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コラム

【財産評価 第7回】 自動車・骨董品など動産の評価方法|売却額と相続税評価額の違いを理解する

はじめに

相続の場面では、まず「遺産に何が含まれるのか」を確認し、その後「それぞれの財産をいくらで評価するのか」を考えることになります。銀行口座や不動産のように比較的ルールが明確な財産に比べ、自動車・骨董品・貴金属・美術品などの「動産」は評価が難しい財産の代表例です。

例えば、同じ車でも「中古車市場で売れば100万円」「相続税の評価額は50万円」といった差が出るケースがあります。また、絵画や骨董品のように市場価格が流動的な財産は、家族間での評価方法をめぐってトラブルになることも少なくありません。

今回は、こうした 動産の調査・評価の基本的な考え方 と、実務でよく問題になる 「売却価格」と「相続税評価額」の違い について解説していきます。


1. 相続財産としての動産とは?

相続財産に含まれる動産は多岐にわたります。代表的なものを整理すると次のとおりです。

  • 自動車・オートバイ

  • 貴金属(指輪、時計、金貨など)

  • 骨董品・美術品(掛け軸、陶磁器、絵画など)

  • 家具・電化製品

  • 趣味のコレクション(切手、ワイン、カメラなど)

特に相続税申告の対象となる遺産は、「被相続人が亡くなった時点で所有していたすべての財産」とされており、たとえ市場で売りにくい品物であっても含まれます。

「使いかけの洋酒」「古い着物」「趣味で集めた書籍」といった財産も、価値の有無を調査する必要があるため、想像以上に幅広いものが対象になるのです。


2. 自動車の評価方法

自動車は多くのご家庭に存在する財産ですが、評価にはいくつかの方法があります。

(1) 相続税評価額

国税庁の通達によれば、自動車の評価は「中古車販売業者が販売する価格(時価)」を基準にします。実務上は以下の資料が参考にされます。

  • 自動車販売業者の査定書

  • 中古車情報誌・Webサイトの市場価格

  • 日本自動車査定協会(JAAI)の査定結果

この「査定額」が相続税評価額となるのが原則です。

(2) 売却価格との違い

実際に売却するときの金額と、相続税申告上の評価額は必ずしも一致しません。
例えば、相続税の申告のために査定した評価額が「50万円」でも、実際に買取業者に売ったら「80万円」になる場合があります。

  • 相続税評価額 → 税務処理のための基準

  • 売却価格 → 実際に得られる現金額

つまり、税務と実務で数字がズレる可能性がある点に注意が必要です。

(3) 名義変更・廃車手続き

相続が発生すると、自動車は必ず名義変更か廃車手続きを行わなければなりません。

  • 相続人が使用する場合 → 陸運局で名義変更

  • 不要な場合 → 買取業者に売却、または廃車手続き

この際、相続人全員の同意が必要となるケースがあるため、早めに遺産分割協議を整えることが重要です。


3. 骨董品・美術品の評価方法

骨董品や美術品は、自動車以上に評価が難しい動産です。

(1) 相続税評価額

国税庁の通達では、「取引価格が存在する場合は、その時価」で評価することとされています。
しかし、骨董品や美術品は同じ品物でも、鑑定人や市場によって評価が大きく異なることがあります。

実務では以下の方法が取られます。

  • 専門の鑑定人による評価書を取得する

  • 美術商やオークション会社の査定額を参考にする

  • 相続税評価に詳しい税理士と連携する

(2) 売却価格との違い

美術品は「評価額は高いが、実際に売ると買い手がつかず安くなる」ことが多い分野です。
逆に、「市場の人気によって急に値上がりする」こともあります。

相続人の間で「税務上の評価額は1,000万円なのに、売ってみたら500万円しかならなかった」といったトラブルが起こることも少なくありません。

(3) トラブル回避のポイント

  • 複数の鑑定を取り、評価の妥当性を検証する

  • 遺産分割協議では「相続税評価額」と「実際の換金可能額」の両方を考慮する

  • 相続人間で「将来売却した場合の金額は共有する」といったルールを決める

こうした工夫が、後々の争いを防ぐポイントになります。


4. 貴金属・高級時計などの評価

貴金属やブランド時計は、比較的評価しやすい動産です。

  • 貴金属 → 重量と当日の相場価格で評価

  • ブランド時計 → 中古市場の取引価格(Web査定・買取店査定)

ただし、限定品やプレミアがついている場合は市場価格が変動するため、専門店の査定が望ましいです。


5. 売却価格と相続税評価額の違いを理解する

今回のテーマで最も重要なのは、「売却価格と相続税評価額は別物」であるという点です。

  • 相続税評価額 → 相続税の計算のために国税庁のルールで定められる額

  • 売却価格 → 実際に市場で現金化できる額

同じ財産でも、これらが一致することは少なく、しばしば差が生じます。

実務への影響例

  1. 相続税評価額が高い → 相続税の負担が重くなるが、実際に売却すると低く売れるため資金繰りが厳しくなる

  2. 相続税評価額が低い → 税務上は有利だが、売却時に高く売れた場合は譲渡所得課税が発生する可能性がある

つまり、「評価と売却は別の問題」と理解し、両方を考慮した遺産分割・納税計画を立てる必要があります。


6. 動産調査の流れまとめ

  1. 動産をリストアップする(自動車、貴金属、骨董品など)

  2. それぞれの評価方法を調べる(査定書・鑑定書を入手)

  3. 相続税評価額を確定する(税理士と連携)

  4. 実際の売却可能額を確認する(複数の業者に見積り)

  5. 相続人全員で協議し、分割や売却方針を決定する

この流れを踏むことで、無用なトラブルを避け、スムーズな相続手続きを進めることができます。


まとめ

  • 自動車や骨董品などの動産は、相続財産として評価が必要

  • 相続税評価額と売却価格は異なるため、両方を把握して協議することが重要

  • 鑑定人や専門業者の意見を取り入れ、客観的な資料を準備することでトラブルを防止できる

動産の評価は「税務のルール」と「市場の実態」の両方を理解する必要がある難しい分野です。専門家のサポートを受けながら、慎重に進めることをおすすめします。


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