コラム
産業廃棄物収集運搬業の許可申請の流れ|廃棄物処理法に基づく正しい手順ガイド
「産廃の許可って、うちにも必要なのかな?」そんな疑問を持つ企業担当者は多いでしょう。本記事では、廃棄物処理法に基づく産業廃棄物収集運搬業の許可申請の流れを、法令根拠とともに分かりやすく解説します。初めての方でも理解しやすいよう、条文番号も明記しました。
目次
- 許可が必要になる3つのケースでわかる「産廃許可」の基礎知識
- そもそも「産業廃棄物収集運搬業」とは?一般廃棄物との違い
- 許可が必要なケースと不要なケースを具体例で解説
- 無許可で運搬した場合のリスク(罰則・行政処分)
- 申請の流れで変わる3つのポイント:誰でも理解できるステップガイド
- 申請の前に確認すべき要件(技術的能力・経理的基礎・欠格要件の不存在)
- 実際の申請手順(申請書作成〜審査〜許可までの流れ)
- 許可までにかかる期間と、更新・変更手続きの注意点
- 行政書士に依頼する3つのメリットと、失敗しない依頼のコツ
- 書類作成・提出代理を依頼するメリット
- 行政書士報酬と自社申請との比較
- 依頼時に確認すべき契約範囲と専門性
- まとめ:産廃許可申請は「流れの理解」と「法令遵守」が成功の鍵
許可が必要になる3つのケースでわかる「産廃許可」の基礎知識
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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「業として」行う場合の定義
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許可が必要なケースと不要なケース
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無許可運搬の罰則
そもそも「産業廃棄物収集運搬業」とは?一般廃棄物との違い
「産業廃棄物収集運搬業」とは、他人の産業廃棄物を業として収集または運搬する事業を指します(廃棄物処理法第14条第1項)。
産業廃棄物とは、政令第2条で定める20種類の廃棄物で、事業活動に伴って生じたものです。これ以外の廃棄物は「一般廃棄物」となります(同法第2条第4項)。
※実際の分類は廃棄物の種類や発生形態により自治体で異なる場合があります。
許可が必要なケースと不要なケースを具体例で解説
他人の産業廃棄物を運搬する場合は、都道府県知事または政令市長の許可が必要です(同法第14条第1項)。
一方、自ら排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合は、許可を要しません(同法第12条第3項)。
ただし、他人の廃棄物を複数自治体にまたがって運搬する場合は、区域ごとに許可が必要です(同法第14条の3の2第1項)。
無許可で運搬した場合のリスク(罰則・行政処分)
無許可運搬を行うと、法人は3億円以下の罰金、個人は3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(同法第25条第1項、第32条第1項)。
また、罰金以上の刑を受けた者は、5年間は許可を受けられません(同法第14条第5項第2号ニ)。
※実際の運用は自治体ごとに異なります。
申請の流れで変わる3つのポイント:誰でも理解できるステップガイド
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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許可基準(技術的能力・経理的基礎・欠格要件)
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申請の流れと必要書類
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審査期間・更新・変更手続き
申請の前に確認すべき要件(技術的能力・経理的基礎・欠格要件の不存在)
廃棄物処理法第14条第5項では、許可基準として次の3つが定められています。
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技術的能力:講習修了者(施行規則第10条の4)を有し、車両や設備が基準に適合していること。積替え・保管を行う場合は、その施設が法令に合致していること。
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経理的基礎:事業を継続できる資金的基盤を有すること。数値基準は自治体の審査要領で異なります。
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欠格要件の不存在:刑罰歴や破産歴など、法定欠格事由に該当しないこと。
実際の申請手順(申請書作成〜審査〜許可までの流れ)
申請の流れは次のとおりです(施行規則第10条第1項等)。
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書類準備:申請書、講習修了証、登記事項証明書、定款、財務諸表、車検証などを用意。
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提出先:事業区域を管轄する都道府県知事または政令市長へ提出。
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審査:書類審査・補正要請を経て、適合が認められれば許可証が交付されます。
※審査期間は法定されておらず、自治体の処理基準によって異なります。
許可までにかかる期間と、更新・変更手続きの注意点
許可の有効期間は5年です(同法第14条第2項)。更新申請を忘れると業務が継続できなくなります。
また、商号・住所・車両などを変更した場合は、**変更許可申請(第14条の2、第14条の2の2)**を行う必要があります。
※実際の申請内容・様式は自治体条例により異なります。
行政書士に依頼する3つのメリットと、失敗しない依頼のコツ
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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書類作成・提出代理のメリット
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報酬と自社対応の比較
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契約時に確認すべき範囲と専門性
書類作成・提出代理を依頼するメリット
行政書士は、行政機関に提出する書類の作成および提出代理を行えます(行政書士法第1条の2〜第1条の3)。
専門家に依頼することで、書類不備や補正のリスクを抑え、時間を節約できます。
行政書士報酬と自社申請との比較
報酬には法定上限がなく、契約により自由に定められます。参考額は各行政書士会等の資料によって異なります。
自社での手続きは費用を抑えられますが、担当者の時間や労力が増える点に注意が必要です。
依頼時に確認すべき契約範囲と専門性
契約時には、次の項目を確認すると安心です。
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補正対応・説明補助など代理可能範囲
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産業廃棄物関連の申請実績
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対応地域・自治体制度への理解
まとめ:産廃許可申請は「流れの理解」と「法令遵守」が成功の鍵
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許可は「他人の産業廃棄物を業として運ぶ場合」に必要(法第14条第1項)
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許可基準は「技術的能力・経理的基礎・欠格要件」
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自ら排出し自ら運ぶ場合のみ許可不要
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許可期間は5年、有効期限前に更新が必要
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審査期間や財務要件は自治体により異なる
産業廃棄物処理は、法令理解が安全な事業運営の第一歩です。正確な情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
※本記事は廃棄物処理法、施行令、施行規則および行政書士法に基づいて作成しています。実際の申請条件や手続きは自治体により異なります。詳細は各都道府県・政令市または専門家へご確認ください。