コラム
相続欠格、廃除、相続放棄:似て非なる3つの制度について
相続は、家族にとって大切な財産を引き継ぐ一方で、複雑な問題や予期せぬトラブルを招くことも少なくありません。特に、相続人の間で何らかの理由で関係が悪化したり、借金などのマイナスの財産を引き継ぎたくなかったりする場合、「相続欠格」「廃除」「相続放棄」という3つの制度が関係してきます。
これらは、いずれも特定の相続人が相続権を失うという点では共通していますが、その理由、手続き、効果は大きく異なります。それぞれの制度を正しく理解しておくことは、万が一のトラブルに備える上で非常に重要です。
ここでは、それぞれの制度について、その理由、手続き・期限、そして次順位の相続人との関係に焦点を当てて、わかりやすく解説します。
1. 相続欠格:法律によって自動的に相続権を失う制度
相続欠格とは、被相続人(亡くなった人)や他の相続人を故意に殺害したり、詐欺や脅迫によって遺言を妨害したりするなど、相続人として著しく不適格な行為をした場合に、法律の規定により自動的に相続権を失う制度です。被相続人の意思に関わらず、事由に該当すれば当然にその効果が生じます。
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主な理由:被相続人や他の相続人を殺害・殺害未遂、遺言書の偽造・破棄・隠匿など、法律で定められた重大な犯罪行為
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手続き・期限:特に手続きは不要で、法律で定められた事由に該当すれば自動的に相続人ではなくなります。期限もありません。
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次順位の関係:相続欠格になった人の子ども(代襲者)は、代襲相続できます。
2. 相続人の廃除:被相続人の意思で相続権を剥奪する制度
廃除とは、被相続人に対して虐待や重大な侮辱をした場合、あるいは著しい非行があった場合に、被相続人の意思に基づいて相続人の相続権を剥奪する制度です。相続欠格と異なり、被相続人の明確な意思表示が必要となります。具体的には、被相続人が家庭裁判所への審判を申し立てるか、遺言でその意思を表示することで行われます。
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主な理由:被相続人に対する虐待・重大な侮辱、著しい非行
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手続き・期限:
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生前:被相続人が家庭裁判所に廃除の審判を申し立てる
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遺言:遺言書に廃除の意思を明記し、死後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求する
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手続きには被相続人が生きている間に意思表示を行う必要があります。
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次順位の関係:相続廃除された人の子どもは、代襲相続できます。
3. 相続放棄:自身の意思で相続を辞退する制度
相続放棄とは、相続人自身が借金などのマイナスの財産を引き継ぎたくない場合に、自身の意思で相続する権利を放棄する制度です。相続放棄をすれば、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継ぎません。
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主な理由:被相続人の借金など、マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合
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手続き・期限:被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。この期間を過ぎると、相続を承認したとみなされる場合があります。
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次順位の関係:相続放棄をした場合、その人の子どもは代襲相続できません。相続放棄をした人は「最初から相続人ではなかった」とみなされるためです。
3つの制度の比較表
それぞれの制度の大きな違いを、以下の表でまとめてみました。
相続欠格 | 廃除 | 相続放棄 | |
誰の意思か | 法律によって自動的に | 被相続人の意思によって | 相続人自身の意思によって |
主な理由 | 法律違反行為 | 被相続人に対する非行 | 債務超過など |
手続き・期限 | 不要(自動発生) | 家庭裁判所の審判 または 遺言 | 家庭裁判所へ申述(3ヶ月以内) |
代襲相続 | 可能 | 可能 | 不可 |
制度利用の注意点と専門家への相談
これらの制度は、状況に応じて使い分けが求められます。特に「相続放棄」は、期限が3ヶ月と短いため、迅速な判断が必要です。
もし、被相続人に借金があるかもしれない、または相続人の間でトラブルが起きそうだといった不安がある場合は、早めに相続財産の調査を行い、専門家に相談することをおすすめします。相続放棄の手続きを怠ると、予期せぬ借金を背負うリスクがあるため、注意が必要です。
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