養育費を公正証書にする前に確認したい5つの条件
原案作成と不払いへの備え
養育費を公正証書にするときは、月額だけでなく、支払期間、支払日、進学費・医療費、変更時の連絡方法まで整理することが大切です。公正証書の効果と限界、不払いが生じた場合に利用できる手続も含めて分かりやすく解説します。
最初にお伝えしたいこと
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。現在決まっていること、迷っていること、確認したいことを分かる範囲で伺い、必要な項目を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、そろっていない段階でもご相談いただけます。
図解|養育費を公正証書にするまでの全体像
行政書士が支援するのは、主に当事者間で合意した内容の整理と原案作成です。公正証書そのものは、公証人が意思や資料を確認して作成します。
養育費を公正証書にする前に知っておきたい3つの基本
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 公正証書は当事者の合意内容を公証人が文書にするもの
- 口約束や私文書との違いは証明力と執行力にある
- 公正証書を作成しても支払いが保証されるわけではない
養育費の公正証書を検討するときは、制度の役割を正しく理解することが出発点です。公正証書は、一方の希望だけで条件を決めるものではありません。当事者が合意した内容を公証人が確認し、公文書として作成します。
公正証書は当事者の合意内容を公証人が文書にするもの
養育費に関する公正証書は、父母が合意した内容を公証人が確認し、公文書として作成するものです。公証人が一方の希望を聞き、養育費の金額や支払期間を代わりに決める制度ではありません。
そのため、公証役場へ申し込む前に、月額、開始時期、終了時期、支払日、振込方法、進学費・医療費の扱いなどを話し合います。先に原案へ整理すると、合意済みの事項と、追加の話し合いが必要な事項を区別しやすくなります。
公正証書の最終文面を作成するのは公証人です。行政書士などによる原案作成は、公証役場へ提出する前に、当事者の合意内容を具体的な文章へ整える準備として位置付けられます。
口約束や私文書との違いは証明力と執行力にある
養育費の約束は口頭でも成立し得ますが、内容を後から確認できるよう、書面へ残すことが大切です。口約束だけでは、金額や期間について認識が分かれたとき、どのような合意があったかを示しにくくなります。
当事者が作成した離婚協議書や合意書も、約束を記録する書面として意味があります。一方、一定額の金銭支払いについて強制執行認諾文言を含む公正証書を作成しておけば、原則として、その公正証書を債務名義として強制執行の申立てを検討できます。
ただし、公正証書に記載したすべての条項が同じように強制執行の対象になるわけではありません。対象となる債務や必要な文言は、公証人へ確認します。
公正証書を作成しても支払いが保証されるわけではない
公正証書は不払いへの重要な備えですが、作成するだけで毎月の入金や全額回収が保証されるものではありません。支払いが滞った場合は、相手への連絡や請求を行い、必要に応じて裁判所へ差押えなどを申し立てます。
給与を差し押さえる場合は勤務先、預貯金を差し押さえる場合は金融機関などの情報が必要です。ただし、勤務先や口座が分からないからといって、直ちに手続きが行き詰まるとは限りません。所定の要件を満たせば、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を利用できる場合があります。
これらは裁判所への申立てが必要であり、情報を得た後の差押えも別途必要となることがあります。相手に差し押さえられる財産がなければ、回収につながらない可能性もあります。公正証書は結果を保証するものではなく、約束を明確にして法的手続に備えるための書面です。
公正証書原案で整理したい養育費の5つの条件
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 毎月いくら支払うかを具体的に決める
- いつからいつまで支払うかを明確にする
- 毎月の支払日と振込方法を決める
- 進学費や医療費などの特別費用を整理する
- 住所や勤務先が変わった場合の連絡方法を決める
タイトルにある「5つの条件」は、以上の基本項目を指します。「養育費を毎月支払う」と決めるだけでは、実際の支払いを続けるための条件として十分とはいえません。金額、期間、期限、特別費用、変更時の連絡方法を具体化しましょう。
図解|原案で整理する5つの基本条件
金額
子どもごとの月額と内訳
期間
開始月と終了時期
支払方法
期限・口座・手数料
特別費用
進学費・医療費など
変更時の連絡
住所・勤務先・口座
毎月いくら支払うかを具体的に決める
養育費の原案では、毎月の支払額を明確にします。子どもが複数いる場合は、合計額だけでなく、子ども一人当たりの金額も整理しておくと、支払終期が異なる場合に対応しやすくなります。
例えば「毎月6万円」とだけ定めると、一人が支払終期を迎えた後の金額が分かりにくくなることがあります。「長男について月額3万円、長女について月額3万円」のように内訳を示す方法が考えられます。
金額を話し合う際は、父母双方の収入、子どもの人数や年齢、現在の生活状況、今後見込まれる支出などを踏まえます。養育費算定表は検討材料になりますが、個別の合意額を自動的に決めるものではありません。
いつからいつまで支払うかを明確にする
養育費は月額とともに、支払いの開始時期と終了時期を明確にする必要があります。「成人するまで」「大学卒業まで」という表現だけでは、具体的な終期について認識が分かれる場合があります。
- 何年何月分から支払いを始めるか
- 満18歳または満20歳に達する月までとするか
- 高校・大学を卒業する月までとするか
- 浪人、留年、退学、就職の場合にどう扱うか
将来の進路を完全に予測することは難しいため、一定の事情が生じたときに改めて協議する条項を設ける方法もあります。ただし、協議条項があるだけで、当然に期間が延長または短縮されるわけではありません。
毎月の支払日と振込方法を決める
毎月の期限と振込方法は具体的に定めます。「毎月支払う」という記載だけでは、月初か月末かが分からず、入金の遅れを判断しにくくなります。
例えば「毎月末日限り、指定口座へ振り込む」とし、金融機関の休業日に当たる場合は前営業日とするか翌営業日とするかも確認します。振込先、手数料の負担者、口座変更時の通知方法も整理しましょう。
現金での受け渡しは、後から支払いの有無を確認しにくい場合があります。特別な事情がなければ、記録が残る銀行振込などを利用すると確認しやすくなります。
進学費や医療費などの特別費用を整理する
毎月の養育費とは別に、入学金、学費、受験料、入院費など、まとまった支出が発生することがあります。こうした費用を通常の養育費に含めるのか、発生時に別途負担するのかを整理します。
- 入学金、授業料、教材費
- 受験料や受験に伴う交通費
- 塾、予備校、習い事の費用
- 入院、手術、矯正治療などの医療費
- 留学や部活動に伴う高額な費用
すべての将来費用を確定することは難しいため、対象費用、事前協議、領収書等の共有、負担割合、支払期限などを決める方法があります。「特別費用は折半する」とだけ定めるより、何を対象にするかを可能な範囲で具体化すると、認識を合わせやすくなります。
住所や勤務先が変わった場合の連絡方法を決める
養育費は長期間にわたることが多く、その間に住所、電話番号、勤務先、振込先が変わる可能性があります。変更後も連絡が取れるよう、通知の対象、期限、方法を原案へ盛り込みます。
勤務先情報を把握しておけば、不払いが生じた場合の連絡や手続きを進めやすくなることがあります。一方、相手が勤務先を知らせない場合でも、一定の要件を満たせば、裁判所を通じて勤務先情報を取得できる可能性があります。
情報取得手続には要件と費用があり、必ず情報を得られるとは限りません。通常時の連絡を円滑にするためにも、変更時の通知ルールを決めておくことに意味があります。
養育費の条件整理から相談できます
月額だけ決まっている場合や、進学費・医療費の書き方に迷っている場合も、現在の状況から伺います。合意済みの内容と未決事項を分け、公証役場へ伝える原案へ整理します。
養育費の書面作成サポートを見る養育費の不払いに備えて確認したい3つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 強制執行認諾文言が必要になる理由
- 強制執行には別途手続きが必要になる
- 個別事情によって強制執行できる範囲は異なる
不払いへの備えとして公正証書を作成する場合、強制執行認諾文言は重要な確認事項です。ただし、この文言があれば自動的に差押えが行われるわけではありません。財産や勤務先が不明な場合に検討できる調査手続も含めて理解しましょう。
強制執行認諾文言が必要になる理由
養育費の公正証書に基づいて強制執行を申し立てるには、一定額の金銭支払いに関する合意に加え、支払いを怠ったときは直ちに強制執行を受ける旨を支払義務者が認める記載が必要です。これを強制執行認諾文言といいます。
養育費の約束を公正証書にしただけでは、その公正証書に基づいて強制執行を申し立てられるとは限りません。不払いへの備えを重視する場合は、強制執行認諾文言を設けたい旨を公証人へ伝えます。
ただし、定型文を加えれば、すべての条項が強制執行の対象になるわけではありません。対象となる金銭債務について、金額や期限などが特定できる必要があります。将来の費用を抽象的に定めた条項などは、個別の確認が必要です。
強制執行には別途手続きが必要になる
強制執行認諾文言付きの公正証書があっても、支払いが遅れた時点で自動的に給与や預貯金が差し押さえられるわけではありません。公正証書正本、執行文、送達証明書などを準備し、裁判所へ申立てを行います。
差押先が分かっている場合は、給与や預貯金などを対象とする債権差押えを検討します。勤務先や金融機関が分からない場合は、要件に応じて次の手続を利用できる可能性があります。
| 手続 | 主な内容 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 財産開示手続 | 債務者を裁判所へ呼び出し、財産状況を開示させる | 債務名義や申立要件が必要 |
| 第三者からの情報取得手続 | 金融機関、登記所、市区町村、日本年金機構等から情報を得る | 情報の種類ごとに要件や流れが異なる |
| 債権差押え | 判明した給与や預貯金を対象に回収を図る | 情報取得とは別の申立てが必要な場合がある |
2026年4月からは、養育費等について財産開示や勤務先情報の取得、その後の差押えを一連の申立てとして扱う裁判所の案内も整備されています。利用できる手続は債務名義や請求内容によって異なるため、申立先の裁判所で最新の案内を確認します。
図解|勤務先や口座が分からない場合の考え方
情報取得は、回収そのものではなく、差押先を調べるための手続です。手続の種類によっては、情報取得後に改めて差押えを申し立てます。
個別事情によって強制執行できる範囲は異なる
強制執行ができるか、どの財産をどの範囲まで差し押さえられるかは、個別事情によって異なります。公正証書の内容、未払いの時期と金額、執行文等の有無、相手の財産状況などが影響します。
- 公正証書に記載された債務の内容
- 強制執行認諾文言の対象
- 未払いが生じた時期と金額
- 相手の勤務先や預貯金などの状況
- 財産開示・情報取得手続の利用要件
情報取得手続も無条件で利用できるわけではなく、手続の種類によって、財産開示期日の実施や通常行うべき調査などが求められる場合があります。「公正証書があれば必ず全額を回収できる」「情報取得をすれば必ず差押先が見つかる」とは限りません。具体的な申立ては、裁判所の案内を確認し、必要に応じて弁護士へ相談します。
将来の認識違いを減らすために決めたい3つのルール
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 収入や生活状況が変わった場合の協議方法を決める
- 支払いが遅れた場合の連絡方法を決める
- 当事者だけで解決できない場合の対応を考える
養育費の支払期間中には、転職、失業、進学、再婚など、合意時には予測しきれなかった変化が起こることがあります。すべてを事前に固定するのではなく、変化が生じた際の確認方法を決めておくと、対応しやすくなります。
収入や生活状況が変わった場合の協議方法を決める
支払義務者の失業や収入減少、受取側の収入変化、子どもの進学や病気などにより、金額の見直しが必要になる場合があります。そのため、大きな事情変更が生じた場合に、当事者が改めて協議する旨を定める方法が考えられます。
事情が変わっただけで当然に増額または減額されるわけではありません。原則として新たな合意が必要で、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の調停や審判を検討します。
変更に合意した場合も、口頭だけで済ませず、変更後の金額、開始時期、期間などを書面へ残すことが大切です。内容によっては、改めて公正証書を作成することも検討します。
支払いが遅れた場合の連絡方法を決める
養育費の入金が確認できない場合でも、単なる振込忘れや事務的な行き違いであれば、連絡によって解決することがあります。支払期限から何日後に連絡するか、どの方法を使うか、支払予定日をどのように回答するかを決めておくと、落ち着いて確認できます。
連絡ルールを定めることと、支払期限を当然に猶予することは異なります。未払いが続く場合に備え、入金履歴、請求した日時、相手からの回答などを記録しておきましょう。
未払い額や対応経過が整理されていると、差押えや財産調査の相談をする際にも状況を説明しやすくなります。
当事者だけで解決できない場合の対応を考える
公正証書の作成手続や必要資料については、公証役場へ確認できます。当事者間で合意した内容を原案として整理したい場合は、行政書士への相談も選択肢です。
一方、相手との交渉が必要な場合、すでに紛争が生じている場合、強制執行や財産開示等の具体的な申立てを検討する場合は、弁護士への相談が適しています。養育費の金額や変更について合意できないときは、家庭裁判所の調停などを利用する方法があります。
相談先ごとに対応できる範囲が異なります。現在の状況を整理し、必要な手続に合う窓口を選びましょう。
養育費の公正証書を作るまでの4つのステップ
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 養育費について当事者間で話し合う
- 合意した条件を公正証書原案にまとめる
- 必要書類と公証役場の手続きを確認する
- 公証人による確認を経て公正証書を作成する
養育費の公正証書は、公証役場へ行けばその場で完成するものではありません。まず当事者間で条件を話し合い、合意内容を原案へ整理したうえで、公証役場へ申し込みます。
養育費について当事者間で話し合う
最初に、子どもごとの養育費額、開始月、終了時期、支払期限、振込方法、特別費用、変更時の連絡、強制執行認諾文言を設けるかなどを話し合います。
自分の希望だけでなく、相手が継続して履行できる内容か、子どもの生活に必要な条件となっているかも確認します。すでに対立が深まり、直接の話し合いが難しい場合は、家庭裁判所の調停や弁護士への相談を検討します。
合意した条件を公正証書原案にまとめる
当事者間で合意できたら、内容を原案として文章にします。原案を作ることで、決定済みの項目と、まだ話し合いが必要な項目を見分けやすくなります。
「大学までは面倒を見る」という合意も、毎月の養育費を大学卒業まで支払うのか、入学金や学費を別途負担するのかによって意味が異なります。抽象的な言葉を、金額、期限、対象、条件へ置き換えます。
公正証書の最終文面を決定するのは公証人です。原案は、公証役場で確認を受けるための土台となります。
必要書類と公証役場の手続きを確認する
原案を整理したら、公証役場へ連絡し、必要書類、原案の提出方法、手数料、当日の出席方法を確認します。本人確認資料、戸籍関係書類、振込先情報、代理人を立てる場合の委任状などを求められることがあります。
必要書類は、公正証書に記載する内容や本人確認方法によって異なります。一般的な案内だけで判断せず、実際に申し込む公証役場へ確認すると準備を進めやすくなります。
公証人による確認を経て公正証書を作成する
提出した原案や資料をもとに、公証人が内容を確認し、公正証書の文案を作成します。法律上または公証実務上の理由から修正が必要な場合は、公証人から確認や提案が行われます。
内容が確定したら、当事者本人または適法な代理人が内容を確認し、公正証書を作成します。完成後は、公正証書正本や謄本を受け取り、紛失しないよう保管します。
不払い時に強制執行等を検討する場合は、執行文や送達証明書などが必要となることがあります。作成時または作成後に、公証役場へ必要な手続きを確認しておきましょう。
公正証書原案を先に作ることで防ぎやすい3つの問題
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 話し合ったはずの条件が公正証書に反映されない問題
- 進学費や医療費の負担をめぐる将来の認識違い
- 公証役場への相談後に条件を決め直す手間
原案作成は、公証役場へ提出する文章を用意するだけの作業ではありません。当事者が合意内容を見直し、曖昧な条件や決め忘れを発見する機会になります。
話し合ったはずの条件が公正証書に反映されない問題
口頭では合意したつもりでも、文章にすると双方の理解が異なっていたと分かる場合があります。「大学卒業まで支払う」という合意でも、留年を含むか、何年何月までかによって内容が変わります。
原案を先に作れば、曖昧な部分を公証役場へ提出する前に確認できます。決まっていない事項を可視化し、必要な話し合いを終えてから公正証書作成へ進める点が利点です。
進学費や医療費の負担をめぐる将来の認識違い
入学金や手術費などが必要になった段階で、一方は養育費とは別に負担してもらえると考え、もう一方は毎月の養育費に含まれていると考えることがあります。
対象とする費用、事前協議の要否、費用を確認する資料、負担割合、支払期限を検討しておくと、発生時の認識を合わせやすくなります。将来の支出をすべて予測できなくても、協議の手順を決めることは可能です。
公証役場への相談後に条件を決め直す手間
公証役場へ原案を提出した後に、支払日や終了時期が未定だと分かれば、再び当事者間で話し合う必要があります。文案の修正や双方の確認が重なることで、公正証書の完成までに時間がかかる場合もあります。
申込み前に確認項目を一覧化し、合意内容を原案へまとめておけば、追加確認を減らしやすくなります。原案は公証人の確認を代替するものではなく、当事者が決める事項と公証人へ確認する事項を整理するための準備です。
公証役場へ出す前に、合意内容を見直せます
条件が一部しか決まっていない場合も、決定済み・要確認・未合意に分けて整理します。何を追加で話し合うとよいかが分かる状態を目指します。
公正証書原案サポートを見る相談・問い合わせをする公正証書原案の作成を相談した方がよい3つのケース
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 決めるべき項目や書き方が分からない場合
- 進学費や医療費について細かな条件を残したい場合
- 公証役場へ伝える内容を事前に整理したい場合
養育費について大まかな合意ができていても、何を原案へ盛り込むべきか分からないことがあります。条件が複雑な場合や、文章にすると新たな疑問が生じた場合は、原案作成の相談を検討できます。
決めるべき項目や書き方が分からない場合
月額は決まっていても、支払期間、支払日、振込方法、特別費用、変更時の連絡などが未定ということがあります。一般的なひな形を使う方法もありますが、家庭の状況に合わない条項が含まれたり、必要な条件が抜けたりする可能性があります。
相談時に、すべての条件が確定している必要はありません。現在決まっていること、相手と協議中のこと、判断に迷っていることを分けて伝えると、検討事項が明確になります。
相手との交渉や法的紛争への対応が必要な場合は、弁護士への相談が適しています。
進学費や医療費について細かな条件を残したい場合
進学費や医療費について「別途協議する」と記載するだけでは不安が残ることがあります。大学の入学金を折半するか、私立学校への進学は事前の相談を必要とするか、保険適用外の医療費をどう負担するかなど、家庭ごとに確認したい内容は異なります。
一方で、将来の状況を細かく固定しすぎると、実際の事情に合わなくなる可能性もあります。具体的に決める部分と、発生時に協議する部分のバランスを考えます。
公証役場へ伝える内容を事前に整理したい場合
公証役場へ相談する前に、決まっている内容を一度まとめたい場合も、原案作成の相談が役立ちます。子どもの人数と年齢、養育費額、開始時期、終了時期、支払日、特別費用、合意済みの内容、未決事項などを確認します。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。メモ、メール、メッセージなど、現在確認できる資料から整理を始められます。
原案を作成した後は、公証人が法令や公証実務に照らして最終的な文案を確認します。行政書士が公正証書そのものを作成するわけではありません。
養育費の約束を具体的な公正証書原案にまとめる
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 公正証書にする前の合意内容を整理します
- 金額だけでなく支払期間や特別費用も確認します
- 公証役場へ提出する前の原案作成をご相談ください
養育費を公正証書にする際に重要なのは、書面の形式だけを整えることではありません。誰が、いつからいつまで、いくらを、どのように支払うかを具体化し、不払い時に利用できる制度と限界も理解したうえで準備します。
公正証書にする前の合意内容を整理します
当事者間ですでに合意している内容を確認し、具体的な文章へ整理します。月額だけでなく、開始月、終了時期、支払日、振込先、特別費用などを一つずつ明らかにします。
双方の認識が一致していない事項を、合意済みの内容として記載することはできません。原案作成の過程で未決定の項目が見つかった場合は、改めて話し合います。
相手との交渉や意見調整を代行するものではありませんが、合意した内容を公証役場へ伝えられる形に整えることで、次の手続へ進む準備ができます。
金額だけでなく支払期間や特別費用も確認します
原案作成では、子どもごとの養育費額、開始月と終了時期、毎月の期限、振込方法、進学費や医療費、事情変更時の協議、住所や勤務先変更時の連絡、強制執行認諾文言に関する希望などを確認します。
すべての家庭に同じ条項が必要なわけではありません。進学費を通常の養育費に含める家庭もあれば、発生時に別途負担する家庭もあります。希望する条件と合意内容を照らし合わせ、必要な項目を選びます。
公正証書を作成しても回収が保証されるわけではありませんが、適切な内容に整えておくことで、差押えや財産調査を検討するための基礎になります。
公証役場へ提出する前の原案作成をご相談ください
話し合った内容を公正証書にしたいものの、原案の書き方や必要な項目に不安がある場合は、公証役場へ提出する前の段階でご相談ください。
作成した原案は公証役場へ提出し、公証人による確認と調整を経て公正証書になります。原案の文言がそのまま採用されることや、希望する内容で公正証書が作成されることを保証するものではありません。
制度の限界も理解したうえで、将来に向けて約束を明確に残したい方にとって、原案の整理は重要な準備です。
現在の状況から一緒に整理します
資料や条件がすべてそろっていなくてもご相談いただけます。決まっていることと不安なことを伺い、公証役場へ伝えやすい原案へ整えます。
養育費の書面作成について見る離婚公正証書の原案作成について見る養育費の公正証書に関するよくある5つの質問
養育費の公正証書は金額だけ決めれば作れますか
金額に加え、支払開始月、終了時期、毎月の支払日、振込方法、特別費用、変更時の連絡なども整理しておくと、公証役場へ内容を伝えやすくなります。すべて決まっていない場合は、合意済み・要確認・未合意に分けるところから始めます。
公正証書があれば養育費を必ず回収できますか
公正証書は不払いに備える重要な手段ですが、支払いや全額回収を保証するものではありません。実際の回収には差押え等の申立てが必要で、相手の財産状況などにも左右されます。強制執行認諾文言の有無も確認が必要です。
相手の勤務先や預貯金口座が分からなくても調べられますか
所定の要件を満たす場合、裁判所の財産開示手続や第三者からの情報取得手続を利用し、勤務先や預貯金情報などを調査できる可能性があります。ただし、手続の種類ごとに要件があり、情報取得後に差押えの申立てが必要となる場合もあります。
公正証書の原案は自分で作れますか
当事者自身で作成できます。合意事項と未合意事項を分け、金額、日付、支払方法を具体化し、全体の矛盾を確認します。ひな形が個別事情に合わない場合もあるため、整理が難しいときは行政書士へ相談できます。
行政書士と公証人の役割はどう違いますか
行政書士は、当事者間で合意した内容を離婚協議書や公正証書の原案として整理します。公証人は、当事者の意思と資料を確認し、公正証書を作成します。交渉代理や紛争対応が必要な場合は弁護士への相談が適しています。
| 行政書士 | 公証人 |
|---|---|
| 合意済みの内容を聞き取り、原案へ整理する | 当事者の意思と資料を確認する |
| 公証役場へ伝える内容をまとめる | 法令や公証実務を踏まえて公正証書を作成する |
| 未決事項と合意済み事項を整理する | 必要に応じて修正や追加資料を求める |
養育費の5つの条件を原案に整理してから公証役場へ進みましょう
- 子どもごとの養育費額を具体的に決める
- 支払いの開始時期と終了時期を明確にする
- 毎月の支払日、振込先、手数料負担を整理する
- 進学費や医療費などの特別費用について話し合う
- 住所や勤務先などが変わった場合の連絡方法を決める
以上が、公正証書原案で特に整理したい5つの基本条件です。これらに加えて、不払いへ備える場合は、強制執行認諾文言の有無も確認します。
公正証書は、養育費の支払いや全額回収を保証するものではありません。一方、適切な公正証書を作成しておけば、不払い時に差押えを検討できるほか、要件を満たす場合には、財産開示手続や第三者からの情報取得手続により、勤務先や預貯金情報などを調査できる可能性があります。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。資料があれば確認がスムーズですが、そろっていない段階でもご相談いただけます。
養育費の約束を、確認できる原案へ整えます
「月額以外に何を決めればよいか分からない」「特別費用の書き方に迷う」という段階からご相談いただけます。
養育費の書面作成サポートを見るHANAWA行政書士事務所へ相談する制度と手続きに関する参考情報
本記事は一般的な情報提供を目的としています。公正証書の内容、未払いの状況、保有する書類、相手の財産状況によって必要な対応は異なります。最新の制度、申立要件、必要書類は、公的機関、利用予定の公証役場、申立先の裁判所へご確認ください。