HANAWA行政書士事務所 契約書・文書作成サポート
小規模事業者・フリーランス・小規模法人・建設業者向け
小規模事業者が契約書を作る前に確認したい基本項目
雛形を埋める前に、取引の実態と法令上の確認事項を整理しましょう。
業務委託契約書を作るときは、雛形に合わせて項目を埋めるだけでは不十分な場合があります。大切なのは、自社の取引実態に合わせて「誰が、何を、いつまでに、いくらで、何が起きたらどうするか」を明確にすることです。
小規模事業者は、受注側として契約書を確認することもあれば、発注側としてフリーランスや外注先へ仕事を依頼することもあります。そのため、契約書は単なるトラブル防止の文書ではなく、フリーランス新法、下請法、建設業法などの確認にもつながります。
この記事では、業務委託契約書、契約書作成、契約書チェックを検討している方に向けて、相談前に整理しておくと役立つ基本項目をわかりやすく解説します。
図解:契約書を作る前に整理したい流れ
Chapter 01
小規模事業者が契約書を用意する前に整理したい3つの前提
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 契約書は「書式を埋める書類」ではなく取引内容を確認するための文書
- フリーランスや小規模法人でも契約内容を明確にする必要がある場面
- 業務委託契約では「何を頼むのか・何を納品するのか」を先に整理する
小規模事業者が契約書を用意するときは、まず「何のために契約書を作るのか」を整理することが大切です。契約書は相手を縛るためだけのものではなく、お互いの認識をそろえるための文書でもあります。取引の内容が具体的であるほど、後日の確認やトラブル防止に役立ちます。
契約書は「書式を埋める書類」ではなく取引内容を確認するための文書
契約書を作る目的は、書式の空欄を埋めることではありません。取引の内容を言葉にして、双方が同じ前提で仕事を進められるようにすることが重要です。
たとえば、業務委託契約書の雛形には、業務内容、報酬、支払日、契約期間などの項目が用意されていることがあります。しかし、自社の取引に合わない表現をそのまま使うと、実際の業務とのズレが残る場合があります。
小規模事業者では、口頭やメールで決めた内容をもとに仕事が進むことも少なくありません。その内容を契約書に反映しておくことで、「何を頼んだのか」「どこまで対応するのか」を確認しやすくなります。書式を先に探すのではなく、取引内容を先に整理し、その内容を文書へ落とし込む順番で考えると実務に合いやすくなります。
フリーランスや小規模法人でも契約内容を明確にする必要がある場面
フリーランスや小規模法人でも、継続的な取引や金額の大きい業務では、契約内容を明確にしておく必要があります。取引規模が小さいからといって、認識違いが起きないとは限りません。
Web制作、デザイン、原稿作成、コンサルティング、現場作業、事務代行などでは、業務範囲が曖昧になりやすい傾向があります。最初は簡単な依頼のつもりでも、修正対応や追加作業が増えると、報酬や納期をめぐって確認が必要になることがあります。
また、2024年11月に施行されたフリーランス新法や、取引内容によって適用される下請法では、発注書や契約書などの書面、または電磁的記録による取引条件の明示が義務となるケースがあります。契約書や発注書の作成は、単なるトラブル防止にとどまらず、法令遵守の観点からも重要です。
小規模事業者は、受注側になることもあれば、外注先に仕事を依頼する発注側になることもあります。発注側となる場合は、業務内容、報酬額、支払期日などを速やかに文書化する必要があるかを確認しておくと安心です。
業務委託契約では「何を頼むのか・何を納品するのか」を先に整理する
業務委託契約では、契約書を作る前に「何を依頼するのか」「何を成果物とするのか」を整理することが大切です。ここが曖昧なままだと、契約書に必要な項目を入れても、実際の仕事とのズレが残りやすくなります。
業務委託契約には、成果物の完成を目的とする請負契約に近いものと、業務の遂行自体を目的とする準委任契約に近いものがあります。どちらに該当するかによって、報酬が発生するタイミングや責任の範囲が変わる場合があるため、契約前に整理しておくことが重要です。
たとえば、単に「ホームページ制作」と書くだけでは、ページ数、文章作成の有無、写真素材の準備、修正回数、公開後の保守対応などが不明確です。契約書の作成前には、依頼する業務、納品する成果物、作業範囲、修正や追加対応、納期、支払条件、請負型か準委任型かの考え方をメモしておくと、内容を実態に合わせやすくなります。
Chapter 02
契約書で明確にしたい基本項目は「誰が・何を・いつまでに・いくらで」
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 契約当事者を正しく記載して責任の所在を明確にする
- 業務内容・成果物・対応範囲を具体的に書く
- 納期・契約期間・作業スケジュールを確認する
- 報酬額・支払時期・支払方法を決めておく
契約書で最初に確認したいのは、「誰が、何を、いつまでに、いくらで行うのか」という基本項目です。この部分が曖昧なままだと、細かな条項を整えても取引の中心が不明確になります。まずは取引の骨格を具体的にし、そのうえで必要な条件を加えていくことが重要です。
契約当事者を正しく記載して責任の所在を明確にする
契約書では、まず契約当事者を正しく記載することが重要です。誰と誰が契約するのかが曖昧だと、責任の所在や請求先が不明確になる可能性があります。
個人事業主の場合は、屋号だけでなく個人名を記載するかどうかを確認する必要があります。法人の場合は、会社名、所在地、代表者名などを正確に書くことが基本です。取引先が支店名や担当者名だけでやり取りしている場合でも、契約主体が誰なのかを整理しておくと安心できます。
請求書の宛名と契約書上の相手方が異なると、後で確認が必要になることがあります。契約書、見積書、請求書の記載が大きく食い違わないように、最初の段階で確認しておきましょう。発注側と受注側の立場を明確にすることも、支払条件や納品条件を整理するうえで大切です。
業務内容・成果物・対応範囲を具体的に書く
業務内容は、できるだけ具体的に書くことが大切です。「一式」「関連業務」などの広い表現だけでは、どこまで対応するのかが分かりにくくなる場合があります。
業務委託契約であれば、作業内容、納品物、納品形式、修正回数、打ち合わせの回数、追加作業の扱いなどを整理しておくと実務に合いやすくなります。成果物がある取引では、完成品の内容や納品方法も確認しておくべきです。
成果物がある場合は、著作権などの知的財産権の帰属や利用範囲も重要になります。成果物の権利を譲渡するのか、一定の範囲で利用を許諾するのか、二次利用や改変を認めるのかによって、契約内容は変わります。
整理しやすい確認項目
- 業務内容:依頼する作業の具体的な内容
- 成果物:納品するもの、形式、数量
- 対応範囲:通常対応に含まれる作業
- 追加対応:別料金になる作業や条件
- 知的財産権:著作権などの帰属、利用範囲、二次利用の可否
納期・契約期間・作業スケジュールを確認する
契約書では、納期や契約期間も明確にしておきたい項目です。いつまでに何を行うのかが決まっていないと、作業の遅れや支払い時期にも影響することがあります。
単発の業務であれば、納品日や完了予定日を確認します。継続的な業務であれば、契約開始日、終了日、更新の有無を整理しておくとよいでしょう。途中で作業内容が増えた場合に、納期をどう見直すかも重要な視点です。
相手方から必要資料の提供が遅れた場合、当初の納期を守ることが難しくなるケースがあります。そのような場合に備えて、資料提供日や確認期間を含めたスケジュールを考えると、実態に合った契約書に近づきます。発注、資料提供、作業開始、初稿提出、修正、検収、請求、支払いまでの流れを整理しておくと、契約書に反映すべき内容が見えやすくなります。
報酬額・支払時期・支払方法を決めておく
報酬に関する条件は、契約書の中でも特に重要な項目です。金額だけでなく、いつ、どの方法で支払うのかまで決めておくことで、後日の確認がしやすくなります。
報酬額は、総額で決める場合もあれば、月額、時間単価、成果物ごとに決める場合もあります。支払時期については、着手時、納品後、検収後、月末締め翌月払いなど、取引の実態に合わせて整理しましょう。
下請法やフリーランス新法の適用を受ける取引では、発注側が給付を受領した日、または役務提供を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定める必要があります。自社が発注側となる場合は、支払サイトが法令上問題ないかを確認しておくことが重要です。
振込手数料の負担、消費税の扱い、追加作業が発生した場合の費用も確認しておくと安心です。適格請求書発行事業者かどうか、いわゆるインボイス登録の有無も、取引実務では重要な確認事項になります。支払いが遅れた場合の遅延損害金についても、年率などを定めておくと未払い時の対応が明確になります。
Chapter 03
トラブル防止につながる確認項目は5つの場面で考える
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 成果物の修正・検収・納品後対応をどう扱うか
- キャンセルや途中終了が起きた場合の対応を決める
- 支払い遅延や未払いを想定した条件を確認する
- 損害が発生した場合の責任範囲を整理する
- 秘密情報や取引先情報の取り扱いを明確にする
契約書では、予定どおりに進む場合だけでなく、想定外のことが起きた場合の扱いも整理しておくことが重要です。修正、キャンセル、支払い遅延、損害、秘密情報などは、小規模事業者の取引でも問題になりやすい部分です。さらに、反社会的勢力の排除、準拠法、管轄裁判所なども、契約実務では確認しておきたい項目です。
成果物の修正・検収・納品後対応をどう扱うか
成果物がある業務では、修正や検収の扱いを決めておくことが大切です。納品した後に「まだ完成ではない」と言われると、報酬の支払いや次の作業に影響する場合があります。
デザイン、原稿、システム、図面、資料作成などでは、納品後に修正依頼が出ることがあります。そのため、修正回数、修正対象、検収期間、検収完了の基準をあらかじめ確認しておくと安心です。
具体的には、「納品後○日以内に確認する」「軽微な修正は○回まで対応する」「当初の依頼範囲を超える修正は別途確認する」といった形で、実態に合う内容を検討します。成果物がある場合は、納品後の利用範囲もあわせて確認しましょう。著作権などの知的財産権をどちらが持つのか、発注者がどの範囲で利用できるのか、実績として公開できるのかを整理しておくと、後日の認識違いを防ぎやすくなります。
キャンセルや途中終了が起きた場合の対応を決める
契約後にキャンセルや途中終了が起きることもあります。その場合に備えて、どの時点でどの費用が発生するのかを確認しておくことが大切です。
着手後に相手方の都合で業務が中止になった場合、すでに行った作業分の報酬や外注費、材料費をどう扱うかが問題になることがあります。継続契約では、解約の申し出期限や終了月の報酬も整理しておくとよいでしょう。
小規模事業者は、ひとつの案件に人員や時間を大きく割くことがあります。途中終了の条件が曖昧なままだと、予定していた売上や作業計画に影響が出やすくなります。キャンセルを責めるためではなく、万一のときの扱いを事前に決めておく視点が大切です。契約終了時の成果物の扱い、支払済み金額の精算、秘密情報の返却や削除についても、必要に応じて整理しておくと実務で確認しやすくなります。
支払い遅延や未払いを想定した条件を確認する
支払い遅延や未払いへの備えも、契約書で確認しておきたい項目です。報酬の支払条件が曖昧だと、請求後のやり取りに時間がかかることがあります。
まずは、請求書の発行時期、支払期限、支払方法を明確にしましょう。検収後に支払う場合は、検収期間や検収完了の扱いもあわせて確認しておく必要があります。支払いが遅れた場合の遅延損害金についても定めておくと、未払い時の対応を確認しやすくなります。
取引の内容によっては、下請法やフリーランス新法の適用対象となる場合があります。これらの法律では、書面や電磁的記録による取引条件の明示、支払期日の設定、期日内の支払いなどに関するルールが定められています。「月末締め翌々月払い」などを予定している場合は、給付の受領日から60日を超えないかを確認しておくと安心です。契約書と請求書の流れを一体で考えることが重要です。
損害が発生した場合の責任範囲を整理する
契約書では、損害が発生した場合の責任範囲も整理しておく必要があります。どのような場合に、どこまで責任を負うのかが不明確だと、想定外の負担につながる可能性があります。
小規模事業者の取引では、納品の遅れ、成果物の不備、情報漏えい、作業中の事故など、さまざまなリスクが考えられます。すべてのリスクを契約書だけで完全に避けられるわけではありませんが、あらかじめ責任の考え方を整理しておくことは重要です。
たとえば、故意または重大な過失がある場合、通常損害の範囲、報酬額を上限とする考え方など、契約内容に応じた検討が必要になることがあります。損害賠償に関する条項は影響が大きいため、安易に雛形を使わず、必要に応じて専門家に確認すると安心です。また、紛争が生じた場合の準拠法や管轄裁判所についても、あらかじめ定めておくと解決手続を確認しやすくなります。
秘密情報や取引先情報の取り扱いを明確にする
業務委託契約では、秘密情報や取引先情報の取り扱いも明確にしておきたい部分です。業務の中で相手方の顧客情報、営業資料、価格情報、技術情報などに触れることがあるためです。
秘密保持に関する内容を決めておくと、どの情報を外部に出してはいけないのか、契約終了後も守る必要があるのかを確認しやすくなります。特に、外注先や協力会社が関わる場合は、情報の共有範囲も整理しておくことが大切です。
業務上必要な範囲で資料を受け取った場合でも、別案件で利用したり、第三者に見せたりすることは問題になる可能性があります。秘密情報の定義、管理方法、返却や削除の扱いを決めておくと、相手方からの信頼にもつながります。反社会的勢力の排除に関する条項を設けることも、近年の契約実務では一般的です。取引先の信用確認や継続的な取引管理の観点からも、秘密保持、情報管理、反社会的勢力排除をあわせて確認しておくとよいでしょう。
Chapter 04
雛形を使う前に確認したい「自社の実態に合っているか」という視点
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 一般的な雛形だけでは実際の取引に合わないことがある
- 業務内容・報酬・納期が曖昧なままだと後で認識違いが起きやすい
- 契約書チェックでは「足りない条項」だけでなく「実態とのズレ」も見る
契約書の雛形は、確認項目を把握するうえでは便利です。ただし、雛形をそのまま使えば十分とは限りません。小規模事業者にとって大切なのは、実際の取引内容に合わせて、必要な項目を具体的に整えることです。雛形は出発点として使い、最後は実態との整合性を確認しましょう。
一般的な雛形だけでは実際の取引に合わないことがある
契約書の雛形は便利ですが、一般的な内容で作られているため、すべての取引にそのまま合うとは限りません。取引ごとに業務内容、報酬体系、納期、成果物、責任範囲が異なるからです。
同じ業務委託契約でも、成果物を納品する契約と、月額で継続支援を行う契約では、確認すべき内容が変わります。請負契約に近いのか、準委任契約に近いのかによっても、報酬発生時期や責任の考え方が変わる場合があります。
建設業のように現場や工期が関わる取引では、追加工事や変更対応の扱いも重要になります。さらに、建設工事の請負契約では、建設業法第19条に基づく書面契約義務も確認しなければなりません。雛形を使う場合は、空欄を埋めるだけでなく、「この条項は自社の取引に合っているか」「実際に起こりそうな場面をカバーできているか」を確認することが大切です。
業務内容・報酬・納期が曖昧なままだと後で認識違いが起きやすい
契約書の中で特に曖昧にしないほうがよいのは、業務内容、報酬、納期です。この3つは、取引の中心になるため、後から認識違いが起きやすい部分でもあります。
業務内容が曖昧だと、追加作業が通常業務に含まれるのか分かりにくくなります。報酬が曖昧な場合、どの作業にいくら支払われるのかが問題になりがちです。納期が不明確だと、遅延の判断や支払いのタイミングにも影響します。
「必要に応じて修正対応を行う」とだけ書いていると、何度でも無料で修正するのか、軽微な修正に限るのか判断しにくくなります。発注側としては、下請法やフリーランス新法の適用がある場合、支払期日や取引条件の明示についても確認が必要です。取引開始前に整理しておくことで、仕事が始まった後の負担を減らしやすくなります。
契約書チェックでは「足りない条項」だけでなく「実態とのズレ」も見る
契約書をチェックするときは、足りない条項を探すだけでなく、実際の取引内容と合っているかを見ることが重要です。条項の数が多くても、実態に合っていなければ使いにくい契約書になる場合があります。
単発業務なのに継続契約を前提にした内容が入っている、成果物がない業務なのに納品物の検収条項だけが詳しい、追加費用が発生する業務なのに費用変更の扱いが書かれていない、といったズレが考えられます。
契約書チェックで見たい視点
- 実際の業務内容と合っているか
- 請負型か準委任型かの考え方に無理がないか
- 報酬や支払いの流れに法令上の問題がないか
- 納期や検収の流れが現実的か
- 知的財産権や成果物の利用範囲が整理されているか
- 想定されるトラブルに触れているか
- 不要な表現や過度な表現が残っていないか
契約書は、実務で使いやすい内容に整えることが大切です。特に、法令上の義務が関わる取引では、雛形の有無だけで判断せず、適用関係を確認する必要があります。
Chapter 05
建設業者が契約書と一緒に確認したい工事資料・請求書の3つの関係
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 工事内容・工期・追加工事の扱いを文書で整理する
- 見積書・請求書・契約書の内容に食い違いがないか確認する
- 建設業では許可・顧問・文書管理をまとめて相談できる体制が役立つ
建設業者の場合、契約書だけでなく、見積書、工事資料、請求書との整合性も重要です。ただし、その前提として、建設工事の請負契約では建設業法第19条に基づく書面契約義務を確認する必要があります。工事内容や追加工事の扱いが資料ごとに違うと、後から確認に時間がかかるため、契約書と関連文書を一体で整理する視点が大切です。
工事内容・工期・追加工事の扱いを文書で整理する
建設業では、口頭での発注トラブルを防ぐだけでなく、建設業法第19条により、工事請負契約の締結時に法定事項を記載した書面を相互に交付することが求められます。工事内容、請負代金の額、工期、注文変更の扱いなど、法令上確認すべき項目があるため、契約書の作成は実務上も法令遵守上も重要です。
近年は、法改正により記載事項が追加・変更されているため、過去の雛形や古い注文書をそのまま使うのではなく、最新の要件に合っているかを確認する必要があります。見積書や仕様書との整合性を取る前段階として、まず契約書面が法定記載事項を満たしているかを確認しましょう。
工事範囲、使用材料、施工箇所、開始日、完了予定日、天候や資材遅延による影響などは、契約書や関連資料で整理しておくと実務に役立ちます。追加工事が発生した場合は、費用、工期、承認方法を確認できる形にしておくことが大切です。契約書にすべてを書き切るのが難しい場合でも、見積書や仕様書、打ち合わせ記録とあわせて整理することで、取引内容を確認しやすくなります。
見積書・請求書・契約書の内容に食い違いがないか確認する
建設業者が契約書を確認するときは、見積書や請求書との食い違いにも注意が必要です。契約書では工事内容が広く書かれているのに、見積書では一部の作業しか記載されていない場合、後で確認が必要になることがあります。
特に、工事項目、数量、単価、消費税、支払時期、追加費用の扱いは、各文書で整合性を取っておきたい部分です。契約書だけを整えても、請求書の内容と合わなければ、相手方とのやり取りに時間がかかる可能性があります。
建設業で一体確認したい文書
- 契約書:工事範囲、工期、支払条件、変更時の扱い、法定記載事項
- 見積書:工事項目、数量、単価、材料費、労務費、追加費用
- 請求書:請求額、支払期限、対象工事、消費税、インボイスの記載
- 工事資料:仕様、図面、工程、変更内容、打ち合わせ記録
これらを一体で確認すると、工事後の請求や入金管理がしやすくなります。契約書と請求書の金額が一致しているかだけでなく、追加工事や変更工事がどの文書に反映されているかも確認しておきましょう。
建設業では許可・顧問・文書管理をまとめて相談できる体制が役立つ
建設業では、契約書や請求書だけでなく、建設業許可、更新手続き、各種届出、顧問相談など、継続的に管理したい文書が多くあります。そのため、文書作成や契約書の確認を単発で考えるだけでなく、事業全体の文書管理として整える視点が役立ちます。
工事請負に関する資料、見積書、請求書、契約書、許可関係書類が別々に管理されていると、必要なときに内容を確認しにくくなります。取引先への提出書類や行政手続きで、過去の情報が必要になる場面もあります。
建設業者の場合は、契約内容の整理とあわせて、許可や顧問相談の体制を整えておくと、日々の業務で迷う時間を減らしやすくなります。特に、建設業法上の契約書面、見積書、請求書、許可関係書類は、別々ではなくつながった文書として管理することが大切です。文書の作成・確認・保管をまとめて考えることが、安定した事業運営につながります。
Chapter 06
契約書作成やチェックで不安がある場合に相談する前の準備
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 取引内容・相手方・金額・納期をメモに整理しておく
- 既存の契約書や見積書・請求書があれば一緒に確認する
- 文書作成や契約書相談を活用して取引実態に合う形へ整える
契約書作成やチェックで不安がある場合は、事前に取引内容を整理しておくと相談が進めやすくなります。完成した文章がなくても、相手方とのやり取り、見積書、請求書、メモなどがあれば、確認すべきポイントを把握しやすくなります。大切なのは、実際の取引内容を具体的に伝えられる状態にしておくことです。
取引内容・相手方・金額・納期をメモに整理しておく
契約書について相談する前には、取引内容、相手方、金額、納期をメモに整理しておくと役立ちます。最初からきれいな文章にする必要はありません。箇条書きで構わないため、決まっていることと未定のことを分けておくことが大切です。
相手方の氏名または会社名、発注側と受注側の立場、依頼する業務、納品物や作業範囲、請負型か準委任型かの考え方、報酬額と支払時期、消費税やインボイス登録の有無、納期や契約期間、キャンセル時の扱い、成果物の権利や利用範囲、すでに相手方と合意している内容を整理しておくと、契約書に反映すべき項目が見えやすくなります。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
既存の契約書や見積書・請求書があれば一緒に確認する
すでに契約書、見積書、請求書、発注書、メールのやり取りなどがある場合は、あわせて確認することが大切です。契約書だけを見ても、実際の取引内容との整合性が判断しにくい場合があります。
契約書には「業務委託料」とだけ書かれていても、見積書には作業項目ごとの金額が記載されていることがあります。請求書の支払期限が契約書と異なる場合もあります。このような食い違いは、後で確認すべきポイントになります。
発注側としてフリーランスや下請事業者に業務を依頼する場合は、取引条件を明示した書面や電磁的記録があるか、支払期日が法令上問題ないかも確認しておくと安心です。受注側の場合も、報酬額、支払日、納品内容が文書で確認できる状態になっているかを見ておきましょう。建設業者であれば、工事資料、見積書、請求書、工程表、注文書、請書なども一緒に確認すると、工事内容や支払い条件を整理しやすくなります。
文書作成や契約書相談を活用して取引実態に合う形へ整える
契約書に不安がある場合は、文書作成や契約書相談を活用し、取引実態に合う形へ整えることが大切です。雛形をそのまま使うよりも、自社の業務内容や支払い条件に合わせて確認したほうが、実務で使いやすい文書になりやすくなります。
業務委託契約書を作成したい場合でも、成果物の有無、継続契約か単発契約か、修正対応の範囲、報酬の支払時期によって必要な内容は変わります。さらに、下請法やフリーランス新法の対象となる取引では、取引条件の明示や支払期日の設定も確認する必要があります。
建設業の場合は、工事内容、追加工事、請求書、許可関係の資料もあわせて整理すると安心です。建設業法第19条に基づく書面契約義務や法定記載事項を踏まえ、見積書や請求書との整合性も確認しておくことが重要になります。契約書は、作って終わりではありません。実際の取引で確認しやすく、必要なときに見返せる内容であることが重要です。
まとめ
この記事の要点
- 契約書は、取引内容を明確にするための文書です。
- 業務委託契約では、請負契約に近いのか準委任契約に近いのかを整理しておくことが大切です。
- 報酬、支払期日、消費税、インボイス登録、遅延損害金などは、支払いトラブルを防ぐうえで重要な確認項目です。
- 下請法やフリーランス新法の対象となる取引では、書面交付義務や60日以内の支払期日など、法令上のルールにも注意が必要です。
- 建設業者は、建設業法第19条に基づく書面契約義務を前提に、契約書、見積書、請求書、工事資料の整合性を確認しましょう。
小規模事業者が契約書を作成する際は、書式を整えることだけでなく、取引の実態と法令上の確認事項に合った内容になっているかを見ることが重要です。業務委託契約、建設工事の請負契約、フリーランスとの取引などでは、契約類型や適用法令によって確認すべきポイントが変わります。
契約書や関連文書に不安がある場合は、取引内容や手元の資料を整理したうえで、文書作成・契約書相談を活用すると進めやすくなります。雛形に合わせるのではなく、自社の取引実態に合う文書へ整えることが、安心して取引を続けるための第一歩です。
契約書は、相手と争うための文書ではなく、安心して取引を進めるための確認書類です。
契約書や文書作成でお悩みの方へ
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。
お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。契約書、発注書、見積書、請求書、メールのやり取りなど、現在あるものから確認できます。
業務委託契約書や各種文書作成については、以下のページをご確認ください。建設業者の方は、許可や顧問相談とあわせた文書管理のご相談も可能です。
法令情報は、フリーランス新法、下請法、建設業法第19条に関する公的情報を確認のうえ整理しています。具体的な取引への適用は、取引内容・当事者・契約類型により変わる場合があります。