コラム
車を買うとき、手続きは誰がやっていいの?
「無料でやってあげる」も違法になる場合があります
——車の購入時に販売会社がこっそり代わりにやっている書類手続き、実は法律違反かもしれません。知っておくと安心な、行政書士法のルールをわかりやすく解説します。
新しい車を買うと、「車庫証明」や「ナンバー登録」といった書類の手続きが必要になります。多くの場合、車を売ったお店のスタッフが「うちでやっておきますよ」と言って代わりに手続きをしてくれます。でも、実はこれ、条件によっては法律違反になる可能性があることをご存じでしょうか。2025年に法律が改正され、ルールがより厳しく・わかりやすくなりました。今回は、知らないと困るこのルールについて、わかりやすくお伝えします。
「車庫証明」や「ナンバーの登録」といった、役所や警察署に提出する書類を他人の代わりに作ることは、原則として行政書士という国家資格を持つ人だけができる仕事です。資格のない人がお金をもらってやると、法律違反(行政書士法違反)になります。
「車庫証明」とは、車を止める場所(車庫)が確保されていることを警察署が認める書類です。車の購入時に必要になります。この書類の手続きに関して、販売店のスタッフが行うと違法になる例を3つ紹介します。
販売店のスタッフが、自分のお店で売った車の車庫証明の書類を代わりに作ると、たとえ「無料でやります」と言っていても違法になります。なぜなら、車の値段の中にこの手続き代が含まれていると考えられるからです。「タダだから大丈夫」は通用しません。
販売店のスタッフが、社内のコンピューターに入っているお客様の情報や車の情報を使って書類を作る場合も、①と同じ理由で違法になります。手書きかパソコン入力かに関係なく、「代わりに書類を作る」という行為そのものが問題です。
書類を警察署に提出した後に、内容を直したり書き加えたりすることも違法です。警察署の窓口担当者から「ここを直してください」と言われたとしても、販売店のスタッフがそれをやると違法になります。
車を新しく買ったり名義を変えたりするときは、「車のナンバー登録」の手続きが必要です。こちらも、販売店のスタッフが行うと違法になる場合があります。
販売店のスタッフが、自分のお店で売った車の登録書類を代わりに作ると、たとえ無料でも違法になります。車の代金の中に手続き代が含まれていると考えられるためです。
社内のコンピューターにあるお客様や車の情報を使って書類を作ることも、①と同じ理由で違法になります。
書類を運輸支局(いわゆる「陸運局」)に出した後に内容を書き直したり付け加えたりすることも違法です。窓口の担当者に「直してください」と言われても、販売店スタッフが行うと違法になります。
2025年(令和7年)に行政書士法が改正されました。改正のポイントは「名目がなんであれ、お金をもらってやったら違法」という点を法律の文章にはっきり書き込んだことです。
- 「手数料として受け取っただけ」
- 「コンサルタント料という名目だった」
- 「商品代金に含まれていた」
- 「会費として受け取った」
これらはすべて「報酬を受け取った」とみなされます。今回の法改正は、従来からそう解釈されていたルールを法律の条文として明確にしたものです。
法律を破った担当者本人が罰せられるのはもちろん、その担当者が働いている会社にも100万円以下の罰金が科せられるようになりました。「社員がやったこと」では済まない、ということです。購入者であるお客様も、こうした事情を知っておくことが大切です。
ただし、すべての手続きが禁止されているわけではありません。法律で定められた特定の条件を満たせば、販売店などが手続きをしてもよい場合があります。
- 新車の登録(普通車):日本自動車販売協会連合会が、「OSS(オンライン申請システム)」を使って、車庫証明と新車の登録を一緒に申請する場合。※車庫証明については、申請書に必要事項を入力する部分のみ。
- 新車の検査(軽自動車):日本自動車販売協会連合会または全国軽自動車協会連合会が、OSSで新車の検査を申請する場合。
- 車検(普通車・軽自動車):日本自動車販売協会連合会・日本自動車整備振興会連合会・全国軽自動車協会連合会(※軽自動車のみ)が、OSSで車検を申請する場合。
これらは法律によって例外として認められているケースです。それ以外の手続きは、原則として行政書士が担当する必要があります。
手続きを依頼したい場合や、販売店から「行政書士を自分で手配してください」と言われた場合は、以下の方法で探すことができます。いずれも神奈川県行政書士会のホームページから確認できます。
