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GPT Builderで行政書士GPTをチューニング|行政書士事務所HANAWAくんと学ぶAI活用実践ラボ第2回

HANAWA行政書士事務所では、第1回で作成した「書類チェックGPT」をさらに実務向けに整える作業が始まった。

サトウ所長:「HANAWAくん、前回のAIを“業務で使える道具”にするために、GPT Builderで設定を整えるぞ。」

HANAWAくん:「はい。チューニングというのは、出力の安定化や語調の統一、知識の追加設定のことですね。」

サトウ所長:「その通りだ。今回は、出力ブレを減らし、所内の資料を参照できるように仕上げる。」

(AIに“事務所の色”を覚えさせる段階なんだな)


目次

  • カスタムGPT設定(GPTsチューニング)とは

  • 指示最適化と出力フォーマット設定の方法

  • Knowledgeの追加と参照の仕組み

  • 出力検証と品質安定の運用

  • まとめと次回予告


GPT Builder※は、カスタムGPTの設定画面から「指示内容」「出力形式」「参照資料(Knowledge)」を細かく制御できるツールです。
今回の焦点は、第1回で作成した行政書士GPTを再設定し、出力の安定性・トーン・知識参照までを整備することにあります。
この設定を行うことで、文体や構成が安定し、事務所特有の規程や用語を反映した回答が得られるようになります。


カスタムGPT設定(GPTsチューニング)とは
学習目標:出力品質の安定化を目的としたGPT設定変更の全体像を理解する。

カスタムGPT設定とは、GPT BuilderでAIのふるまいを細かく制御することを指します。
「チューニング」という言葉は便宜的なもので、OpenAI公式では「Custom GPT configuration」と呼ばれています。

この設定を行うと、AIが回答時に使う文体・構成・根拠の明示ルールを統一できます。
ただし、LLM(大規模言語モデル)は確率的に文章を生成する仕組みのため、出力が完全に同一になる保証はありません
それでも、明示的な指示文を設定することで出力のばらつきを大幅に軽減できます。


指示最適化と出力フォーマット設定の方法
学習目標:Instructions欄の設定内容を理解し、出力構造を一貫させる。

【ハンズオン】

1.手順概要
目的:行政書士GPTの出力ルールと構成を固定し、安定した文章を生成させる。

2.操作ステップ
(1) ChatGPT画面の「Explore GPTs」から対象GPTを開く。
(2) 「Edit GPT」をクリック。
(3) 「Instructions」欄に以下を記入。
(4) プロフィール画像やConversation Startersは任意設定。
(5) 「Save」で保存し、プレビュー画面で挙動を確認。

3.入力例(Instructions欄)

あなたは行政書士事務所の補助AIです。
目的:文書校正・法令案内・所内資料整理。
出力ルール:
1. 文体は敬体(です・ます調)で統一する。
2. 構成は「要約→本文→脚注」とする。
3. 禁止語:「〜でしょう」「〜してみましょう」など助言語。
4. 根拠を含む回答は、関連法令や通達を簡潔に記載する。

4.動作確認ポイント
テスト入力:「住民票記載事項証明の申請文案を作成してください。」
→ 出力に要約・本文・脚注が含まれ、文体が統一されていれば成功条件達成。

5.応用ヒント
この段階でテンプレート出力が整えば、次回「共有と運用ルール」で所内展開を設計できます。


Knowledgeの追加と参照の仕組み
学習目標:GPT BuilderのKnowledge機能を理解し、所内資料を参照できる設定を実施する。

H3 Knowledge追加の手順
Knowledgeは、GPT Builder内でPDFやTXTファイルをアップロードし、AIが必要に応じて検索参照する仕組みです(※内部学習ではなく、RAG=検索拡張生成方式)。

操作手順:
(1) Builder画面の「Knowledge」タブを開く。
(2) 「+Upload files」から所内規程・用語集などを追加。
(3) ファイルをONにして「Use for responses」を有効化。

H3 Knowledge参照による精度向上
AIは回答時にアップロード資料を検索し、該当部分を要約・引用して出力します。
これにより、所内規程や書式ルールに沿った回答が得られ、整合性が高まります。
ただし、Knowledgeの更新は即時反映されますが、必ずしも全回答が最新情報に基づくとは限りません。再生成で差異が出る場合もあります。

例:

  • 「用語集」で「代理権確認書=委任状の写し」と定義すると、GPTは同義表現を自動で統一します。


出力検証と品質安定の運用
学習目標:再設定後の出力を検証し、安定した業務品質を維持する方法を理解する。

H3 出力検証手順
(1) 同じ質問を3回入力し、構成とトーンがほぼ同一か確認。
(2) Knowledgeを更新して再質問し、内容が反映されているか確認。
(3) 成功条件:要約構造・文体・根拠の一貫性が保たれている。

H3 メンテナンスと保存方法
Builderには自動バージョン管理機能はありません。
設定変更時には別GPTとして複製保存しておくと安全です。
月1回の動作点検を行い、法令や所内規程が更新された場合はKnowledgeを再アップロードします。


まとめ

今回の焦点は「第1回で作成したGPTをBuilderで再設定し、出力の安定性・トーン・知識参照までを整える」ことでした。
指示最適化により出力のばらつきを抑え、フォーマット統一で品質を確保し、Knowledgeで事務所独自の規程を反映させる手法を学びました。
行政書士業務におけるAI活用では、安定した回答構成と実務準拠の参照情報が最も重要です。


サトウ所長のまとめコメント
「AIは精度より再現性が価値になる。今回の設定でようやく“使えるAI”に近づいた。次は、この完成形を安全に所内共有する段階に進むぞ。」


※GPT Builder:OpenAIの提供するカスタムGPT作成・設定用GUIツール。
※Knowledge:アップロードした資料を検索・参照し、回答時に活用する機能。内部学習ではなく、検索参照型の仕組み。
※RAG(retrieval-augmented generation):外部文書を検索して要約し、生成に組み込む方式。
※複製保存:Builderの「Duplicate」または「Create new」機能を使い、バックアップ用に別GPTを保存すること。


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