コラム
在留期間を過ぎた外国人が直面する3つの法的問題
在留期間を過ぎたまま日本に滞在している場合、「このまま日本にいられるのか」「家族と離れなければならないのか」と、不安を抱えている方もいるで…
在留期間を過ぎたまま日本に滞在している場合、「このまま日本にいられるのか」「家族と離れなければならないのか」と、不安を抱えている方もいるでしょう。
オーバーステイの問題では、何もせず時間が過ぎることが必ずしも良い結果につながるとは限りません。在留特別許可には本人から申請できる時期が定められており、家族関係や日本での生活状況、これまでの在留歴など、整理しておきたい事情もあります。
一方、在留期間を過ぎたという事実だけから、「もう日本には残れない」と個別事情を確認せずに結論づけることも適切ではありません。現行の入管法には、退去強制事由に該当する外国人について、一定の場合に法務大臣が在留を特別に許可できる「在留特別許可」の制度があります。
令和5年改正入管法では、この在留特別許可について本人からの申請手続が創設され、この部分は**令和6年6月10日(2024年6月10日)**に施行されました。
この記事では、オーバーステイと退去強制の関係、在留特別許可の仕組み、判断の際に考慮される事情、本人から申請できる時期や準備すべき資料などを順番に解説します。
在留期間を過ぎた外国人が直面する3つの法的問題
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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在留期間を経過した残留は退去強制事由に該当する
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「不法移民」と「不法滞在者」は法律上どう違うのか
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オーバーステイになったら直ちに国外退去になるとは限らない
在留期間を過ぎた場合、「更新を忘れていただけ」と軽く考えることはできません。入管法上の退去強制事由に関わる問題となるためです。ただし、退去強制事由に該当することと、在留特別許可を含む手続を何ら検討できないことは同じではありません。まず自分がどのような法的状態にあるのかを正確に理解する必要があります。
在留期間を経過した残留は退去強制事由に該当する
在留資格をもって日本に滞在していた外国人が、認められた在留期間を超えて引き続き日本に残留した場合、原則として入管法24条に定める退去強制事由に該当します。一般に「オーバーステイ」または「不法残留」と呼ばれる状態です。
そのため、「数日しか過ぎていないから問題にならない」「家族が日本にいるから自動的に在留できる」と考えることはできません。
一方で、退去強制事由に該当したからといって、事実関係や個別事情を確認する必要がなくなるわけでもありません。どのような在留資格で日本にいたのか、いつ在留期間が満了したのか、不法残留となった経緯、家族関係、現在の生活状況などを整理することが重要です。
特に在留特別許可を検討する場合には、不法残留という事実だけではなく、日本での在留歴や家族関係、人道上の配慮の必要性なども考慮されます。
まずは「いつから、どのような状態になっているのか」を時系列で確認することが、今後の対応を考える出発点となります。
「不法移民」と「不法滞在者」は法律上どう違うのか
オーバーステイの外国人について、報道や日常会話では「不法移民」という言葉が使われることがあります。しかし、入管法上の問題を考える際には、一般的な呼び方と法律上用いられている表現を区別することが大切です。
現行入管法50条5項では、在留特別許可の判断に際して考慮する事情として、本人についての在留希望理由や家族関係などに加え、**「内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情」**を考慮することが定められています。
つまり、同項の条文には「不法滞在者」という文言が実際に用いられています。
一方、「不法移民」という一般的な呼称だけから、その外国人が入管法24条のどの退去強制事由に該当するのかを判断することはできません。
重要なのは呼び方ではなく、本人がどのような経緯で日本に入国し、どの在留資格で滞在し、いつからどのような違反状態になっているのかという具体的事実です。
在留特別許可を検討する場合にも、「不法滞在だからすべて同じ」と考えず、本人ごとの事情を丁寧に整理する必要があります。
オーバーステイになったら直ちに国外退去になるとは限らない
オーバーステイは退去強制事由に該当しますが、在留期間を過ぎた瞬間に、何らの手続もなく直ちに国外へ送還される仕組みではありません。
退去強制手続では、入国警備官による違反調査や入国審査官による違反審査などを通じて、退去強制事由への該当性が確認されます。手続の進行状況によっては、口頭審理や異議の申出なども関係します。
また、令和5年改正入管法によって在留特別許可の本人申請手続が創設され、一定の手続段階にある外国人は、自ら在留特別許可を申請できるようになりました。
もっとも、これは「オーバーステイでも簡単に日本に残れる」という意味ではありません。在留特別許可は、個々の事情を総合的に考慮して判断される例外的・恩恵的な措置です。
「もう何をしても無駄」と考えることも、「家族が日本にいるから当然に許可される」と判断することも避け、自分のケースで何が重要なのかを整理することが大切です。
在留特別許可を理解するための3つの基本ポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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退去強制対象者でも在留が認められる可能性がある
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令和5年改正で在留特別許可の申請手続が創設された
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「申請」と「職権」の2つのルートがある
在留特別許可は、退去強制事由に該当する外国人について、例外的・恩恵的に日本での在留を認める制度です。令和5年改正入管法によって本人からの申請手続が創設され、考慮事情も法律上明示されました。さらに、本人申請とは別に法務大臣等が職権で在留を特別に許可する仕組みもあります。この違いを理解することが重要です。
退去強制対象者でも在留が認められる可能性がある
入管法50条1項は、外国人が退去強制対象者に該当する場合であっても、一定の場合には法務大臣が在留を特別に許可できると定めています。
具体的には、永住許可を受けている場合、かつて日本国民として日本に本籍を有したことがある場合、人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留している場合、難民または補完的保護対象者として認定されている場合などが規定されています。
さらに、「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」も対象となります。
したがって、オーバーステイという事実だけで、在留特別許可の可能性を一律に否定することは適切ではありません。
ただし、日本人の配偶者がいる、子どもが日本にいる、日本で長期間生活しているといった事情があれば必ず許可される制度でもありません。本人の在留状況や家族関係、素行、違反内容などを含め、個別の事情が総合的に検討されます。
令和5年改正で在留特別許可の申請手続が創設された
在留特別許可について重要な変更点となったのが、令和5年改正入管法による本人申請手続の創設です。
ここで「令和5年改正」と「施行年」を混同しないよう注意が必要です。改正法は令和5年(2023年)に成立しましたが、在留特別許可制度の適正化や申請手続の創設に関する部分は、**令和6年6月10日(2024年6月10日)**に施行されました。
改正後の入管法50条1項では、「当該外国人からの申請により又は職権で」在留を特別に許可できることが明記されています。
さらに、在留特別許可をするかどうかを判断する際に考慮する事情も、同条5項で法律上明示されました。
インターネット上には改正前の制度を前提とする解説も残っています。そのため、「在留特別許可には本人からの申請制度がない」という古い情報だけを基に判断することは避ける必要があります。
「申請」と「職権」の2つのルートがある
現在の入管法50条1項では、在留特別許可について、外国人本人からの「申請」による場合と、法務大臣等の「職権」による場合が設けられています。
この2つは区別して理解する必要があります。
本人からの在留特別許可申請について、出入国在留管理庁は、収容令書によって収容されたとき、または監理措置に付されたときから、退去強制令書が発付されるときまでを受付期間として案内しています。収容令書による収容後に仮放免許可を受けている場合も、受付対象に含まれます。
したがって、本人申請については「退去強制令書が発付された後でも同じ申請手続を利用できる」という制度ではありません。
ただし、ここで重要なのは、退去強制令書発付後には在留特別許可そのものが法律上一切不可能になる、という意味ではないことです。
法務省は、退去強制令書が発付された後に在留特別許可をすべき新たな事情が生じる例外的な場合には、再審情願によるものか否かを問わず、法務大臣等が職権により在留を特別に許可することがあり得ると説明しています。
つまり、「本人から申請できる期間」と「法務大臣等が職権で判断し得る範囲」は分けて理解する必要があります。
在留特別許可の判断で確認される5つの事情
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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日本での在留期間や生活状況
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家族関係や日本人・永住者とのつながり
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人道上配慮すべき事情
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法令違反の内容や程度
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その他の積極要素・消極要素を総合して判断される
在留特別許可は、一つの条件を満たせば機械的に許可される制度ではありません。現行入管法50条5項では、在留を希望する理由、家族関係、素行、入国経緯、在留期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性などが考慮事情として明記されています。自分に有利と思われる事情だけではなく、不利になり得る事情も含めて確認することが重要です。
日本での在留期間や生活状況
在留特別許可を検討する際には、日本でどの程度の期間生活してきたのか、その期間にどのような生活基盤を築いてきたのかが重要な事情の一つになります。
ただし、「日本に長く住んでいる」というだけで結論が決まるわけではありません。
適法な在留期間がどの程度あったのか、不法残留となってからどの程度経過しているのか、日本へ入国した経緯はどうだったのかなど、それぞれを分けて整理する必要があります。
仕事、学校、地域社会との関係など、日本で形成された生活実態も確認しておきたい事項です。
出入国在留管理庁が公表する在留特別許可の事例でも、在日期間、違反期間、家族構成、違反態様などが項目として示されています。
単に「長く日本にいる」と説明するのではなく、いつ、どのような在留資格で滞在し、どのような生活を形成してきたのかを時系列で整理しておくことが重要です。
家族関係や日本人・永住者とのつながり
日本に配偶者や子どもがいる場合、その家族関係は在留特別許可の判断で考慮される重要な事情です。
現行入管法50条5項でも「家族関係」は明示的な考慮事情とされています。
もっとも、「日本人と結婚していれば必ず許可される」「日本に子どもがいれば退去強制されない」という制度ではありません。
婚姻の実態、同居の状況、扶養関係、子どもの年齢や在学状況、家族が日本で形成している生活基盤などを具体的に確認する必要があります。
特に、本人が日本から退去することで、配偶者や子どもの生活にどのような影響が生じるのかは、具体的な事実に基づいて整理しておきたい事項です。
戸籍や住民票など形式的な資料だけでなく、実際の家族生活を説明できる資料についても準備を検討するとよいでしょう。
人道上配慮すべき事情
人道上の配慮の必要性も、在留特別許可における法定の考慮事情の一つです。
健康状態、家族の状況、本人や子どもの生活環境など、ケースごとに検討すべき内容は異なります。
ここで区別しておきたいのが、入管法50条1項ただし書です。
ただし書は、単なる不法残留者全員に一律に適用されるものではありません。現行法では、無期または一定の1年を超える拘禁刑に処せられた者や、入管法24条に定められた特定の退去強制事由に該当する者などが対象となります。
このような一定の重大な前科や特定の退去強制事由に該当する場合には、通常より厳しい枠組みとなり、**日本での在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる「特別の事情」**がある場合に限って在留特別許可が可能となります。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、たとえば、日本で疾病の治療を受けており、相当期間日本で治療を継続しなければ生命に具体的な危険が及ぶおそれがある場合などが「特別の事情」の例として示されています。
したがって、一般的なオーバーステイと、50条1項ただし書が適用されるケースを混同しないことが重要です。
法令違反の内容や程度
在留特別許可を検討するときは、日本に残りたい理由だけでなく、退去強制の原因となった違反の内容や、本人の素行も確認する必要があります。
現行入管法50条5項でも、「素行」や「退去強制の理由となった事実」は考慮事情として明示されています。
たとえば、単純な不法残留であるのか、それ以外の入管法違反があるのか、刑事処分歴があるのかによって、検討される事情は異なります。
さらに、50条1項ただし書に該当する一定の前科や特定の退去強制事由がある場合には、「特別の事情」が必要となるより厳しい枠組みが適用されます。
一方、過去に退去強制手続や出国命令手続をとられたことがあるというだけで、直ちに50条1項ただし書が適用されるわけではありません。ただし、そのような過去の経緯は、素行などに関する消極的な事情として考慮される可能性があります。
そのため、自分に不利と思われる事情を意図的に伏せることは適切ではありません。専門家へ相談する際にも、有利な事情だけでなく、過去の違反歴や刑事処分歴、以前の入管手続などをできる限り正確に伝えることが重要です。
その他の積極要素・消極要素を総合して判断される
在留特別許可は、「この条件を満たせば必ず許可される」というチェックリスト方式の制度ではありません。
入管法50条5項では、法務大臣が在留特別許可をするかどうかを判断する際、当該外国人について、在留を希望する理由、家族関係、素行、日本に入国することとなった経緯、日本に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実、人道上の配慮の必要性を考慮するとされています。
これらに加えて、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情も考慮されます。
そのため、本人にとって積極的に評価され得る事情だけを並べればよいわけではありません。
一方で、不法残留期間や法令違反などの消極的事情があるからといって、それだけを見て結論が決まるとも限りません。出入国在留管理庁のガイドラインも、積極要素と消極要素を総合的に勘案して判断する考え方を示しています。
他人の事例が自分と似ているように見えても、在留歴、違反態様、家族構成などが異なれば判断も変わり得ます。
自分のケースについて積極要素と消極要素の双方を整理し、それぞれをどの資料で説明できるのかを考えることが重要です。
在留特別許可を求める際に押さえたい3つの手続
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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在留特別許可を申請できる時期を確認する
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本人の事情を裏付ける資料を整理する
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退去強制令書が発付される前に対応する
令和5年改正入管法によって本人申請の手続が創設されましたが、いつでも同じ方法で申請できるわけではありません。本人申請には受付期間があり、退去強制令書発付後に例外的に職権による在留特別許可が検討され得る場合とは、法的な位置づけが異なります。現在の手続段階を確認し、事情の整理や資料の準備を進めることが重要です。
在留特別許可を申請できる時期を確認する
在留特別許可は、退去強制事由に該当した時点から、本人がいつでも自由に申請できる制度ではありません。
出入国在留管理庁によると、本人による在留特別許可申請の受付期間は、次のいずれかの時点から、退去強制令書が発付されるときまでです。
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収容令書により収容されたとき
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監理措置に付されたとき
収容令書によって収容された後、仮放免許可を受けている場合も申請の対象に含まれます。
したがって、退去強制令書が発付された後に、令和5年改正によって創設された本人申請手続を新たに利用することはできません。
ただし、退去強制令書発付後に在留特別許可が法律上一切あり得ないという意味ではありません。例外的に新たな事情が生じた場合などには、法務大臣等が職権で在留を特別に許可する余地があります。
この違いを踏まえ、自分が現在どの段階にあるのかを確認することが欠かせません。
本人の事情を裏付ける資料を整理する
在留特別許可を求める際には、日本に残りたいという希望だけでなく、その理由となる事情を客観的な資料で説明できるよう整理することが重要です。
出入国在留管理庁は、入管法50条1項5号の「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」に該当するとして申請する場合、その事情を証する資料の提出を求めています。
必要な資料はケースによって異なります。
たとえば、日本人配偶者との家族生活が重要であれば、戸籍、住民票、同居状況などを確認できる資料が考えられます。子どもがいる場合には、年齢、在学状況、日本での生活実態なども整理しておきたいところです。
また、日本での在留歴や仕事、地域社会との関係などを説明する必要があれば、それぞれを裏付ける資料を準備することになります。
資料は単に数を増やせばよいものではありません。「この書類によって、どの事情を説明するのか」という視点で整理することで、本人の状況をより伝えやすくなります。
退去強制令書が発付される前に対応する
本人から在留特別許可を申請することを考えている場合には、退去強制令書が発付される前の対応が重要です。
出入国在留管理庁が公表している本人申請の受付期間は、収容令書による収容または監理措置に付されたときから、退去強制令書が発付されるときまでとなっているためです。
したがって、「まだ実際に送還されていないから、後から同じ申請ができる」と考えることは適切ではありません。
もっとも、退去強制令書発付後についても説明には注意が必要です。
退去強制令書を発付された外国人は速やかに日本から退去することが原則であり、出入国在留管理庁のガイドラインでも、令書発付後の事情変更等は原則として在留特別許可の判断で考慮されないとされています。
一方、法務省は、令書発付後に在留特別許可をすべき新たな事情が生じる例外的な場合には、法務大臣等が職権により在留を特別に許可することがあり得るとの見解を示しています。
そのため、「令書発付後は本人申請の受付期間外になる」ことと、「令書発付後には在留特別許可が絶対にあり得ない」ことを混同しないことが重要です。
いずれの場合も、自分の手続が現在どこまで進んでいるのかを正確に把握する必要があります。
オーバーステイを放置しないために取るべき3つの行動
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
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現在の在留状況と退去強制事由を確認する
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在留特別許可の可能性を個別事情から検討する
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早い段階で入管手続の専門家へ相談する
オーバーステイの問題で重要なのは、不安から何もせずにいることでも、根拠なく「何とかなる」と判断することでもありません。現在の法的状態と手続段階を把握し、本人の事情を整理したうえで、在留特別許可を含めた対応を検討する必要があります。
現在の在留状況と退去強制事由を確認する
最初に行いたいのは、自分の現在の在留状況と退去強制手続の進行状況を客観的に整理することです。
たとえば、次のような事項を確認しておくと、その後の検討がしやすくなります。
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現在または直前の在留資格
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在留期間の満了日
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不法残留となっている期間
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日本への入国時期とこれまでの在留歴
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日本にいる配偶者や子どもなどの家族関係
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過去の入管法違反や刑事処分歴
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収容令書が発付されているか
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監理措置に付されているか
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仮放免中か
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退去強制令書がすでに発付されているか
特に最後の点は、令和5年改正によって創設された本人申請手続を利用できる段階にあるのかを確認するうえで重要です。
すでに退去強制令書が発付されている場合には、「本人申請の受付期間内か」という問題とは別に、令書発付後の現在の法的状態や、職権による在留特別許可を検討すべき例外的事情が存在するのかなど、より慎重な確認が必要になります。
相談する場合には、パスポート、在留カード、入管から交付された書類、家族関係が分かる資料などを手元に準備しておくと、現在の状況を確認しやすくなります。
在留特別許可の可能性を個別事情から検討する
現状を整理した後は、自分のケースで在留特別許可を検討する余地があるのかを具体的に確認します。
このとき、「日本人の配偶者がいるから大丈夫」「日本で長く暮らしているから許可される」と、一つの事情だけで判断しないことが重要です。
在留を希望する理由、家族関係、素行、入国経緯、在留期間、その間の法的地位、退去強制の原因となった事実、人道上の配慮の必要性などが総合的に考慮されます。
さらに、内外の諸情勢や本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情も判断材料となります。
また、一般的な不法残留とは別に、50条1項ただし書に該当する一定の前科や特定の退去強制事由があるケースでは、日本での在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる「特別の事情」が必要です。
したがって、自分のケースが通常の総合判断の枠組みにあるのか、50条1項ただし書の対象となるのか、さらに現在どの手続段階にあるのかを分けて確認することが大切です。
最初から許可・不許可を断定するのではなく、どの事情が評価され得るのか、どこに問題があるのかを具体的に整理することが現実的な対応につながります。
早い段階で入管手続の専門家へ相談する
オーバーステイの状態にあり、日本での在留を希望している場合には、早い段階で入管手続に詳しい専門家へ相談することも重要な選択肢です。
現在の制度では、在留特別許可について本人からの申請手続が設けられている一方、その受付期間は無制限ではありません。また、退去強制令書発付後に例外的に職権による在留特別許可が問題となるケースとは、法的な整理も異なります。
そのため、「オーバーステイだから在留特別許可を申請したい」という希望だけでなく、現在どの手続段階にあるのかを最初に確認することが重要です。
相談する際には、在留カードやパスポート、入管から交付された書類、戸籍・住民票などの家族関係資料をできる範囲で揃えておくとよいでしょう。
また、本人にとって不利に思える事情も含め、過去の違反、刑事処分、以前の退去強制手続や出国命令手続などがあれば、最初から正確に伝えることが大切です。
事情を伏せたままでは、50条1項ただし書への該当性や、在留特別許可の判断で消極的に評価され得る事情を正確に検討できない可能性があります。
現在の手続段階と事実関係を整理したうえで相談することで、自分のケースで確認すべき事項や準備すべき資料がより具体的になります。
まとめ
この記事のポイントは、次の5つです。
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在留期間を経過して日本に残留することは、原則として入管法上の退去強制事由に該当します
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退去強制事由に該当しても、個別事情によっては在留特別許可が検討される可能性があります
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令和5年改正入管法によって本人からの在留特別許可申請制度が創設され、この部分は令和6年6月10日(2024年6月10日)に施行されました
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本人申請の受付期間は、原則として収容令書による収容または監理措置に付されたときから退去強制令書発付までであり、令書発付後の例外的な職権による在留特別許可とは区別する必要があります
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在留特別許可では、本人の家族関係や在留状況だけでなく、法令違反、人道上の配慮の必要性、内外の諸情勢、本邦における不法滞在者に与える影響などを含む諸事情が総合的に考慮されます
オーバーステイの問題では、「日本に残れる」「必ず帰国しなければならない」と、限られた情報だけで結論を出すことはできません。同じ不法残留に見えるケースでも、在留歴、家族構成、違反の経緯、刑事処分歴、現在の手続段階によって検討すべき内容は変わります。
特に、令和5年改正入管法によって本人からの申請制度が創設された一方、その申請には受付期間があります。また、退去強制令書がすでに発付されている場合でも、「在留特別許可そのものが絶対にあり得ない」と単純化することはできず、例外的に職権による判断が問題となる場合があります。
だからこそ、インターネット上の断片的な情報や他人の事例だけを頼りにせず、自分が現在どの段階にあり、どのような事情を持っているのかを確認することが重要です。
在留期間をすでに経過している、日本で家族との生活を続けたい、在留特別許可について検討したい、あるいは退去強制令書がすでに発付されていて今後の対応が分からない場合には、手元にあるパスポート、在留カード、入管から受け取った書類、家族関係が分かる資料などを整理したうえで、入管手続に詳しい専門家へ相談するとよいでしょう。
早い段階で現在の法的状態と事実関係を正確に整理することが、利用できる手続や検討すべき事情を見落とさず、今後の対応を具体化するための第一歩となります。