施工体制台帳はいつ必要?
公共・民間の違いと元請が工事開始前に確認したい7項目
「この工事は作成対象か」「施工体系図も必要か」「下請会社から何を集めるか」を、契約関係から順番に整理します。様式を埋める前に、実際の施工体制と提出条件を確認することがポイントです。
最初に確認したい結論
施工体制台帳の要否は、金額だけでは判断しません。まず公共工事か民間工事か、元請として下請契約を締結するかを確認します。民間工事では、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者について、下請契約総額5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上が現行の基準です。公共工事では、元請が下請契約を締結した場合、下請契約額にかかわらず施工体制台帳を作成します。さらに発注者指定の様式・提出書類も確認してください。
公共工事と民間工事では、施工体制台帳の作成条件が異なります。
自社施工だけか、一次下請・再下請を含む施工体制になるかを確認します。
現行基準は5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上です。
法令上の要件とは別に、指定様式や追加項目、提出期限が設定される場合があります。
施工体制台帳が必要になるかを判断する3つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 公共工事か民間工事かで作成条件が変わる
- 元請として下請契約を締結するかを確認する
- 契約金額だけで判断せず発注者の条件も確認する
施工体制台帳が必要かどうかは、工事金額だけを見て決めるものではありません。公共工事か民間工事か、自社が元請か、下請契約を締結するか、民間工事なら下請契約総額はいくらかを順に整理します。そのうえで、発注者独自の提出条件まで確認すると、自社の工事に必要な書類が見えやすくなります。
公共工事か民間工事かで作成条件が変わる
最初に、対象工事が公共工事か民間工事かを確認します。民間工事では、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その工事のために締結した下請契約の総額が5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上となる場合に施工体制台帳等の作成が必要です。
この5,000万円・8,000万円という基準は、2025年(令和7年)2月1日に施行されました。それ以前の4,500万円・7,000万円という資料を保存している場合は、現在の基準と混同しないよう確認しておきましょう。
公共工事では扱いが異なり、元請が下請契約を締結した場合、下請契約額にかかわらず施工体制台帳を作成します。したがって、「工事規模が小さい」「5,000万円未満」という理由だけで作成不要と判断せず、公共・民間の区分から確認することが大切です。
金額基準の見方
施工体制台帳の基準は「元請の請負金額」そのものではなく、施工のために締結する下請契約の総額を見る点が重要です。建築一式工事は8,000万円、それ以外は5,000万円という区分も確認してください。
元請として下請契約を締結するかを確認する
次に、自社が発注者から直接工事を請け負う元請であるか、その工事について下請契約を締結するかを確認します。施工体制台帳は、元請を起点として一次下請、二次下請、三次下請などへ続く実際の施工体制を把握するための書類です。
当初は自社施工を予定していても、工程変更や専門工事の追加によって下請会社へ工事を依頼することがあります。また、一次下請会社がさらに別会社へ工事を請け負わせる場合には、再下請の情報も施工体制へ反映する必要があります。
工事開始時点の予定だけで固定せず、契約追加や再下請が生じたときに書類担当者へ情報が届く仕組みを決めておくと、台帳と現場のずれを減らしやすくなります。
契約金額だけで判断せず発注者の条件も確認する
法令上の作成義務を確認した後は、発注者が定める提出条件も確認します。国土交通省の施工体制台帳等の作成例は実務上の参考になりますが、法令上必要な事項を網羅していれば別様式を使用できる一方、発注者から法令以外の項目について記載・作成を求められる場合があります。
そのため、契約書、特記仕様書、工事関係書類一覧、提出要領、発注者指定様式などを確認し、「どの様式を、いつまでに、どの添付資料と一緒に出すか」まで整理しておくことが重要です。
自社の工事が境界にあり判断しにくい場合は、作成不要と早めに結論付けるより、工事と契約関係を整理したうえで発注者や専門家へ確認すると、その後の準備を進めやすくなります。
施工体制台帳が必要になったら押さえたい3つの関連書類
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 施工体制台帳で工事全体の施工体制を整理する
- 施工体系図で元請・下請の関係を見える化する
- 再下請負通知書などから下位の下請情報を集める
施工体制台帳は、一つの様式だけを完成させれば終わるものではありません。施工体系図、再下請負通知書、契約関係書類などを照らし合わせ、実際の施工体制を同じ内容で説明できる状態にすることが重要です。
施工体制台帳で工事全体の施工体制を整理する
施工体制台帳には、元請・下請の会社情報、工事内容、建設業許可、技術者、社会保険関係など、施工体制を確認するための情報を整理します。作成対象工事では、建設工事の請負契約に該当する一次下請だけでなく、二次下請・三次下請なども把握します。
重要なのは、下請会社から届いた情報を単純に転記することではありません。下請契約書、許可情報、技術者関係資料などの根拠と照らし、施工体制台帳の内容が実際の契約・現場と一致しているかを確認します。
会社数が増えるほど、工事名称の略称、担当範囲、技術者情報などに差が出やすくなります。施工体制台帳を「提出する一枚」ではなく、施工体制を整理する中心資料として扱うと確認しやすくなります。
施工体系図で元請・下請の関係を見える化する
施工体系図は、元請から一次下請、二次下請などへ続く施工分担関係を見える形に整理する書類です。施工体制台帳が各社の詳細情報を記録するのに対し、施工体系図では「どの会社が誰から工事を請け負い、何を担当するか」を把握しやすくします。
たとえば、施工体系図には二次下請会社が載っているのに施工体制台帳側の情報が不足していれば、確認漏れを見つける手掛かりになります。反対に、台帳には会社情報があるのに施工体系図へ反映されていない場合も確認が必要です。
書類を別々に完成させるのではなく、最後に並べて照合することが実務上のポイントです。公共工事では施工体系図の掲示についてもルールがあるため、発注者の案内とあわせて確認してください。
再下請負通知書などから下位の下請情報を集める
元請が直接契約していない二次下請・三次下請の情報は、一次下請会社などから報告を受けなければ把握できません。そこで、再下請負通知書などを通じて下位の請負関係を確認し、施工体制台帳や施工体系図へ反映します。
「一次下請から書類を受け取ったので完了」とせず、その会社がさらに工事を請け負わせる予定があるか、工事途中で再下請が発生していないかも確認してください。
下請契約の段階で、再下請が発生した場合の報告方法、提出先、必要資料を共有しておけば、現場に新しい会社が入った後で書類を追いかける負担を減らしやすくなります。
各社・技術者・許可・社会保険など、施工体制の詳細情報を整理します。
元請・一次下請・二次下請などの施工分担関係を見える化します。
元請が直接契約していない下位の下請情報を把握する材料になります。
下請会社から事前に確認したい5つの情報
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 下請契約書で工事内容と契約関係を確認する
- 建設業許可の有無と許可番号を確認する
- 主任技術者など配置技術者の情報を確認する
- 健康保険・厚生年金・雇用保険などの加入状況を確認する
- 再下請の有無とさらに下位の施工会社を確認する
施工体制台帳の整備をスムーズにするには、提出直前ではなく、下請契約を結ぶ段階から必要事項を集めることが効果的です。「契約・許可・技術者・社会保険・再下請」の5項目に分けると、会社ごとの不足情報を管理しやすくなります。
下請契約書で工事内容と契約関係を確認する
まず、下請会社との契約内容を確認します。会社名を聞くだけではなく、誰が誰に、どの工事を、どの範囲で請け負わせているのかを契約関係書類から確認することが大切です。
施工体制台帳、施工体系図、注文書・請書などで工事名称や施工範囲が異なると、提出前の確認に時間がかかります。略称の違いなのか、契約内容の違いなのかを区別できるよう、根拠資料とひも付けて管理しましょう。
再下請がある場合は、その先の契約関係も把握します。口頭連絡だけで施工体制を組み立てず、確認できる資料を残しておくことが後の照合に役立ちます。
建設業許可の有無と許可番号を確認する
下請会社については、建設業許可の有無、許可番号、許可業種などを確認します。ただし、「許可番号を集めたら完了」ではなく、今回請け負わせる工事内容との関係を見ることが重要です。
また、施工体制台帳の記載対象と建設業許可の要否は同じ考え方ではありません。施工体制台帳作成対象工事では、建設工事の請負契約に該当する下請負人について、無許可業者であっても記載対象となる場合があります。
継続取引先でも、以前の工事で取得した情報が現在と同じとは限りません。今回の工事で使用する情報として確認し、許可の要否や業種との関係に迷う場合は、契約内容とあわせて整理してください。
主任技術者など配置技術者の情報を確認する
施工体制を確認するときは、主任技術者・監理技術者などの配置についても確認します。氏名を把握するだけでなく、今回の工事でどの立場になるのか、資格や雇用関係など確認が必要な事項がないかを見ます。
施工体制台帳の記入欄を埋められることと、技術者配置が適切であることは同じではありません。元請・下請の立場、下請契約額、許可区分、資格、専任・兼務など、別の判断軸が関係する場合があります。
「この人を記載すればよいか」「主任技術者と監理技術者のどちらか」と迷うときは、台帳だけで判断せず、予定工事の条件から確認しましょう。
健康保険・厚生年金・雇用保険などの加入状況を確認する
健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの加入状況も確認項目に含まれます。国土交通省が公開する施工体制台帳・再下請負通知書の作成例にも、社会保険関係の記載欄があります。
下請会社が多い現場では、一社の確認が止まると全体の書類整備が進みにくくなるため、契約時に提出資料の一覧を共有する方法が有効です。
「提出済み」「内容確認済み」「修正確認中」「未提出」など、受領と確認を分けて管理すると、手元に書類があるだけで確認済みと扱ってしまうことを防ぎやすくなります。
再下請の有無とさらに下位の施工会社を確認する
一次下請会社が工事の一部をさらに別会社へ請け負わせる場合は、二次下請以降も含めて施工体制を把握します。元請が直接契約していない会社だからといって、施工体制の確認から外れるわけではありません。
契約時点で「再下請の予定があるか」を確認し、工事途中で再下請が決まった場合には元請へ報告するルールを共有しておくことが大切です。
現場に新しい会社が入っているのに台帳や体系図が当初のまま、という状態を避けるためにも、現場担当者と書類担当者の情報共有まで含めて運用を決めておきましょう。
初めて元請になる会社が間違えやすい4つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 「小規模工事だから不要」と金額だけで判断しない
- 施工体制台帳だけ作って施工体系図を忘れない
- 下請会社から届いた情報をそのまま転記しない
- 以前使った様式を別の工事でもそのまま使わない
初めて元請として現場書類を整えると、施工体制台帳を「指定様式へ入力する仕事」と捉えやすくなります。実務では、書類の形より、契約・施工体制・技術者・許可などと内容が一致しているかが大切です。
「小規模工事だから不要」と金額だけで判断しない
民間工事では現行の5,000万円・8,000万円という金額基準が重要ですが、公共工事では下請契約を締結した場合、下請契約額にかかわらず施工体制台帳を作成します。
したがって、工事の規模感や元請の請負金額だけを見て判断せず、「公共か民間か」「自社が元請か」「下請契約があるか」「民間なら下請契約総額はいくらか」「発注者の指定はあるか」を順番に確認してください。
過去の工事で不要だった経験があっても、今回の契約関係や発注者が同じとは限りません。工事ごとに判断根拠を残す運用にすると、担当者が変わっても確認しやすくなります。
施工体制台帳だけ作って施工体系図を忘れない
施工体制台帳の作成対象となる工事では、施工体系図もセットで確認します。台帳は各社の詳細情報、体系図は施工分担関係を把握する役割があるため、片方だけでは全体を確認しにくくなります。
特に下請階層が増える現場では、施工体系図と台帳を照らし合わせることで、会社の抜け、再下請情報の不足、施工範囲のずれなどを見つけやすくなります。
完成時に「会社名」「請負関係」「担当工事」が一致しているかを確認する手順を、提出前チェックへ組み込んでおきましょう。
下請会社から届いた情報をそのまま転記しない
下請会社から届いた書類は、受け取った時点で確認済みとは考えず、契約関係書類や許可・技術者資料と照合します。入力ミスだけでなく、以前の工事の情報が残っている場合もあるためです。
とくに、許可番号、工事内容、配置技術者、社会保険、再下請の有無は、書類同士を横断して確認したい項目です。再下請負通知書に会社があるのに施工体系図へ反映されていない場合は、更新状況を確認します。
書類担当者が「情報を集める人」だけでなく、「実際の施工体制と一致しているかを確認する人」という視点を持つと、提出前の整理が進めやすくなります。
以前使った様式を別の工事でもそのまま使わない
以前使ったExcel等を流用すると作業は早くなりますが、今回の工事でも同じ様式でよいかを先に確認してください。国土交通省の作成例以外の様式も、法令上必要な事項を網羅していれば利用できますが、発注者が追加項目や指定様式を求める場合があります。
また、2025年2月1日のように金額基準が改正されることもあります。過去のファイルに古い説明や基準が残っていないかも確認が必要です。
「前回受理されたから今回も同じ」と考えるより、発注者、工事内容、契約時期、提出要領を今回の工事ごとに確認する運用が適しています。
発注者への提出前に確認したい3つの注意点
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 発注者指定の様式や提出書類がないか確認する
- 台帳・施工体系図・契約関係の内容に矛盾がないか確認する
- 工事途中で下請会社が増えた場合は情報を更新する
提出直前は、空欄がないかだけでなく、「発注者の条件に合っているか」「書類同士の内容が一致しているか」「現在の施工体制を反映しているか」を確認します。提出後の修正を減らすためにも、複数資料を横並びで見ることが大切です。
発注者指定の様式や提出書類がないか確認する
施工体制台帳を作り始める前に、発注者指定の様式、提出方法、期限、添付資料を確認します。国土交通省の作成例を使えばすべての工事・発注者に対応できるわけではありません。
確認したいのは、指定様式の有無、関連書類、提出期限、紙・電子の別、独自の記載項目です。発注者の条件が後から分かると、下請会社へ追加確認が必要になる場合があります。
先に提出条件を把握し、それに合わせて下請会社へ収集項目を案内すると、同じ情報を何度も依頼する負担を減らせます。
台帳・施工体系図・契約関係の内容に矛盾がないか確認する
施工体制台帳だけを単独で見るのではなく、施工体系図、再下請負通知書、下請契約書などと照らし合わせます。各書類が同じ施工体制を示していることが重要です。
提出前に見つけたい不一致の例
- 施工体系図には会社があるのに施工体制台帳に情報がない
- 下請契約書と台帳で工事名称・施工範囲が一致していない
- 技術者名や立場が関係資料と異なる
- 再下請負通知書の会社が体系図へ反映されていない
一つの書類だけを見ると完成しているようでも、並べると不足が見つかることがあります。「空欄確認」と「整合性確認」を別の作業として行うと効果的です。
工事途中で下請会社が増えた場合は情報を更新する
施工体制台帳は、工事開始時に一度作れば終わりではありません。下請会社の追加、再下請の発生、技術者等の変更など、施工体制に変更があれば、その内容を適切に反映します。
現場担当者は変更を把握していても、書類担当者へ伝わっていないケースがあります。そのため、「新しい下請契約を結ぶとき」「再下請が決まったとき」「技術者等が変わるとき」を報告のタイミングとして決めておくと管理しやすくなります。
施工体制の変更と書類更新を別々に扱わず、一つの社内手続きとして連動させることがポイントです。
工事開始前に確認できる施工体制台帳の7項目チェックリスト
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 施工体制台帳の作成対象に該当するか
- 下請会社との契約内容を確認できているか
- 各社の建設業許可情報を確認できているか
- 主任技術者などの配置を確認できているか
- 社会保険の加入情報を確認できているか
- 再下請を含む施工体制を把握できているか
- 発注者指定の様式・提出期限を確認できているか
実務では「確認済み・確認中・未確認」の3段階で管理すると、資料が届いているだけなのか、内容まで確認できているのかを区別できます。次の7項目は、工事ごとの保存用チェックとしても利用できます。
施工体制台帳の作成対象に該当するか
公共・民間の区分、自社が元請か、下請契約を締結するか、民間工事なら下請契約総額が現行基準に該当するかを確認します。2025年2月1日施行の現行基準は5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上です。
公共工事では金額の扱いが異なるため、5,000万円未満という理由だけでは作成不要と判断できません。さらに発注者独自の提出条件も確認し、要否を判断した根拠を残しておくと社内共有にも役立ちます。
下請会社との契約内容を確認できているか
会社名だけでなく、誰が誰に、どの工事を請け負わせているかを契約関係書類で確認します。一次下請だけでなく、再下請がある場合はその先の契約関係も把握してください。
注文書・請書、契約書などの所在まで分かる状態にし、施工体制台帳・施工体系図と照合できるようにすると、後から担当者が確認するときも分かりやすくなります。
各社の建設業許可情報を確認できているか
下請会社の建設業許可の有無、許可番号、許可業種などを確認します。今回の工事内容との関係を見ることも重要です。
なお、無許可業者だから施工体制台帳へ記載しない、という整理にはなりません。施工体制台帳の記載対象と許可の要否は分けて確認し、許可について疑問があれば請負金額・工事内容と合わせて整理しましょう。
主任技術者などの配置を確認できているか
主任技術者、監理技術者などの氏名だけでなく、資格、雇用関係、今回の工事での立場など、必要な確認ができているかを見ます。
技術者配置は工事金額、元請・下請の立場、許可区分、専任・兼務など複数の条件が関係します。施工体制台帳の欄を埋める作業とは別に、配置自体の適否を確認する視点を持ってください。
社会保険の加入情報を確認できているか
健康保険、厚生年金保険、雇用保険等について、下請会社から必要情報を集め、確認状況を管理します。会社数が増えるほど、どの会社の何が未確認なのかを一覧化することが有効です。
過去工事のデータをそのまま流用せず、今回の工事で使う情報として確認したかを記録しておくと、書類更新時にも追いやすくなります。
再下請を含む施工体制を把握できているか
一次下請だけでなく、二次下請・三次下請などを含めた施工体制を確認します。「元請→一次下請→二次下請」という関係を施工体系図へ落とすと、情報が不足している会社を見つけやすくなります。
再下請の予定がまだ決まっていない場合は、発生時の報告方法を下請会社へ伝えておきましょう。工事中の変更を元請が把握できることが重要です。
発注者指定の様式・提出期限を確認できているか
法令上必要な項目だけでなく、発注者指定様式、追加項目、添付資料、提出方法、提出期限を確認します。指定の確認は完成後ではなく、書類を作り始める前に行うのが効率的です。
保存用チェック
- □ 公共・民間、元請・下請、下請契約額を確認した
- □ 下請契約の内容と契約書類を確認した
- □ 建設業許可の情報を確認した
- □ 主任技術者・監理技術者等の情報を確認した
- □ 社会保険情報を確認した
- □ 再下請を含む施工体制を確認した
- □ 発注者指定様式・提出期限・添付資料を確認した
施工体制台帳の整備で迷ったときに確認したい2つの関連事項
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 一括下請負に該当する施工体制になっていないか確認する
- 下請業者の許可や技術者配置に問題がないか確認する
施工体制台帳を整える過程では、書き方以外の確認事項が見つかることがあります。特に、実際の施工への関与、下請業者の許可、主任技術者・監理技術者の配置は、台帳を完成させるだけでは判断できない論点です。
一括下請負に該当する施工体制になっていないか確認する
施工体系図で各社の担当範囲を整理すると、元請が工事へどのように関与しているかも見えやすくなります。建設業法では一括下請負について規制があり、元請が対象工事全体をどのように企画・調整・指導しているかなど、実際の施工体制から確認することが重要です。
契約書上の名称や、形式的に技術者を置いていることだけで判断するのではなく、工程・品質・安全などの管理を誰が担っているかを整理してください。
施工体制台帳を作る際に「元請の役割が説明しにくい」「一社へ工事の大部分を任せる予定」といった点が見えた場合は、一括下請負の考え方も合わせて確認すると、契約・施工体制を整理しやすくなります。
元請の実質的な関与もあわせて確認したい方へ
一括下請負の考え方と、施工体制を整理するときの確認点をまとめています。
下請業者の許可や技術者配置に問題がないか確認する
施工体制台帳の作成中に、「この会社の許可で今回の工事を請け負えるか」「主任技術者か監理技術者か」「専任・兼務の条件はどうなるか」といった疑問が出ることがあります。
これらは施工体制台帳の書き方とは別に、工事内容、請負金額、許可区分、資格、契約関係から確認する事項です。疑問がある場合は、空欄を埋めることを先にせず、判断に必要な情報を整理してください。
台帳作成をきっかけに許可や技術者配置も確認しておくと、発注者へ施工体制を説明するときにも整理しやすくなります。
主任技術者・監理技術者の整理も必要な方へ
元請・下請、下請契約額、資格、専任・兼務を順に確認できます。
施工体制台帳を正しく整えて現場書類の不備を防ぐ3つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 要否を工事と契約関係から判断する
- 下請会社から必要情報を早めに集める
- 発注者ごとの条件まで確認してから提出する
施工体制台帳を適切に整えるには、「作成対象か」「必要情報がそろっているか」「発注者の提出条件を満たしているか」の3段階で確認すると整理しやすくなります。様式を完成させることだけを目的にせず、契約と現場の施工体制を見直す機会として活用しましょう。
要否を工事と契約関係から判断する
民間工事の現行基準は、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者について、下請契約総額5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上です。この基準は2025年2月1日に施行されています。
一方、公共工事で元請が下請契約を締結する場合は、下請契約額にかかわらず施工体制台帳を作成します。したがって、「金額」だけではなく、公共・民間、元請・下請、下請契約の有無をセットで整理することが重要です。
判断に迷う場合は、工事名、発注者、元請・下請の関係、下請予定会社、契約金額など、分かる範囲を書き出しておくと相談時にも状況を共有しやすくなります。
下請会社から必要情報を早めに集める
施工体制台帳の作成で時間がかかりやすいのは、入力よりも下請会社から必要情報を集め、内容を照合する工程です。契約、許可、技術者、社会保険、再下請を会社ごとに管理すると、不足が見えやすくなります。
提出期限の直前に一斉依頼するより、下請契約時に提出資料一覧を共有し、工事途中の変更時にも更新する運用が適しています。
資料がすべてそろうまで状況が分からない、というわけではありません。未確認項目が何かを明確にし、「次に誰へ何を確認するか」が分かる状態にすることが実務上の第一歩です。
発注者ごとの条件まで確認してから提出する
最後に、法令上の要件と発注者ごとの提出条件を照らし合わせます。施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、契約関係書類を横断して、同じ施工体制を示しているか確認してください。
発注者指定の様式や追加項目がある場合は、その内容を優先して整理します。他工事の様式を流用する場合も、今回の提出要領に合っているかを確認しましょう。
自社だけでは要否、下請関係、許可、技術者配置まで一度に整理しにくい場合は、分かっている情報と手元の資料から確認する方法があります。書類が完成していなくても、現在地を整理することから始められます。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。
まずは現在の工事内容、元請・下請の関係、下請予定会社、発注者から求められている書類など、分かる範囲から伺います。お手元に契約書、注文書・請書、許可情報、技術者資料などがあれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
公共・民間、工事名、発注者、工期など。
自社が元請か、一次下請は何社か、再下請予定があるか。
下請契約総額の見込み、配置予定の主任技術者・監理技術者等。
契約書、注文書、許可情報、発注者指定様式など。そろっている範囲で構いません。
施工体制台帳・施工体系図・下請関係書類をまとめて整理したい方へ
まずは現在の状況を伺い、作成対象の考え方、確認した方がよい資料、下請会社へ確認する事項を一緒に整理します。
よくある確認
施工体制台帳はいつ必要ですか
民間工事では、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者が、工事のために締結した下請契約の総額が5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上となる場合が基本です。公共工事では、元請が下請契約を締結した場合、下請契約額にかかわらず作成が必要です。発注者独自の提出条件も確認します。
施工体制台帳と施工体系図は両方確認した方がよいですか
施工体制台帳の作成対象となる工事では、施工体系図も作成します。台帳で各社の詳細情報を整理し、体系図で元請・下請の施工分担関係を見える化して、両者の内容が一致しているか確認します。
下請会社から何を集めればよいですか
下請契約の内容、建設業許可、主任技術者等の情報、社会保険の加入状況、再下請の有無などが主な確認項目です。発注者指定様式がある場合は、追加情報や添付資料も確認します。
資料がそろっていなくても相談できますか
はい。相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。工事内容、契約関係、現在手元にある資料から確認し、次に何を集めるかを一緒に整理できます。
制度の根拠・最新様式も確認できます
個別工事では契約時点の最新法令・発注者の案内もあわせてご確認ください。
施工体制台帳は「必要かどうか」と「実際の施工体制」を一緒に確認しましょう
- 公共・民間、元請・下請、下請契約の有無から作成要否を確認する
- 民間工事の現行基準は5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上
- 施工体制台帳・施工体系図・再下請負通知書・契約関係書類を照合する
- 許可、技術者、社会保険、再下請情報を下請会社から早めに集める
- 発注者指定様式・追加項目・提出期限まで工事ごとに確認する
施工体制台帳は、様式を完成させることだけが目的ではありません。作成過程で契約関係、下請会社、許可、配置技術者、社会保険、再下請を整理すると、現場の施工体制を発注者へ説明しやすくなります。
初めて元請になる工事、公共工事への参入、下請会社や再下請が増えた現場では、どこまで確認するか迷うこともあります。相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な書類と確認事項を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、そろっていない段階でもご相談いただけます。
今の工事について、確認する順番から整理できます。
施工体制台帳の要否、下請会社から集める情報、施工体系図との整合、許可・技術者の確認まで、分かる範囲からお知らせください。