コラム
【相続の基本】「もしも」の時に慌てない!全体像と流れを解説
「相続なんてまだ先のこと」「うちには大した財産もないし…」そう思っていませんか?しかし、相続は誰にでも必ず起こることであり、準備不足は家族間のトラブルや手続きの遅れを招く可能性があります。大切なご家族を亡くされた悲しみの中で、次に直面するのが**「相続」**の手続きです。何から手をつけていいのか分からず、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
この記事では、相続の全体像と基本的な流れを分かりやすく解説し、いざという時に慌てないための知識をお伝えします。事前に知っておくことで、落ち着いて手続きを進められるよう、一緒に見ていきましょう。
相続とは何か?基本的な仕組み
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利・義務を、法律で定められた人(相続人)が引き継ぐ制度のことです。この制度により、故人の財産は法定相続人に分配されます。
相続財産には、預貯金や不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金といったマイナスの財産も含まれることを覚えておきましょう。つまり、相続は「得するもの」とは限らず、時には「負担を引き継ぐこと」にもなり得るのです。
相続開始から完了までの全体像と流れ
相続手続きは多岐にわたり、段階的に進めていく必要があります。ここでは、一般的な相続手続きを大きく6つのステップでご紹介します。
-
相続の開始と状況確認
-
相続人と相続財産の調査
-
相続方法の選択
-
遺産分割協議
-
相続財産の名義変更・分配
-
相続税の申告・納税
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:相続の開始と状況確認
被相続人が亡くなった瞬間から相続は開始されます。悲しみの中ですが、まず行うべきことがあります。
-
死亡届の提出: 亡くなってから7日以内に市区町村役場へ提出します(通常は葬儀社が代行)。これに伴い、火葬許可証の取得なども行われます。
-
遺言書の有無の確認: 自宅や貸金庫などに遺言書がないか確認しましょう。公正証書遺言の場合は、公証役場で検索することも可能です。遺言書があるかないかで、その後の手続きの流れが大きく変わります。
-
関係者への連絡: 親族や会社、社会保険事務所など、必要な方々への連絡を行います。
ステップ2:相続人と相続財産の調査
この段階は、相続手続きの根幹をなす非常に重要な作業です。正確な把握が後のトラブル防止につながります。
-
相続人の確定(戸籍調査): 誰が相続人になるのかを正確に把握するため、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本などを取り寄せます。これにより、漏れなく相続人を特定し、相続関係説明図を作成します。
-
相続財産の確定(財産調査): 預貯金、不動産、有価証券、自動車、美術品などのプラスの財産だけでなく、借金、未払金、ローンなどのマイナスの財産もすべて洗い出します。預金通帳、不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明書、借用書などを確認し、財産目録を作成すると良いでしょう。
ステップ3:相続方法の選択(3か月以内)
財産調査の結果、マイナスの財産が多い場合などには、相続方法を選択する必要があります。
-
単純承認: プラスもマイナスも全てを相続する方法です。特別な手続きは不要です。
-
相続放棄: 被相続人の財産を全て放棄する方法です。借金などマイナスの財産が多い場合に検討されます。相続開始を知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
-
限定承認: プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する方法です。相続開始を知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所へ申述が必要です。手続きが複雑なため、専門家への相談が推奨されます。
有効な遺言書が見つかった場合、原則として遺言書の内容に従って遺産を分割することになります。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
ステップ4:遺産分割協議
遺言書がない場合や、遺言書に記載のない財産がある場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。これが遺産分割協議です。
-
全員参加の原則: 相続人全員が協議に参加し、全員の合意が必要です。一人でも欠けていたり、反対意見があったりすると、協議は成立しません。
-
遺産分割協議書の作成: 協議がまとまったら、後々のトラブルを防ぐために「遺産分割協議書」を作成します。この書類は、預貯金の名義変更や不動産の相続登記など、その後の様々な手続きで必要になります。
もし協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることも可能です。
ステップ5:相続財産の名義変更・分配
遺産分割協議書(または遺言書)に基づき、各相続人が受け継ぐ財産の名義変更を行います。
-
不動産: 法務局で「相続登記」を行います。2024年4月1日からは相続登記が義務化され、期限内に申請しないと罰則の対象となる可能性があります。
-
預貯金: 各金融機関で名義変更や払い戻しの手続きを行います。
-
株式: 証券会社で名義変更の手続きを行います。
-
自動車: 運輸支局で名義変更の手続きを行います。
ステップ6:相続税の申告・納税(10か月以内)
相続財産の総額が一定の基準(基礎控除額)を超える場合、相続税が発生し、税務署への申告と納税が必要になります。
-
相続税の計算: 財産評価を行い、各種控除を適用して相続税額を計算します。
-
申告と納税の期限: 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告・納税を完了する必要があります。期限を過ぎると延滞税などがかかる可能性がありますので注意しましょう。
また、被相続人の所得税についても、相続開始後4ヶ月以内に準確定申告が必要です。
よくある間違いと注意点
相続手続きでは、以下のような誤解やトラブルがよく発生します。
-
「遺産が少ないから何もしなくて大丈夫」: 不動産があれば相続登記が必要で、放置すると過料の対象になる可能性があります。
-
「家族だから話し合えば解決する」: 感情的な対立が生じやすく、第三者の専門家によるサポートが有効なケースが多くあります。
-
「相続税がかからないから申告不要」: 相続税がかからなくても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを適用する場合は、申告が必要なケースがあります。
専門家への相談という選択肢
相続手続きは多岐にわたり、専門的な知識も必要とされます。特に、戸籍調査や財産調査、遺産分割協議書の作成、相続登記など、時間も労力もかかる手続きが多いのが実情です。
このような時、行政書士にご相談いただくことで、手続きの負担を大幅に軽減し、スムーズかつ確実に相続を完了させることができます。当事務所では、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートをご提供しております。
「何から始めたらいいかわからない」「書類の集め方が不安」「家族で話し合いがまとまらない」など、相続に関するお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。