コラム
就労系在留資格の申請実務 - 3. 技術・人文知識・国際業務(3)審査のポイントと不許可事例
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下、「技人国」)の申請実務において、最も重要な最終関門が**「入国管理局の審査」**です。
どれだけ完璧な書類を揃えたつもりでも、審査官の視点を理解していなければ、予期せぬ不許可リスクは常に伴います。
今回は、審査官が特に注目する3つの重点項目と、実務で頻出する不許可理由、そして追加資料請求時の対応策について解説します。
なお、本記事では、専門的な内容を初めての方にもご理解いただくため、本記事ではあえて専門用語を避け、平易な表現を用いています。厳密な法令解釈とは異なる部分がある点、あらかじめご了承ください。
1. 審査官が見る3つの重点項目と実務対応
審査官は、提出された膨大な書類の中から、以下の3つのポイントに特に注目して審査を進めます。
重点項目 | 代表的な確認資料 | 実務上の落とし穴と対応策 |
申請人の専門性と業務の関連性 | 履歴書、卒業証明書、職務経歴書、職務記述書(JD) |
落とし穴: 専攻と職務の結びつきが抽象的 対応策: 職務記述書で担当業務を具体的に分解し、理由書で申請人の経歴がどう活かされるかを論理的に説明する。 |
雇用企業の事業の安定性と継続性 | 決算書、登記事項証明書、就業場所証明書 |
落とし穴: 赤字=即NGではないが、今後の事業計画が不明瞭 対応策: 外国人材の採用が事業にどのような貢献をもたらすか、具体的な事業計画や今後の売上見込みを補足資料として添付する。 |
雇用条件の適正性 | 雇用契約書、賃金規程、給与明細 |
落とし穴: 賃金が相場より低く、単純労働と疑われる 対応策: 同社の日本人社員の賃金と比較した資料を提出し、報酬設定の根拠を明確に説明する。 |
【実務のポイント】 審査官に**「なぜこの外国人を採用するのか?」という疑問を抱かせないことが、許可への一番の近道です。クライアントから業務内容を深くヒアリングし、その専門性が申請人の経歴とどう繋がっているのかを明確に言語化する「情報設計」**が重要です。
2. よくある不許可理由と具体的な回避策
審査官の重点項目を踏まえ、実務で頻出する不許可理由とその回避策を整理します。
不許可理由 | 回避策(実務上の対応) |
経歴と業務内容の関連性不足 | 理由書で、申請人の経歴が業務にどう活かされるかを具体的に説明する。大学の履修科目と担当業務を紐づけた**「関連性対応表」**を作成し、提出する。 |
職務内容の専門性不足 | 職務内容を具体的に分解し、専門的なスキルや知識が必要な部分を強調する。稼働比率を定量化(例:専門業務80%、庶務20%)し、主たる業務が在留活動範囲内であることを証明する。 |
雇用条件の不適正(賃金) | 同種の業務に従事する日本人従業員の賃金や、求人情報と比較し、適正であることを示す資料を提出する。賃金設定の根拠を明確に説明する。 |
提出書類の不備・矛盾 | 申請書と添付書類(雇用契約書、決算書など)の整合性を徹底的に確認する。クライアントから受け取った書類は、行政書士が必ず最終チェックを行う。 |
3. 追加資料請求への対応
審査中に、入管から追加資料の提出を求められることがあります。これは、不許可ではないものの、審査官が**「疑問点がある」**と判断しているサインです。
-
追加資料請求の意図を正確に読み解く: 審査官がどの部分に疑問を抱いているのかを正確に把握することが最重要です。
-
迅速かつ丁寧に回答する: 期限内に回答するのはもちろん、ただ指示された資料を提出するだけでなく、その資料が何を証明するものなのかを補足説明すると、審査官の理解が深まります。
【実務のポイント】 追加資料請求は、不許可回避の最後のチャンスです。クライアントからヒアリングした内容を整理し、審査官の疑問を完全に解消できるような**「情報設計」**を改めて行う必要があります。
まとめ
在留資格「技人国」の審査は、単なる書類の収集・提出作業ではありません。
**「申請人の専門性と、従事する業務の関連性」を、いかに説得力のある書類で審査官に伝えるかという「情報設計」**のプロセスです。
HANAWA行政書士事務所では、この情報設計のプロフェッショナルとして、職務設計の壁打ちから採用理由書・関連性対応表の作成、追加資料請求の即応まで並走支援します。ビザ・在留資格のサポートでお困りの企業・人事担当者様は、お気軽にご相談ください。