コラム
相続登記が義務化?行政書士にできるサポートとは
相続登記の義務化が始まり、「自分も手続きが必要?」と不安を感じる方が増えています。本記事では、法務省や関係法令に基づき、行政書士がどんなサポートをしてくれるのかを正確に解説します。司法書士との違いも含め、制度の仕組みをわかりやすく整理します。
目次
- 相続登記が義務化で変わる3つのポイント
- 義務化の背景と2024年法改正の概要
- 登記を怠った場合の罰則と期限
- 義務化により増える「早期対応」の重要性
- 行政書士と司法書士の違いでわかる専門家の選び方
- 登記手続を行えるのは司法書士のみ
- 行政書士は「相続前後の書類整備・相談支援」が得意
- それぞれに相談すべきケースを具体例で比較
- 行政書士が相続登記でサポートできる3つのこと
- 相続人調査や戸籍収集などの事前準備
- 遺産分割協議書の作成支援
- 司法書士との連携によるワンストップ支援
- 相続登記をスムーズに進めるための3ステップ
- まずは行政書士に相続関係の整理を相談
- 登記に必要な資料と内容を確認
- 専門家連携で期限内に登記完了を目指す
- まとめ|義務化時代は「行政書士×司法書士」連携がカギ
- 行政書士に相談することで手続がスムーズになる理由
- 法改正後のトラブルを防ぐための早期相談のすすめ
相続登記が義務化で変わる3つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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義務化の背景と2024年法改正の概要
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登記を怠った場合の罰則と期限
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義務化により増える「早期対応」の重要性
2024年4月1日施行の不動産登記法改正(令和3年法律第24号)により、相続登記は義務化されました。
相続人が不動産を取得した場合、「その取得を知った日から3年以内」に登記申請を行わなければなりません(不動産登記法第76条の2第1項)。
この章では、義務化の背景、罰則、そして早期対応の重要性を解説します。
義務化の背景と2024年法改正の概要
義務化の背景には、「所有者不明土地問題」があります。登記を行わないまま相続が繰り返されると、誰が所有者か分からなくなり、公共事業や防災計画に支障をきたします。
こうした課題を解決するため、不動産登記法の改正により、相続などにより不動産を取得した人は自己が所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う義務が定められました(同法第76条の2第1項)。
法務省の公式情報でも、2024年4月施行として明示されています。
登記を怠った場合の罰則と期限
3年以内に登記を行わない場合、正当な理由がない限り10万円以下の過料が科されます(不動産登記法第164条第1項)。
ただし、「正当な理由」がある場合は免除されることもあります(同法第76条の2第2項・第3項)。災害、長期の海外滞在、相続人間の紛争など、本人に責任のない事情がこれに該当します。
また、「相続を知った日」とは、単に死亡日ではなく、「自己が所有権を取得したことを知った日」を指します。遺贈や包括遺産のケースでは、死亡日と異なることがあります。
義務化により増える「早期対応」の重要性
義務化により、相続登記の放置はリスクになりました。相続人が多い場合や関係が複雑な場合、手続きが長期化しやすいため、早期に行政書士や司法書士へ相談することが重要です。
早めに専門家の支援を受けることで、戸籍収集・相続関係整理が進み、期限内の登記完了が現実的になります。遅延やトラブルを防ぐための第一歩は「早期準備」です。
行政書士と司法書士の違いでわかる専門家の選び方
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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登記手続を行えるのは司法書士のみ
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行政書士は「相続前後の書類整備・相談支援」が得意
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それぞれに相談すべきケースを具体例で比較
相続登記の義務化により、どの専門家に依頼すべきか迷う人が増えました。行政書士と司法書士は似ていますが、法令上の権限が異なります。
登記手続を行えるのは司法書士のみ
司法書士は、不動産登記の申請を代理できます(司法書士法第3条第1項、第73条)。法務局への登記申請を業として行えるのは司法書士だけです。
一方、行政書士は登記申請代理はできませんが、登記に必要な書類作成や手続きの相談は行えます。司法書士と協働することで、依頼者は登記までの流れを一貫して進められます。
行政書士は「相続前後の書類整備・相談支援」が得意
行政書士は行政書士法第1条の2に基づき、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成できます。
戸籍収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成支援などが主な業務です。司法書士に登記を依頼する前段階の整理役として、スムーズな準備を整えます。
それぞれに相談すべきケースを具体例で比較
相談内容 | 向いている専門家 | 理由 |
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相続人の確認や戸籍収集 | 行政書士 | 書類作成と情報整理が可能 |
遺産分割協議書の作成 | 行政書士 | 合意内容を正確に文書化 |
不動産の登記申請 | 司法書士 | 登記代理権を持つ |
準備から登記まで一括で進めたい | 行政書士+司法書士 | 業務分担により効率的 |
両者の連携は制度上認められており、士業団体も協働を推奨しています。
行政書士が相続登記でサポートできる3つのこと
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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相続人調査や戸籍収集などの事前準備
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遺産分割協議書の作成支援
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司法書士との連携によるワンストップ支援
行政書士は登記申請こそできませんが、その前に必要な準備を全面的に支援します。
相続人調査や戸籍収集などの事前準備
相続登記には、相続人の確定が不可欠です。行政書士は被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集し、家族関係を整理します。
依頼者が複数の市区町村に問い合わせる負担を減らせる点が大きな利点です。
遺産分割協議書の作成支援
相続人が複数いる場合は、相続財産の分け方を定めた遺産分割協議書が必要です。行政書士が内容の整理と文書化を支援し、司法書士の登記手続きにそのまま利用できます。
司法書士との連携によるワンストップ支援
行政書士が書類を整え、司法書士が登記申請を行う形で協働が可能です。
依頼者は複数の窓口を行き来せずに済みますが、これは制度としての一元窓口ではなく、士業間の任意連携である点に注意が必要です。
相続登記をスムーズに進めるための3ステップ
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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まずは行政書士に相続関係の整理を相談
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登記に必要な資料と内容を確認
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専門家連携で期限内に登記完了を目指す
手続きの流れを正しく理解しておくと、余裕を持って対応できます。
まずは行政書士に相続関係の整理を相談
行政書士が戸籍収集や相続関係説明図を作成し、家族構成や財産関係を整理します。早期相談により、後の登記手続きが円滑になります。
登記に必要な資料と内容を確認
相続登記には以下の書類が必要です。
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被相続人の戸籍一式
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相続人の戸籍・住民票
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遺産分割協議書
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不動産の登記事項証明書
行政書士が書類を整理し、司法書士が登記申請書を作成します。正確な書類があれば補正や再提出を避けられます。
専門家連携で期限内に登記完了を目指す
相続登記の申請期限は「所有権取得を知った日から3年以内」です。行政書士と司法書士が協力することで、期限を守りながら確実に登記を完了できます。
まとめ|義務化時代は「行政書士×司法書士」連携がカギ
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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行政書士に相談することで手続がスムーズになる理由
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法改正後のトラブルを防ぐための早期相談のすすめ
相続登記の義務化により、行政書士と司法書士の連携が一層重要になりました。
行政書士に相談することで手続がスムーズになる理由
行政書士は相続関係の整理や書類作成を担い、司法書士への引き継ぎを円滑にします。専門家連携により、登記までの流れが整理され、誤りも減らせます。
法改正後のトラブルを防ぐための早期相談のすすめ
登記を怠ると過料の対象になりますが、「正当な理由」があれば免除される場合があります。
とはいえ、相続人が増えたり書類が失われたりする前に、早めに準備を進めるのが安心です。
まとめ
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相続登記の義務化は不動産登記法第76条の2が根拠。
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申請期限は「所有権取得を知った日から3年以内」。
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正当な理由があれば過料免除(同法第76条の2第2・3項)。
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登記申請は司法書士のみが代理可能。
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行政書士は書類作成や相続関係整理を支援し、司法書士と連携できる。
法令で義務化された今、相続関係の整理を早めに行うことが家族の安心につながります。相談先を迷ったら、まず行政書士に状況を整理してもらい、その後司法書士へ登記を依頼しましょう。
本記事は、不動産登記法(令和3年法律第24号改正)、司法書士法、行政書士法、法務省・国土交通省・日行連・日司連の公開情報をもとに作成しています。内容は一般的な解説であり、具体的な事案は専門家にご相談ください。