コラム
【財産評価 第5回】生命保険・年金・退職金は相続財産?見落としがちな財産調査と請求方法
相続手続きを始める際、多くの方がまず思い浮かべるのは預貯金や不動産など「目に見える財産」です。しかし、財産調査を進める中で見落とされがちなのが、故人名義の生命保険・年金・退職金です。
これらの財産は故人の口座から引き落とされたり、勤務先から支払われたりするため、家族が加入状況や受取人を把握していないことも少なくありません。特に死亡保険金や死亡退職金は、相続税の計算上、**「みなし相続財産」**として課税対象となる重要な財産です。
今回は、見落としがちな財産の調査方法と税務上の扱いを整理し、実務上の注意点も交えて解説します。
なお、本記事は分かりやすくするため簡略化しています。詳細は条文や契約書を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。
なぜ保険・年金・退職金の調査が必要なのか
財産調査を行う目的は大きく3つです。
-
財産を正確に把握するため
故人が加入していた保険、勤務先からの退職金、受給権のある年金などを洗い出し、相続財産目録に漏れなく記載するためです。 -
相続税を計算するため
死亡保険金や死亡退職金は、税務上「みなし相続財産」として課税対象になります。評価額を正確に把握する必要があります。 -
受取手続きを行うため
受取人や請求権者が手続きを行わなければ、財産を受け取ることができません。手続きには期限や必要書類があり、遅れると請求権を失う場合もあります。
生命保険の財産調査と請求方法
1. 加入状況の確認
(1) 自宅にある書類を探す
-
保険証券、契約書、保険料の引き落とし履歴など。
-
通帳やクレジットカード明細を確認し、「保険会社名」「ホケンリョウ」などの振込がないかチェックします。
(2) 信用情報機関への照会
-
故人が加入していた保険会社が不明な場合、**生命保険協会の「生命保険契約照会制度」**を利用できます。
-
ただし、この制度では照会できない保険もあることに注意が必要です。
2. 死亡保険金の税務上の扱い
-
死亡保険金は相続税の計算上、みなし相続財産として課税対象となります。
-
非課税枠の活用
-
500万円 × 法定相続人の数の非課税枠があります。
-
例:法定相続人が3人の場合 → 500万円 × 3人 = 1,500万円まで非課税。
-
3. 実務上のポイント・失敗例
-
保険証券や契約書の確認を怠ると、請求漏れのリスクがあります。
-
振込名義や保険料の引き落とし履歴も必ず確認しましょう。
-
請求期限や必要書類(死亡診断書、戸籍謄本、請求書類)を事前に把握しないと、受取が遅れる場合があります。
年金・退職金の財産調査と請求方法
1. 年金
-
故人が受け取るはずだった年金は原則受給権が消滅しますが、未支給年金は遺族が請求可能です。
-
請求期限:未支給年金は原則5年以内です。
手続き先
-
国民年金:住所地の市区町村役場
-
厚生年金:年金事務所
-
公務員共済年金:共済組合
2. 退職金
-
死亡退職金は受取人指定がある場合は受取人固有財産で、税務上はみなし相続財産として課税対象です。
-
退職金の支給規程によっては、遺族に自動的に支給される場合や、遺産分割の対象となる場合もあります。
手続き先
-
故人の勤務先(人事・総務部門)
3. 実務上の失敗例
-
勤務先への連絡を遅らせると、未払い給与や退職金の請求期限を過ぎてしまう場合があります。
-
年金事務所や市区町村役場への必要書類提出を忘れると、請求が受理されないことがあります。
チェックリスト:調査と請求に必要な準備
-
保険証券や契約書の有無を確認
-
通帳・クレジット明細で保険料振込履歴をチェック
-
「生命保険契約照会制度」を活用(照会できないケースもある)
-
年金手帳・年金定期便の確認
-
勤務先の退職金規程の確認
-
必要書類の整理(死亡診断書、戸籍謄本、請求書類)
-
請求期限や非課税枠の確認
よくある質問
Q1:受取人が複数いる場合はどうなる?
A:死亡保険金・死亡退職金の非課税枠は法定相続人ごとに計算されます。受取人指定がある場合は受取人固有の財産として扱われます。
Q2:契約内容が分からない場合はどうする?
A:保険会社や生命保険契約照会制度、勤務先への確認が基本です。情報が不明な場合は、専門家に相談するとスムーズです。
Q3:手続きが複雑そうで不安です
A:必要書類の整理や請求書類作成を行政書士がサポート可能です。紛争や交渉に関する代理業務はできませんが、文書作成のプロとして受取手続きのお手伝いが可能です。
まとめ
-
生命保険の死亡保険金、死亡退職金は税務上みなし相続財産として課税対象。
-
年金の未支給分も請求手続きを忘れると受取ができない場合がある。
-
財産調査を怠ると、受取漏れや相続税申告漏れのリスクがあります。
-
契約内容・請求期限・必要書類を必ず確認することが重要です。
HANAWA行政書士事務所からのご案内
HANAWA行政書士事務所では、リモートでの打合せにより全国で相続財産調査のサポートを承っております。
私たちは文書作成のプロとして、書類整理や財産目録作成のお手伝いをいたします。
※紛争や交渉に関する代理業務は行えませんので、紛争性のある案件は弁護士にご相談ください。
本記事は内容を簡略化しています。実務では契約内容や条文を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。