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コラム

専任技術者の資格・役割と選び方【建設業許可シリーズ第7回】

建設業許可を取得するためには、「経営業務管理責任者」と並んで「専任技術者」の配置が必要不可欠です。前回は経営業務管理責任者について詳しく解説しましたが、今回は建設業許可のもう一つの重要な要件である専任技術者について、その資格要件や役割、適切な選び方まで詳しく解説していきます。

専任技術者とは何か

専任技術者とは、建設工事に関する技術的事項を適切に行うために営業所に常勤かつ専属で配置される技術者のことです。建設業法では、適正な施工を確保し、発注者を保護するため、各営業所に少なくとも1名の専任技術者を置くことを義務付けています。

専任技術者は、単に資格を持っているだけでは足りません。営業所に常勤し、かつその営業所の専属として、その営業所で行う建設工事に関する技術的判断や指導監督を行う責任者として位置づけられています。そのため、名義だけの配置や、実際には他の場所で働いている人、他の営業所と兼務している人を専任技術者とすることはできません。

この「専任」という言葉には、単なる「常勤」を超えた「専属性」という重要な意味が込められています。つまり、その営業所のみに勤務し、その営業所の建設工事のみに従事することが求められているのです。

専任技術者の主な役割

技術的判断と指導監督

専任技術者の最も重要な役割は、建設工事の技術的側面に関する判断と指導監督です。具体的には以下のような業務を行います。

工事の施工方法や使用材料の選定についての技術的判断を行い、現場の技術者や作業員に対して適切な指導を行います。また、工事の品質管理や安全管理に関する技術的な助言も重要な役割です。設計図書の検討や施工計画の立案、工程管理など、工事全体を技術的な観点からサポートします。

主任技術者・監理技術者としての役割

専任技術者は、建設業許可取得後、実際の工事現場では「主任技術者」や「監理技術者」として配置されることが多くあります。主任技術者は請負金額に関わらず全ての工事現場に配置が義務付けられており、監理技術者は4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)の下請契約がある工事現場に配置が必要です。

専任技術者がこれらの現場技術者を兼務する場合、営業所での技術的業務と現場での技術的業務の両方を適切に管理する必要があります。ただし、専任技術者の専属性の要件により、現場への常駐が長期間にわたる場合は注意が必要です。

契約関係の技術的検討

建設工事の契約を締結する際には、工事内容の技術的妥当性を検討し、自社の技術力で施工可能かどうかを判断します。見積書の作成においても、技術的観点から適切な工法や材料を選定し、コストを算定する役割を担います。

この判断は会社の経営に直結する重要な業務であり、過大な受注や技術的に困難な工事の受注を避けることで、会社のリスク管理にも貢献します。

技術的書類の作成と管理

工事に関する技術的な書類の作成や管理も専任技術者の重要な業務です。施工計画書、品質管理書類、安全管理書類など、工事に必要な技術文書の作成・確認・管理を行います。

これらの書類は、工事の適正な施工を証明する重要な記録であり、後々のトラブル防止や行政検査への対応においても重要な役割を果たします。

専任技術者になれる人の要件

専任技術者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。これらの要件は業種ごとに定められており、取得したい許可業種に対応した要件を満たす必要があります。また、一般建設業と特定建設業では要件が大きく異なることにも注意が必要です。

国家資格による要件

最も一般的で確実な方法が、国家資格を取得することです。各建設業種には対応する国家資格が定められており、該当する資格を取得していれば専任技術者の要件を満たします。

一般建設業の場合

一般建設業では、対応する国家資格を取得していれば、実務経験を問わず専任技術者になることができます。

例えば、土木一式工事業では2級土木施工管理技士や技術士(建設部門)、建築一式工事業では2級建築施工管理技士や一級建築士、二級建築士、電気工事業では第一種電気工事士や第二種電気工事士(3年以上の実務経験が必要)などが該当します。

特定建設業の場合

特定建設業では、より厳しい要件が設けられています。基本的に1級の国家資格が必要であり、2級の資格では専任技術者になることができません。

さらに重要なのは、1級の国家資格を取得していても、それだけでは不十分だということです。特定建設業の専任技術者になるためには、原則として以下の要件を満たす必要があります:

  1. 1級の国家資格を取得していること
  2. 2年以上の指導監督的実務経験を有していること

この「指導監督的実務経験」とは、単なる現場作業員としての経験ではなく、現場代理人、主任技術者、監理技術者などとして工事の技術的な指導監督に従事した経験を指します。

ただし、指定建設業7業種(土木一式、建築一式、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)以外の業種では、実務経験のみでも専任技術者になることができる場合があります(後述)。

大学・高等学校での学習と実務経験による要件

建設工事に関連する学科を卒業し、一定期間の実務経験を積むことでも専任技術者の要件を満たすことができます。

一般建設業の場合

  • 大学または高等専門学校で指定学科を卒業した場合:3年以上の実務経験
  • 高等学校で指定学科を卒業した場合:5年以上の実務経験

指定学科には、土木工学科、建築学科、機械工学科、電気工学科など、各業種に関連する学科が含まれます。

特定建設業の場合

特定建設業では、学歴+実務経験の組み合わせでは専任技術者になることができません。1級の国家資格+指導監督的実務経験、または実務経験のみ(指定建設業以外)の要件を満たす必要があります。

実務経験のみによる要件

一般建設業の場合

学歴や資格がなくても、10年以上の実務経験があれば専任技術者になることができます。この実務経験は、該当する建設工事に関する技術上の実務経験である必要があり、単なる事務作業や現場での単純労働は含まれません。

設計、施工、工事監理、技術的な企画や研究開発などの業務経験が対象となります。

特定建設業の場合

特定建設業では、実務経験のみによる要件が非常に限定的です。

指定建設業7業種(土木一式、建築一式、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)では、実務経験のみで専任技術者になることはできません。これらの業種では、必ず1級の国家資格+指導監督的実務経験が必要です。

指定建設業以外の業種では、以下の要件を満たせば専任技術者になることができます:

  • 許可を受けようとする建設工事に関して2年以上の指導監督的実務経験を含む12年以上の実務経験

この「指導監督的実務経験」の証明は非常に困難であり、工事請負契約書、工事台帳、組織図などで、実際に指導監督的な立場にあったことを客観的に証明する必要があります。

実務経験証明の困難さ

実務経験による専任技術者の要件確認は、多くの方が想像する以上に困難です。特に以下のようなケースでは、実務経験の証明が非常に難しくなります:

  • 工事請負契約書や注文書、請求書などの書類がない場合
  • 個人事業主時代の工事記録が不十分な場合
  • 昔の工事で、発注者や工事内容の詳細が不明な場合
  • 勤務していた会社が廃業してしまい、工事台帳等が入手できない場合

これらの状況では、どれだけ豊富な実務経験があっても、それを客観的に証明することができず、許可取得を断念せざるを得ないケースも少なくありません。

特に一人親方として長年工事に従事してきた方の場合、過去の工事実績を証明する書類(注文書・請書、確定申告書、工事写真など)の整備が特に重要になります。第5回で触れた「一人親方でも建設業許可は取れる?」の内容とも関連しますが、一人親方が専任技術者になる場合は、自身が経営業務管理責任者と専任技術者を兼任できる利点がある一方で、実務経験の証明という課題もあります。

業種ごとの専任技術者要件の詳細

建設業許可は業種別に取得するため、専任技術者も業種ごとに要件が定められています。主要な業種について具体的に見てみましょう。

土木一式工事業

一般建設業

  • 2級土木施工管理技士
  • 技術士(建設部門・総合技術監理部門(建設))
  • 土木工学、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科を卒業後の実務経験(大学3年以上、高校5年以上)
  • 10年以上の実務経験

特定建設業(指定建設業)

  • 1級土木施工管理技士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 技術士(建設部門・総合技術監理部門(建設))+2年以上の指導監督的実務経験
  • 実務経験のみでは不可

土木一式工事は総合的な工事であることが多いため、幅広い土木技術に関する知識と経験が求められます。河川工事、道路工事、橋梁工事、トンネル工事など、多様な土木工事に対応できる技術力が必要です。

建築一式工事業

一般建設業

  • 1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士
  • 一級建築士、二級建築士、木造建築士
  • 技術士(建設部門・総合技術監理部門(建設))
  • 建築学、都市工学に関する学科を卒業後の実務経験
  • 10年以上の実務経験

特定建設業(指定建設業)

  • 1級建築施工管理技士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 一級建築士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 技術士(建設部門・総合技術監理部門(建設))+2年以上の指導監督的実務経験
  • 実務経験のみでは不可

建築一式工事は住宅からビル、工場まで様々な建築物の建設を行うため、構造、設備、仕上げなど建築全般に関する知識が重要になります。

電気工事業

一般建設業

  • 1級電気工事施工管理技士、2級電気工事施工管理技士
  • 第一種電気工事士
  • 第二種電気工事士(3年以上の実務経験が必要)
  • 技術士(電気電子部門・総合技術監理部門(電気電子))
  • 電気工学に関する学科を卒業後の実務経験
  • 10年以上の実務経験

特定建設業(指定建設業)

  • 1級電気工事施工管理技士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 技術士(電気電子部門・総合技術監理部門(電気電子))+2年以上の指導監督的実務経験
  • 実務経験のみでは不可

電気工事は安全性が特に重要な工事であるため、電気に関する専門的な知識と技術が不可欠です。

管工事業

一般建設業

  • 1級管工事施工管理技士、2級管工事施工管理技士
  • 技術士(機械部門、衛生工学部門、電気電子部門、総合技術監理部門)
  • 給水装置工事主任技術者(3年以上の実務経験が必要)
  • 機械工学、衛生工学に関する学科を卒業後の実務経験
  • 10年以上の実務経験

特定建設業(指定建設業)

  • 1級管工事施工管理技士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 技術士(機械部門、衛生工学部門、電気電子部門、総合技術監理部門)+2年以上の指導監督的実務経験
  • 実務経験のみでは不可

造園工事業

一般建設業

  • 1級造園施工管理技士、2級造園施工管理技士
  • 技術士(林業部門、建設部門、総合技術監理部門)
  • 1級造園技能士(5年以上の実務経験が必要)
  • 2級造園技能士(実務経験年数により異なる)
  • 林学、土木工学、都市工学、造園学に関する学科を卒業後の実務経験
  • 10年以上の実務経験

特定建設業(指定建設業)

  • 1級造園施工管理技士+2年以上の指導監督的実務経験
  • 技術士(林業部門、建設部門、総合技術監理部門)+2年以上の指導監督的実務経験
  • 実務経験のみでは不可

専任性の要件と常勤性の確保

専任技術者の「専任性」は、建設業許可の要件の中でも特に厳格に運用されている要件です。単なる「常勤性」を超えた「専属性」が求められます。

専属性の意味

「専任」とは、その営業所の専属であることを意味します。具体的には以下のような状態を指します:

  • その営業所のみに勤務していること
  • 他の営業所や他の会社との兼務をしていないこと
  • 工事現場に常駐せず、営業所での技術的業務に従事できること
  • その営業所の建設工事のみに技術的責任を負うこと

常勤性の証明

専任技術者の常勤性を証明するためには、以下のような書類を整備しておくことが重要です:

  • 雇用契約書
  • 社会保険の加入状況(健康保険・厚生年金)
  • 給与の支払い実績(給与台帳、源泉徴収票など)
  • 出勤簿・タイムカード
  • 住民票(営業所との距離の確認)

よくある専任性違反のケース

以下のようなケースは専任性の要件を満たさないため注意が必要です:

  • 実際には他の会社で働いているが、書面上だけ専任技術者としている
  • 工事現場に常駐しており、営業所にほとんどいない
  • 複数の営業所を掛け持ちしている
  • 他の資格(宅建士など)で他の業務に専任している

これらの状況が発覚した場合、建設業法違反として許可取消しの対象となる可能性があります。

専任技術者の選び方のポイント

適切な専任技術者を選ぶことは、建設業許可取得だけでなく、その後の事業運営にも大きく影響します。以下のポイントを考慮して選定しましょう。

会社の事業内容との適合性

専任技術者は、会社が実際に行う建設工事の技術的側面を担当します。そのため、会社の主要な事業分野に精通した人材を選ぶことが重要です。

例えば、住宅の新築工事を主力とする会社であれば建築一式工事業の専任技術者が必要ですし、道路工事を中心とする会社であれば土木一式工事業や舗装工事業の専任技術者が適しています。

将来的な展望の考慮

専任技術者は5年ごとの許可更新時にも要件を満たしている必要があります。また、事業拡大に伴って新たな業種の許可を取得する際には、その業種に対応した専任技術者が必要になります。

そのため、専任技術者を選ぶ際には、現在の要件を満たすだけでなく、将来的な事業計画も考慮することが大切です。複数の業種に対応できる資格を持つ人材や、さらなる資格取得に意欲的な人材を選ぶことで、事業拡大にも対応しやすくなります。

技術力と指導力

専任技術者は単に要件を満たすだけでなく、実際に技術的な判断や指導を行う必要があります。そのため、書面上の要件だけでなく、実際の技術力や指導力も重要な選定基準です。

過去の工事経験、技術的な知識の深さ、現場での指導経験、部下への技術指導能力などを総合的に評価して選定しましょう。

年齢と継続性

専任技術者の年齢も重要な考慮要素です。あまりに高齢の方を専任技術者とした場合、近い将来に退職や健康上の理由で要件を満たせなくなるリスクがあります。

一方で、経験豊富な高齢の技術者は貴重な戦力でもあります。このバランスを考慮し、可能であれば後継者の育成も同時に進めることが望ましいでしょう。

複数業種での専任技術者の活用

複数の建設業種の許可を取得する場合、各業種ごとに専任技術者が必要になります。ただし、同一営業所内であれば、複数業種の要件を満たす一人の専任技術者が兼任することも可能です。

兼任が可能な資格の組み合わせ

以下のような資格では、複数業種の専任技術者を兼任することができます:

  • 1級建築施工管理技士:建築一式工事業、大工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、内装仕上工事業
  • 1級土木施工管理技士:土木一式工事業、とび・土工工事業、石工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、水道施設工事業
  • 技術士(建設部門):土木一式工事業、建築一式工事業など多数の業種

兼任時の注意点

複数業種を兼任する場合でも、それぞれの業種について十分な技術的知識と経験を持っている必要があります。また、業務量が過大にならないよう、適切な体制を整えることが重要です。

特に、異なる分野の技術が必要な業種(例:建築工事と電気工事)を兼任する場合は、実際の業務遂行能力を慎重に検討する必要があります。

効率的な業種選択

事業計画に基づいて、どの業種の組み合わせが最も効率的かを検討することも重要です。関連性の高い業種を組み合わせることで、専任技術者の兼任がしやすくなり、管理コストの削減にもつながります。

専任技術者の育成と資格取得支援

社内で専任技術者を育成することは、安定した事業運営のために重要です。

計画的な資格取得支援

社員の資格取得を支援することで、将来的な専任技術者不足を防ぐことができます。効果的な支援策として以下のようなものがあります:

  • 資格取得に必要な費用(受験料、教材費、講習会費)の会社負担
  • 資格取得のための勉強時間の確保(業務時間の一部を勉強時間とするなど)
  • 資格取得者への手当支給
  • 外部講習会や通信教育の活用
  • 社内での勉強会の開催

実務経験の計画的な積み重ね

資格がない社員でも、計画的に実務経験を積み重ねることで専任技術者の要件を満たすことができます。以下の点に注意して経験を積ませることが重要です:

  • どのような業務が実務経験として認められるかを理解し、適切な業務に従事させる
  • 実務経験を証明する書類を適切に作成・保管する
  • 幅広い工事に関わらせ、総合的な技術力を身につけさせる
  • 指導監督的な立場を経験させる(将来の特定建設業許可取得を見据えて)

後継者育成の重要性

現在の専任技術者に何らかの事情が生じた場合に備えて、後継者の育成も同時に進めることが重要です。複数の候補者を育成することで、リスクの分散も図ることができます。

専任技術者に関するよくある質問と回答

Q1: 一人親方が法人化する場合の専任技術者は?

A1: 一人親方が法人化する場合、その方自身が専任技術者の要件を満たしていれば、経営業務管理責任者と専任技術者を兼任することができます。この場合、過去の工事実績を証明する書類(注文書・請書、確定申告書、工事台帳など)の整備が特に重要になります。

Q2: 専任技術者が急に退職した場合の対応は?

A2: 専任技術者が退職した場合、速やかに後任者を確保し、変更届を提出する必要があります。この詳細については、今後の記事「専任技術者が不足した場合どうする?」で詳しく解説予定です。

Q3: 営業所が複数ある場合の専任技術者は?

A3: 建設業許可は営業所ごとに専任技術者の配置が必要です。ただし、同一都道府県内で距離が近い場合などは、一定の条件下で兼任が認められる場合もあります。

Q4: 専任技術者の常勤性はどのように確認される?

A4: 行政の立入検査では、社会保険の加入状況、給与の支払い実績、出勤簿、住民票などで常勤性を確認されます。また、営業時間中に営業所にいることも重要です。

Q5: 資格取得後すぐに専任技術者になれる?

A5: 一般建設業であれば、必要な資格を取得すれば実務経験を問わず専任技術者になることができます。ただし、特定建設業では1級資格取得後も2年以上の指導監督的実務経験が原則として必要です。

まとめ

専任技術者は建設業許可取得の重要な要件であり、許可取得後の事業運営においても中核的な役割を果たします。特に以下の点が重要です:

  1. 一般建設業と特定建設業では要件が大きく異なる
  2. 特定建設業では1級資格+指導監督的実務経験が原則必要
  3. 指定建設業7業種では実務経験のみでは特定建設業の要件を満たせない
  4. 専任性は常勤性を超えた「専属性」が求められる
  5. 実務経験の証明は想像以上に困難な場合が多い

適切な専任技術者を選定し、継続的に配置することで、建設業許可を維持し、事業を安定して運営することができます。また、将来的な事業拡大を見据えた人材育成も重要な戦略となります。

次回は「財産的基礎要件500万円の確認方法」について詳しく解説します。建設業許可取得に必要な資金面での要件について、具体的な確認方法や証明書類について説明していきます。

また、今後の記事では専任技術者が不足した場合の具体的な対応方法や、複数業種での効率的な専任技術者の配置方法についても詳しく解説していく予定です。

建設業許可の取得や専任技術者の選定でお困りの方は、法的な要件の正確な理解と適切な書類準備が必要です。特に実務経験による要件確認は非常に複雑で、専門的な知識と経験が求められます。

専任技術者選定で失敗しやすいケーススタディ

実際の許可申請では、専任技術者の要件で躓くケースが多く見られます。典型的な失敗例を知っておくことで、同様の問題を避けることができます。

ケース1: 資格の種類を間違えた例

「第二種電気工事士の資格を持っているので、すぐに電気工事業の専任技術者になれると思っていました。しかし、第二種電気工事士では3年以上の実務経験が必要だと後で知り、許可申請を延期することになりました。」

このように、同じ名称でも要件が異なる資格があります。事前の確認が重要です。

ケース2: 特定建設業の要件を誤解した例

「1級建築施工管理技士の資格があるので、特定建設業の建築一式工事業の専任技術者になれると思っていました。しかし、2年以上の指導監督的実務経験も必要だと分かり、実務経験の証明に苦労しました。」

特定建設業では資格だけでは不十分で、指導監督的実務経験の証明が必要な場合が多いのです。

ケース3: 常勤性の証明で問題となった例

「親戚の会社の専任技術者になってもらう予定でしたが、その人は実際には別の会社で働いていました。行政の確認で発覚し、申請を取り下げることになりました。」

名義だけの専任技術者は建設業法違反となり、重大な問題となります。

行政書士に依頼するメリット

専任技術者の要件確認と書類準備は、建設業許可申請の中でも特に専門性が求められる部分です。行政書士に依頼することで以下のメリットがあります:

正確な要件判定

建設業法の複雑な要件を正確に理解し、依頼者の状況に最も適した専任技術者の選定方法を提案します。一般建設業と特定建設業の違い、業種ごとの要件の違いなどを踏まえた的確なアドバイスが可能です。

実務経験証明の専門的サポート

実務経験による要件確認は、どの書類が有効で、どのような形で証明すればよいかの判断が困難です。行政書士は過去の事例や行政の運用を踏まえ、最も効果的な証明方法を提案できます。

トラブル回避と迅速な手続き

専任技術者の要件で不備があると、申請の差し戻しや長期間の審査となる可能性があります。事前に適切な準備を行うことで、スムーズな許可取得が可能になります。

将来的な事業計画への対応

現在の許可取得だけでなく、将来的な業種追加や特定建設業への移行なども見据えた専任技術者の選定アドバイスが可能です。

専任技術者の要件確認チェックリスト

最後に、専任技術者の要件を確認する際のチェックリストを提示します:

基本要件のチェック

□ 取得予定の業種に対応した資格または実務経験を有している
□ 一般建設業と特定建設業の要件の違いを理解している
□ 営業所に常勤かつ専属で勤務できる
□ 他社や他の営業所との兼務をしていない

資格による場合のチェック

□ 資格が建設業法上有効なものである
□ 特定建設業の場合、1級資格+指導監督的実務経験の要件を満たしている
□ 資格証明書類を準備できる

実務経験による場合のチェック

□ 必要な実務経験年数を満たしている(一般建設業:10年、特定建設業:原則12年)
□ 技術上の実務経験である(単純作業は含まれない)
□ 実務経験を客観的に証明できる書類がある
□ 特定建設業の場合、指導監督的実務経験を証明できる

常勤性・専任性のチェック

□ 社会保険に加入している(または加入予定)
□ 給与支払いの実績がある(または雇用契約を締結予定)
□ 営業所での勤務実態がある
□ 出勤簿等の勤務記録を整備している

将来性のチェック

□ 5年後の許可更新時にも要件を満たしている見込み
□ 事業拡大計画に対応できる
□ 後継者育成の計画がある

このチェックリストを活用することで、専任技術者の要件を漏れなく確認することができます。ただし、個別の状況によって判断が困難な場合もあるため、不明な点がある場合は専門家に相談することをお勧めします。

専任技術者の選定と要件確認は、建設業許可取得の成否を左右する重要な要素です。正確な法的知識と豊富な実務経験に基づく適切な判断により、スムーズな許可取得と安定した事業運営を実現することができます。


HANAWA行政書士事務所では、リモートで打合せにより全国対応可能です。建設業許可に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

本記事は、分かりやすくするために簡単にしていますが、詳細は条文を確認するか専門家に相談することをお勧めします。

 


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