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コラム

行政書士の定型文・文書案管理はAIで事故を減らしやすい?開業前後でも崩れにくい「型」の作り方【行政書士×開業×AI】

Q:行政書士の定型文・文書案管理は、AIを使うと本当に事故(誤記・更新漏れ・取り違え)を減らせますか?
A:
一般的には、AIを「作る担当」ではなく「整える・点検する補助」として組み込むと事故を減らしやすくなります。一方で、要件判断や最新性の担保、個人情報の扱いまでAI任せにするとかえってリスクが増える場合があります。まずは"原本(マスター)を1つに集約し、差分だけを管理する型"を作り、その型の中でAIを使う範囲を決めるのが安全です。

導入文 定型文や文書案は、業務が増えるほど流用の比率が高まりがちです。すると誤記・更新漏れ・似た案件の取り違えといった事故が起きやすくなります。 この基礎編では、AIの具体操作ではなく事故を減らすための「定型文・文書案管理の型」を先に押さえます。AIは万能ではありませんが、型があると確認すべき場所が固定され、結果として人の確認負担を現実的に下げやすくなります。


誤記(氏名・日付・金額)より怖い「前提のズレ」

見つけやすいのは誤字脱字ですが、より厄介なのは「前提のズレ」です。たとえば見た目が似た案内文書でも、対象手続・要件・添付書類・期限が微妙に異なることがあります。 事故は「文書の書き方」よりも「その文書が前提にしている条件」の見落としから起きやすい傾向があります。

更新漏れ(法令・運用・料金・必要書類)の連鎖

定型文は一度作ると安心してしまい、更新のトリガーが弱くなります。法令改正だけでなく自治体の運用、必要書類、手数料、事務所の料金表、受付方法の変更など更新対象は多岐にわたります。 更新漏れが起きると、案内→依頼者側の準備→申請準備まで連鎖し手戻りが増えます。ここは気合ではなく仕組みで潰しやすい領域です。

コピペ運用で起きる「似ている案件の取り違え」

コピペ自体が悪いわけではありません。ただし複数案件が並行すると「前案件の固有情報」が残りやすくなります。宛名・住所・添付書類の列挙・期限・連絡先などが典型です。 取り違えは重大なトラブルになり得るため、"差分を小さくする"設計が重要になります。

開業直後に感じやすい負担と、型で改善しやすいポイント

開業前後は相談対応・見積・受任判断・文書作成が同時に走り、確認時間が取りにくい時期になりやすいです。だからこそ、

  • 原本(マスター)を1つに寄せる
  • 差分だけを管理する
  • 更新日・版数を必ず残す

といった「型」を先に作ると、忙しい時ほど効果が出やすくなります。

まず作るのは「原本の定型文書(マスター)」という考え方

事故を減らす近道は、定型文を増やすことではなく原本(マスター)を特定することです。 原本が曖昧だと、どれを直せば全体が直るのか分からず更新漏れが起きやすくなります。反対に「原本はこれ」と決めると直す場所が固定されます。

分類は増やしすぎない(相談対応/案内/送付/申請の4系統など)

置き場の分類を細かくしすぎると探す負担が増え、結果として"手元の古い文書"を使いがちです。基礎編ではまず大枠を4系統程度に絞るのが無難です。

  • 相談対応(初回返信、必要情報の依頼、ヒアリング)
  • 案内(手続の流れ、準備物、料金、注意点)
  • 送付(送付状、同封物一覧、次アクション)
  • 申請(申請用の文書案、補正対応、追加説明)

細分化は運用が回り始めてからでも十分間に合います。

ファイル名・版数・更新日を文書に残す(更新漏れ対策の芯)

更新漏れ対策の芯は「いつ・何を理由に更新したか」を残すことです。文書本文の末尾やヘッダに、

  • 版数(v1.2 など)
  • 最終更新日
  • 更新理由(法令改正、自治体運用変更、料金改定などを短く)

を入れておくと検索もしやすくなり、"古い文書を使ってしまう確率"を下げやすくなります。

AIに任せやすい領域(整形・表現ゆれ統一・抜け漏れ候補の洗い出し)

AIが得意なのは判断ではなく「整備と点検の補助」です。たとえば、

  • 言い回し・表現ゆれの統一(同じ意味を同じ表現へ寄せる)
  • 箇条書きの整理、冗長な文書の圧縮
  • "入れるべき項目"の候補出し(チェック項目のたたき台)
  • 文書内のプレースホルダ(氏名、日付、期限など)が残っていないかの確認補助

などは運用に組み込みやすい領域です。ここにAIを置くと人の確認が「ゼロ」ではなく「一定の型」に寄りやすくなります。

人が握るべき領域(要件判断・依頼者事情の反映・最終確認)

一方で次の領域は人が握るべきです。

  • 要件判断(該当性・必要書類・期限・例外の扱い)
  • 依頼者事情の反映(事実関係、優先順位、説明の粒度)
  • 外部に出す前の最終確認(宛名、同封物、期限、表現の安全性)

また2026年現在、検索機能付きAIは最新情報を拾う能力が向上しています。ただし行政書士実務で差が出やすいのは、官公署の手引きにある注記・但し書き・記載のニュアンスや、自治体ごとのローカル運用、さらに「電話確認レベルの最新運用」です。ここまでをAIが常に網羅できるとは限りません。 そのため最新性の最終担保は人が一次情報(法令、官公署・自治体の公表情報、手引き、必要に応じた問い合わせ等)で行うという線引きを置くのが安全側です。

「AIが出した文書」をそのまま使わないための確認観点

基礎編としては、最低限この3点を固定すると安全側です。

  • 前提(対象手続・期限・必要書類)が合っているか
  • 固有情報(氏名・住所・金額・連絡先)が混ざっていないか
  • 最新性(運用・料金・必要書類)が古くないか

この3点を"必ず見る場所"として文書運用に組み込むと、AIの有無にかかわらず事故が減りやすくなります。

相談対応の時点で定型文書に寄せる(説明ブレの抑制)

相談対応で毎回ゼロから返信すると説明がブレたり、必要情報の聞き漏れが起きやすくなります。 まずは「初回返信」「必要情報の依頼」「想定スケジュール」「費用の考え方」など相談対応の段階から定型文書に寄せると、以降の文書作成も安定します。

作成時は「差分だけ作る」運用に寄せる(ミスの温床を減らす)

事故の温床は毎回の"全面書き換え"です。原本(マスター)を固定し、案件ごとの違いは差分として扱うと確認箇所が絞れます。 差分が明確だとAIも「整形・点検補助」に使いやすくなり、人の目も入りやすくなります。

送付前チェックを"文書手順"にする

送付前チェックは気合では続きません。文書手順として固定します。例としては、

  • 宛名・添付・期限・連絡先の4点だけは必ず見る
  • 同封物一覧を原本化して、差分だけ変更する
  • 更新日・版数が入っているか確認する

など、チェック項目を増やすより"毎回同じ順番で見る"ことが効きます。

守秘・個人情報の扱い(入力しない/残さないの考え方)

AIに入れる情報は必要最小限に留めるのが安全です。個人情報や機微情報はそもそも入力しない設計にしておくと迷いが減ります。 なお入力内容の扱いは、利用するAIサービスの規約・設定・運用によって異なります。事務所としての運用ルール(何を入れないか、どこに保存しないか)を先に決めておくと安全側に寄せやすくなります。 定型文・文書案管理は「固有情報を入れなくても進む領域」が多いため、AIは"型の整備・点検補助"に寄せる運用が相性が良いです。

最新性の担保(法令・自治体運用・料金の更新)

AIは最新性を自動で保証してくれるわけではありません。最新性が必要な箇所(要件、必要書類、手数料、受付状況など)は法令や官公署/自治体の公表情報など一次情報で確認し、文書側に更新日・版数を残す運用が現実的です。

「万能に見える」時ほど起きる確認省略

AIを入れた直後ほど文書が整って見えて、確認を省略しがちです。 事故を減らすためには、AIがいるからこそ「前提・固有情報・最新性」の3点確認を固定し、AIの出力を"確認の入口"として扱うのが安全です。

加えて再現性の観点では、文書の原本(マスター)だけでなく点検に使う指示文(プロンプト)側も原本として版管理するという発想が役に立つ場合があります。点検の観点がブレにくくなり、「担当者が変わると確認の濃淡が変わる」事態を抑えやすくなります(※具体の指示文や例は実践編で扱います)。

定型文書の棚卸しから運用定着までの進め方

次の段階では手元に散らばった定型文書・文書案を棚卸しし、原本(マスター)を決めて更新ルールとチェック手順を運用に落とします。ここまで整うとAIは「整備と点検補助」として効きやすくなります。

相談対応・案内・送付の各場面での使い分け(発展)

相談対応用、案内用、送付用で文書に求められる粒度や注意点は変わります。実践編では場面ごとの作り分けと、事故を増やさないためのAIの置き方をより具体的な形にしていきます(操作手順や例示は実践編で扱います)。


脚注

※本記事の「AI」は、定型文・文書案の整備や点検を補助する一般的な仕組みを指し、特定の製品・機能を前提にしません。
※本記事の「事故」は、誤記・更新漏れ・取り違え等により依頼者対応や手続進行に支障が出る状態を指します。


免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別事案への適用を保証するものではありません。法令・運用は変更される場合があるため、必要に応じて一次情報の確認や専門家への相談をご検討ください。


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