コラム
名義変更や手続き一覧|相続後にやること完全ガイド
大切な方が亡くなられた後、遺族は深い悲しみの中でも、多くの名義変更や手続きを進めなければなりません。相続税の申告や不動産の登記、銀行口座の解約など、どれも期限があったり、手順を間違えるとトラブルになることもあります。
この記事では、相続後に必要となる名義変更や各種手続きを分野ごとに整理し、行政書士の視点から「何を・いつまでに・どうやって」進めるのかを、この「完全ガイド」で分かりやすく解説します。漏れなく、そしてスムーズに手続きを進め、大切なご家族が安心して次のステップに進めるよう、ぜひ参考にしてください。
相続手続きの全体像とタイムライン
相続手続きには、大きく分けて3つのフェーズがあります。それぞれのフェーズでやるべきことと、目安となる期間を把握しておきましょう。
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相続発生直後(死亡直後〜3ヶ月以内): 死亡届の提出や葬儀など、緊急性の高い手続きが中心です。相続を**「単純承認」するのか、それとも「相続放棄」や「限定承認」**を選ぶのかを決める重要な期間でもあります。
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相続財産の確定と分割(3ヶ月〜10ヶ月以内): 故人の財産を詳細に調査し、誰が何を相続するかを相続人全員で話し合い、合意する期間です。この間に、相続税の申告準備も行います。
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各種名義変更・引き継ぎ(10ヶ月以降): 遺産分割協議で決まった内容に基づき、各財産の名義変更や口座の解約など、具体的な引き継ぎを行います。
🔸【フェーズ1】相続発生直後(死亡直後〜3ヶ月以内)にやること
この期間は、故人の死に伴う公的な手続きと、相続の方向性を決める重要な期間です。
手続き内容 | 期限・ポイント | 誰が? |
1. 死亡届の提出と火葬許可証の取得 | 死亡を知ってから7日以内に市区町村役場へ提出(医師の死亡診断書とともに)。同時に火葬許可証を申請・取得します。 | 親族または葬儀社が代行 |
2. 葬儀・告別式の準備と執行 | 葬儀社と連携して進めます。葬儀費用の領収書は必ず保管しておきましょう。 | 喪主 |
3. 遺言書の有無の確認 | 自宅や貸金庫、公証役場などで確認。自筆証書遺言が見つかった場合は家庭裁判所での検認が必要なため、勝手に開封しないよう注意。公正証書遺言は検認不要です。 | 相続人 |
4. 相続人と相続財産の概況把握 | 故人の戸籍謄本などから、誰が法定相続人になるのかをざっくり確認。預貯金、不動産などのプラスの財産と、借金などのマイナスの財産を大まかに把握します。特に借金が多い場合は、早めに全体像を掴むことが重要です。 | 相続人 |
5. 相続放棄または限定承認の検討 | 相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述。多額の借金がある場合や、財産の全容が不明な場合に検討します。この熟慮期間中に財産を処分すると、単純承認とみなされる可能性があるため注意が必要です。 | 相続人 |
6. 健康保険証・介護保険証などの返却 | 国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険などの証は、市区町村窓口へ返却します。 | 相続人 |
7. 年金受給停止の届出 | 日本年金機構へ連絡し、年金受給停止手続きを行います(年金証書が必要)。遅れると過払い返還の対象になることがあります。 | 相続人 |
8. 死亡一時金・埋葬料などの申請 | 加入していた健康保険の種類によっては、給付金が支給されます。申請期限は2年以内ですが、資金が必要な場合は早めに申請すると良いでしょう。 | 相続人 |
🔸【フェーズ2】相続財産の確定と分割(3ヶ月〜10ヶ月以内)にやること
この期間は、相続の具体的な内容を詰めていくフェーズです。
手続き内容 | 期限・ポイント | 誰が? |
9. 相続人の確定(戸籍収集) | 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本などを収集し、正確な法定相続人全員を確定します。これは、その後のすべての手続きの基本となります。 | 相続人(または専門家) |
10. 相続財産の調査と評価 | 預貯金(過去の取引履歴も含む)、不動産(登記簿謄本、固定資産税評価証明書など)、有価証券、自動車、負債(借入金、未払金など)といったすべての財産を漏れなく調査し、評価額を確定します。 | 相続人(または専門家) |
11. 遺産分割協議と遺産分割協議書の作成 | 遺言書がない場合、確定した相続人全員で、どの財産を誰が相続するかを話し合います。話し合いがまとまったら、その内容を明記した遺産分割協議書を作成します。これは、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなど、後のあらゆる手続きで必要になる重要な書類です。相続人全員が署名・実印で押印し、印鑑証明書を添付します。 | 相続人全員 |
12. 準確定申告 | 故人が自営業者であったり、給与所得者でも確定申告が必要な場合、死亡した年の1月1日から死亡日までの所得について、死亡後4ヶ月以内に所得税の確定申告(準確定申告)を行う必要があります。 | 相続人 |
13. 相続税の申告と納税 | 相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税が発生します。その場合、死亡後10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告と納税をしなければなりません。相続税には様々な控除や特例があるため、税理士に相談することをお勧めします。 | 相続人(または税理士) |
🔸【フェーズ3】各種名義変更・引き継ぎ(10ヶ月以降)にやること
遺産分割協議がまとまり、相続税の申告も済んだら、いよいよ具体的な名義変更や引き継ぎ手続きを進めます。
手続き内容 | 期限・ポイント | 誰が? |
14. 預貯金口座の解約・払い戻し | 各金融機関に対し、故人の預貯金口座の解約や払い戻しを依頼します。銀行口座は故人の死亡により「凍結」されるため、手続きには相続人全員の同意書や遺産分割協議書が必要となることがほとんどです。 | 相続人(代表者) |
15. 不動産の相続登記 | 不動産の名義を故人から相続人へ変更します。2024年4月1日から義務化されており、相続(所有権取得)を知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。未登記のまま放置すると、将来的な売却や担保設定ができない、相続人が増えてさらに複雑化するなど、大きなトラブルの原因になります。 | 相続人(または司法書士) |
16. 株式・投資信託等の名義変更・換金 | 証券会社に対し、故人名義の株式や投資信託などの名義変更や売却・換金手続きを行います。 | 相続人 |
17. 自動車の名義変更 | 故人名義の自動車を相続する場合、運輸支局で名義変更手続きを行います。 | 相続人 |
18. 生命保険金の請求 | 生命保険会社に連絡し、保険金請求手続きを行います。保険金は相続財産とは別のものとして、受取人固有の財産とみなされる場合が多いです。 | 受取人 |
19. 各種公共料金・サービスの契約変更・解約 | 電気、ガス、水道、電話、インターネット、NHK、クレジットカード、サブスクリプションサービスなどの名義変更や解約を行います。放置すると料金が未納扱いになり、トラブルに発展することもあります。 | 新たな契約者または相続人 |
まとめ:専門家のサポートで、安心して相続を終える
上記以外にも、細かい手続きは多岐にわたります。期限が迫るもの、複雑な書類作成が必要なものも多く、これらを全てご自身でこなすのは非常に大変な作業です。
特に、
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相続人が複数いる
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不動産や複雑な金融資産がある
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遺言書がない、または内容が不明確
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相続人間に意見の対立がある
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借金がある
といったケースでは、相続トラブルに発展したり、手続きが滞ったりするリスクが高まります。
当事務所では、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書の作成といった必要書類の収集・作成から、各種名義変更手続き、他士業(司法書士、税理士など)との連携まで、相続手続き全般をトータルでサポートいたします。
複雑な相続手続きで悩まず、安心して故人を偲び、残されたご家族が新たな生活を送れるよう、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。まずは一度、お気軽にご連絡ください。