Tel: 090-3718-2803

営業時間:10:00~23:00
(年中無休)

メニュー

コラム

ペットシッターと散歩代行、許可が必要なケース・不要なケース|判断基準と副業向け安全ライン

会社員の副業としてペットシッターや散歩代行を検討する人が増えています。しかし、「どこから許可が必要なのか」「どこまでが合法なのか」が曖昧では、安心して始められません。本記事では、許可の線引きを「場所・内容・責任」の3軸で整理し、典型的なケースやリスクを踏まえながら、自分のサービスが許可対象かどうか判断できるように解説します。


目次

  • ペットシッターの許可要否が分かれる3つの判断基準
    • 判断基準①|「どこで預かるか」で許可が変わる
    • 判断基準②|「何をするか」の範囲で許可の有無が決まる
    • 判断基準③|「預かり責任の有無」が法的判断の核心になる
  • 許可が必要になるケースを理解するための3つの典型パターン
    • パターン①|自宅でペットを預かるサービス
    • パターン②|飼い主宅で長時間滞在・管理を行うケース
    • パターン③|トレーニング・ケア・送迎を含む複合サービス
  • 許可が不要なペットシッター業務で押さえるべき3つの安全ライン
    • 安全ライン①|散歩代行は"単独行為"なら許可不要
    • 安全ライン②|飼い主宅での短時間の世話・見守り
    • 安全ライン③|飼育環境に関与しない単発ケア
  • 副業として始める際に押さえるべき3つのリスクと回避策
    • リスク①|無許可営業による罰則リスク
    • リスク②|事故・怪我・逃走時の賠償リスク
    • リスク③|本業とのバッティング(副業バレ)
  • 副業としてペットシッターを始めるための3ステップ
    • ステップ①|許可の要否を自分のサービス内容で判定する
    • ステップ②|許可が必要な場合の登録プロセス
    • ステップ③|許可不要サービスで安全に始める準備
  • まとめ
  • 脚注

ペットシッターの許可要否が分かれる3つの判断基準

ペットシッターの許可は「場所」「業務内容」「責任の有無」という3つの基準で判断されます。副業開始時にこの基準を理解しておけば、許可不要な範囲かどうかを明確に判断できます。以下の基準を理解し、後続の具体例と組み合わせて検討することが重要です。

判断基準①|「どこで預かるか」で許可が変わる

ペットを預かる「場所」が最初の重要な判断基準です。

自宅で預かる場合、短時間であっても自宅が飼養施設とみなされるため、動物取扱業の登録が必要です。設備基準(換気、温度管理、逃走防止など)も満たす必要があり、個人の副業として自宅預かりを行うには負担が大きいのが実情です。

一方、飼い主宅で世話をする訪問型サービスは、飼育環境を変えないため許可不要です。散歩代行も預かりに該当しないため許可は不要ですが、長時間滞在して生活管理を行う場合は預かりと見なされる可能性があるため、時間を区切ることが推奨されます。なお、ドッグホテルのような施設での預かりは登録必須です。

判断基準②|「何をするか」の範囲で許可の有無が決まる

業務内容が単純な世話(給餌、給水、トイレ掃除、散歩)であれば、許可は不要です。

しかし、トレーニングやしつけは「訓練」として登録の対象となり、美容行為(爪切り、シャンプー等)も継続的に提供する場合は許可が必要です。軽度のケア(投薬、体調チェック)であっても、長時間継続すると管理業務とみなされます。

サービス内容は細かく分類し、許可対象部分を明確にしておくことが、トラブル防止に役立ちます。

判断基準③|「預かり責任の有無」が法的判断の核心になる

行政が最も重視するのは「預かり責任の程度」です。

単なる生活補助の範囲であれば許可は不要ですが、動物の生活管理を担うと登録対象となります。体調観察や投薬、長時間の見守りは一時預かりとされ、報酬が発生する場合は「業」として判断されやすくなります。そのため、契約書に責任範囲を明記し、トラブルを予防することが必要です。


許可が必要になるケースを理解するための3つの典型パターン

許可が必要な代表的なケースを理解すると、自分のサービスの法的範囲が明確になります。

パターン①|自宅でペットを預かるサービス

例外なく動物取扱業の登録が必要です。自宅は飼養施設とみなされ、換気、温度管理、逃走防止の設備基準を満たす必要があります。騒音や衛生面への配慮も求められ、事業としてのハードルは高いです。副業であれば、訪問型から始めて登録を検討するのが現実的でしょう。

パターン②|飼い主宅で長時間滞在・管理を行うケース

本来許可不要な訪問型であっても、長時間滞在して体調管理まで行うと「預かり業務」と判断されることがあります。デイケアや病後ケアのような長時間の見守りは、許可が必要になる可能性が高いため、時間や業務範囲を限定し、契約内容に管理責任が過剰に含まれていないか確認する必要があります。

パターン③|トレーニング・ケア・送迎を含む複合サービス

トレーニングや美容行為は、それぞれ登録区分に該当します。送迎は単純な移動のみであれば許可不要ですが、車内での管理や預かりが含まれる場合は飼養管理とみなされる可能性があります。複数のサービスをまとめる際は許可対象が増えるため、メニューをわかりやすく分けて許可不要範囲に収める工夫が重要です。


許可が不要なペットシッター業務で押さえるべき3つの安全ライン

初心者が副業で始めやすい、許可不要の範囲を紹介します。

安全ライン①|散歩代行は"単独行為"なら許可不要

散歩代行は飼育環境を変えず、単独で行う行為であり、明確に許可不要です。短時間で責任範囲も限定的なため、副業として始めやすいサービスです。

ただし、散歩前後に長時間の預かりを含めると管理業務とみなされるため注意が必要です。犬以外の動物については散歩適性に注意し、依頼を受ける前に確認すると安全です。料金相場は30〜60分で1,000〜2,500円程度です。

安全ライン②|飼い主宅での短時間の世話・見守り

給餌、水替え、トイレ掃除、軽い見守りなどは許可不要です。単純作業で飼育環境に影響を与えないため問題ありませんが、滞在時間は短く区切ることが重要です。体調チェックや投薬を含む場合は管理業務に近づくため、内容を限定してトラブルを防止しましょう。

安全ライン③|飼育環境に関与しない単発ケア

水替え、軽掃除、餌やりなど、環境を変えない単発のケアは許可不要です。管理に踏み込まない限定的な作業で負担が軽いため、副業に適しています。環境変更や体調管理を含む場合は避け、事前に業務内容を明確化して責任範囲を限定しましょう。


副業として始める際に押さえるべき3つのリスクと回避策

副業を継続するには、リスク管理が欠かせません。

リスク①|無許可営業による罰則リスク

無登録で許可対象業務を行うと、30万円以下の罰金や業務停止命令が科される可能性があります。自宅預かりやトレーニングは特に許可が必要なため注意が必要です。

SNSの広告表現も行政のチェック対象であるため、「預かります」「訓練します」などの言葉の使い方に注意し、許可範囲内であることを明示しましょう。判断に迷う場合は、自治体に事前相談することが安全策です。

リスク②|事故・怪我・逃走時の賠償リスク

散歩中の事故や誤飲、逃走事故は大きな責任問題になります。捜索費用や周囲への損害賠償も発生します。業務範囲の明確化や飼い主との共有が重要です。賠償保険(年間1〜2万円程度)に加入することで、リスク軽減が可能です。

リスク③|本業とのバッティング(副業バレ)

副業が勤務先に知られる理由は、勤務時間の不一致や住民税通知の問題などさまざまです。勤務先規則により処分される場合もあるため、副業時間や受注件数を制限して本業に支障を出さないようにしましょう。確定申告で住民税の納付方法を「自分で納付」に変更すると、副業バレのリスクを減らせます。


副業としてペットシッターを始めるための3ステップ

ステップ①|許可の要否を自分のサービス内容で判定する

サービス内容を細かく分けて、許可が必要な項目が含まれていないか確認します。分類例は以下の通りです。

許可不要 グレー 許可必要
散歩、短時間訪問、単発ケア 長時間滞在、体調管理 自宅預かり、トレーニング、美容行為

曖昧な場合や判断に迷う場合は、自治体に相談しましょう。

ステップ②|許可が必要な場合の登録プロセス

許可対象業務を行う場合は、第一種動物取扱業者として登録手続きが必要です。申請書提出、講習受講、設備確認を経て、1〜2か月程度かかります。資格は実務経験や認定資格、講習受講で満たします。登録手数料は自治体により異なり、設備準備も必要です。更新や帳簿管理等の運営負担も考慮しましょう。

ステップ③|許可不要サービスで安全に始める準備

許可不要サービスであっても、契約書や同意書の整備は必須です。提供内容、責任範囲、緊急時対応を明確に記載し、認識違いを防止します。

集客はSNS、地域掲示板、知人紹介など、低コストな方法が適しています。メニューは散歩代行や短時間訪問のように、負担の少ないものから始めることを推奨します。


まとめ

許可要否は「場所・内容・責任」の3軸で判断されます。自宅預かり、トレーニング、美容行為は登録が必要で、散歩代行、短時間訪問、単発ケアは許可不要です。

副業で最も注意すべきは、無許可営業、事故賠償、そして本業バレです。契約書、保険、サービスメニューの整理によって、リスクを最小限にできます。

副業開始時は許可要否を明確にし、無理のない範囲から始め、必要であれば自治体相談を活用しましょう。


本記事は副業希望者向けにわかりやすく整理したもので、自治体によって基準が異なる場合があります。具体的な手続きや判断については、管轄の行政機関または専門家に必ずご相談ください。


HANAWA行政書士事務所のホームページはコチラから

動物取扱業に関するご相談についてはコチラから

お問合せはコチラから