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コラム

別居中でも更新できる?「日本人配偶者ビザ」維持のポイント

日本人配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の更新時に別居している場合、「このままでは不許可になるのでは」と不安を抱く方が多く見られます。生活環境の変化や家庭の事情でやむを得ず別居しているケースも少なくありません。

本記事では、別居中でも更新が認められるための考え方や条件、立証に役立つ資料の整理方法、入管庁への説明の進め方、更新が難しい場合の在留資格変更の選択肢まで、初心者にも分かりやすく解説します。


目次

  1. 別居中の配偶者ビザ更新で押さえるべき3つの前提
  2. 別居中でもビザ更新が可能となる3つの条件
  3. 別居の状況を入管に説明する3ステップ
  4. ビザ更新が厳しくなるサインと対処策
  5. 離婚の可能性があるときに考えておきたい3つの選択肢
  6. まとめ

1. 別居中の配偶者ビザ更新で押さえるべき3つの前提

主なポイント

別居中の配偶者ビザ更新では、以下の3点を理解しておく必要があります。

  • 入管庁が「婚姻の実態」を判断する際に確認する事項
  • 別居が直ちに「偽装結婚」と扱われるわけではない理由
  • 別居期間が長くなるほど説明と証拠の重要性が高まる仕組み

入管庁(出入国在留管理庁)は、婚姻の「形式」よりも「実態」を重視します。そのため、別居している事実そのものよりも、「なぜ別居しているのか」「現在も夫婦関係が継続しているのか」を客観的資料で説明できるかが評価の中心となります。

入管庁が「婚姻実態」を判断するときに見る具体的ポイント

入管庁が確認するのは「夫婦としての実質的な共同生活が継続しているかどうか」です。戸籍上の婚姻届の有無だけでなく、生活や交流の実態が重視されます。

確認されやすい主な要素は以下のとおりです。

  • 定期的な連絡や面会の有無(通話履歴、メッセージ等)
  • 生活費や家賃などの経済的協力関係
  • 家族行事や親族との交流、記念日の共有

これらを示す証拠として、LINEなどの通信履歴、送金記録、写真、交通費や宿泊の領収書などが役立ちます。

反対に、長期間連絡や面会が途絶えている場合、関係が形骸化していると見なされる可能性があります。日常的なやり取りを記録しておくことが有効です。

別居が即「偽装」扱いにならない理由

別居自体は、直ちに偽装結婚を意味するものではありません。入管庁は個々の事情を考慮して総合的に判断します。

たとえば、以下のような事情があれば、やむを得ない別居として受け止められます。

  • 仕事上の単身赴任
  • 親の介護のための一時的別居
  • 妊娠・出産や体調による実家での療養

誤解されやすいのは「別居=更新不可」という固定観念です。入管では「別居理由」と「夫婦としての交流の継続」が明確に説明されれば、更新が認められる可能性はあります。

別居期間が長いほど説明責任が重くなる

別居が長期化するほど、夫婦関係の実態が維持されているかがより厳密に問われます。短期間(数か月以内)の一時的別居であれば事情説明で理解されやすいですが、1年以上の別居が続く場合には、再同居の見通しや連絡状況等の詳細な説明が必要になります。

また、配偶者との協議が途絶えている場合は「関係維持の努力」が見られるかも重要な判断材料です。日々の連絡メモ、会った日時の記録などを残しておくと、信頼性のある証明になります。


2. 別居中でもビザ更新が可能となる3つの条件

別居中でもビザ更新が認められるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 夫婦間の交流や支援関係を具体的資料で示せること
  • 別居理由が社会的・合理的な事情によること
  • 配偶者の協力が得られない場合でも、客観的資料を適切に補充できること

連絡頻度・生活の結びつきを示す証拠

通信履歴、送金や家賃支払い記録、面会時の写真などが有効です。提出資料は「量」よりも「継続性」「自然さ」が重視されます。短期間に集中した不自然なやり取りよりも、穏やかに続く交流が信頼されやすいです。

やむを得ない別居理由が認められるケース

入管庁の審査では、別居理由が客観的に理解できるかが鍵となります。

代表的な例として、以下が挙げられます。

  • 単身赴任や転職
  • 妊娠・出産や体調不良
  • 親族の介護
  • 配偶者による暴力(DV)などの安全確保

DVが関係する場合は、無理に同居を求められることはありません。警察や支援センターの相談記録、保護命令等が重要な資料になります。

配偶者本人の協力が得られないときの代替資料

配偶者が書類作成に応じない場合でも、申請者側で資料を整えることは可能です。

有効な例として、以下が挙げられます。

  • 連絡・送金・面会の記録
  • 第三者(友人・親族)による陳述書
  • 行政書士や自治体相談窓口への相談記録

客観的に時系列で整理することで、信頼性を補完できます。


3. 別居の状況を入管に説明する3ステップ

ステップ1:夫婦関係の経過と別居理由を時系列でメモ化する

結婚・同居・別居の開始時期を月単位で記録し、簡潔に経過を並べます。「2021年4月入籍」「2021年6月同居」「2023年4月別居開始(配偶者転職のため)」など、感情を交えず事実のみを整理します。連絡頻度なども添えると、全体像を把握しやすくなります。

ステップ2:必要な証拠を整理し、不要な資料は省く

提出すべき資料

連絡記録、送金明細、面会記録など客観的資料

提出しないほうがよい資料

過度に私的な写真や感情的なメッセージ

主観的・攻撃的な表現を含む資料は、かえって誤解を招く場合があります。

ステップ3:説明書を事実中心・冷静な表現でまとめる

「絶対」「必ず」といった断定表現や相手の非難は避けます。「〇月以降、週に数回連絡を継続」など、事実を淡々と記述し、将来の見通しも現実的に示すことが信頼につながります。


4. ビザ更新が厳しくなるサインと対処策

入管から追加資料を求められたとき

追加提出依頼は、現在の資料では判断が難しいという意味です。不許可ではないため、落ち着いて不足点を補います。不明点があるときは、行政書士など専門家に相談すると効率的です。

婚姻実態が薄いと判断されやすい状態と回避方法

長期間の音信不通や経済的関係の欠如は、実態が乏しいと判定されやすいです。こまめな連絡や客観的資料を積み重ね、別居理由と整合する形で説明を整えましょう。

更新が難しいときの在留資格切替

「日本人の配偶者等」での更新が困難なときは、以下への変更を検討します。

  • 一定期間婚姻生活を送った後の「定住者」
  • 職務内容が要件を満たす「就労系ビザ(技術・人文知識・国際業務等)」

判断は個々の状況によるため、早期相談が安心です。


5. 離婚の可能性があるときに考えておきたい3つの選択肢

離婚後の在留資格は、婚姻期間、生活基盤、子どもの有無などにより異なります。以下の3点を検討しておく必要があります。

  • 離婚後も在留できる場合とできない場合
  • 子どもがいる場合の在留要件
  • 専門家への相談時期と費用感

離婚後も在留できるケース

婚姻期間が一定以上あり生活実績がある場合、「定住者」許可が検討されます。ただし婚姻実態が短期・希薄であった場合は認められにくく、就労ビザへの変更が現実的な場合もあります。

子どもがいる場合

日本人の子を養育している場合は、定住者への変更が認められる例があります。同居、養育費支払い、面会交流などの記録を客観的に残しておくことが重要です。

専門家に相談すべきタイミング

別居や離婚に関連する在留問題は法的判断が複雑です。更新期限の2~3か月前を目安に行政書士や弁護士へ相談すると準備期間を確保しやすいです。費用相場は更新で8~15万円前後、切替で10~20万円程度ですが、内容により異なります。


まとめ

  • 別居中でも、婚姻実態と別居理由を資料で説明できれば更新の可能性があります
  • 連絡・送金・面会などの継続記録が審査の土台になります
  • 説明書は時系列に沿って事実を簡潔に記述します
  • 更新が難しい場合は、定住者や就労ビザへの切替も早めに検討します
  • 離婚や子どもの有無によって選択肢は異なるため、専門家相談が有効です

本記事は「日本人の配偶者等」に関する入管法および法務省入管庁の公表資料をもとに一般的な考え方を説明したものです。

個別事案は在留期間、収入、家族構成、健康状態などにより判断が異なります。最新の情報は法務省出入国在留管理庁サイト(https://www.moj.go.jp/isa/)など一次資料を確認し、実際の申請時には行政書士や弁護士等の専門家に相談してください。


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