Tel: 090-3718-2803

営業時間:10:00~23:00
(年中無休)

メニュー

コラム

第1章 開業直後の孤独と現実 1-2 なぜ仕事は自動的に来ないのか(市場構造・知名度ゼロの壁)

なぜ仕事は自動的に来ないのか(市場構造・知名度ゼロの壁)

名刺を刷り上げた夜、机の上に積まれた100枚の紙を見つめながら、私は小さく笑った。「さて、誰に渡せばいいんだ?」
達成感と虚しさが同居する瞬間だった。開業前は、名刺さえ作れば自然と仕事が舞い込むと思っていた。しかし現実は、想像以上に静かで、電話もメールも問い合わせも、何も鳴らなかった。

私が開業したタイミングで、世間における私の存在感はほぼゼロだった。行政書士という職業は、日常的に必要になるものではないため、名前や事務所の信頼度が知られていない状態では、初めての問い合わせすら発生しにくい。以前の同僚や地元の知人に名刺を渡しても、多くは「開業は知っているけれど、今は必要な案件はない」という反応だった。これは冷たさではなく、必要性とタイミングの問題だった。私が開業したタイミングと、相談者が行政書士を必要とするタイミングは必ずしも一致しないのだ。

ここで理解したのは、開業直後の知名度ゼロの壁である。市場には、すでに信頼されている行政書士や事務所が多数存在する。相談者にとって未知の私よりも、紹介で安心できる既存の事務所の方が心理的ハードルが低い。私が開業した初日から、この壁に直面した。誰にも知られていない状態では、どんなに努力して名刺を作っても、仕事は自動的には来ないのだ。

さらに、市場構造そのものが、私にとって仕事が来にくい条件を作っていた。行政書士の業務は、日常生活で頻繁に必要になるものではなく、案件の発生はタイミングに大きく依存する。たとえば、許認可手続きは事業開始時や新規事業のタイミングで発生するし、相続手続きは家族の事情や遺産発生のタイミングに左右される。契約書作成や補助金申請も、計画的なタイミングで行われることがほとんどだ。このため、「開業したから自然と仕事が来る」という幻想は、初めから現実離れしていた。

私が開業した最初の数週間、問い合わせゼロの状態が続いた。その間、名刺や案内資料を手元に置き、頭の中で「誰に渡すべきか」「どの順番で営業すればいいか」とシミュレーションを繰り返した。しかし、行動を起こしてもすぐには結果が出ない。焦りと不安が募る中で、私は**「集客は待つものではなく、自ら作るものだ」**ということを初めて実感した。

開業直後の私にとって、もう一つの現実は、相談者側の視点で考えた心理的ハードルの高さだった。初めて行政書士に相談する人にとって、知名度ゼロの事務所に依頼することは勇気がいる行動だ。どんなに優れた専門知識を持っていても、名前や実績が知られていなければ、問い合わせに至るまでの心理的抵抗は大きい。私が開業した当初、この抵抗の高さを甘く見ていた。

また、行政書士として開業した直後は、仕事を依頼する側の「必要性」とこちらの「提供可能性」のタイミングが一致しにくいことも痛感した。例えば、相続の相談は家族が亡くなった直後に必要になるが、そのタイミングで私の存在を知らなければ、依頼は生まれない。許認可の手続きも、会社設立や事業変更のタイミングが決まっており、開業初日に問い合わせがあるわけではない。つまり、仕事が自動的に流れてくることは制度上も市場上も想定されていないのだ。

このように、私が開業したタイミングで実感したのは、開業=仕事が来るわけではないという現実である。知名度ゼロの状態で問い合わせを期待しても、結果は得られない。必要なのは、まずこの事実を受け入れることだ。現実を理解し、焦らず、地道に自分の存在を広めていくことが、開業直後に経験する最初の試練である。

加えて、行政書士の業務特性も、この状況に影響する。日常的に必要とされる業務が少ないため、案件の発生頻度は低く、特定のタイミングでしか仕事が生まれない。私が開業したタイミングでは、これを十分に理解していなかったため、問い合わせゼロの現実に直面して戸惑ったのだ。

まとめると、私が開業したタイミングで体感した「仕事が自動的に来ない理由」は以下の通りである。

  1. 知名度ゼロの壁:相談者から見て未知の私より、安心できる既存事務所が優先される。

  2. 市場構造の制約:行政書士業務は日常的に必要ではなく、案件の発生はタイミングに依存する。

  3. 相談者側の心理的ハードル:初めて依頼する人は、未知の事務所に依頼する心理的抵抗が大きい。

  4. 開業=仕事ではない現実の受容:問い合わせは待っていても来ないことを理解する必要がある。

開業直後の私にとって、この現実は受け入れがたかったが、これを理解したことが、後の行動指針の基礎となった。焦らず、現実を冷静に見つめること。これが、開業初期を乗り越えるための最初の重要なステップである。


HANAWA’s Point

  1. 現実を受け入れる
     開業=仕事が自動的に来るわけではないことを理解し、焦らず計画的に行動する。

  2. 地道な認知拡大が不可欠
     まずは、自分の存在を知ってもらうこと。名刺や資料の準備だけでなく、接点を増やす工夫を意識する。

  3. タイミングを意識した行動
     案件の発生は相談者の必要性と連動しているため、待つのではなくタイミングに合わせて働きかけを準備する。

HANAWA’s Check

  1. 知名度ゼロの壁を忘れない
     開業直後は、誰もあなたを知らない状態であることを常に意識する。

  2. 心理的ハードルを理解する
     初めて依頼する相談者は未知の事務所に不安を感じる。初回接触で信頼を与えられる対応を意識する。

  3. 幻想に注意
     「名刺を作ったら自然と仕事が来る」と考えるのは誤り。問い合わせは自分で作るものと心得る。


HANAWA行政書士事務所のホームページはコチラから

お問合せはコチラから