コラム
外国人と日本人の国際結婚手続きの流れ|行政書士がやさしく解説
「外国人と結婚したいけど、手続きが多くて難しそう」「どこから始めたらいいの?」──そんな不安を抱えていませんか?
国際結婚は、日本人同士の結婚と違い、国籍の異なる2人の法律・制度の両方に沿って進める必要があります。
この記事では、初心者でもスムーズに理解できるように、国際結婚の基本から具体的な手続きの流れ、注意点、行政書士への相談メリットまでをわかりやすく解説します。
目次
- 国際結婚の基本を知ることで見えてくる3つの重要ポイント
- 国際結婚とは?日本人同士の結婚との違い
- 結婚の「成立国」と「届出国」が異なる理由
- 国ごとに異なる必要書類とその取得方法の基本
- 外国人と日本人が結婚するために必要な5つの手続きステップ
- 外国人側の母国で必要な結婚要件証明書を取得する
- 日本の市区町村で婚姻届を提出する(日本方式)
- 外国の大使館・領事館で婚姻を報告する(外国方式)
- 婚姻成立後に必要な在留資格「日本人の配偶者等」の申請
- ビザ取得後の生活支援・行政手続きの流れ
- トラブルを防ぐために確認しておきたい3つの落とし穴
- 行政書士に相談することで変わる3つの安心ポイント
- まとめ|国際結婚の手続きをスムーズに進めるための最初の一歩
🟧 国際結婚の基本を知ることで見えてくる3つの重要ポイント
国際結婚とは?日本人同士の結婚との違い
国際結婚とは、異なる国籍を持つ2人が結婚することです。
日本人同士の結婚では日本の民法だけを基準にしますが、国際結婚の場合はそれぞれの国の法律が関係します。
たとえば、日本で婚姻が成立しても相手の母国では認められないことがあります。
この違いを理解せずに手続きを進めると、「日本では結婚済みなのに、相手国では独身扱い」というトラブルも。
まずは、どの国の法律が優先されるかを確認することが最初の一歩です。
結婚の「成立国」と「届出国」が異なる理由
国際結婚では、結婚の成立場所(成立国)と届出場所(届出国)が異なる場合があります。
日本では婚姻届が受理された日が婚姻成立日ですが、相手国では母国への報告日が成立日になるケースもあります。
たとえば、
-
日本で婚姻届を出してから相手国に報告する
-
逆に相手国で登録してから日本に報告する
どちらの国で先に手続きを進められるかは、国によって法律上の認め方が異なります。
相手国が日本方式を承認しない場合もあるため、事前に大使館や領事館へ確認することが必要です。
このように、婚姻の成立順序を間違えると相手国で無効になる可能性もあるため、慎重に進めましょう。
国ごとに異なる必要書類とその取得方法の基本
国際結婚では、外国人側の書類準備が重要です。
主に以下のような書類が必要になります。
-
結婚要件具備証明書(婚姻要件証明書)
-
出生証明書
-
パスポートのコピー
-
上記書類の日本語翻訳文
これらは母国の役所や大使館で発行されますが、国によって発行期間や形式が異なります。
中には「翻訳証明」や「アポスティーユ(認証)」が必要な場合もあるため、早めに確認しておくことがポイントです。
🟧 外国人と日本人が結婚するために必要な5つの手続きステップ
ステップ1:外国人側の母国で必要な結婚要件証明書を取得する
まずは、外国人配偶者が自国で結婚が可能であることを証明する書類を取得します。
これは「結婚要件具備証明書」と呼ばれ、日本の婚姻届に欠かせません。
例として:
-
アメリカ人:在日アメリカ大使館で宣誓供述書を作成
-
フィリピン人:PSA発行のCENOMAR(独身証明)を用意
-
中国人:公証書と翻訳文を提出
国ごとに手続きや書類の名称が異なるため、事前に大使館または行政書士へ確認しましょう。
ステップ2:日本の市区町村で婚姻届を提出する(日本方式)
日本で結婚を成立させる場合は、日本人の本籍地または住所地の役所で婚姻届を提出します。
必要な書類:
-
婚姻届(証人2名の署名入り)
-
外国人の結婚要件証明書と日本語訳
-
外国人のパスポート(本人確認用)
婚姻届が受理された時点で、日本では結婚が成立します。
ただし、役所によって細かな確認事項が異なるため、事前に窓口で必要書類を確認しておくとスムーズです。
ステップ3:外国の大使館・領事館で婚姻を報告する(外国方式)
日本で婚姻が成立したら、次は相手国にも報告します。
これを怠ると、母国で婚姻が無効扱いになる場合があります。
提出先:
-
相手国の大使館または領事館
必要な書類の例:
-
婚姻受理証明書や戸籍謄本(日本語+翻訳)
-
パスポートの写し
報告期限が設けられている国もあるため、1か月以内の手続きを目安に進めましょう。
ステップ4:婚姻成立後に必要な在留資格「日本人の配偶者等」の申請
結婚が成立しても、外国人が日本で生活するには「在留資格(ビザ)」が必要です。
申請先は入管局で、主に次の書類を提出します。
-
在留資格変更許可申請書
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日本人配偶者の戸籍謄本
-
質問書や夫婦写真など、婚姻の実態を示す資料
-
収入証明書や住民票など生活の安定を示す書類
書類の整合性や記載内容が審査のポイントになるため、不備がないか専門家にチェックを依頼すると安心です。
ステップ5:ビザ取得後の生活支援・行政手続きの流れ
ビザが交付された後は、生活に関する手続きも行います。
主な手続き:
-
住民登録(市役所で住所登録)
-
国民健康保険の加入
-
在留カードの更新や期限管理
さらに、将来的に「永住」や「帰化」を目指す場合は、早めに記録を整えておくと後の申請がスムーズです。
🟧 トラブルを防ぐために確認しておきたい3つの落とし穴
国によって結婚要件が異なり「無効」になるケース
国によって結婚の条件が違います。
たとえば、
-
18歳未満の結婚が認められない国
-
離婚後の再婚に待機期間がある国
こうした違いを知らずに進めると、相手国で結婚が無効になることもあります。
両国の法的条件を事前に調べておくことが大切です。
翻訳ミス・書類不備による手続きの差し戻しリスク
婚姻届やビザ申請では、翻訳文の正確さが非常に重要です。
誤訳や省略があると、再提出を求められます。
特に以下の書類は専門家による翻訳をおすすめします。
-
婚姻要件証明書
-
出生証明書
-
離婚証明書(再婚の場合)
結婚後の在留資格変更や更新を忘れるリスク
在留資格には有効期限があります(通常1〜3年)。
更新を忘れると、期限切れで不法滞在となる恐れがあります。
結婚後も定期的に期限を確認し、早めに更新申請を行いましょう。
🟧 行政書士に相談することで変わる3つの安心ポイント
書類の確認から翻訳までワンストップで任せられる
行政書士は、婚姻届やビザ申請に必要な書類作成・翻訳・提出を一括サポートできます。
「どこで何を揃えるの?」という迷いが減り、手続きがスムーズに進みます。
自分のケースに合った最適な手続き方法を提案してもらえる
国籍の組み合わせや在留状況によって、進め方は変わります。
行政書士に相談すれば、自分たちの事情に合った正しい順序や必要書類を提案してもらえます。
将来の在留資格や家族手続きにも継続的なサポートが得られる
結婚後も、在留資格の更新・永住申請・お子さんの国籍登録など、行政手続きは続きます。
行政書士の継続サポートを受けておくと、将来のトラブルも防げます。
🟧 まとめ|国際結婚の手続きをスムーズに進めるための最初の一歩
自分たちの「国の組み合わせ」で必要な書類を整理する
まずは、2人の国籍に応じた必要書類をリスト化しましょう。
「どこで・誰が・いつまでに取得するか」を整理すれば、手続きの流れが明確になります。
不安があれば専門家に相談し、正しい順序で進める
国際結婚は書類が多く、国によってルールも違います。
不安や疑問がある場合は、経験豊富な行政書士に早めに相談しましょう。
本記事は、現行法(民法第731〜739条・法の適用に関する通則法第25条・入管法第7条等)および外務省・入管庁・各国大使館の公開情報に基づき、一般的な手続きをわかりやすくまとめたものです。
国や個別の事情によって必要書類や手続きが異なるため、詳細は必ず行政書士や各国大使館に確認してください。