コラム
【入門編 第4回】 在留資格の全種類を俯瞰する:活動内容と身分・地位に基づく分類
今回は、日本の入管制度の根幹をなす**「在留資格」**について、その全種類を俯瞰的に解説します。
入管業務に携わる行政書士にとって、在留資格の正確な理解は、あらゆる申請業務の出発点です。本記事では、在留資格の複雑な体系を「就労系」「非就労系」「身分・地位系」という3つの大分類に分け、それぞれの特徴とカバーする活動範囲を分かりやすく解説します。
基礎でありながら奥が深い「在留資格の俯瞰」を通じて、今後の実務理解のための地図を手に入れましょう。
1. 在留資格は3つの大分類に分けられる
日本の出入国管理及び難民認定法(入管法)では、29種類の在留資格が定められています(2025年時点)。これらの在留資格は、大きく3つのグループに分類できます。
(1) 就労系在留資格:日本で働くことを目的とする
これは、日本国内で報酬を得る活動を行う外国人に与えられる在留資格です。専門的な知識や技術を必要とする職種から、特定の技能を持つ職種まで、多岐にわたります。
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「技術・人文知識・国際業務」:
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活動内容: 理工学分野の技術者、通訳・翻訳、デザイナーなど、専門的な知識を要する職種。行政書士のクライアントで最も多い在留資格の一つです。
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実務上のポイント: 企業が外国人雇用を考える際に、まずこの資格の要件に当てはまるかを確認することが重要です。学歴(大卒以上など)や実務経験が厳しく問われます。
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「高度専門職」:
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活動内容: 高い専門性を持つ外国人を受け入れるための優遇制度。ポイント制で評価され、永住権への道が短いなどの優遇措置が受けられます。
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「特定技能」:
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活動内容: 人手不足が深刻な特定産業分野(介護、外食、建設など)で働く技能を持つ外国人向けの在留資格です。
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実務上のポイント: 企業側は、外国人を受け入れるための基準を満たさなければなりません。
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(2) 非就労系在留資格:働くこと以外の目的で滞在する
こちらは、日本に滞在する目的が働くことではない在留資格です。学業や文化活動、医療などが主な目的となります。
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「留学」:
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活動内容: 大学、専門学校、日本語学校などで教育を受ける活動。
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実務上のポイント: 留学中は原則として就労不可ですが、「資格外活動許可」を得ることで、週28時間以内のアルバイトが認められます。
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「短期滞在」:
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活動内容: 観光、親族訪問、商談など、90日以内の短期間の滞在。
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実務上のポイント: この在留資格での就労は絶対に認められません。お客様にしっかり説明することが重要です。
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その他: 「家族滞在」「文化活動」「研修」「特定活動」などがあります。
(3) 身分・地位系在留資格:日本人の身分や地位に基づく
この在留資格は、日本人の配偶者や子、永住者など、特定の身分や地位を持つ外国人に与えられます。活動に制限がないのが最大の特徴です。
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「永住者」:
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活動内容: 日本に永続的に滞在でき、就労活動に制限がありません。
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実務上のポイント: 長期間(原則10年以上)の滞在実績や納税状況などが厳しく審査されます。
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「日本人の配偶者等」:
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活動内容: 日本人の配偶者や子として日本に滞在し、就労活動に制限はありません。
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実務上のポイント: 偽装結婚でないか、婚姻の実態があるかが厳しく審査されます。
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「定住者」:
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活動内容: 特定の事情を持つ外国人が、法務大臣の告示に基づいて日本に滞在する資格です。就労活動に制限はありません。
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2. 実務上の注意点とトラブル事例
在留資格の全体像を理解した上で、実務では以下のような点に注意が必要です。
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活動内容と在留資格のミスマッチ: お客様が希望する活動内容と、現在持っている在留資格が合致しないケースが多々あります。この場合、まずは「在留資格変更許可申請」を検討します。
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在留資格の期限切れ: 在留期間が満了すると、不法滞在となり、強制退去の対象となります。お客様の在留カードの期限を必ず確認し、更新手続きを促すことが行政書士の重要な役割です。
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トラブル事例と対応策:
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例1: 「技術・人文知識」で工場ライン作業 → 在留資格取消リスク
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対応: 職務内容の明確化と業務分担表の提示で職種の適正性を主張します。
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例2: 留学生が週40時間アルバイト → 不法就労で在留不許可リスク
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対応: 再申請前にアルバイト記録・就業先からの報告書を添付します。
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例3: 配偶者ビザで同居実態なし → 偽装結婚疑義で不許可リスク
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対応: 定期的な写真やLINE履歴、親族関係の証明など、補強資料の提出を促します。
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まとめ:在留資格の全体像を理解し、適切な提案を
在留資格は、単なる許可証ではなく、外国人の方の日本での生活やキャリアを左右する重要な鍵です。
行政書士として、すべての在留資格を詳細に覚えることも大切ですが、まずはこの3つの大分類を理解し、お客様がどのカテゴリーに当てはまるかを見極めることが、適切なサポートに繋がります。
HANAWA行政書士事務所では、入管業務・在留資格業務に関するご相談を幅広く承っております。神奈川県川崎市から一都三県を中心に、全国で在留資格のサポートをしております。
次回のテーマは、「在留資格の申請手続きの流れ」です。引き続きお付き合いいただけますと幸いです。