Tel: 090-3718-2803

営業時間:10:00~23:00
(年中無休)

メニュー

書類チェックAIを作る|行政書士事務所HANAWAくんと学ぶAI活用実践ラボ第1回

HANAWA行政書士事務所の朝。書類の山を前に、HANAWAくんは少し疲れた様子でパソコンを開いていた。

サトウ所長:「HANAWAくん、ChatGPT Plusの新機能『GPTs』は確認したかい? 書類チェックを自動化できる時代になったんだ。」

HANAWAくん:「見ましたけど、どう設定すれば行政書士の文書校正に使えるのか、正直ピンと来てません…。」

サトウ所長:「なら今日は、GPT Builderを使って『書類チェックAI』を自作してもらおう。SaveとTestまで完了させるのが目標だ。」

(自分でAIを作る…ちょっと緊張するけど、うまくできたら仕事がぐっと楽になるはずだ)


目次

  • GPTsとは何か:ChatGPT Plus以上の環境で使える自分専用AI

  • GPT Builderの使い方と設定手順

  • Instructionsで行政書士向けGPTsを設計する

  • Save/Testの操作と動作確認

  • 応用ヒント:次回への準備としてのチューニング視点


GPTsは、ChatGPT Plus以上のプラン(Plus、Team、Enterprise)の利用者が、自分専用のAIを構築できる機能です。コードを使わず、画面操作だけで目的に合わせた業務専用AIを設計できます。本記事の焦点は「ChatGPT Plus環境で行政書士文書を校正できるGPTsを構築し、Save/Testまで完了する」ことです。HANAWAくんと一緒に設定を進め、実際に動作する書類チェックAIを完成させます。


GPTsとは何か:ChatGPT Plus以上の環境で使える自分専用AI

この章の学習目標は、GPTsの位置づけと構造を理解することです。
GPTs(Custom GPTs)は、OpenAIが提供するChatGPTの拡張機能で、ユーザー自身が「目的」「知識」「動作方針」を定義して独自AIを作る仕組みです。ChatGPTの会話能力を特定業務に特化させられる点が特徴です。

GPTsの基本構造

GPTsは大きく3つの設定領域から成ります。

  • Instructions:AIの目的・性格・振る舞いを定義する欄

  • Knowledge:独自ファイルや資料を登録し、追加知識を付与する欄

  • Actions:外部APIと連携するための設定(今回は未使用)

これにより、たとえば「行政書士事務所専用の文書チェックAI」など、特定業務向けのGPTを構築できます。

GPTs利用に必要な環境

ChatGPT Plus、Team、Enterpriseのいずれかのプラン契約が必要です。無料ユーザーにはGPTs機能が表示されません。左側メニューに「Explore GPTs」が見える場合は利用可能な状態です。


GPT Builderの使い方と設定手順

この章の学習目標は、GPT Builderの画面構成と操作手順を理解することです。
GPT BuilderはChatGPTアプリ内で直接起動できるビルダー機能で、プログラミング不要でAI設定を行えます。

Builderの起動手順

1.ChatGPTの左メニューから「Explore GPTs」をクリック
2.右上の「Create a GPT」を選択
3.Builder画面が開く(左が設定入力欄、右がAIプレビュー)

この画面で、AIの性格や目的を入力しながら、右側のプレビューで即時反映を確認できます。

Builder画面の構造

左ペインでは、「名前」「説明」「Instructions」「Knowledge」などの設定を順に入力します。
右ペインでは、設定した内容をもとに、実際のAIがどのように応答するかを試せます。
設定を保存すれば、以降はChatGPT内で自分専用のGPTとして利用可能です。


Instructionsで行政書士向けGPTsを設計する

この章の学習目標は、行政書士業務に適した文書チェックAIを設計することです。
Instructions欄に明確な目的と制約条件を入力することで、AIが正確に校正を行うようになります。

Instructions設定(目的と行動方針)

Instructions欄には、次のように入力します。

 

あなたは行政書士事務所のスタッフAIです。 行政書士が作成する契約書・申請書・説明文などの日本語文書を校正すること。 表現の正確性、誤字脱字、助詞の使い方、敬体の統一、読みやすさを確認せよ。 専門用語は変更せず、誤記のみを指摘すること。 回答は箇条書きで、修正提案を具体的に示すこと。

これにより、AIは「行政書士文書を対象に誤記修正を行う専門チェックAI」として機能します。

トーン設定(応答スタイルの記述)

トーン設定は独立した欄ではなく、Instructions欄の中に記述します。以下のように、応答スタイルを指定します。

 

誠実で落ち着いた口調を使用し、事務所内スタッフに報告する文体で書くこと。 感情的表現を避け、指摘内容を明確かつ簡潔に伝えること。

これにより、実務報告調の落ち着いた出力を得ることができます。


Save/Testの操作と動作確認

この章の学習目標は、設定したGPTを保存し、動作をテストすることです。

手順概要

目的は、作成した書類チェックGPTを「Save」し、「Test」で正しく校正結果が出るかを確認することです。

操作ステップ

1.画面右上の「Save」ボタンをクリック
2.公開範囲で「Only Me(自分のみ)」を選択
3.「Test」ボタンを押してプレビューを起動
4.例文「本日付で提出致します。」を入力
5.校正提案が出るかを確認

※「Only Me」を選択した状態では他ユーザーに公開されません。「Publish」まで進めない限り、完全に自分専用のGPTとして動作します。

動作確認ポイント

出力に「『致します』は『いたします』が正しい表現です」などの修正提案が出れば成功です。
これで本回の焦点「行政書士文書を校正できるGPTsを構築し、Save/Testまで完了する」が達成されます。

応用ヒント

次回は、このGPTをチューニングして校正精度を高め、文書種別ごとの出力方針を制御します。


応用ヒント:次回への準備としてのチューニング視点

この章の学習目標は、次回のカスタマイズへの視点を理解することです。
今回作成したGPTは、基本的な校正AIとして動作しますが、Instructionsを追加・改訂することで、より正確に特定文書(契約書、依頼文、申請書)に適応させられます。

手動チューニングの考え方

GPTsには自動学習機能はありません。
ただし、過去のチャット履歴を参照し、出力の過不足を確認して手動でInstructionsを修正することが可能です。
たとえば「丁寧すぎる指摘」や「修正漏れ」がある場合、該当箇所を踏まえて再編集し、再保存すれば反映されます。

Knowledge機能の活用

「Knowledge」欄に法令要約や業務マニュアル(PDFやテキスト)を追加することで、文書校正だけでなく内容面の根拠確認も可能になります。
この機能は、次回以降の「行政書士GPTチューニング」編で扱います。


まとめ

本記事では、ChatGPT Plus以上のプラン環境でGPT Builderを使用し、行政書士文書を校正できるGPTsを構築し、Save/Testまで完了する手順を解説しました。
Instructions欄の記述によってAIの目的と口調を明確にし、保存後にテストで結果を確認することで、実務で使える基礎モデルが完成します。
次回はこのGPTをチューニングし、行政書士業務専用の精密な文書チェックAIへと発展させます。


※ChatGPT Plus:OpenAIが提供する有料プラン(月額制)。GPT-4モデルおよびGPTs機能が利用可能。
※GPT Builder:ChatGPT内でカスタムGPTを作成・編集できる専用インターフェース。
※Knowledge:GPTに独自資料を学習させる補助領域。自動学習ではなく参照型構造。
※Publish設定:「Only Me」で自分専用、「Share Link」で限定共有、「Publish」で一般公開が可能。


HANAWA行政書士事務所メインページ

AIナレッジメインページ