コラム
後悔しない「財産目録」の作り方|生前準備の第一歩
はじめに
皆さんは、「自分の財産がどれくらいあるか」を正確に把握していますか?
「だいたいはわかるけど、全部となると自信がないな…」と感じる方がほとんどではないでしょうか。
相続をスムーズに進めるためには、まずご自身の財産を整理し、**「財産目録」**を作成することがとても重要です。
先日投稿した**「相続手続きの第一歩は「財産目録」から!なぜ専門家が作成を勧めるのか」**でもその重要性をお伝えしましたが、「いざ作ろうと思っても、何から始めればいいか分からない」というお声を多くいただきます。
そこで今回は、どなたでも簡単に作成できるよう、その作り方をステップ形式で解説します。
なお、本記事では、専門的な内容を初めての方にもご理解いただくため、本記事ではあえて専門用語を避け、平易な表現を用いています。厳密な法令解釈とは異なる部分がある点、あらかじめご了承ください。
財産目録とは?なぜ作る必要があるの?
財産目録とは、亡くなった方のすべての財産(プラスの財産とマイナスの財産)を一覧にしたリストのことです。
相続手続きでは、この財産目録を基に遺産分割協議を進めたり、相続税の申告を行ったりします。
財産目録がないと、次のような問題が起こることがあります。
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遺産分割協議がまとまらない
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「こんな財産があったなんて知らなかった!」
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「親はもっと財産を持っていたはずだ!」
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遺産分割協議中に新たな財産が見つかると、一からやり直す必要が出てきます。
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相続税の申告漏れ
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財産を見落としてしまうと、相続税の申告漏れとなり、後から追徴課税をされる可能性があります。
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「負の遺産」の発覚
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借金などのマイナスの財産を見落とし、後から多額の返済義務を負うことになってしまうケースもあります。
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財産目録は、これらのトラブルを未然に防ぎ、相続を円滑に進めるための「地図」のようなものだと考えてください。
【ひな形付き】後悔しない財産目録の作り方
それでは、財産目録を実際に作ってみましょう。
ご自身で作成する場合は、特別な形式はありません。次の【ひな形】を参考にしながら、まずは書き出していくことから始めてください。
【財産目録のひな形】
財産目録(作成日:____年__月__日)
氏名:________
生年月日:____年__月__日
① 預貯金
銀行名 | 支店名 | 種別 | 口座番号 | 残高(円) |
---|---|---|---|---|
○○銀行 | ○○支店 | 普通 | 1234567 | 1,000,000 |
△△信用金庫 | 本店 | 定期 | 9876543 | 3,500,000 |
② 不動産
所在地 | 地番 | 地目 | 面積 | 権利割合 | 評価額(円) |
---|---|---|---|---|---|
川崎市○○区○○1-2-3 | 123番地 | 宅地 | 150㎡ | 1/1 | 12,000,000 |
東京都○○市○○4-5-6 | 456番地 | 居宅 | 120㎡ | 1/2 | 15,000,000 |
③ 株式・投資信託
証券会社名 | 銘柄 | 口座番号 | 保有数 | 評価額(円) |
---|---|---|---|---|
○○証券 | ○○株式会社 | 123-456789 | 1,000株 | 2,500,000 |
△△証券 | 日本成長投資信託 | 987-654321 | 500口 | 1,200,000 |
④ 保険
保険会社名 | 契約番号 | 契約者 | 受取人 | 種類 | 解約返戻金(円) |
---|---|---|---|---|---|
○○生命 | L-12345678 | 山田太郎 | 山田花子 | 終身保険 | 1,000,000 |
△△損保 | S-87654321 | 山田太郎 | 山田花子 | 自動車保険 | ― |
⑤ 動産
品目 | 特定事項(車台番号・鑑定番号など) | 評価額(円) |
---|---|---|
普通自動車(トヨタ○○) | ABC123456789 | 800,000 |
金製ネックレス(18K・50g) | 鑑定書No.12345 | 350,000 |
骨董品(壺) | 鑑定書No.98765 | 500,000 |
⑥ 負債
借入先 | 契約日 | 残高(円) | 返済条件 |
---|---|---|---|
○○銀行(住宅ローン) | 2015年4月1日 | 8,000,000 | 毎月8万円×残120回 |
△△カード(クレジット) | 2025年7月10日 | 150,000 | 翌月一括 |
○○消費者金融 | 2024年12月15日 | 500,000 | 年利14%、毎月返済 |
財産目録作成の4ステップ
ステップ1:財産の洗い出し
まずは、ご自身のすべての財産を「プラスの財産」と「マイナスの財産」に分けて書き出します。
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プラスの財産(積極財産)
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預貯金:普通預金、定期預金、郵便貯金など
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不動産:土地、建物、マンション
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有価証券:株式、投資信託、債券
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その他:自動車、貴金属、骨董品、生命保険金、貸付金など
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マイナスの財産(消極財産)
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借入金:住宅ローン、カードローン、借金
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未払金:クレジットカードの未払い金、税金、家賃など
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「こんなものも財産になるの?」と迷うものも、まずはメモに残しておきましょう。
見落としやすい財産の例
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家族名義の預金:ご自身が管理している、お子さんやお孫さん名義の預金はありませんか?
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ネット銀行や証券会社の口座:最近はネット銀行などを利用している方も多いので、IDやパスワードを忘れずに控えておきましょう。
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生命保険:加入している保険の証券はどこにありますか?
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貸付金:親族や友人にお金を貸していませんか?
ステップ2:資料の収集
洗い出した財産について、評価額を計算するために必要な資料を集めます。
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預貯金:通帳、残高証明書
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不動産:固定資産税評価証明書、登記簿謄本
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株式:残高証明書、取引報告書
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生命保険:保険証券、解約返戻金計算書
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借入金:残高証明書
これらの資料は、それぞれの金融機関や役所で取得できます。
ステップ3:評価額の記入
収集した資料を基に、ひな形の**「評価額」**欄を埋めていきます。
不動産の評価額は、相続税の計算方法が複雑なため、固定資産税評価額を暫定的に記入しておくのが良いでしょう。正確な評価額については、専門家にご相談ください。
ステップ4:情報を集約・整理
最後に、すべての情報をひな形にまとめ、財産目録を完成させます。
このとき、**財産の所在が分かる資料(通帳や証券の場所など)**も一緒に記載しておくと、さらに見つかりやすく、相続手続きがスムーズになります。
財産目録は「未来のご家族へのプレゼント」です
財産目録の作成は、ご自身の財産と向き合う大切な時間です。
それは、将来ご家族が相続という大変な手続きに直面したとき、**「この財産目録があったから助かったよ」**と感謝される、未来のご家族への最高のプレゼントになります。
まずは、今日ご紹介した【ひな形】を使い、ご自身のペースで一歩踏み出してみませんか?
ご不明な点やご不安なことがありましたら、お気軽にHANAWA行政書士事務所へご相談ください。
私たちは、神奈川県川崎市を中心に、東京、千葉、埼玉の一都三県で、相続・遺言・信託・生前整理のサポートを行っています。