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コラム

【入門編 第1回】入管業務の第一歩:なぜ「在留資格」が必要なのか?

〜外国人対応に携わる行政書士のための実務ガイド〜

 

「入管業務って、何から手をつけていいか分からない…」「在留資格って、結局何のためにあるの?」

第1回は、すべての入管業務の土台となる「なぜ在留資格が必要なのか?」という根本的な問いから始めましょう。


 

1. 外国人の「自由な出入り」は認められていない:主権国家の原則と入管法

 

私たち日本に住む国民は、憲法第22条によって「移動の自由」が保障されており、原則として自由に海外へ渡航し、日本へ帰ってくることができます。しかし、これは日本国民にのみ該当する権利です。

日本を含む多くの国は**「主権国家」**として、外国人の入国・在留を自由に認めていません。これは、どの国も自国の安全、治安、経済、社会秩序などを守るために、誰を国内に入れるか、そしてその人にどのような活動を許可するかを自由に決める権利を持っているからです。

この原則に基づき、外国人が日本に「入る」「住む」「働く」「勉強する」には、国の許可が必要です。その許可の内容を具体的に定めているのが、日本の法律である**「出入国管理及び難民認定法」(通称:入管法)であり、この法律に基づいて与えられるものが「在留資格」**なのです。入管業務とは、この入管法に則って、外国人の入国・在留に関する様々な申請を「出入国在留管理庁」(通称:入管)に対して行う行政手続きの総称です。


 

2. 「在留資格」とは何か?:日本での活動の「許可証」

 

在留資格とは、外国人が日本に滞在し、特定の活動を行うことを法務大臣が認める「許可」であり、その許可された活動の種類や範囲を示す法的な地位です。簡単に言えば、**日本での活動の「許可証」**のようなものと考えると分かりやすいでしょう。

日本には29種類の在留資格があり、それぞれに認められる活動の範囲が細かく決められています。

たとえば、以下のような在留資格があります。

  • 「技術・人文知識・国際業務」: 通訳、営業、エンジニアなど、専門的な知識や技術を活かす仕事。

  • 「留学」: 日本の大学や専門学校などで学ぶ活動。

  • 「日本人の配偶者等」: 日本人の配偶者や子としての身分に基づく在留。

これらは、「何をするために日本にいるか」という活動ベースで分類されています。在留資格によって許される活動が異なるため、間違った在留資格で就労する、あるいは許可されていない活動を行うと、「資格外活動」となり、処罰の対象になるだけでなく、今後の在留に大きな影響を及ぼします。

 

在留資格制度の目的:社会秩序と人権のバランス

 

在留資格制度の目的は、単に外国人の活動を制限するためだけではありません。次の2つの重要な視点を両立させるために存在しています。

  1. 国内の社会秩序を守る: 治安維持、労働環境の適正化などを図り、国内の安定を保ちます。

  2. 外国人の人権を尊重し、適切な機会を提供する: 外国人が日本で安心して生活し、それぞれの能力や目的に応じた活動を行えるよう、法的根拠を与えます。

このバランスを保つため、日本は厳格な審査制度を設けており、出入国在留管理庁がその中核を担っています。行政書士は、この制度を深く理解した上で、外国人本人と国との間に立ち、適切な申請と調整を担う重要な役割を果たします。


 

3. 「不法滞在」とは?:在留期限の管理が生命線となる理由

 

外国人が有効な在留資格なしに日本に滞在している状態を**「不法滞在」といいます。これは入管法における重大な違反**であり、発覚した場合には、**退去強制(強制送還)**の対象となり、原則として一定期間(5年または10年)、日本への再入国が禁止されるなど、非常に厳しい措置が科されることもあります。

不法滞在となる典型的な例は以下の通りです。

  • オーバーステイ: 在留期限を過ぎても更新手続きをせず、そのまま日本に滞在し続けているケースです。観光ビザなどで許可された滞在期間を超過するケースや、留学・就労ビザの更新申請が不許可になった後に日本を離れなかったケースもこれに該当します。

  • 資格外活動: 許可された在留資格の活動範囲を超えて就労活動を行うことです。例えば、留学ビザを持つ外国人が、資格外活動許可を得ずに、あるいは許可された時間を超えてフルタイムで就労するなどがこれに当たります。

  • 偽造書類などによる入国・資格取得: 不正な手段で日本に入国したり、在留資格を取得したりするケースです。

 

実務上のポイント:行政書士が果たすべき責任

 

行政書士として入管業務に携わる上で、この「不法滞在」のリスクを常に意識し、依頼者に対して正確な情報を提供し、適切な手続きを案内する責任があります。

  • 徹底した情報確認: 依頼者(特に外国人本人)が過去に不法滞在歴がないか、現在の在留状況に問題がないかを入念に確認しましょう。虚偽の申告を見抜くため、必要に応じて詳細なヒアリングを行います。

  • 厳格な期限管理: 在留カードの有効期限とパスポートの期限を常に確認し、「満了日の6ヶ月前」など、余裕を持った更新申請を促す体制を整えることが極めて重要です。事務所内でも厳重な期限管理システムを構築しましょう。

  • 適切なリスク説明: 不許可になった場合や、在留資格の活動範囲を超えようとしている外国人に対しては、その行為が不法滞在や不法就労に繋がり、どのような法的リスクがあるのかを明確に説明しなければなりません。

  • 不法就労防止への指導: 企業が外国人を雇用する際には、その外国人が適切な在留資格を持っているか、許可された活動内容・範囲であるかを必ず確認するよう指導します。企業側も「不法就労助長罪」に問われるリスクがあるため、その説明も不可欠です。

  • 問題発生時の早期対応: 不法滞在の疑いがある場合や、既に問題が発生している場合は、早急に弁護士等の専門家と連携し、適切な対処法を検討・実行することが求められます。


 

まとめ:在留資格は制度の入口、正確な理解が鍵

 

「なぜ在留資格が必要なのか?」という問いは、単なる知識の確認に留まりません。それは、**入管業務の根底にある「日本の主権と秩序の維持」「外国人の活動の適正化」「国益への貢献」**という目的を深く理解することに他なりません。

行政書士は、この在留資格制度を通じて、外国人が日本で安心して生活・活動できるよう支援し、同時に日本の法秩序を守るという重要な役割を担っています。不法滞在のリスクを正確に理解し、依頼者に適切なアドバイスを提供することで、外国人本人、雇用主、そして日本社会全体の健全な発展に貢献できるのです。

この「第1回:在留資格とは何か?」を通じて、制度の根本を押さえることができたでしょうか。次回は、【入門編 第2回】出入国在留管理庁(入管)の役割と管轄:どこに申請する?をテーマに、実際に申請を行う「入管」という機関について詳しく解説していきます。お楽しみに!
 


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