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コラム

第2章 初案件との出会い 1-2 マッチングサービスの使い分け

開業して最初の数週間は、静かで重苦しい時間が流れていた。机の上には自分の名刺が100枚、整然と積まれている。しかし、渡す相手がいない。開業の高揚感と期待感は、いつの間にか虚しさに変わる。誰も自分を知らない、誰も私の名前を必要としていない──そんな現実が、静かに胸を圧迫した。

そんなとき、ふと思い出したのがマッチングサービスだった。名前は聞いたことがあるが、実際に使ったことはなかった。無名の自分でも、案件にアクセスできるかもしれない。もしかすると、この小さな一歩が、孤独な開業者の道を開くのかもしれない。私はすぐに複数のサービスを調べ始めた。

ミツモア、ココナラ、クラウドワークス、ランサーズ。それぞれに特徴があり、どれも一長一短だった。ミツモアは案件の頻度が比較的多く、幅広い依頼を受けることができる。しかし価格競争が激しく、実績ゼロの状態では受注は難しい。ココナラは広告を出さなければ、ほかの出品者に埋もれてしまう。クラウドワークスやランサーズはそもそもの案件数が少なく、条件が自分に合致する案件はほとんど見つからなかった。

ここで私は判断した。初期段階では、成約報酬型に絞って案件を受けることが最も合理的だと。理由は単純で、固定費への不安を最小化するためだ。開業直後に大きな広告費を投じる余裕はない。まずは、案件をこなして実績を積むこと、そして少しずつ信頼を構築することに専念する。

私は覚悟を決めた。「まずはここから。できることを一つずつやろう」──孤独の中で自分に言い聞かせた。


2-2 初案件の内容と流れ

ある晩、スマホが震えた。マッチングサービスからの通知だ。「HANAWA行政書士事務所へのご依頼」──件名を目にした瞬間、心臓が高鳴った。息を呑みながら画面を開くと、そこには30代後半の依頼人からの離婚協議に関する相談が記されていた。子どもは二人。離婚理由は性格の不一致。シンプルだが、どのような手続きを進めるべきか、依頼人自身も明確ではない。

初回の面談はWEBで行うことになった。依頼人の都合で、顔を見ながら話すことはできないが、画面越しにでも互いの表情を感じ取り、信頼を築く必要がある。面談時間は45分。私は自己紹介の後、依頼人の背景や希望条件、進捗状況を丁寧にヒアリングした。

依頼人は落ち着いた口調だが、どこか不安げで、何を決めればよいのか分からない様子が伝わる。「どこまで決めておけばいいのでしょうか」「何から手をつければよいですか」──言葉少なに質問されることもあったが、実際は一度に何度も尋ねられたわけではなく、慎重に情報を整理しながら伝えてくれる印象だった。

受任の判断はここで下した。案件のボリュームや難易度は完全には把握できなかった。経験不足、知識不足が原因であることは明らかだった。見積作成の際も不安が胸をよぎる。しかし、依頼人に不安を与えるわけにはいかない。「えいやー」と思い切って作成した見積を提示したところ、依頼人は安心して受任を決めてくれた。この瞬間、胸の奥に小さな達成感が芽生えた。


協議内容のヒアリングと協議書作成

受任後、最初の本格面談は90分に設定した。依頼人はまだ何を決めればよいか分からない状態。そこで私は、協議が必要な項目を整理し、提示することで依頼人が理解できるよう努めた。

協議書案の作成は、主にメールを中心に、必要に応じて電話で確認する形式で進めた。ブラッシュアップは2回、電話での打合せも2回行った。依頼人の修正はほとんどなく、私の方で「ここも協議した方が良いです」と後出しで追加した部分がわずかにあった程度だ。依頼人は追加項目にも快く対応してくれ、混乱することはなかった。

協議書案の作成では、法的な書き方はもちろんだが、依頼人が理解できる表現を心がけた。専門用語をそのまま羅列するのではなく、簡潔かつ具体的に説明することを意識する。初回の面談での依頼人の表情や言葉を思い出しながら、文章を何度も推敲した。


公証役場での手続き

依頼人希望の公証役場を利用した。予約は電話で、事前打合せはWEB会議で実施。私が作成した協議書案を公証人が確認し、その案に基づき離婚公正証書が作成される。作成後、私と依頼人で内容をチェックし、必要に応じて確認。署名・押印は依頼人本人が行ったが、これはその公証役場の要件によるもので、代理人でも手続き可能なところもある。所要時間は30分程度で、穏やかに手続きは完了した。


不安と突破口

初案件を通じて最も印象に残ったのは、「経験不足からくる判断の迷い」だ。案件のボリュームや難易度が分からず、どう進めればよいか悩む時間は多かった。しかし、その都度、先輩に聞くのは最後の手段とし、まずは書籍・ウェブ・フォーラムなどで情報を収集。実務例やサンプル文を参考にしながら、自分なりの仮説を立てて行動する。

突破口はここにあった。正確さよりも、まず依頼人に安心感を与え、丁寧に対応すること。後から追加する必要がある項目は誠実に伝え、依頼人の信頼を失わないようにする。こうして、初案件は依頼人も私も満足のいく形で完了した。


HANAWA’s Point

  • マッチングサービスは「選び方」が肝心

  • 初案件は時間を惜しまず丁寧に対応

HANAWA’s Check

  • 手数料や価格競争の落とし穴に注意

  • 実績ゼロでは案件獲得が難しいサービスもある


心理描写・学びの総括

初案件は単なる業務の始まりではなく、開業者としての自信の第一歩だった。依頼人とのコミュニケーション、協議書作成の実務、そして公証役場での手続き。どれも初めての経験であり、失敗すれば信頼を失う場面でもある。

しかし、緻密な準備、誠実な対応、そして情報収集の工夫によって、私は自分の実力を少しずつ確信に変えていった。初案件の成功は、その後の開業生活の礎となり、私が無名の状態から一歩抜け出すきっかけとなった。


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