建設業許可と経審・入札参加を見据えた許可後管理
決算変更届から始める将来準備
経審を受けると決めてから過去の資料を集めるのではなく、毎年の決算変更届、工事実績、財務内容、技術職員、許可情報を整えておくことが、公共工事への参加を検討するときの土台になります。
この記事の対象
将来、国や地方公共団体などが発注する公共工事を、元請として直接請け負うことを検討している建設業者を主な対象としています。公共工事を受注した事業者から下請として工事を請け負う場合まで、経審と入札参加資格審査が一律に必要になるわけではありません。
必要な許可業種を確認し、決算変更届や各種変更届を継続して提出します。
登録経営状況分析機関へ申請し、建設業財務諸表に基づく分析結果通知書を受け取ります。
分析結果を用いて許可行政庁へ申請し、経営規模、技術力、社会性などの評価を受けます。
受付時期や必要書類を確認し、参加を希望する国・自治体などへ申請します。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。
まずは現在の許可業種、決算変更届の提出状況、工事資料の保管状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
建設業許可から公共工事参加までに必要な3つの手続き
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 建設業許可だけでは公共工事の入札に参加できない
- 経営事項審査は建設会社の経営状況などを客観的に評価する手続き
- 入札参加資格審査は発注機関ごとに申請する手続き
- 許可・経審・入札参加資格の関係を順番で整理する
公共工事を発注者から直接請け負う場合、原則として建設業許可に加え、経営事項審査と発注機関ごとの入札参加資格審査が関係します。それぞれの役割を理解し、毎年の届出を含めた一連の準備として考えることが大切です。
建設業許可だけでは公共工事の入札に参加できない
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を適法に請け負うための基礎となる制度です。ただし、許可を取得しただけで、国や地方公共団体などが発注する公共工事の競争入札に参加できるわけではありません。
公共工事を元請として発注者から直接請け負おうとする建設業者は、原則として経営事項審査を受け、そのうえで参加を希望する発注機関の入札参加資格審査を受けます。一方、公共工事を受注した元請業者から下請として工事を請け負う場合まで、両方の手続きが一律に必要になるわけではありません。
経営事項審査は建設会社の経営状況などを客観的に評価する手続き
経営事項審査は一般に「経審」と呼ばれ、経営状況、経営規模、技術力、社会性などを客観的な基準で評価する制度です。登録経営状況分析機関が行う経営状況分析と、許可行政庁が行う経営規模等評価に分かれ、希望する場合は総合評定値を請求します。
経審は受注可能性を保証する審査ではありません。受審後も入札参加資格を必ず取得できるとは限らず、個別案件の落札や受注も保証されないため、公共工事への参加に必要な準備の一つとして位置づけましょう。
入札参加資格審査は発注機関ごとに申請する手続き
入札参加資格審査は、国、地方公共団体、独立行政法人などの発注機関が、競争入札への参加を希望する事業者を審査する手続きです。経審結果を取得していても、希望する発注機関の資格者名簿に登録されていなければ、その機関の入札に参加できないことがあります。
申請先、受付期間、有効期間、対象業種、納税証明書などの必要書類は発注機関ごとに異なります。さらに、個別案件では施工実績、地域要件、配置予定技術者、等級などが定められる場合があります。
許可・経審・入札参加資格の関係を順番で整理する
| 段階 | 手続き | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 建設業許可・決算変更届 | 許可業種、工事実績、財務内容、変更事項 |
| 第2段階 | 経営状況分析 | 建設業財務諸表に基づく経営状況 |
| 第3段階 | 経営規模等評価・総合評定値請求 | 経営規模、技術力、社会性など |
| 第4段階 | 入札参加資格審査 | 発注機関ごとの資格要件と必要書類 |
実務上は、経営状況分析を先に申請して分析結果通知書を受け取り、その結果を用いて経営規模等評価申請・総合評定値請求へ進むのが基本です。完成工事高、財務諸表、工事経歴、技術職員などの情報は各段階でつながっています。
経審を考え始めた事業者が最初に確認したい4つの条件
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 公共工事を元請として受注する事業計画があるか
- 必要な建設業許可の業種を取得しているか
- 決算変更届を毎年期限内に提出しているか
- 工事実績や技術職員の情報を継続して管理しているか
経審は、すべての建設業者が一律に受ける手続きではありません。自社の受注方針、許可業種、届出状況、工事資料、人員体制を確認し、経審が必要になる可能性と準備上の課題を整理しましょう。
公共工事を元請として受注する事業計画があるか
最初に確認したいのは、自社が公共工事を元請として発注者から直接請け負う計画があるかどうかです。民間工事を中心にする場合や、公共工事では下請として施工する場合、経審が直ちに必要になるとは限りません。
「数年以内に公共工事を事業分野へ加えたい」「地域の小規模案件から検討したい」など、現時点の方針を整理するだけでも準備の方向性が見えてきます。参入先や時期が未定でも、現在地の確認は始められます。
必要な建設業許可の業種を取得しているか
公共工事への参加を検討する際は、希望する工事内容に対応した許可業種を取得しているか確認します。経審も、原則として許可を受けている建設業の種類ごとに申請するため、「建設業許可を持っている」という事実だけでは十分ではありません。
参加したい案件の業種と現在の許可業種が一致しなければ、業種追加などの検討が必要になることがあります。案件が未定の場合は、自社の施工実績、今後伸ばしたい分野、在籍する技術者の資格から整理しましょう。
決算変更届を毎年期限内に提出しているか
建設業許可を受けた事業者は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出します。神奈川県知事許可では、主に工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、建設業法様式の財務諸表、事業報告書、納税証明書などが対象です。法人・個人の別や変更事項によって必要書類は異なります。
決算変更届は、許可更新時だけに確認する書類ではありません。経審を受ける際にも、その年度の工事実績や財務内容を確認する基礎となるため、提出控えを年度順に保存しておきましょう。
工事実績や技術職員の情報を継続して管理しているか
工事実績については、契約書、注文書、請書、工事台帳、請求書、入金記録などを案件ごとに整理します。技術職員については、資格証、雇用関係、在籍状況を確認できる資料を管理すると、経審準備を進めやすくなります。
なお、経審上の評価対象となる「技術職員」と、建設業許可上、営業所ごとに配置する「営業所技術者等」は別の概念です。経審の評価基準と許可要件を分けて確認し、管理表も区別することが重要です。
決算変更届が経審準備の土台になる3つの理由
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 完成工事高や工事経歴が経審に関係する
- 財務諸表の内容が経営状況の分析につながる
- 届出内容の不整合が後の確認や手戻りを招くことがある
決算変更届は、許可取得後の定例手続きであると同時に、経審準備の出発点です。工事実績と財務内容を毎年正しく整理しておけば、公共工事への参入を検討した際に現在地を確認しやすくなります。
完成工事高や工事経歴が経審に関係する
決算変更届に含まれる工事経歴書や工事施工金額は、経審で確認される完成工事高と密接に関係します。売上を一括して工事収入と扱うのではなく、実際の施工内容に応じて許可業種別に整理する必要があります。
物品販売、設計のみの業務、建設工事を伴わない保守・点検などは、建設工事の完成工事高から除外して検討します。一方、修繕やメンテナンスという名称でも、内容によって建設工事に当たる場合があるため、契約書や内訳書から実態を確認しましょう。
財務諸表の内容が経営状況の分析につながる
経審では、最初に登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請します。税務申告用の決算書ではなく、建設業法の様式に沿った財務諸表などを用いて分析を受け、その結果を経営規模等評価申請・総合評定値請求に使用します。
完成工事未収入金、未成工事支出金、工事未払金など、建設業特有の科目への組み替えが必要になる場合もあります。決算変更届の作成時に、税務申告書、総勘定元帳、工事台帳を照合し、毎年一貫した基準で整理することが大切です。
届出内容の不整合が後の確認や手戻りを招くことがある
工事経歴書と業種別完成工事高が対応していない、建設業財務諸表が税務申告書と整合しない、工事内容と計上業種が一致しないといった場合、経審準備の段階で追加確認や修正の検討が必要になることがあります。
決算変更届の提出時点で、契約資料、工事台帳、会計資料、許可業種との整合性を確認しましょう。根拠資料と判断経緯を残しておけば、担当者が交代した後も内容を説明しやすくなります。
許可取得後から管理しておきたい5つの重要情報
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 業種別の完成工事高を正確に整理する
- 工事経歴書に記載する案件資料を保存する
- 技術職員の資格・雇用・在籍状況を把握する
- 役員や営業所など許可事項の変更を漏れなく届け出る
- 社会保険や納税関係の資料を年度ごとに整理する
経審を見据えた管理では、申請直前の書類収集より、日常業務で情報を残す仕組みが重要です。工事、財務、人員、許可、社会保険・納税の5分野を年度別・案件別に整理しましょう。
業種別の完成工事高を正確に整理する
完成工事高は、会計上の売上高をそのまま記載すればよいとは限りません。建設工事に当たる売上を抽出し、実際の施工内容に応じて許可業種別に整理します。建設工事に当たらない物品販売、設計、保守・点検などの売上は分けて管理しましょう。
工事台帳に、発注者、契約金額、工期、施工内容、完成年月、対応業種、建設工事以外の売上の有無を記録すると、決算後の集計が進めやすくなります。
工事経歴書に記載する案件資料を保存する
工事請負契約書、注文書、請書、見積書、工事内訳書、請求書、入金記録、工事台帳、追加工事や変更契約の資料を案件ごとに保存します。発注者、施工場所、工期、請負金額、工事内容を後から確認できる状態が基本です。
口頭発注や一括請求が多い会社では、個別工事を説明できる資料が不足しやすくなります。紙と電子データに共通の案件番号を付け、年度別・案件別に検索できるルールを決めましょう。
技術職員の資格・雇用・在籍状況を把握する
経審上の技術職員については、氏名、保有資格、資格番号、取得日、雇用関係、在籍状況などを整理します。資格証や合格証明書の写しも、更新や追加取得の都度見直すと安心です。
営業所技術者等は建設業許可を維持するための配置要件であり、経審上の技術職員とは確認基準が異なります。一人の職員が両方に関係する場合も、許可要件と経審評価を分けて確認してください。
役員や営業所など許可事項の変更を漏れなく届け出る
商号、所在地、資本金、役員、営業所、常勤役員等、営業所技術者等などに変更が生じた場合は、内容に応じた手続きが必要です。変更によっては、役員変更登記、建設業許可上の変更届、常勤性や資格などの要件確認をそれぞれ行います。
特に常勤役員等や営業所技術者等の退職・交代は、許可要件の維持に関わります。変更後に確認するのではなく、社内で交代を検討している段階から、後任者の要件と手続時期を整理しましょう。
社会保険や納税関係の資料を年度ごとに整理する
社会保険関係では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの加入・納付状況を確認できる資料を整理します。納税証明書は、国税、都道府県税、市町村税のいずれを求められるかが、入札参加資格の申請先によって異なります。
税目、証明内容、有効期間も申請先ごとに確認が必要です。参加を希望する発注機関が決まったら、案内を早めに確認し、取得時期を年間予定へ組み込みましょう。
経審直前の準備だけでは対応しにくい3つの問題
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 過去の工事資料が不足すると実績確認に時間がかかる
- 決算変更届の未提出や誤りが手続きの妨げになる
- 技術職員や許可業種を短期間では整えられない場合がある
申請書は一定期間で作成できても、根拠となる過去の工事実績、財務内容、許可業種、人員体制は直前に自由に整えられません。早めに現在地を点検し、時間を要する事項から対応しましょう。
過去の工事資料が不足すると実績確認に時間がかかる
担当者の退職、パソコンの入れ替え、保存期間の経過などにより、契約書や工事内訳書を確認できなくなることがあります。請求書だけでは、施工内容、工期、施工場所、許可業種との対応まで判断しにくい場合もあります。
案件完了時に必要資料をまとめ、保存責任者と保存場所を決めてください。資料が不足している場合も、残っている契約書、注文書、請求書、入金記録などから、どこまで確認できるかを整理できます。
決算変更届の未提出や誤りが手続きの妨げになる
決算変更届が未提出の場合は、経審に進む前に対象年度の届出状況を整える必要があります。未提出を続けると、行政庁による指導や監督上の対応、許可更新や経審の実務への影響が生じる可能性があり、建設業法上の罰則の対象となることもあります。
未提出が直ちに許可取消しや営業停止へつながると一律に考えるのではなく、まず年度別に提出控えを確認し、「提出済み」「要確認」「未提出」に分けて対応を整理しましょう。
技術職員や許可業種を短期間では整えられない場合がある
技術職員の採用、資格取得、実務経験の蓄積、許可業種の追加は、経審や入札参加資格申請の直前に完了できるとは限りません。許可業種を追加する場合は、営業所技術者等を含む許可要件の確認も必要です。
経審上の技術職員についても、審査基準日時点の資格、雇用、在籍などを個別に確認します。公共工事への参入計画と、人材採用・資格取得の計画を連動させましょう。
公共工事への参入時期から逆算する3段階の準備
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 検討段階では自社に経審が必要かを整理する
- 準備段階では決算変更届と社内資料の状態を点検する
- 申請段階では経審と入札参加資格申請の日程を確認する
準備を「検討」「点検」「申請」の3段階に分けると、自社が今行うべきことを判断しやすくなります。発注機関の受付時期だけでなく、決算日、経営状況分析、経営規模等評価、結果通知の取得時期から逆算しましょう。
検討段階では自社に経審が必要かを整理する
公共工事を元請として直接請け負いたいのか、民間工事を中心にするのか、公共工事では下請として関与するのかを整理します。併せて、参加を検討する発注機関、希望業種、参入時期、現在の許可業種、人員体制を確認しましょう。
方針が決まっていない場合も、現在の工事実績と許可状況を確認しておけば、将来の選択肢と必要な準備期間を把握しやすくなります。
準備段階では決算変更届と社内資料の状態を点検する
許可取得後の各年度について、決算変更届が提出されているかを確認します。工事経歴書、工事施工金額、建設業財務諸表、納税証明書などの内容を、契約書、工事台帳、税務申告書と照合しましょう。
同時に、技術職員の資格・雇用資料、営業所技術者等の配置状況、役員や営業所の変更届も確認します。「問題なし」「資料不足」「届出確認」「要件確認」に分けると、優先順位が明確になります。
申請段階では経審と入札参加資格申請の日程を確認する
最初に登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請し、分析結果通知書を受け取ります。その結果を用いて許可行政庁へ経営規模等評価申請・総合評定値請求を行い、結果通知書の取得後、発注機関の受付期間に合わせて入札参加資格申請へ進みます。
経営規模等評価申請における審査基準日は、原則として申請日の直前の事業年度終了日です。経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書に基づいて公共工事を直接請け負える期間は、審査基準日から1年7か月であり、通知書を受け取った日から起算するものではありません。
経審に備えた許可後管理で得られる3つの効果
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 必要なときに申請準備へ移りやすくなる
- 毎年の届出と社内資料の不整合を防ぎやすくなる
- 経営状況や工事実績を定期的に見直す機会になる
許可後管理を整える目的は、書類を増やすことではありません。公共工事への参入方針が固まった際に自社の現在地を確認し、必要な準備へ移りやすくすることにあります。
必要なときに申請準備へ移りやすくなる
決算変更届、工事資料、技術職員情報を継続して管理しておけば、自治体の案件に関心を持ったときや、取引先から元請参入を勧められたときに、経審を検討できる状態か確認しやすくなります。
許可後管理は、経審点数、入札参加資格、落札、受注を保証するものではありません。ただし、過去資料が見つからない、届出が未提出だったという事情で準備期間が長くなる可能性を抑えることにはつながります。
毎年の届出と社内資料の不整合を防ぎやすくなる
工事台帳と業種別完成工事高を照合する、資格者一覧と人事情報を確認する、役員変更時に登記と許可上の届出を併せて検討するなど、社内資料と行政手続きを連動させると不整合を早期に見つけやすくなります。
年間予定表やチェックリストを作り、経理、工事、人事、許可手続きの担当者が共有すれば、特定の担当者だけに依存しない管理体制を整えられます。
経営状況や工事実績を定期的に見直す機会になる
業種別完成工事高を比較すると、伸びている分野や取引先への依存状況を把握できます。技術職員の資格を整理すれば、今後受注したい工事に対して人員が足りているかも確認しやすくなります。
財務面も、経審の評価項目だけを見るのではなく、利益、自己資本、借入、資金繰りなどの経営課題として検討することが大切です。実態に基づく正確な情報を、事業計画や人材育成へつなげましょう。
経審や入札を考える事業者が避けたい4つの誤解
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 建設業許可があればすぐ入札できるという誤解
- 決算変更届は許可更新時だけ確認すればよいという誤解
- 経審は申請直前の対策だけで対応できるという誤解
- 経審を受ければ公共工事を受注できるという誤解
建設業許可、決算変更届、経審、入札参加資格審査は役割が異なります。公共工事を直接請け負うまでの一連の流れとして理解すると、必要な準備と時期を判断しやすくなります。
建設業許可があればすぐ入札できるという誤解
公共工事を発注者から直接請け負う場合は、原則として経審を受け、発注機関ごとの入札参加資格審査を受けます。さらに、個別案件の施工実績、地域要件、配置予定技術者などを満たす必要がある場合もあります。
公共工事の下請として施工する場合まで、経審と入札参加資格審査が一律に必要になるわけではありません。自社が発注者と直接契約するのか、下請として関与するのかを明確にしましょう。
決算変更届は許可更新時だけ確認すればよいという誤解
決算変更届は、5年ごとの許可更新時にまとめて提出するものではなく、毎事業年度終了後4か月以内に提出します。税務署への申告とは別の手続きであり、工事経歴書、工事施工金額、建設業財務諸表、納税証明書などを整えます。
未提出年度があると、過去の契約書、工事台帳、決算書をさかのぼって確認する必要が生じます。税務申告後の年間業務へ組み込み、提出控えまで保存しましょう。
経審は申請直前の対策だけで対応できるという誤解
経審の評価の基礎となる完成工事高、財務内容、技術職員、社会性などは、原則として審査基準日時点までの事実に基づきます。申請直前に行えるのは、根拠資料を整理し、実態に沿って正確に申告することです。
資格者を採用した、過去の届出を修正したというだけで、希望どおりの評価になるとは限りません。工事受注、人材採用、資格取得、財務管理を中長期的に進めましょう。
経審を受ければ公共工事を受注できるという誤解
経審を受けても、入札参加資格を必ず取得できるわけではありません。資格者名簿に登録された後も、個別案件の条件を満たし、入札手続きを経る必要があり、落札や受注は保証されません。
行政書士による支援も、経審点数や入札結果を保証するものではありません。必要書類、申請内容、手続順、提出時期を整理し、正確な申請準備を進めるために活用するものです。
行政書士へ継続管理を相談することで整理できる3つのこと
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 毎年必要になる届出と提出時期を整理できる
- 経審を見据えた工事実績や技術職員の管理を確認できる
- 許可・経審・入札参加資格を一連の流れとして相談できる
行政書士による継続支援は、事業者から正確な情報が適時に共有されることが前提です。双方の役割を決め、決算、工事、役員、人員、営業所の変更を共有することで、必要な手続きを整理しやすくなります。
毎年必要になる届出と提出時期を整理できる
決算変更届、各種変更届、許可更新、経審などを年間予定として整理すると、社内で必要な情報を集める時期も明確になります。決算確定、役員の就退任、営業所の移転、技術者の入退社、資格取得などを共有する担当者を決めましょう。
特に常勤役員等や営業所技術者等の変更は、許可要件へ影響する可能性があります。変更後ではなく、社内で交代を検討する段階から相談すると確認時間を確保しやすくなります。
経審を見据えた工事実績や技術職員の管理を確認できる
工事台帳に記録する項目、保存する契約資料、業種別完成工事高の整理方法、技術職員の資格資料などを確認できます。経審上の技術職員と許可上の営業所技術者等を分けて管理できているかも重要な確認事項です。
工事内容、契約金額、職員の勤務状況を最も把握しているのは事業者です。契約書、工事台帳、人事資料を共有し、毎年度の決算変更届作成時に内容を見直す運用を整えましょう。
許可・経審・入札参加資格を一連の流れとして相談できる
建設業許可、決算変更届、経営状況分析、経営規模等評価・総合評定値請求、入札参加資格申請を一連の流れとして相談すると、希望時期から逆算した計画を整理しやすくなります。
未提出の届出や許可要件の確認事項が見つかった場合は、経審の日程より先に対応した方がよい事項を整理します。制度や申請の流れは、下記のページでも詳しくご案内しています。
経営事項審査の制度と申請の流れを確認する
経審が必要か判断できない段階でも、現在の事業方針から整理できます。
将来の経審・入札参加は許可後の積み重ねから始まる
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 公共工事への参入を決める前から準備できることがある
- まずは決算変更届や工事資料の管理状況を確認する
- 自社に必要な準備と時期を早めに専門家へ相談する
公共工事を発注者から直接請け負う可能性があるなら、最初に行いたいのは、決算変更届の提出状況と工事資料の管理状態を確認することです。新しい対策を始める前に、過去から現在までの届出と根拠資料を整理しましょう。
公共工事への参入を決める前から準備できることがある
参入時期が決まっていなくても、毎年の決算変更届を提出する、工事資料を案件別に保存する、業種別完成工事高を整理する、技術職員の資格情報を更新する、役員や営業所の変更時に手続きを確認するといった対応は始められます。
これらは経審のためだけではなく、建設業許可を適切に維持し、自社の工事実績を正確に把握するためにも役立ちます。
まずは決算変更届や工事資料の管理状況を確認する
- 決算変更届を毎年度提出しているか
- 工事経歴書と工事施工金額の根拠資料があるか
- 建設業財務諸表と税務申告書を照合できるか
- 技術職員と営業所技術者等を分けて管理しているか
- 役員、営業所、許可要件に関する変更手続きに漏れがないか
不足が見つかっても、直ちに経審を断念する必要があるとは限りません。どの年度の何が不足しているのか、追加提出や修正の検討が必要かを整理すると、次の対応が見えやすくなります。
自社に必要な準備と時期を早めに専門家へ相談する
必要な準備は、決算期、許可業種、工事実績、技術者体制、参加を希望する発注機関によって異なります。決算変更届の控え、許可通知書、契約書、工事台帳、決算書、資格者一覧などがあれば、確認が進みやすくなります。
資料がそろっていない場合も相談を延期する必要はありません。「自社に経審が必要か分からない」「数年後に備えて管理を整えたい」という段階から、現在の状況と次に確認する内容を一緒に整理できます。
まずは現在の許可・届出・工事資料の状況を整理します。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。お手元の資料を確認しながら、必要な手続きと準備時期をご案内します。
よくある質問
建設業許可があれば公共工事の入札に参加できますか
公共工事を元請として発注者から直接請け負う場合は、原則として経審を受け、参加を希望する発注機関の入札参加資格審査を受けます。許可取得だけで入札参加の準備が完了するわけではありません。
決算変更届には何を提出しますか
神奈川県知事許可では、工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、建設業法様式の財務諸表、事業報告書、納税証明書などを提出します。法人・個人の別や変更事項により必要書類は異なります。
経審結果はいつまで有効ですか
公共工事を直接請け負うために必要な経審結果の有効期間は、審査基準日から1年7か月です。結果通知書を受け取った日からではないため、継続して公共工事を請け負う場合は毎年の予定管理が重要です。
資料がそろっていなくても相談できますか
ご相談いただけます。相談内容がまとまっていない場合も、現在分かる工事内容、許可業種、決算期、提出済みの届出などを伺い、次に確認した方がよい資料を整理します。
許可後の毎年の管理が、将来の選択肢を整えます
- 公共工事を元請として直接請け負う場合は、原則として経審と発注機関ごとの入札参加資格審査が関係します
- 決算変更届では、工事経歴、工事施工金額、財務諸表、納税証明書などを毎年度整理します
- 経営状況分析を先に受け、その結果を用いて経営規模等評価・総合評定値請求へ進むのが基本です
- 経審上の技術職員と許可上の営業所技術者等は分けて確認します
- 経審、入札参加資格、落札、受注は保証されないため、正確な届出と資料管理を積み重ねることが重要です
公共工事への参入を考え始めたら、まず決算変更届の提出状況と工事資料の管理状態を整理することが大切です。現在地が分かれば、自社に必要な対応と経審へ進む時期を具体的に検討できます。
HANAWA行政書士事務所では、許可取得後の決算変更届、変更届、経営事項審査、入札参加資格申請まで、事業計画に応じて確認事項を整理します。正式に経審を受けると決めていない段階でもご相談いただけます。