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コラム

除附票が取れないときに確認したい、保存150年でも出ない「5つの理由」と代替ルート

除附票が出ない原因は、時期・請求先・管理方法のズレで説明できることが多いです。「保存150年」といっても、法改正前に保存期間が満了・廃棄された記録は復元されないため、必ず取れるわけではありません。窓口での二度手間を防ぐ確認事項と、取れない前提での代替ルートを実務目線で整理します。


目次

  • 除附票と混同しやすい2つの書類を整理する
  • 保存150年でも交付できない3つの典型パターン
  • 窓口で二度手間を防ぐ4つの確認ポイント
  • 取れない前提で進める3つの代替ルート
  • 急ぎで動く2つの実務手順
  • Q&Aで整理:よくある5つの疑問
  • まとめ

除附票と混同しやすい2つの書類を整理する

まず、「除附票(戸籍の附票の除票)」と「住民票の除票」を区別することが第一歩です。誤解を防ぐため、両者の法的位置づけを押さえましょう。

戸籍の附票の除票(除附票)とは

本籍地の市区町村に置かれる「戸籍の附票」が除籍・転籍等により閉鎖された後の記録です。戸籍法施行規則第29条等に基づき管理されています。

住民票の除票とは

住民基本台帳法施行令第7条に基づき、転出・死亡・国外移住などで住民登録から除かれた者の記録です。

請求先の違いに注意

提出先がどちらを求めているかで請求先が変わります。戸籍の附票は本籍地、住民票は住所地の自治体が所管です。これを混同すると「違う自治体に請求して取れない」誤りが起こります。


保存150年でも交付できない3つの典型パターン

2022年(令和4年)1月施行の戸籍法施行規則改正により、附票の保存期間は原則150年となりました。ただし、改正前に消滅済みの附票は復活しません(※法令上、遡及保存の規定なし)。

以下の3つに当たる場合、交付不可となるケースがあります。

パターン1:改正前の保存期間満了後に廃棄済み

以前は5年または10年保存が原則だったため、古い除票は現存しません。

パターン2:転籍による分断

附票は本籍単位で管理されるため、転籍により複数自治体に分かれます。

パターン3:電算化・改製による管理分離

戸籍の改製やシステム移行時に、旧データが紙媒体で別管理されていることがあります。交付終了済みの自治体も存在します。


窓口で二度手間を防ぐ4つの確認ポイント

ポイント1:提出先に確認

「除附票」か「住民票の除票」か。必要期間(〇年〇月まで)と連続性の要否を確認しましょう。

ポイント2:必要な附票の範囲

転籍や改製がある場合は、複数の附票が必要かどうかを確認してください。

ポイント3:請求者の区分

本人・代理人・法定代理人・利害関係人など、立場によって必要書類が異なります(戸籍法第10条)。

ポイント4:申請に必要な書類の漏れ防止

本人確認資料、戸籍の写し、委任状、手数料、郵送時の返信封筒や宛名確認など、必要書類を事前にリストアップしましょう。


取れない前提で進める3つの代替ルート

ルート1:交付不可の根拠をメモ・証明として残す

自治体による「廃棄済み」「該当記録なし」等の説明を担当課名・日付つきで記録しましょう。書面交付が難しい場合は口頭記録でも構いません。

ルート2:住民票の除票や他資料を代替に使う

住民票除票の保存期間は原則5年(住民基本台帳法施行令第7条)ですが、自治体によっては延長保存されています。

ルート3:資料の組み合わせで経緯説明

除附票+住民票除票+戸籍謄本(または不交付理由メモ)で「つながり」を合理的に説明できます。


急ぎで動く2つの実務手順

手順1:申請前に電話で交付可否と対象年度を確認

保存範囲・必要書類・郵送可否を聞くと、最短で請求可能になります。

手順2:郵送請求時の注意事項

返信封筒の宛名・手数料の支払い方法(定額小為替等)・日中連絡先の記載を忘れずに。不備は返送の主因です。


Q&Aで整理:よくある5つの疑問

Q1. 「150年保存なのに出ない」のはなぜ?

A. 改正前に保存期間が満了して記録が廃棄されている場合、法的に復元はされません(戸籍法施行規則第31条の2参照)。

Q2. 「どこに請求する?」

A. 本籍地の市区町村です。転籍がある場合は期間ごとに本籍地を確認し、複数請求が必要な場合もあります。

Q3. 「何年前まで取れる?」

A. 附票は150年保存(改製前に残存していれば)ですが、実際の交付可能範囲は自治体によって異なります。境界年度を確認しましょう。

Q4. 「誰が取れる?」

A. 本人・同一戸籍の親族・代理人・正当な利害関係人等に限られます。関係性資料または委任状の添付を求められる場合があります。

Q5. 「取れないときの説明文をどう書く?」

A. 以下の例が使えます。

「本籍地(○○市役所)に照会したところ、(対象期間:〇年〇月〜〇年〇月)の除附票は保存期間満了により交付不可との回答を受けました。交付可能な期間分と住民票除票を組み合わせ、住所履歴の連続性を説明いたします。」


まとめ

戸籍の附票は令和4年以降150年保存となりましたが、改正前に廃棄された記録は復元されません。転籍や改製で複数自治体に分かれるケースがあることも押さえておきましょう。

住民票除票は原則5年保存ですが、自治体により長期保存の例もあります。取れないときは、交付不可理由と他資料の併用で合理的説明を整えることが重要です。

戸籍法・住民基本台帳法の保存規定を踏まえて確認順を整理すれば、最短ルートが見えてきます。


脚注(出典)

  • 戸籍法施行規則第31条の2(戸籍の附票の保存期間)
  • 戸籍法第10条(戸籍の附票の管理)
  • 住民基本台帳法施行令第7条(除票の保存期間)
  • 総務省「戸籍事務・住民基本台帳事務に関するQ&A(2022年改正対応)」

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