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コラム

【ケース別】離婚時のペット飼育者決定と費用分担

所有権と面会交流を明文化する合意書の作り方

法律上、ペットは「物(動産)」として扱われるため、子どものように親権や養育費が当然に発生するわけではありません。しかし、当事者の合意によって「誰が飼うか」「費用をどう分担するか」「どのように関わり続けるか」を書面化すれば、離婚後も安心してペットと関わっていく道が開けます。


将来のトラブルを防ぐ「所有権」の明確化

本章では、次の二点を中心に解説します。

  • どちらが引き取るかだけでなく、登録変更の手順まで決める
  • 飼育費用(食費・医療費)の分担比率を具体化する書き方

離婚後の揉めごとを減らすには、「所有権(誰の物か)」と「名義・登録の更新」をセットで固めたうえで、費用も"何のための金銭債務か"まで明確にするのが近道です。ペットは法律上「物」として整理されるため、曖昧な合意は後から解釈が割れやすい点に注意が必要です。

どちらが引き取るかだけでなく、登録変更の手順まで決める

引き取り先を決めたら、「変更登録の期限・担当・必要情報」まで合意書に書き切ることが重要です。名義や登録が旧情報のままだと、迷子・災害・受診時の連絡や証明に支障が生じやすいためです。

たとえば犬猫は、新しい飼い主になった場合に30日以内の登録手続きが必要と案内されています。合意書には「譲受日から30日以内に変更登録を完了する」「旧飼い主は登録番号等の情報を速やかに共有する」など、実行可能な手順を明記しておくと、その後の運用が安定します。

飼育費用(食費・医療費)の分担比率を具体化する書き方

飼育費は「養育費」ではなく、合意に基づく金銭債務として名目と支払条件を特定することで、誤解や後のトラブルを防ぐことができます。ペットの飼育費用は法律上の権利として当然に請求できるものではないため、強制力を持たせたい場合は「扶養的財産分与」「解決金」などの名目のもと、毎月の定額・支払日・振込先を明記すると整理しやすくなります。

さらに金銭の支払条項は、公正証書に「一定額の支払」と「強制執行に服する旨」を記載しておくと、未払いが生じた際の対応が現実的になります。


子供に準じた「面会交流特約」の設計

本章では、次の点を中心に解説します。

  • 定期的な面会や、健康状態の報告を義務付ける工夫

なお、「子供に準じた」という表現は、親権や法定の面会交流がペットに認められるという意味ではありません。法律上、ペットとの「面会交流」を定める規定は存在しませんが、当事者の話し合いによって会い方を取り決めることは可能です。任意の合意であることを前提に、拒否や緊急時まで想定したルール設計が重要になります。

定期的な面会や、健康状態の報告を義務付ける工夫

面会は「頻度・場所・例外」、報告は「形式・回数」を事前に決め、双方にとって負担の少ない運用にすることが継続のカギです。抽象的な約束は、忙しさや感情の波によって容易に崩れてしまいます。

具体的には、面会を「月1回・土曜午後・受け渡しは最寄り駅前」「キャンセルは前日までに連絡し、代替日を2週間以内に協議する」などと定めるのが現実的です。健康報告は「月1回、写真2枚・体重・通院の有無を送付する」「通院時は領収書の写真を共有する」といった軽い義務にすると続きやすくなります。さらに、ペットの福祉を優先する条件(体調不良時は面会を延期するなど)を盛り込んでおくと、双方が安心できる取り決めになります。


まとめ

  • ペットは法律上「物(動産)」として整理され、親権や養育費が当然に発生するわけではありません。
  • 将来の紛争予防には、所有権の明確化と登録情報の更新手順をセットで取り決めることが有効です。
  • マイクロチップの登録は新しい飼い主への手続きが必要な場面があるため、期限と担当者を合意に盛り込むと運用が安定します。
  • 飼育費は「合意に基づく金銭債務」として名目・金額・支払期日を特定することで、後の誤解を防げます。
  • 面会は法的権利ではなく任意の取り決めであるため、拒否時の代替案やペットの福祉を優先した条件まで細かく定めることが大切です。

感情だけで押し切らず、「書面で合意を確定させる形」に整えることで、離婚後もペットの生活が安定しやすくなります。状況が複雑な場合は、条項の文案を専門家に確認してから署名することも検討してください。


脚注

※1 民法第85条(物の定義)、第206条(所有権の内容)

※2 動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)/マイクロチップ装着・登録の運用案内を含む


免責事項

飼育放棄や虐待など、ペットの安全・福祉に反する事情がある場合は、合意どおりの運用が適切でないとして履行を求めることが制限される可能性があります。緊急時は関係機関への相談・通報等を優先してください。


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