コラム
遺言・相続は誰に頼むべき?弁護士・税理士・司法書士・行政書士の特徴と実務の落とし穴
専門家選びで失敗すると後悔する理由
遺言書作成や相続手続きは、一見シンプルに思えても、実務では非常に複雑です。
誰に相談すべきか迷った結果、「とりあえず行政書士に依頼した」というケースも少なくありません。しかし、財産分割で紛争が発生したり、相続税申告が必要になった段階で、追加の専門家に依頼することになり、時間も費用も余計にかかることがあります。
例えば、親が亡くなった直後に行政書士に遺言執行や財産整理を依頼して手続きを進めていた場合でも、兄弟姉妹間で遺産分割の解釈に食い違いが出れば、最終的には弁護士を立てて調停や訴訟を行う必要が出ることもあります。
このように、「誰に何を頼むか」は、相続トラブルの発生リスクや財産の種類・規模によって判断すべき重要なポイントです。
本記事では、弁護士・税理士・司法書士・行政書士の特徴、メリット・デメリット、実務上の落とし穴を詳しく整理します。
※記事は分かりやすく簡略化しています。詳細は条文確認や専門家相談を前提にしてください。
※行政書士は弁護士のように交渉や紛争対応はできませんが、文書作成や手続きサポートのプロです。
※HANAWA行政書士事務所では、リモート打合せで全国から内容証明や遺言書作成のサポートを行っています。
1. 弁護士に依頼する場合
1-1 特徴
-
紛争解決・交渉のプロであり、裁判所対応も可能
-
遺産分割調停や遺言無効確認訴訟など、争いが前提の案件に強い
1-2 メリット
-
遺言の内容解釈に争いが出ても代理人として対応可能
-
相続人間の交渉や、訴訟まで任せられるので安心
1-3 デメリット
-
報酬が高額になりやすい
-
紛争性のない案件では、書類作成だけでも費用感が大きくなる
1-4 実務上の痒いポイント
-
遺言書が行政書士作成のものであっても、紛争が発生すれば最終的には弁護士対応が必要になるケースがある
-
弁護士費用は時間単価+着手金+成功報酬の組み合わせが多く、見積もり確認が必須
2. 税理士に依頼する場合
2-1 特徴
-
相続税・贈与税の専門家
-
財産評価、相続税申告、節税対策が得意
2-2 メリット
-
相続税申告が必要な場合、正確な評価や特例適用が可能
-
複雑な資産(不動産、株式、海外資産)も適切に評価できる
2-3 デメリット
-
紛争解決や遺言書作成は基本的に対応不可
-
相続人間の調整や書類作成は別の専門家が必要
2-4 実務上の痒いポイント
-
相続税がゼロでも財産評価を依頼すると、後々の揉め事回避につながる
-
財産目録の精緻さが後の遺産分割や遺言執行に直結する
-
過小評価や非課税枠を誤ると、税務上の問題が発生する可能性あり
3. 司法書士に依頼する場合
3-1 特徴
-
不動産・会社登記、戸籍の取得、相続登記の専門家
-
遺産分割協議書の作成や登記申請が可能
3-2 メリット
-
不動産名義変更を正確に行える
-
協議書の形式や登記要件を正確に整えてくれる
3-3 デメリット
-
相続税申告や紛争対応は不可
-
書類作成は可能でも、争いがあると代理人にはなれない
3-4 実務上の痒いポイント
-
遺言書作成後、司法書士に協議書作成と相続登記を依頼すると、形式不備や記載不足を防げる
-
複数の不動産や共有名義の場合、相続人間の調整が必要
4. 行政書士に依頼する場合
4-1 特徴
-
遺言書作成、財産目録作成、内容証明など書類作成の専門家
-
紛争性のない案件で効率的に手続きサポート可能
4-2 メリット
-
事前準備でトラブルを防止できる
-
書類作成・整理が効率的にできる
-
全国リモート対応が可能
4-3 デメリット
-
紛争や交渉には対応できない
-
相続税申告は不可
4-4 実務上の痒いポイント
-
行政書士に依頼した後、相続人間で解釈争いが発生すると、最終的には弁護士対応が必要になる
-
財産調査で漏れがあると、遺言執行時に追加手続きが必要
-
デジタル資産やオンライン口座の整理は専門知識が必要
5. 実務経験から見た「依頼順序と落とし穴」
-
争いの可能性がある場合は弁護士を先に
→ 行政書士や司法書士に依頼後に争いが発生すると、書類の作り直しや調整が必要 -
財産の種類・規模を把握して税理士に相談
→ 財産評価や節税策を事前に検討すると、相続後のトラブルを減らせる -
不動産登記は司法書士
→ 財産目録や遺産分割協議書を正確に整える -
事前準備・書類整理は行政書士
→ 遺言書作成、財産目録作成、内容証明など
6. 専門家を組み合わせた実務例
-
ケース1:高齢の親が不動産・預貯金・株式を保有、家族間で揉める可能性あり
-
行政書士で遺言書・財産目録作成
-
司法書士で相続登記
-
弁護士で調停・交渉
-
税理士で相続税申告
-
-
ケース2:相続税申告不要、争いなし
-
行政書士に遺言書作成・財産整理のみ依頼
-
司法書士に相続登記のみ依頼
-
-
ケース3:最初に行政書士に依頼、後で争い発生
-
遺言書作成・財産整理を行政書士に依頼
-
相続人の一部が内容に異議
-
弁護士介入で調停、行政書士作成書類の補正が必要
-
7. 専門家選びのチェックリスト
-
財産規模はどのくらいか
-
相続人間で争いの可能性はあるか
-
相続税申告が必要か
-
不動産登記があるか
-
デジタル資産や口座管理は必要か
-
書類作成・整理のサポートが欲しいか
8. まとめ
-
遺言・相続はケースによって専門家の選択が変わる
-
争いの有無、財産の種類、手続きの複雑さで判断する