コラム
外国人エンジニア必見!在留資格別・就職・転職の注意ポイント【技人国】
技人国(技術・人文知識・国際業務)の在留資格で働く外国人エンジニアの皆さん、こんにちは!
日本のIT業界で活躍する皆さんのキャリアは、技術力だけでなく、在留資格という重要な基盤によって支えられています。転職やキャリアチェンジは大きなチャンスですが、同時に在留資格上の注意点を理解していなければ、予期せぬトラブルに巻き込まれるリスクも潜んでいます。
本記事では、外国人エンジニアの皆さんが直面しやすい転職・キャリアチェンジのケースを徹底的に掘り下げ、在留資格上の注意点、必要な手続き、そして具体的な対策をわかりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの次のキャリアを安心してスタートさせることができます。
技人国転職で届出は必須?エンジニアからエンジニアに転職
同じエンジニア職種内での転職は、比較的スムーズなケースです。しかし、手続きを怠ると在留資格に影響が出る可能性があるため、油断は禁物です。
転職後の届出は必須!手続きの流れと必要書類
同じ「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であれば、在留資格の変更は基本的に不要です。しかし、勤務先が変わる場合、14日以内に入管に届け出る義務があります。この届出を怠ると、法律上の義務違反となり、次回更新時に不利になる可能性があります。
【📄 届出に必要な書類例】
-
在留カード
-
新しい勤務先の情報(名称、所在地、連絡先など)
-
※オンラインで簡単に手続き可能です。
給与や業務内容の変更が更新審査に与える影響
在留期間の更新審査では、**「安定した生活を送る能力」と「活動内容の継続性・妥当性」**が重視されます。同業種内での転職でも、以下のポイントは特に注意が必要です。
-
給与水準の変化: 前職よりも給与が大幅に下がる場合、入管から**「生活が不安定になるのではないか」**と懸念されることがあります。例えば、前職で月給40万円だった人が、転職先で月給25万円になった場合、その理由を説明できるよう準備しておく必要があります。
-
業務内容の関連性: 開発業務からプロジェクト管理、ITコンサルタントなど、業務内容が少しでも変わる場合、それが在留資格の範囲内であることを確認しましょう。入管は、あなたの学歴やこれまでの職務経験と新しい仕事の関連性を重視します。
技人国で資格変更が必要なケース | 他職種からエンジニアへ転職
営業、事務、マーケティングなど、ITとは異なる職種で働いていた人が、プログラミングスクールなどを経てエンジニアに転職する場合、在留資格上の大きな注意点があります。
技人国の要件(学歴・職歴と業務の関連性)
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、原則として大学等で専攻した内容や実務経験と、従事する業務との関連性が求められます。
-
例: 営業職として働いていたAさん(大学で経済学を専攻)が、プログラミングスクールを卒業し、未経験からITエンジニアとして転職する場合。
-
この場合、Aさんの学歴(経済学)と新しい職務(エンジニア)には直接的な関連性がないと見なされる可能性が高いため、在留資格変更許可申請が必要になります。
-
資格変更手続きの流れと必要書類
このケースでは、まず入管に「在留資格変更許可申請」を行い、審査を受ける必要があります。
【📝 提出書類のポイント】
-
履歴書・職務経歴書: 未経験であっても、自己学習の成果(ポートフォリオ、GitHubアカウント、取得資格など)を具体的に記載し、ITエンジニアとしてのポテンシャルをアピールすることが重要です。
-
採用理由書: 転職先の会社に、なぜあなたを採用したのかという理由を明確に記載してもらう書類です。**「〇〇の経験は無いが、学習意欲やポートフォリオから将来性を感じ、企業内研修で専門知識を習得させる予定」**といった具体的な内容が求められます。
エンジニアから他職種へ転職する場合の注意点
エンジニア職から、営業、マーケティング、事務職など、ITとは関連性の薄い職種にキャリアチェンジする場合も、在留資格変更の検討が必要です。
技人国の活動範囲外と見なされる場合
あなたのこれまでの学歴や職務経験がIT分野に特化している場合、営業や事務の仕事は「技術・人文知識・国際業務」の活動範囲から外れると判断される可能性があります。
例えば、コンピューターサイエンスを専攻し、ずっと開発業務に従事してきた人が、突然人事・総務の仕事に転職する場合などが該当します。この場合、**「在留資格変更許可申請」**を行い、新しい職種に合った在留資格(例:国際業務、企業内転勤など)を取得する必要があります。
Q&A:外国人エンジニアが抱えるよくある疑問を解消!
Q1: 勤務先が地方で給与が低めでも更新可能ですか?
A1: 法律上は「日本人が従事する場合と同等額以上の報酬」が基準です。ただし、実務上は地域性も加味されるため、同一地域・同一職種に従事する日本人と概ね同等の報酬であれば問題ありません。
Q2: 契約社員から正社員になる場合、追加手続きは必要ですか?
A2: 原則として、在留資格変更申請は不要です。雇用主が変わらない場合、雇用形態の変更は入管への届け出義務はありません。ただし、次回の在留期間更新時には、契約内容が変更された旨を説明できるように、新しい雇用契約書などの書類を準備しておきましょう。
補足:フリーランスや高度人材を目指す場合の注意点
フリーランスで働く場合
正社員から独立してフリーランスになる場合、**「日本の公私の機関との契約に基づく活動」**であれば、現在の在留資格を継続できる可能性があります。ただし、単発的な案件の寄せ集めや、契約内容が曖昧な場合は在留資格の要件を満たさないと判断されるリスクがあるため、個別の契約内容が明確であることが重要です。
高度人材へのキャリアアップ
将来的に永住権を目指す場合、高度人材ポイント制の活用を検討しましょう。エンジニアとしての実務経験、年収、学歴、日本語能力などがポイントとなり、**70点以上で「高度専門職1号」**への変更申請が可能です。高度専門職1号の活動を3年以上継続するなどの条件を満たせば「高度専門職2号」への変更申請が可能になり、永住権の申請に必要な在留期間が短縮されるなどの大きなメリットがあります。詳細要件は入管庁の最新ガイドラインを確認してください。
失敗から学ぶ!実務で起こりうるトラブル事例と対策
事例1: 「入社後に業務内容が変わり、更新審査で追加説明を求められた」
-
背景: フロントエンドエンジニアとして採用されたが、入社後、会社の都合で顧客サポートや事務作業が中心の業務になった。
-
結果: 更新申請時に業務内容が当初の職務と異なると判断され、入管から追加の書類(業務内容の詳細説明書、本人の作成したコードなど)を求められた。
-
対策: 転職先の採用担当者や直属の上司と、実際の業務内容について明確な合意を取っておくことが不可欠です。
事例2: 「転職後14日以内届出を忘れ、更新時に在留期間が短縮された」
-
背景: 転職先の仕事が忙しく、入管への届出を忘れてしまった。
-
結果: 次回の更新申請時、過去の届出義務違反が判明し、通常3年の在留期間が1年や6ヶ月に短縮されてしまった。
-
対策: 転職後14日以内の届出は法律上の義務です。多忙であっても、必ず期限内に手続きを完了させましょう。オンライン手続きを活用すれば、数分で完了します。
まとめ
外国人エンジニアの皆さんが日本でキャリアを築く上で、転職は大きなステップです。この記事で解説したポイントを理解し、入管への手続きを適切に行うことで、在留資格の心配なく、安心して仕事に集中することができます。
まずは、あなたの次の仕事の雇用契約書をしっかり確認してください。そして、入管への届出は期限内に行うことが何よりも重要です。
専門家への相談や、こまめな情報収集をすることで、あなたの日本でのキャリアはより強固なものになるでしょう。
※本記事は一般的な解説であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。在留資格の判断は個別の事情によって異なるため、転職や資格変更を検討される際は、必ず最新の法令・入管庁の運用を確認し、専門家にご相談ください。