コラム
第1章 開業直後の孤独と現実 2-1 初期の専門固定がもたらす弊害|開業直後こそ「幅広さ」が武器になる
開業してすぐのころ、私は「専門分野を決めなければならない」と思い込んでいました。
相続か? 離婚か? 債権回収か?──何か一つに絞らなければ、名刺もホームページも中途半端になると考えていたのです。
しかし、いざ動き出してみると、電話一本すら鳴らない現実。
専門分野を掲げたからといって、依頼が自然と舞い込むわけではありませんでした。
専門固定が招く三つのリスク
1. チャンスを自ら狭める
開業当初は「依頼ゼロ」からのスタートです。
そこで「相続専門」と打ち出してしまうと、相続案件以外は相談すら受けられない状況に陥ります。
実際、私の最初の問い合わせは「離婚協議書」でした。
もし当時「相続しかやりません」と看板を掲げていたら、その貴重な初案件すら逃していたかもしれません。
2. 経験の幅が広がらない
専門に特化することは中長期的には強みになります。
しかし、最初から分野を絞ってしまうと、行政書士としての実務経験が偏ってしまいます。
たとえば、私の場合は
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離婚協議書+公正証書代理
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債権回収督促の内容証明
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公正証書遺言の作成サポート
といった案件を、開業半年の間に経験することができました。
この「幅広さ」が後の自分の土台となり、「行政書士としての総合力」を育ててくれたのです。
3. 名刺もホームページも機会損失につながる
専門を固定すると、発信する内容も狭まります。
相続専門と打ち出してしまえば、ブログ記事もSNS投稿も相続一辺倒に。
しかし実際に読んでいる人が求めているのは「自分の悩みを解決してくれる行政書士かどうか」です。
私が開業初期に更新したSNSでは、離婚・債権回収・遺言とバラバラに見える内容を発信していました。
結果的に、それが「幅広く対応できる行政書士」という印象を与え、問い合わせにつながったのです。
専門固定よりも「試行」が大切
開業直後に必要なのは「専門性」ではなく「試行錯誤」です。
案件を受けながら、自分が得意だと感じる分野、やりがいを感じる分野を少しずつ見極めていく。
そのためには、まず「選ばれる場」に身を置くことが優先されます。
具体的には、
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マッチングサービスに登録して幅広い依頼を拾う
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SNSやブログで日々の気づきを発信する
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知人・友人からの相談にも積極的に応じる
といった行動が、「最初の半年」においては専門性の追求よりもはるかに効果的です。
体験から学んだこと
半年経って振り返ると、「専門を絞らなくてよかった」と心から思います。
結果的に、離婚・債権回収・遺言といった多様な案件を経験し、依頼者の幅も広がりました。
もし「相続専門」と名乗ってスタートしていたら、
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離婚協議書の初案件
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債権回収督促の内容証明
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公正証書遺言の案件
これらはすべて失っていたでしょう。
開業初期は「案件ゼロをどう脱するか」が最大の課題です。
だからこそ、専門固定は半年から1年後に考えれば十分。
最初の半年は「広く拾い、広く学ぶ」ことこそが、次につながる最大の資産になります。
HANAWA’s Point(成功のコツ)
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専門性は最初から決めるのではなく「実務経験の中で見極める」
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初案件は分野を問わず、時間を惜しまず対応する
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SNSやHPは「幅広さ」を意識して発信する
HANAWA’s Check(失敗予防の注意点)
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「専門を名乗らないと依頼が来ない」という思い込みは危険
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開業初期に分野を固定すると、チャンスを自ら逃すリスク大
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名刺・HP・SNSの内容を狭めすぎない