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コラム

就労系在留資格の申請実務 - 第9回 「経営・管理」審査のポイントと不許可事例 ― 実務で押さえる

本シリーズは「入管業務を体系的に学び、実務で使えるスキルを身につける」ことを目的としています。今回は【経営・管理】在留資格の第3回として、審査の着眼点と不許可事例を解説します。

経営・管理ビザは、外国人が日本で事業を経営したり、管理職として会社を運営するための在留資格です。要件自体は法令やガイドラインに明示されていますが、入管の審査は形式的な書類チェックにとどまらず、「事業の実現性・収益性」を徹底的に検証します。

つまり、単に法人登記を済ませ、オフィスを借りただけでは許可されません。**「事業が本当に動くのか」**という観点で立体的に審査されるため、実務家には相応の分析力と書類作成能力が求められます。

この記事では、

  1. 審査で重視されるポイント

  2. よくある不許可理由

  3. 実務での対応・回避策
    を解説します。行政書士としての責任とやりがいを感じながら読み進めていただければ幸いです。


1. 審査で重視されるポイント

(1)事業の実現性・収益性評価

入管は、単なる「計画」ではなく「実現可能性」を確認します。
チェックされる視点は以下の通りです。

  • 事業計画の具体性
    単なる「売上1億円を目指す」といった抽象的な計画では不十分。
    → 根拠ある市場調査・競合分析・顧客ターゲットの設定が必要。

  • 初期投資の妥当性
    資本金500万円以上(要件クリア)があっても、開業費や運転資金が現実的でない場合は疑義が持たれる。

  • 収益モデルの健全性
    「売上-経費=利益」の構造が論理的か。特に新興事業の場合、収益化の根拠が弱いと不許可リスクが高い。

  • 継続性の見込み
    短期的な売上だけでなく、中長期的に持続できるかを審査。
    → 「初年度は赤字でも、2年目以降の黒字化が確実」と説明できるかが鍵。

(2)事業実態に関する審査

書面審査の比重は高いですが、実地調査が行われるケースもあります。

  • 事務所の実在性・独立性
    → バーチャルオフィス、SOHO利用などは厳しくチェックされる。

  • 営業活動の有無
    → すでに契約した顧客・仕入先との契約書、注文書、請求書などがあれば有利。

  • 雇用計画
    → 「2名以上の常勤雇用」が求められる要件をどう充足しているか(※資本金500万円で代替する場合もあり)。

(3)経営者の適格性

  • 学歴・職歴と事業内容の関連性

  • 経営経験の有無

  • 日本語能力やマネジメントスキル

形式的に会社を立ち上げても、経営者本人の適性が伴わなければ不許可リスクは高まります。


2. よくある不許可理由

実務で頻出する不許可理由を整理します。

(1)事業実体の欠如

  • 書類上は会社があるが、実際には事務所が空き家状態

  • 名義貸しや「ペーパーカンパニー」と疑われるケース

(2)事業計画の非現実性

  • 市場調査や収支計画が根拠に乏しい

  • 資本金500万円を用意したが、すぐに全額引き出され、実際には運転資金がない

(3)経営者の資質不足

  • 経営経験が皆無で、日本語もほとんどできない

  • 実務の中心が別人であり、申請者本人が名目上の経営者になっている

(4)雇用要件の未充足

  • 常勤職員2名の雇用契約が形骸化している

  • アルバイト契約や親族のみで要件充足を主張するケース

(5)過去の在留状況に問題

  • 過去に在留資格の更新を怠った

  • 偽装経営の疑いで前回不許可になった履歴がある


3. 実務での回避策と対応

行政書士として支援する際は、以下を徹底することが肝要です。

(1)事業計画の具体化

  • 単なる「数字合わせ」ではなく、実際の契約書・見積書・取引先のリストを添付して、事業が動いていることを示す。

  • 資金繰り表を作成し、6か月以上の運転資金を確保していることを証明。

(2)オフィス要件の確認

  • 専用オフィスの契約書、写真、レイアウト図を提出。

  • 賃貸契約の名義が会社であることを確認。

(3)人材要件の整備

  • 常勤雇用者の社会保険加入証明を添付。

  • 親族のみの雇用ではなく、外部スタッフの採用を検討。

(4)経営者の適格性補強

  • 経営経験や学歴を証明する書類を準備。

  • 日本語学校修了証明書、語学能力証明を提出。

(5)不許可時の対応

  • 不許可理由通知を入手し、具体的な指摘を精査。

  • 再申請にあたっては、理由に応じて事業計画や資金体制を修正。

  • 「再提出=同じ内容の繰り返し」では通らないため、必ず改善点を明示する。


4. 実務家としての心構え

経営・管理ビザは「外国人の人生を左右する重大案件」です。形式的に「会社を設立すればよい」と誤解している依頼者も多いため、行政書士には以下の姿勢が求められます。

  • 依頼者に対して現実的なリスクを説明する誠実さ

  • 書類作成だけでなく、事業の実態を一緒に確認する伴走者的姿勢

  • 不許可リスクがある場合、曖昧にせず率直に伝える勇気


まとめ

「経営・管理」の審査は、書類の体裁だけではなく、事業の実現性と誠実性を徹底的に問うものです。
よくある不許可理由を知り、事前に潰していくことが行政書士の腕の見せ所となります。

次回は「就労系在留資格:高度専門職」へ進む予定です。


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本記事は、行政書士を志す方・入管実務に携わる方の学習の一助とするために、分かりやすく整理した内容です。実際の申請では、必ず最新の法令・ガイドラインを確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

行政書士は「文書作成のプロ」として在留資格申請書や事業計画書の作成をサポートできますが、弁護士と異なり、交渉や紛争解決に直接関与することはできません。

HANAWA行政書士事務所では、全国対応でリモート相談にて在留資格申請や内容証明のサポートを承っております。外国人の方の日本での生活・事業活動を安心して支えるお手伝いをしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
 


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