるほうが、手戻りを防げます。

例え話:金型(原本)は渡せないが、鋳物(コピー)なら渡せる

原本は「唯一の元データ」であり、失うと復元が困難です。だからこそ、提出先へ原本を渡しっぱなしにするより、内容確認に足りる写しで用件を満たすほうが安全なのです。

これを製造業に例えるなら、金型(原本)を預けると破損や紛失が致命傷になりますが、鋳物(コピー)なら必要な形状だけを共有できるということです。

書類も同様で、相手は「手続きに必要な情報」が得られれば十分なケースがほとんどです。原本提示で正しさを確認し、写しを保存して運用する――この仕組みが双方のリスクを下げます。


実務で必須のスキル「原本証明」の正しいやり方

ここからは、より実務的な話に入ります。この章では、次の3つのポイントを解説します。

  • 「原本と相違ありません」という定型句の使い方
  • どこに、どの印鑑を押すべきか?(代表者印と契印)
  • 原本還付手続き:原本をその場で返してもらうための方法

原本証明とは、「誰が」「どの写しが」「原本と同一だと保証するか」を明確にする作業です。形式が整うほど、証拠能力を意識した提出や原本還付の対応がしやすくなります。

「原本と相違ありません」という定型句の使い方

原本証明の核心は、写しに「原本と相違ない」旨を明記し、作成者が責任主体となる形にすることです。

「魔法の言葉」と呼ばれることもありますが、実態は信頼性を担保するための定型句です。代表的な文言は次のとおりです。

  • 「原本と相違ないことを証明します」
  • 「上記は原本と相違ありません」

これに加えて、日付・作成者(会社名/部署名/氏名)を添え、押印します。誰が保証した写しなのかが明確になるため、提出先も照合プロセスを説明しやすくなります。

どこに、どの印鑑を押すべきか?(代表者印と契印)

押印は、「改ざんされにくい位置」と「提出先の指定」を両立させることが重要です。

1枚ものの書類なら、証明文の近くに押すのが基本です。一方、複数ページの場合、差し替え防止のために用いるのは「契印」であり、「割印」ではありません。この2つは目的が異なります。

【契印と割印の違い】

  • 契印:複数ページの"差し替え防止"(ページをまたいで押す)
  • 割印:原本と控えなど"別書類の対応関係"を示す(重ねてずらして押す)

実務では、この使い分けを正確に理解しておくことが重要です。

原本還付手続き:原本をその場で返してもらうための方法

「裏技」と表現されることもありますが、原本還付は正式な申請手順として押さえておくべきものです。

登記を含む公的手続きでは、原本で審査したうえで原本と写しを照合し、一致を確認して返還する流れが定められています。

原本還付を希望する場合、実務で見落とされがちなのが「還付の意思表示」です。一般的には、次の4点をセットで準備します。

  1. 原本そのもの(窓口で提示・審査対象)
  2. 原本のコピー(提出・保存される側)
  3. コピーへの原本証明(「原本と相違ない」等+日付+署名/押印)
  4. 原本還付の意思表示(原本還付申請書、または付箋等で「原本還付希望」と明示)

提出先によって指定書式がある場合もあるため、事前確認が確実です。


コピーが「原本」を超える信頼を得るための条件

写しは原本の代替手段ですが、条件を満たすほど実務上の信頼度が上がります。判断軸は「同一性」「改ざん防止」「判読性」の3点です。

この章では、次の3つのポイントを解説します。

  • 白黒コピーvsカラーコピー。どちらが「正式」か?
  • スキャンデータ(PDF)の提出で原本証明は通用するか
  • 偽造を疑われないための「鮮明さ」と「端の欠け」への注意

白黒コピーvsカラーコピー。どちらが「正式」か?

「正式かどうか」は色ではなく、提出先の要件に適合しているかで決まります。

白黒コピーは扱いやすい反面、印影やセキュリティ模様が潰れることがあります。カラーコピーは視認性が上がる一方、不要な情報まで鮮明になり、個人情報の取り扱いに注意が必要です。

指定があるなら従い、指定がない場合は「判読性が高いほう」を選ぶと失敗しにくくなります。

スキャンデータ(PDF)の提出で原本証明は通用するか

PDF提出でも原本証明の考え方は活きますが、運用は提出先次第です。

紙で原本証明した写しをスキャンして提出可能なケースもあれば、電子署名や所定フォームが必要な場合もあります。重要なのは、「誰が・いつ・どの原本から作ったか」を説明できる状態を残すことです。

提出要件が厳しい手続きほど、指定形式を事前確認し、作成経緯(メール指示や受付メモ)も保管すると安心につながります。

偽造を疑われないための「鮮明さ」と「端の欠け」への注意

写しが疑われやすいのは、読めない・欠けている・加工に見えるときです。鮮明さと欠けなしを徹底すると、トラブルが減ります。

チェックポイントは次のとおりです。

  • 四隅が切れていない
  • ページ番号や押印部が欠けていない
  • 日付や氏名が判読できる

スキャン時の補正は、やり過ぎると加工感が出るため、最小限に留めたほうが無難です。提出前に第三者目線で読み取れるか確認すると、差し戻しを避けやすくなります。


まとめ

  • 「コピー不可」は偽造防止表示であり、透かしが出ても直ちに無効とは限りません。
  • 提出先が写しを求めるのは、「原本照合」と「記録保管」を同時に満たすためです。
  • 複数ページの差し替え防止は契印で行い、割印(別書類同士の関連付け)とは明確に使い分けます。
  • 原本還付は「原本提示+原本証明付きコピー」に加え、「原本還付希望」の意思表示(申請書・付箋等)が重要です。
  • 印鑑は提出先次第で要件が上がり、代表者印(登記所届出印)や印鑑証明書(作成後3か月以内等)を求められる場面もあります。

まずは提出先の指定を確認し、指定がなければ「判読性の高い写し」+「原本証明」+「(必要なら)契印/還付意思表示」をセットで準備してみてください。手戻りが減り、原本の管理もしやすくなります。


脚注

※行政手続きでは、原本還付を希望する場合、原本と一緒に「原本のコピー+原本と相違ない旨の記載」を提出するのが一般的です。
※原本証明は、その写しを作成した者が内容の同一性を保証する私的な証明行為です。


免責

提出先(官公庁や金融機関)により、独自の証明形式やコピーの取り方が指定されている場合があります。必ず提出先の指示に従ってください。

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