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コラム

【財産評価 第8回】財産目録作成のポイント|遺言作成時と相続開始時で異なる注意点

はじめに

これまでの連載では、財産目録とは何か、どのように作成するのか、さらに金融資産・不動産・保険・負債といった具体的な財産の評価方法について見てきました。

今回からはいよいよ「まとめ」に入ります。
第8回のテーマは、シリーズの中核となる 「遺言作成時」と「相続開始時」の財産目録の違い」 です。

一見すると「財産目録」はどちらの場合も同じように財産を書き出すだけに思えるかもしれません。
しかし、目的が違えば求められる内容・精度・作り方は大きく変わります。

  • 遺言作成時:トラブル防止のため、財産を正確に特定して記載することが大切。

  • 相続開始時:相続人どうしで話し合い、税務申告を行うため、漏れなく財産を把握することが大切。

今回の記事では、この「目的の違い」をわかりやすく整理し、実務上の注意点を解説していきます。


1. 遺言作成時の財産目録:財産を「正確に特定」するために

遺言は「自分の財産を誰にどう渡すか」を指定する法的な文書です。
ここで重要なのは、後から読んだ人が誤解せずに理解できることです。

1-1. 「何を渡すか」が明確でなければトラブルになる

例えば、

  • 「自宅を長男に相続させる」
    と書かれた場合、複数の不動産を所有していたらどれを指すのか不明確になります。

一方で、

  • 「東京都○○区△△1丁目2番3 地番×× 家屋番号△△の建物を長男に相続させる」
    と書けば、誰が見ても一つに特定できます。

1-2. 金額はそこまで厳密でなくてもよい

遺言の目的は「特定」です。
評価額を細かく記載しても、将来価格が変動すると逆に混乱を招きます。
例えば不動産や株式は数年で価値が大きく変わります。

そのため遺言作成時は、

  • 「どの財産か」→ しっかり記載

  • 「いくらか」→ あえて細かく書かない

というバランスが実務的に望ましいのです。

1-3. 将来の安心につながる

正確に特定しておけば、相続人が「これは父の意図どおりだ」と納得しやすくなります。
遺言は「残される家族の安心」のための道具です。その第一歩が「特定」なのです。


2. 相続開始時の財産目録:漏れなく財産を把握するために

一方で、相続が実際に始まると財産目録の役割は一変します。

2-1. 相続人全員の共有資料になる

相続人が集まって「誰が何をもらうか」を話し合う際、全員が同じ情報を持っている必要があります。
もし財産の記載漏れがあると、「隠し財産があるのでは?」と不信感を生み、トラブルに直結します。

2-2. 税務のために正確な評価が求められる

相続税の申告では、財産を「時価」で評価しなければなりません。

  • 預金 → 相続開始日の残高

  • 不動産 → 路線価や固定資産税評価を用いた時価

  • 株式 → 上場株式なら相続開始日の終値など

  • 保険金 → 受取人や契約形態ごとに課税の有無が変わる

つまり、相続開始時の財産目録は「税務調査に耐えうる正確性」が必要になります。

2-3. 負債も含めて明らかにする

相続ではプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も引き継ぎます。
この確認を怠ると、後から「借金が見つかった」という深刻な事態にもなりかねません。


3. 違いを整理するとこうなる

項目 遺言作成時 相続開始時
主な目的 財産を正確に特定し、遺言の効力を高める 相続人全員で共有し、遺産分割・税務申告に活用
必要な精度 誰が見ても財産を特定できればよい 税務調査に耐えられる「漏れなく正確な評価」
関与する人 遺言者本人+専門家 相続人全員+税務署+専門家
金額の扱い 詳細な評価は不要 時価で正確に評価する必要あり

4. 具体例で考える

ケース1:不動産

  • 遺言作成時 → 登記事項証明に基づき「所在地・地番・家屋番号」を記載。評価額は不要。

  • 相続開始時 → 固定資産税評価額や路線価に基づいて正確に評価。

ケース2:預金

  • 遺言作成時 → 「○○銀行△△支店 普通預金 口座番号12345」と特定。金額はその時点の残高を書かなくてもよい。

  • 相続開始時 → 相続開始日現在の残高証明書を取得し、税務申告で使用。

ケース3:株式

  • 遺言作成時 → 「A株式会社 株式100株」と銘柄・株数を明示。

  • 相続開始時 → 相続開始日の終値で評価。場合によっては相続税評価額の特例計算も必要。

こうした比較からも、目的に応じて作り方が全く異なることがわかります。


5. 行政書士ができること、できないこと

ここで、当事務所の立場についても整理しておきます。

  • 行政書士は文書作成のプロ
     遺言書や財産目録、相続関係説明図の作成などをサポートします。

  • 弁護士との違い
     行政書士は紛争の代理や交渉はできません。相続人どうしで揉めている場合は弁護士にご相談ください。

  • 全国対応可能
     HANAWA行政書士事務所では、リモートで打合せを行い、全国どこからでも内容証明や財産調査に関する文書作成のサポートを実施しています。

  • 注意点
     本記事はわかりやすくするため簡略化しています。実際の手続きは法令や個別事情により異なります。詳細は条文を確認するか、必ず専門家にご相談ください。


まとめ:目的の違いを理解することが第一歩

財産目録は「遺言作成時」と「相続開始時」で大きく意味が異なります。

  • 遺言作成時 → 「特定」のために作る。金額よりも財産の明確化が重要。

  • 相続開始時 → 「漏れなく・正確に把握する」ために作る。税務や分割協議に直結する。

この違いを理解することが、トラブルを防ぎ、家族に安心を残す第一歩です。

次回(第9回)では、この違いを踏まえたうえで、**「財産調査から遺産分割・名義変更・相続税申告までの全プロセスをまとめたチェックリスト」**をお届けします。
実務に直結する「最終ステップ」になりますので、ぜひ続けてご覧ください。


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