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コラム

【おひとり様・おふたり様 第2回】家族信託の登場人物 ― 委託者・受託者・受益者の役割を理解する

前回は「家族信託とは?仕組みと基本」と題して、家族信託の大枠と利用するメリットを解説しました。今回はその続きとして、家族信託の基本的な登場人物――「委託者」「受託者」「受益者」について整理していきます。

家族信託は“信頼できる人に財産管理を託す仕組み”です。しかし「誰が」「どんな立場で」「どんな権限や責任を負うのか」を理解していないと、実際に契約書を作成するときに混乱しがちです。特に、将来の財産を誰に管理してもらうか、誰が最終的にその財産の利益を受けるのかという点は、信託の骨格部分に直結します。

では、具体的にそれぞれの役割を見ていきましょう。


1. 委託者とは ― 財産を預ける人

委託者の基本的役割

「委託者(いたくしゃ)」とは、信託の契約を始める人であり、自分の財産を信託に出す人です。
例えば、認知症になる前に「自分の預金や不動産を将来も安心して管理してほしい」と考える親が委託者となります。

委託者は、信託契約書を作る段階で「どの財産を」「誰に託して」「どんな目的で使うか」を決める権限を持ちます。つまり、家族信託の設計者と言える存在です。

委託者が注意すべきこと

  • 信託できる財産の範囲を理解すること(次回のテーマで詳しく解説します)

  • 契約内容を将来の生活設計に沿って定めること

  • 信頼できる人を受託者に選ぶこと

委託者は、将来の自分や家族の生活を見据えて、契約を組み立てるリーダー的な立場です。


2. 受託者とは ― 財産を管理する人

受託者の基本的役割

「受託者(じゅたくしゃ)」は、委託者から託された財産を実際に管理・運用する人です。

例:

  • 委託者である父が「自分の自宅不動産」を信託財産にする

  • 受託者として長男を指定する
    → 長男が父のために不動産を管理し、必要に応じて賃貸したり修繕したりする

受託者は、信託契約で決められたルールに基づいて財産を扱います。勝手に使ったり、自分のために流用することはできません。

受託者の責任と義務

受託者には「善管注意義務(善良な管理者の注意をもって管理する義務)」や「忠実義務(委託者や受益者の利益のために忠実に行動する義務)」が課されます。これは法律上も明記されており、受託者が責任を持って管理することが求められる根拠となります。

受託者選びのポイント

  • 信頼できる人物であること(親族が多いですが、専門職を受託者にするケースも)

  • 事務処理能力があること(税金や登記の手続きなどを担う場面も)

  • 長期的に対応できること(信託は数年〜数十年単位で続くことも多い)

受託者は信託の実行部隊とも言える存在であり、委託者が最も慎重に選ぶべきポジションです。


3. 受益者とは ― 利益を受け取る人

受益者の基本的役割

「受益者(じゅえきしゃ)」は、信託された財産から生じる利益を最終的に受ける人です。

例:

  • 委託者である父が不動産を信託

  • 受託者である長男が管理

  • 受益者は父自身
    → 父が不動産収益や利用の利益を受ける

このように、家族信託では「委託者=受益者」とするパターンが多くあります。つまり、自分の財産を信託に出しても、利益は引き続き自分が享受する仕組みです。

受益者を誰にするかで将来が変わる

家族信託では「受益者連続型」と呼ばれる仕組みを使い、受益者を将来にわたって指定しておくこともできます。
例:

  • 委託者である父を第1受益者

  • 父が亡くなったら母を第2受益者

  • 母が亡くなったら子を第3受益者

こうしておくことで、財産の承継ルートをあらかじめ決めておけるのです。


4. 三者の関係性を整理すると

家族信託は、委託者・受託者・受益者という三者の役割分担によって成り立ちます。

  • 委託者:財産を信託に出す人(契約を設計する人)

  • 受託者:財産を管理・運用する人(実務を担う人)

  • 受益者:財産から利益を受ける人(生活の安定を得る人)

この関係を図にすると、信託の流れがぐっと理解しやすくなります。

 


5. 実際の活用イメージ

  • おひとり様の場合
     将来、自分が認知症になったときに備えて、信頼できる甥を受託者に指定。自分(委託者兼受益者)の生活費として財産を活用してもらう。

  • ご夫婦の場合
     夫を委託者、妻を受託者にして、自宅不動産を信託。夫が受益者として住み続け、夫が亡くなった後は妻を第2受益者として住まいを守る。

これらの仕組みは、遺言や成年後見制度では対応しにくい柔軟性を持っている点が大きな特徴です。


まとめ

家族信託を理解する第一歩は、「委託者」「受託者」「受益者」という登場人物の役割を押さえることです。
次回は「信託財産にできるもの・できないもの」について具体的に掘り下げていきます。


ご案内(免責・事務所紹介)

本記事は、家族信託の仕組みを分かりやすく解説するために一部内容を簡略化しています。実際に制度を利用する際には、必ず条文や契約書を確認し、専門家にご相談ください。

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