コラム
第1章 開業直後の孤独と現実 1-1 開業直後にやってしまいがちな誤解
「開業したら自然と仕事が来る」という幻想
行政書士試験に合格した日、私は達成感に包まれていた。半年間、風呂に入りながらYouTubeで独学し、知識を地道に積み重ねてきた成果が、目の前に現れた瞬間だった。
合格通知を手にしたとき、これで誰かの役に立てるのだという実感が、静かに胸に広がった。すぐに役所へ行き、開業手続きを済ませ、ロゴ入りの名刺を100枚注文した。机の上に積まれた厚紙の束は、これから始まる自分の活動の象徴のように思えた。SNSアカウントも作り、事務所のホームページも公開した。
しかし現実は、私の想像とは違った。登録日やホームページ公開後から電話は鳴っていたが、ほとんどは営業電話ばかり。メールも営業や迷惑メールばかりで、相談や依頼につながるものは一つもなかった。机の上の名刺を眺めながら、小さく息を吐くしかなかった。副業として始めたので生活に困ることはないものの、期待と現実のギャップは、胸にぽっかりと穴を開けるような感覚を与えた。
「開業すれば自然と仕事が舞い込む」「困っている人が私を見つけて助けを求めてくれる」——そんな幻想はすぐに打ち砕かれた。ホームページやSNSの効果は即効性がなく、知名度ゼロの状態で情報を発信しても、初動の反応はほとんどなかった。
あの夜、名刺を手に笑ったのは、期待と同時に漠然とした不安を感じていたからかもしれない。「本当に、この道でやっていけるのか?」という不安が、静まり返った深夜の部屋に響き渡るようだった。
開業届を出したときの高揚感は、あっという間に消え去り、代わりに現実の壁が立ちはだかっていた。行政書士として誰かの役に立ちたい、その想いは確かにある。しかし、その「誰か」は、まだ私の存在すら知らない。私は、深い孤独の中にいた。
HANAWA's Point
-
開業直後は「待つだけでは仕事は来ない」ことを前提にする
-
副業でも、現実を見据えた行動意識が重要
HANAWA's Check
-
名刺やHPを作っただけで安心しない
-
初動の反応が薄くても焦らず、状況を観察する