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コラム

浮気・不貞行為があった場合の慰謝料の考え方

浮気の慰謝料には一律の相場が存在するわけではありません。婚姻期間、浮気の内容、離婚の有無など、複数の事情を総合的に判断して金額が決まります。感情に任せて行動すると、法的に不利になる場合もあります。この記事では、不貞行為の定義から慰謝料額の考え方、証拠の扱い方、裁判への備えまでを、法律初心者の方にもわかりやすく解説します。


目次

  • 浮気による慰謝料でまず知るべき3つの基本
  • 浮気慰謝料の相場がケースごとに変わる理由
  • 不貞慰謝料で重要になる証拠と集め方
  • 裁判になる不安を減らすための3つの分岐点
  • 慰謝料請求で後悔しないための判断軸
  • 浮気された側が自分を守るための行動整理

1. 浮気による慰謝料でまず知るべき3つの基本

浮気と不貞行為の違い

一般的な「浮気」という言葉には幅がありますが、法律で慰謝料請求の対象となるのは「不貞行為」です。判例上(最高裁昭和54年3月30日判決など)、「不貞行為」とは「配偶者以外の者と自由な意思によって性的関係を持つこと」を指します。

単に親しいメッセージを送ったり、2人で食事をしたりしただけでは、不貞行為に当たらないのが原則です。ただし、ホテルへの出入りや宿泊が確認される場合は、肉体関係を推認されることがあります。

慰謝料請求が認められる条件

慰謝料請求が法的に認められるには、主に以下の3つの要件が必要です。

  1. 婚姻関係が実質的に破綻していないこと
    長期間の別居などがある場合は、婚姻関係がすでに破綻していたと判断され、慰謝料請求が否定されることがあります。

  2. 不貞行為を裏付ける客観的証拠があること
    感情的な主張だけでは認められません。具体的な証拠が必要です。

  3. その結果、精神的苦痛を受けたと評価できる事情があること
    不貞行為によって精神的損害が生じたという因果関係が求められます。

これらが揃って初めて慰謝料の法的根拠が成立します。

配偶者と相手方、どちらに請求できるか

慰謝料は、配偶者とその不貞相手の両方に請求可能です。ただし、不貞相手に対しては「既婚者であると知っていた、または通常の注意で知り得た」場合に限られます(最高裁平成8年3月26日判決)。

双方に全額を二重取りすることはできません。どちらに請求するか、あるいは両方に請求するかは、証拠の有無や回収見込みを踏まえて判断する必要があります。


2. 浮気慰謝料の相場がケースごとに変わる理由

検索結果で目にする「慰謝料相場」は、あくまで裁判例をもとにした参考値です。実際の金額は、個別の事情によって大きく異なります。

婚姻期間・子どもの有無

婚姻期間が長いほど、精神的損害が重いと評価される傾向にあります。未成年の子どもがいる場合は、家庭への影響が大きいと見なされ、増額要素になることがあります。

浮気の期間・頻度・悪質性

一時的な関係よりも、長期間続いたり、複数回に及んだりする場合は、悪質性が高いと判断されます。隠蔽工作や反省の欠如も、慰謝料額に影響を与える要素です。

離婚に至ったかどうか

不貞行為が原因で離婚に至った場合、慰謝料が増額されることが多いです。ただし、離婚したという事実だけで高額が自動的に認められるわけではありません。全体の経過や双方の行動が総合的に考慮されます。


3. 不貞慰謝料で重要になる証拠と集め方

有効な証拠の種類

裁判で有効とされやすいのは、肉体関係を裏付ける客観的資料です。

具体例:

  • ホテル出入りの写真や動画
  • 探偵(探偵業法に基づく適法な調査)の報告書
  • LINEなどで肉体関係を明示しているメッセージのスクリーンショット

複数の資料を組み合わせることで、立証力が強まります。

注意点:証拠収集の法的リスク

無断で相手の携帯電話を開く、パスワードを解除するなどの行為は、不正アクセス禁止法やプライバシー侵害に問われるおそれがあります。違法に収集した証拠は、裁判で証拠能力を否定される場合もあるため、必ず合法的な手段で行いましょう。探偵の利用や弁護士への相談が有効です。


4. 裁判になる不安を減らすための3つの分岐点

示談で解決するケース

証拠が明確で、相手が事実を認めている場合は、示談(合意書による解決)で終結することが多いです。示談は、時間・費用・精神的負担を抑えられる点で有利です。必ず書面(合意書・清算条項付き)で残しましょう。

調停・裁判に進むケース

相手が不貞行為を否定する場合、または金額で折り合いがつかない場合は、家庭裁判所での調停や訴訟に進みます。結果は必ずしも予想通りにならず、半年から1年以上かかることがあります。

負担の目安

裁判には、弁護士費用・出廷の負担・情報公開のリスクなどが伴います。得られる経済的利益と精神的負担を比較し、手続きの選択を慎重に行う必要があります。


5. 慰謝料請求で後悔しないための判断軸

感情と法的判断の切り分け

怒りや悲しみは当然の感情ですが、法的判断は「証拠」と「事実」に基づきます。感情で行動すると、相手への名誉毀損やSNSトラブルにつながることもあります。

請求のメリット・デメリット

メリット:

  • 心理的な区切りがつく
  • 法的責任の明確化

デメリット:

  • 関係の悪化
  • 精神的・経済的負担の増大

請求しないという選択も合法的な判断であり、自分の生活や心身の安定を最優先に考えて構いません。

弁護士に相談すべきタイミング

証拠の評価が難しい段階や、相手との交渉に不安があるときは、早期に弁護士へ相談しましょう。初回相談だけでも、現状の法的整理と今後の方向性を確認することが可能です。


6. 浮気された側が自分を守るための行動整理

初動対応

まずは事実と証拠を冷静に整理することから始めます。SNSで感情的な発信をすると、相手の名誉を害し、逆に法的責任を問われるリスクがあります。

心身のケア

すべてを一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しましょう。メンタル面のケアも、法的対応と同じくらい重要です。

将来の選択肢

離婚、関係修復、距離を置くなど、さまざまな選択肢があります。慰謝料の有無だけで判断せず、「今後の生活をどう築きたいか」を基準に考えることが大切です。


まとめ

  • 「浮気」と「不貞行為」は法的に異なる概念である
  • 慰謝料は相場ではなく、個別の事情によって決まる
  • 証拠は質と合法性が重視される
  • 裁判は最終手段であり、示談解決も多い
  • 自分の人生の軸に基づいて判断することが大切

慰謝料問題は感情が大きく関わるテーマだからこそ、法的判断を冷静に保つ必要があります。必要に応じて早めに専門家へ相談し、自分を守る行動を取りましょう。


本記事は日本の民法および主要判例に基づいた一般的な情報提供です。個別の事案では判断が異なる場合があります。具体的な対応方針については、弁護士などの専門家にご相談ください。


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