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コラム

日本人・永住者と離婚した後にまず確認したい3つのこと

2026年8月22日

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方が離婚した場合でも、個別事情を踏まえ、在留資格変更許…

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方が離婚した場合でも、個別事情を踏まえ、在留資格変更許可について相当の理由があると判断されれば、「定住者」へ変更できる可能性があります。ただし、許可が保証される制度ではありません。

離婚後の在留資格については、婚姻期間、離婚に至った経緯、収入、これまでの在留状況、日本人の実子の有無など、一人ひとり確認すべき事情が異なります。

「定住者」への変更が考えられる場合もあれば、現在の仕事や経歴に応じて就労系の在留資格など、別の資格を検討した方が適切なケースもあります。

また、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方が離婚した場合は、原則として、離婚の日から14日以内に「配偶者に関する届出」が必要です。この届出は、市区町村役場に提出する戸籍上の離婚届とは別の入管法上の手続です。

この記事では、離婚後も日本で生活を続けたい方が、自分の状況を整理し、次に何を確認・準備すべきか判断するためのポイントを順番に解説します。

日本人・永住者と離婚した後にまず確認したい3つのこと

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 離婚しても在留資格がその日に失効するわけではない

  • 離婚後14日以内に「配偶者に関する届出」が必要

  • 現在の在留資格の状況を確認し、次の在留資格を早めに検討する

離婚が成立したからといって、その日のうちに現在の在留資格が自動的に失効するわけではありません。一方、在留カードに記載された期限まで何もしなくてよいという意味でもないため注意が必要です。まず離婚に伴う届出を正しく行い、現在の在留期限と今後の在留資格を早めに確認することが重要です。

離婚しても在留資格がその日に失効するわけではない

「日本人や永住者と離婚したら、すぐに在留資格がなくなり、日本を出なければならない」と心配される方もいます。

しかし、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で配偶者として在留している方が離婚しても、その日のうちに在留資格が自動的に消滅するわけではありません。

一方で、「在留カードに書かれている在留期限までは、そのまま何もしなくても問題ない」という意味でもありません。

入管法では、「日本人の配偶者等」のうち日本人の子および特別養子を除く方、または「永住者の配偶者等」のうち、永住者等の子として日本で出生し、その後引き続き日本に在留している方を除く方が、正当な理由なく配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合、在留資格取消しの対象となり得ます。出入国在留管理庁も、配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合について、正当な理由がある場合を除き、取消しの対象になると案内しています。

離婚後は通常、配偶者としての活動を行っていない状態に入り得ます。ただし、離婚から6か月を経過した時点で、自動的に在留資格が失効するわけではありません。

在留資格を取り消すかどうかは所定の手続を経て判断され、配偶者としての活動を行っていないことについて「正当な理由」があるかどうかも、個別・具体的な事情に基づいて検討されます。

DVから避難している場合や、離婚調停・訴訟中である場合など、具体的な事情によっては正当な理由が認められ得る例が示されています。ただし、DV、調停または訴訟という事情が存在するだけで、常に正当な理由が認められるという意味ではありません。

それでも、正当な理由がないまま配偶者としての活動を6か月以上行っていない状態が続けば、在留資格取消しの対象となり得ます。

「まだ在留期限が残っているから」と長期間何もしないままにすることは避ける必要があります。

離婚後も日本で暮らしたい場合は、「6か月までは何もしなくてよい」と考えるのではなく、現在の在留期間の満了日も確認したうえで、できるだけ早い段階から次の在留資格を検討することが大切です。

離婚後14日以内に「配偶者に関する届出」が必要

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方が離婚した場合、原則として、離婚の日から14日以内に、出入国在留管理庁長官に対する「配偶者に関する届出」を行う必要があります。

ここで特に注意したいのは、市区町村役場へ提出する戸籍上の「離婚届」と、出入国在留管理庁に対して行う「配偶者に関する届出」は別の手続だという点です。

市区町村役場に離婚届を提出しただけで、入管法上の「配偶者に関する届出」まで自動的に完了したと考えないようにしてください。

「配偶者に関する届出」は、地方出入国在留管理官署の窓口への提出のほか、郵送または出入国在留管理庁の電子届出システムを利用して行う方法があります。

また、

  • 離婚した事実を入管へ届け出る「配偶者に関する届出」

  • 離婚後の新しい在留資格へ変更する「在留資格変更許可申請」

も、それぞれ別の手続です。

「配偶者に関する届出」をしただけで「定住者」へ変更されるわけではありません。

反対に、在留資格変更を予定しているからといって、「配偶者に関する届出」が不要になるわけでもないため、両者を区別して対応する必要があります。

なお、14日を過ぎてしまった場合でも、「期限を過ぎたからもう届出をしなくてよい」ということにはなりません。未届であることに気付いた場合には、そのままにせず速やかに対応することが重要です。

さらに、配偶者に関する届出が必要な方が、正当な理由なく届出をしなかった場合などには、罰則の対象となることがあります。

配偶者に関する届出が必要な方が、その届出を正当な理由なく14日以内に行わなかった場合、20万円以下の罰金に処せられることがあります。

加えて、入管法上必要な届出を適切に行っていたかどうかは、その後の在留関係申請でも個別事情の一つとして確認され得ます。

そのため、「14日を過ぎたから黙っておく」という対応は適切ではありません。

未届に気付いた段階で速やかに手続を行い、遅れた事情がある場合には、なぜ期限内に届け出られなかったのかについても事実関係を整理しておくことが大切です。

現在の在留資格の状況を確認し、次の在留資格を早めに検討する

離婚後、直ちに在留資格変更許可申請をしなければならないわけではありません。

「配偶者に関する届出」をした日に、同時に在留資格変更許可申請をしなければならないという制度ではありません。

ただし、正当な理由なく配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合には在留資格取消しの対象となり得るほか、当然ながら、現在許可されている在留期間の満了日までに必要な手続を検討する必要があります。

そのため、現在の在留期限だけに頼らず、早い段階で今後の在留資格を検討することが重要です。

また、離婚後も日本で生活するための選択肢は「定住者」だけではありません。

確認したい事情として、たとえば次のようなものがあります。

  • 現在の在留資格

  • 現在の在留期間の満了日

  • 離婚成立日

  • 婚姻・同居期間

  • 学歴・職歴

  • 現在の仕事内容

  • 雇用形態や収入

  • 日本人の実子の有無

  • 実子の監護・養育状況

  • 日本で形成した生活基盤

仕事の内容と本人の学歴・職歴などが要件を満たす場合には、「技術・人文知識・国際業務」など就労系の在留資格へ変更できる可能性もあります。

反対に、日本人の実子を実際に監護・養育しているなど、身分関係や生活上の事情から「定住者」を検討することが適切なケースもあります。出入国在留管理庁の公表事例でも、日本人実子の親権や監護・養育実績などが個別事情として示されています。

「離婚したから定住者」と最初から決めるのではなく、自分にとってどの在留資格が適切なのかを比較することが重要です。

離婚後に「定住者」へ変更できるかを左右する5つのポイント

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 実体を伴う婚姻生活がどの程度続いていたか

  • 離婚後も日本で生活する必要性があるか

  • 安定した収入があり独立して生活できるか

  • 税金・社会保険などの公的義務の履行状況を確認する

  • 在留状況や法令遵守などを含め総合的に判断される

いわゆる「離婚定住」は、一つの条件を満たせば機械的に許可される制度ではありません。「定住者」は、法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める在留資格です。離婚後の変更についても、婚姻生活、在留状況、生活基盤、日本に在留する必要性などを含む個別事情を整理する必要があります。出入国在留管理庁も、日本人や永住者との離婚後に引き続き在留を希望する者などを、告示であらかじめ定められた類型とは別に、特別な理由を考慮して定住が認められ得る例として説明しています。

実体を伴う婚姻生活がどの程度続いていたか

離婚定住を検討するうえで、婚姻期間は重要な確認事項の一つです。

しかし、戸籍上何年間結婚していたかだけを確認すればよいわけではありません。

たとえば、法律上の婚姻期間が4年間あっても、その大部分を別居しており夫婦としての生活実態が乏しかったケースと、夫婦として同居し、家計を共にして生活していたケースでは事情が異なります。

そのため、少なくとも次のような時系列を整理しておくことが有効です。

  • 婚姻した年月日

  • 日本で夫婦生活を始めた時期

  • 同居していた期間

  • 別居を開始した時期

  • 別居した理由

  • 離婚協議を始めた時期

  • 離婚成立日

離婚後の「定住者」への変更については「3年」という数字が実務上語られることがありますが、3年を超えれば当然に許可されるという法定要件ではありません。

逆に、3年未満なら他の事情を一切検討する余地がないという意味でもありません。

大切なのは、数字だけを見るのではなく、実体を伴った婚姻生活がどの程度存在していたかを具体的に整理することです。

離婚後も日本で生活する必要性があるか

「離婚後もなぜ日本で生活を続ける必要があるのか」という点も重要です。

単に「日本が好きだから」「母国へ帰りたくないから」という希望だけでなく、日本で築いてきた生活との具体的な結び付きを整理する必要があります。

たとえば、

  • 日本で長期間就労している

  • 日本人の実子を実際に監護・養育している

  • 長期間日本で生活してきた

  • 日本国内に家族関係がある

  • 日本で継続した生活基盤を形成している

といった事情です。

出入国在留管理庁が公表している変更許可事例でも、日本人実子の監護・養育実績、一定の収入、事業継続の必要性など、それぞれの申請人について具体的な事情が示されています。

そのため、「定住者になりたい」という結論を先に置いて理由を作るのではなく、自分が日本でどのような生活を築き、離婚後もなぜその生活を継続する必要があるのかを客観的な事実から整理することが重要です。

安定した収入があり独立して生活できるか

離婚後、自分自身または世帯として生活を維持できるかどうかも重要な検討事項です。

ただし、「年収○万円以上なら離婚定住が許可される」という一律の金額基準が公表されているわけではありません。

現在の収入だけでなく、

  • 雇用形態

  • 勤続期間

  • 今後の雇用継続の見込み

  • 世帯人数

  • 扶養する子どもの有無

  • 家賃などの固定費

  • 預貯金

  • 現実的な親族支援の有無

なども確認したうえで、離婚後の生活を継続できるかを考えます。

会社員であれば在職証明書や給与関係資料、自営業者であれば所得や事業の継続性を確認できる資料などが検討対象になるでしょう。

重要なのは、申請時点だけ見かけ上の数字を整えることではありません。

離婚後の生活そのものが現実的に成り立つのかを確認し、それを客観的な資料で説明できるようにすることが大切です。

税金・社会保険などの公的義務の履行状況を確認する

税金・年金・健康保険などの公的義務について、加入・納付状況や未納・遅延の有無を確認することも重要です。

ただし、これらが離婚定住について一律に定められた独立の許可要件という意味ではありません。在留状況や生活の安定性などを判断する際の事情として、個別に評価され得るものです。

社会保険についても、本人が加入義務を負う場合、配偶者等の被扶養者であった場合、勤務先が手続を行う場合など状況が異なります。

そのため、「未納が一度でもあれば不許可になる」「現在払えば過去の問題はすべてなくなる」といった単純な判断は適切ではありません。

確認したいのは、

  • 住民税等の納付状況

  • 年金の加入・納付状況

  • 健康保険の加入状況

  • 未納や遅延がある場合の期間・理由

  • 現在どのように対応しているか

などです。

申請直前に証明書を取得して初めて問題に気付くこともあるため、心配な事情がある場合は早めに確認しておく方がよいでしょう。

在留状況や法令遵守などを含め総合的に判断される

離婚定住は、「婚姻3年」「仕事あり」「税金を払っている」といった条件の数だけで結果が決まるものではありません。

これまでどのような在留資格で日本に滞在してきたか、入管法上必要な届出を適切に行ってきたか、申請内容に虚偽や重大な矛盾がないかなど、在留状況全体を確認する必要があります。

特に、配偶者に関する届出が必要な方が正当な理由なく届出をしなかった場合には、その事実をそのままにせず、現在の届出状況と遅れた経緯を整理しておくことが重要です。

そのため、「自分は条件を何個満たしているか」だけを数えるのではなく、これまで日本でどのように生活し、どのような手続を行ってきたのかを全体として確認してください。

説明しにくい事情がある場合も、隠すのではなく、事実関係を正確に把握したうえで対応を検討することが大切です。

「婚姻3年以上」だけでは決まらない離婚定住の3つの考え方

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 婚姻期間と実際の共同生活期間は分けて考える

  • 別居期間が長い場合はその経緯や理由も重要になる

  • 3年未満でも子どもなど特別な事情があれば個別に検討する

「3年以上結婚していれば定住者になれる」と考えるのは適切ではありません。離婚後の「定住者」への変更は、法律上「婚姻期間3年以上なら許可する」と定められた制度ではなく、実体を伴う婚姻生活や離婚後の事情などを個別に検討する必要があります。入管庁の公表事例でも、婚姻期間だけではなく、実子、監護・養育、収入、DVなど複数の事情が示されています。

婚姻期間と実際の共同生活期間は分けて考える

まず区別したいのが、「法律上の婚姻期間」と「実際に夫婦として生活していた期間」です。

たとえば、婚姻届を提出してから4年が経過していても、結婚後まもなく別居していたのであれば、「4年間にわたって実体のある婚姻生活を継続していた」と単純には評価できません。

一方、住所が異なっていたからといって、直ちに婚姻実態がなかったことになるわけでもありません。

仕事上の事情、家族の介護、療養、DVからの避難など、住所が異なることに個別の事情がある場合も考えられます。

したがって、婚姻期間を見る際には、結婚日と離婚日だけではなく、

  • いつから一緒に暮らしたか

  • 家計をどのように維持していたか

  • いつ別居したか

  • なぜ別居したか

  • 別居後の夫婦関係はどうだったか

まで確認することが重要です。

なお、永住許可ガイドラインにも、配偶者に関する婚姻期間・在留期間の特例が示されていますが、これは永住許可についての基準であり、離婚後の「定住者」変更の許可基準ではありません。

2026年8月時点では永住許可ガイドラインについて改定案も公表されているため、離婚定住を検討する際に、永住許可について示された数字をそのまま判断基準として用いないことが重要です。

別居期間が長い場合はその経緯や理由も重要になる

別居期間が長い場合には、その事実だけでなく、なぜ別居することになったのかを整理する必要があります。

たとえば、

  • 夫婦関係の悪化による別居

  • 配偶者の仕事による一時的な別居

  • DVから避難するための別居

  • 離婚協議・調停・訴訟に伴う別居

など、同じ「別居」でも事情は大きく異なります。

出入国在留管理庁は、配偶者としての活動を行っていないことについて正当な理由が認められ得る例を公表していますが、取消しをするかどうかは個別・具体的な状況に基づいて判断されると明示しています。

したがって、「DVだから必ず正当な理由になる」「離婚調停中なら取消しはない」と一律に判断することはできません。

一方、長期間別居していたにもかかわらず、申請上その期間を説明しない、住民票等の資料と説明内容が食い違うといった状態も避ける必要があります。

理由書などで説明する場合には、元配偶者を批判する文章を中心にするのではなく、いつ、何が起き、なぜ別居し、離婚に至ったのかを客観的な事実に沿って整理することが大切です。

3年未満でも子どもなど特別な事情があれば個別に検討する

実体を伴う婚姻生活が3年に達していない場合、婚姻生活の期間を含めて慎重に事情を確認する必要があります。

ただし、3年未満であれば、事情を問わず一切検討できないという意味ではありません。

特に、日本人の実子がおり、申請人自身が実際に監護・養育している場合には、婚姻期間とは別の重要な事情となることがあります。

もっとも、日本人の実子がいることだけで必ず「定住者」になるわけではありません。

親権・監護の状況、同居の有無、実際の養育状況などが個別に確認されます。出入国在留管理庁の公表事例でも、日本人実子について、親権者であることや監護・養育実績などが具体的な事情として記載されています。

また、出入国在留管理庁が公表している個別の不許可事例には、日本人配偶者との婚姻期間が約2年1か月で、婚姻の実体があったといえる期間が約1年3か月とされ、日本語学校に通うとして配偶者と別居した後、風俗店に在籍していたことが確認された事例があります。

これはあくまで公表された一つの個別事案です。

「婚姻実態が1年3か月なら不許可になる」といった最低期間を示すものではなく、反対に、3年以上であれば当然に許可されることを示すものでもありません。

日本人の子どもがいる場合に確認したい3つの事情

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 子どもの国籍・年齢・在留状況を確認する

  • 親権や監護の状況と実際の養育実態を整理する

  • 日本で養育を続ける必要性を具体的に説明する

離婚後の在留資格を検討する際、日本人の実子を実際に監護・養育していることは重要な事情となる場合があります。しかし、日本人の実子がいることだけで、必ず「定住者」になるわけではありません。親子関係に加えて、親権、監護、同居、生活費の負担など、実際の養育状況を具体的に確認する必要があります。出入国在留管理庁も、日本人と離婚した外国人が日本人実子を監護・養育しながら日本に在留するケースについて、一定の要件の下で「定住者」として在留を認める措置があることを示しています。

子どもの国籍・年齢・在留状況を確認する

最初に確認したいのは、子どもの法的な状況です。

「日本で生まれた子だから日本人」とは限りません。そのため、まず国籍を正確に確認する必要があります。

外国籍の子どもであれば、その子自身の在留資格についても確認します。

整理しておきたいのは、たとえば次の項目です。

  • 子どもの国籍

  • 年齢

  • 出生地

  • 親子関係

  • 現在の在留資格

  • 日本で生活してきた期間

  • 保育園・幼稚園・学校等への在籍状況

日本人の実子であり、申請人が実際に監護・養育している場合には、離婚後の在留を検討する重要な事情となることがあります。

ただし、実子がいることだけで許可されるわけではなく、親権・監護の状況、同居の有無、養育実態などが個別に確認されます。

戸籍や出生関係資料で親子関係を確認するだけで終わらせず、現在どのような親子生活を送っているのかまで整理することが大切です。

親権や監護の状況と実際の養育実態を整理する

日本人の実子がいるケースでは、親権の有無だけを確認すれば十分というわけではありません。

重要なのは、申請人が現実にどのように子どもを監護・養育しているかです。

たとえば、

  • 誰と同居しているか

  • 日常生活の世話を誰がしているか

  • 食費・住居費・学費などを誰が負担しているか

  • 保育園・学校への送迎を誰がしているか

  • 通院や学校行事へ誰が対応しているか

  • 別居親との交流状況

  • 養育費の支払状況

などを整理します。

出入国在留管理庁の公表事例には、申請人自身が親権者となって日本人実子を監護・養育している事例だけでなく、前配偶者が親権者であっても、申請人が日本人実子への養育費の支払を継続していたことなどが特記事項として示された許可例もあります。

したがって、親権の有無だけで機械的に結論が決まると考えるのではなく、親子関係の実態を具体的に整理する必要があります。

「日本人の実子がいる」という事実と、「その実子とどのような関係を維持し、どのように監護・養育に関わっているのか」という事実を分けて確認することが重要です。

日本で養育を続ける必要性を具体的に説明する

日本人の実子を監護・養育している場合には、日本でその養育を継続する必要性も具体的に整理します。

たとえば、

  • 日本の学校へ継続して通っている

  • 日本語を中心に生活している

  • 日本国内にもう一方の親がいる

  • 日本国内に祖父母などの親族がいる

  • 日本で継続的な医療・教育を受けている

など、その子どもの実際の生活状況を確認します。

ここでも、「日本の方が暮らしやすい」といった抽象的な希望だけでは十分な事情説明にはなりません。

子どもの年齢、生活期間、教育環境、親子の関係、もう一方の親との関係などを具体化すると、日本で養育を継続する必要性を整理しやすくなります。

子どもが関係する申請では、申請人本人の事情だけでなく、子どもの実際の生活を含めて全体を検討する必要があります。

離婚定住の申請で説明しておきたい4つの事情

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 結婚から離婚に至るまでの経緯

  • 離婚後も日本で生活を続けたい理由

  • 仕事・収入・住居など今後の生活基盤

  • 家族関係や子どもなど日本との結び付き

離婚定住では、申請書の項目を埋めるだけでは、その人に固有の事情を十分に伝えられないことがあります。そのため、提出する証明資料と事情説明の内容が互いに整合していることが重要です。「必要書類を集める」という発想だけでなく、「どの事実を、どの資料で説明するのか」という視点で準備すると整理しやすくなります。

結婚から離婚に至るまでの経緯

結婚から離婚までの経緯は、時系列で事実を整理することが基本です。

たとえば、

  • いつ知り合ったか

  • いつ交際を始めたか

  • いつ結婚したか

  • どこで夫婦生活を送ったか

  • いつ頃から夫婦関係が変化したか

  • いつ別居したか

  • なぜ別居したか

  • どのような経緯で離婚したか

などを確認します。

重要なのは、元配偶者に対する不満や批判を長く書くことではありません。

確認すべきなのは、婚姻が実体を伴うものだったのか、どのような経緯でその婚姻が終了したのかといった在留審査に関係する事情です。

DV、疾病、配偶者側の特殊事情、長期間の離婚調停・訴訟などがある場合には、それを裏付ける客観的資料の有無も確認します。

最初に簡単な時系列表を作り、戸籍、住民票、過去の住所、勤務歴などと照合しておくと、申請時の説明の矛盾を防ぎやすくなります。

離婚後も日本で生活を続けたい理由

「これからも日本に住みたい」という希望だけではなく、なぜ日本で生活を継続する必要があるのかを具体的に整理します。

たとえば、

  • 長期間継続している仕事

  • 日本人の実子の監護・養育

  • 日本で形成した生活基盤

  • 日本国内の家族関係

  • 長期間にわたる日本での生活実績

などが考えられます。

特別に立派な理由を作る必要はありません。

むしろ、自分にとって日常的で当たり前になっている生活の中に、審査上説明すべき事情が含まれていることがあります。

反対に、「母国へ帰りたくない」「日本が好きだから」という希望だけを強調しても、日本で継続して在留する必要性の具体的な説明にはなりにくいでしょう。

これまで日本で築いてきた生活を一度客観的に棚卸しすることが大切です。

仕事・収入・住居など今後の生活基盤

離婚後にどのように暮らしていく予定なのかも具体化しておきたい事項です。

これまで配偶者の収入を中心に生活していた場合は、離婚によって家計の前提そのものが変わります。

そのため、

  • 現在の勤務先

  • 仕事内容

  • 雇用形態

  • 月収・年収

  • 勤続期間

  • 現在の住居

  • 離婚後の住居予定

  • 扶養する家族

などを確認します。

日本人の実子を養育している場合には、申請人一人だけの生活ではなく、子どもを含む世帯として生活を維持できるかという視点も必要になります。

現在十分な収入がない場合も、それだけで直ちに結論を出すのではなく、就職予定、預貯金、現実的な支援など他の事情を確認します。

ただし、申請のためだけに一時的な形を作るのではなく、離婚後の生活自体が継続可能であることが重要です。

家族関係や子どもなど日本との結び付き

日本との結び付きは、単純な在留年数だけで決まるものではありません。

長期間日本で生活していることに加えて、日本人の実子を実際に監護・養育している、日本国内に家族がいる、長く同じ地域で暮らしている、継続した就労実績があるなど、人によって事情は異なります。

特に日本人の実子がいる場合には、

  • 親子関係

  • 親権

  • 監護の状況

  • 同居状況

  • 実際の養育

  • 養育費

  • 就学状況

などまで確認します。

これらを一つだけ取り出して強調するのではなく、婚姻生活の経緯、離婚後の生活基盤、在留歴などとあわせて説明することが重要です。

そうすることで、「離婚後もなぜ日本で生活する必要があるのか」を、より具体的かつ一貫した形で整理できます。

離婚定住が認められにくくなる4つのケース

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 婚姻実態や共同生活について十分に説明できない場合

  • 離婚後の生活を支える収入や生活基盤が不安定な場合

  • 税金などの公的義務や在留状況に問題がある場合

  • 過去の在留状況などを含め相当性が認められない場合

離婚後の「定住者」への変更は個別事情を踏まえて判断されるため、「この事情が一つあれば必ず不許可」という単純な基準では整理できません。一方、申請前に整理しておかなければ不利な事情となり得るものはあります。公表されている許可・不許可例もあくまで個別事例であり、自分と似た事例だけを見て結果を断定しないことが重要です。

婚姻実態や共同生活について十分に説明できない場合

法律上の婚姻期間が長くても、実際に夫婦として生活していたことを十分に説明できない場合には慎重な検討が必要です。

たとえば、長期間別居しているにもかかわらず、その理由が不明確な場合などです。

ただし、仕事、介護、療養、DVなど個別の事情から別居するケースもあるため、「別居=婚姻実態なし」と単純に判断することは適切ではありません。

問題になりやすいのは、本人の説明と客観的資料が大きく食い違っているにもかかわらず、その理由を説明できない場合です。

住民票上の住所と実際の居住状況が異なる期間がある場合などは、その背景を確認する必要があります。

婚姻生活の実態について不利に見える事情があるほど、事実を隠したり有利に見せたりするのではなく、客観的資料と矛盾しない形で説明できるようにしておくことが重要です。

離婚後の生活を支える収入や生活基盤が不安定な場合

離婚によって家計が大きく変わる場合には、今後の生活基盤について慎重に確認する必要があります。

特に、これまで配偶者の収入だけで生活しており、離婚後に本人の収入がほとんどない場合には、今後どのように生活費を確保するのかが重要になります。

ただし、現在の月収だけで一律に判断することも適切ではありません。

就職が決まっている、預貯金がある、現実的かつ継続的な家族支援があるなど、個別事情によって状況は異なります。

反対に、申請直前だけ一時的に預金残高を増やしても、将来の生活が安定していることの説明になるとは限りません。

生活基盤に不安がある場合には、「申請書をどう書くか」より先に、仕事、住居、子どもの生活費などを含めた今後の生活設計を整理する必要があります。

税金などの公的義務や在留状況に問題がある場合

税金・社会保険の状況、入管法上必要な届出、これまでの在留状況に問題がある場合には、申請前の確認が特に重要です。

たとえば、

  • 配偶者に関する届出が必要なのに未届となっている

  • 過去の住居地届出に問題がある

  • 税金等に未納・遅延がある

  • 過去の申請内容と現在の説明が食い違っている

などが考えられます。

ここでも注意したいのは、罰則の対象となるのは、「定住者」で離婚したすべての方ではないということです。

「配偶者に関する届出」が必要な方が、その届出を正当な理由なく14日以内に行わなかった場合には、20万円以下の罰金に処せられることがあります。

現在すでに在留資格「定住者」を持つ方は、後述するように、離婚を理由とする「配偶者に関する届出」の対象ではありません。

重要なのは、問題が判明したときに隠そうとしないことです。

「今から対応できることは何か」「なぜその状態になったのか」「現在はどうなっているのか」を確認し、事実に基づいて対応する必要があります。

過去の在留状況などを含め相当性が認められない場合

定住者への変更では、現在の生活だけでなく、過去の在留状況を含むさまざまな事情を確認する必要があります。

出入国在留管理庁が公表している個別の不許可事例には、日本人配偶者との婚姻期間が約2年1か月で、婚姻の実体があったといえる期間が約1年3か月とされ、日本語学校に通うとして配偶者と別居した後、風俗店に在籍していたことが確認された事例があります。

この事例は、婚姻期間だけで結論が出されたものではありません。

また、あくまで公表された個別事案の一つであり、「婚姻期間が2年程度なら不許可」「実体が1年3か月なら不許可」といった一般的な最低期間や一律の不許可基準を示すものでもありません。

公表事例は、自分と一部の事情が似ているからといって、そのまま自分の結論に置き換えることはできません。

過去の在留状況に不安がある場合こそ、自分のケースで何が重要になるのかを個別に整理する必要があります。

「定住者の配偶者」と離婚した場合に注意したい2つの違い

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の離婚と同じ扱いとは限らない

  • 告示5号ロに該当していた場合は離婚後の在留資格を個別に検討する

在留資格「定住者」を持つ方の中には、「定住者の配偶者」であることを契機として定住者になった方もいます。しかし、この場合を、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」で配偶者として在留していた方の離婚後の事例と、そのまま同じように考えることはできません。

定住者告示5号ロは、告示上の要件を満たす一定の「定住者」の配偶者を対象とする類型です。定住者には告示であらかじめ地位が定められた類型と、それ以外の特別な理由を考慮して認められる類型があるため、現在の在留資格が「定住者」であるという表示だけでは、その取得根拠まで分かりません。

また、在留資格「定住者」を持つ方は、配偶者としての身分が定住者取得の契機となっていた場合でも、離婚を理由とする「配偶者に関する届出」の対象ではありません。

ただし、届出義務がないことと、離婚後も現在と同じ事情を前提として「定住者」の更新が当然に認められることは別問題です。

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の離婚と同じ扱いとは限らない

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留していた方が離婚し、「定住者」への変更を申請するケースについては、出入国在留管理庁が許可・不許可の個別事例を公表しています。

これに対して、「定住者の配偶者」であることを根拠として、もともと在留資格「定住者」を取得していた方は、法的な出発点が異なります。

そのため、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」から離婚後に定住者への変更を申請した公表事例と、同じ婚姻期間や同じ事情があれば同じ結論になると考えることはできません。

現在の在留カードが「定住者」である場合には、

  • どのような身分・地位を根拠に定住者となったのか

  • 配偶者との婚姻関係が現在の在留資格にどのように関係していたのか

  • 離婚後にどのような生活・就労状況になるのか

まで確認することが重要です。

「現在の資格が定住者だから、離婚後も同じように更新できる」と自己判断せず、現在の定住者資格を取得した経緯まで遡って確認する必要があります。

告示5号ロに該当していた場合は離婚後の在留資格を個別に検討する

定住者告示5号ロは、告示本文に定められた要件を満たす一定の「定住者」の配偶者を対象とする規定です。

したがって、単に「定住者と結婚している」というだけで、すべての方が同号に該当するという意味ではありません。

この類型で在留資格「定住者」を得ていた方が離婚すると、配偶者であることを前提としていた身分関係に変化が生じます。

その場合、日本人または永住者の配偶者から「定住者」への変更について公表されている離婚後の事例と、同じ要件・同じ考え方で判断されるとは限りません。

そのため、

  • 現在の「定住者」を取得した具体的な経緯

  • 日本での在留歴

  • 現在の仕事内容

  • 学歴・職歴

  • 子どもなどの家族関係

  • 離婚後の生活状況

  • その他、日本での在留を検討するうえで重要となる事情

を整理し、今後どの在留資格が考えられるのかを個別に確認する必要があります。

状況によっては、

  • 現在の仕事内容に対応する就労系在留資格

  • 学歴・職歴を利用できる在留資格

  • 新たに生じた身分関係に対応する在留資格

  • その他、本人の事情に対応する在留資格

などへの変更が可能かを検討することになります。

なお、現在すでに在留資格「定住者」を持つ方については、離婚を理由とする「配偶者に関する届出」は必要ありません。

これは、前述した「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方に課される届出とは対象が異なるためです。

もっとも、届出が不要だからといって、その後の在留期間更新が保証されるわけではありません。

現在の定住者資格を取得した経緯、離婚後の生活、就労状況、家族関係などを踏まえて、今後の在留資格を個別に検討することが重要です。

離婚後の在留資格を決めるための3ステップ

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 現在の在留資格・在留期限・離婚日を確認する

  • 婚姻期間・収入・子ども・納税状況などを整理する

  • 「定住者」だけでなく就労資格など他の変更先も比較する

離婚後の在留資格について迷った場合、最初から「定住者が許可されるか」を判断しようとするより、事実を順番に整理した方が適切な方針を見つけやすくなります。まず現在の在留資格と期限を確認し、次に婚姻・生活・家族等の事情を整理したうえで、利用できる在留資格を比較することが重要です。

現在の在留資格・在留期限・離婚日を確認する

最初に、在留カードと離婚関係資料を確認します。

最低限、次の3点を正確に把握してください。

  • 現在の在留資格

  • 在留期間の満了日

  • 離婚が法律上成立した日

「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方については、離婚の日から原則14日以内の「配偶者に関する届出」が済んでいるかも確認します。

ここで、別居日、離婚協議を始めた日、離婚届を市区町村へ提出した日などを混同しないよう注意してください。

また、在留期限が近い場合は、必要書類を取得したり、他の在留資格の要件を検討したりする時間も限られます。

「離婚から6か月までは大丈夫」と考えて待つのではなく、現在の在留期間の満了日と、配偶者としての活動を行っていない期間の双方を確認しながら、早めに準備することが重要です。

婚姻期間・収入・子ども・納税状況などを整理する

次に、自分の状況を項目ごとに整理します。

確認項目 整理する内容
婚姻 結婚日、同居開始日、別居日、別居理由、離婚日
在留 来日時期、これまでの在留資格、現在の在留期限
仕事 勤務先、職種、仕事内容、雇用形態、勤続期間
収入 給与、事業所得、預貯金、世帯の生活費
日本人の実子 国籍、年齢、親権、同居、監護・養育の実態
生活 現在の住居、離婚後の住居、今後の生活予定
公的義務 税金、年金、健康保険等の加入・納付状況
入管手続 配偶者に関する届出の対象か、必要な場合の届出状況、住居地届出その他の履行状況

この一覧を作ると、「婚姻期間以外に自分のケースでは何が重要なのか」が見えやすくなります。

また、専門家に相談する場合でも、これらが整理されていると具体的な検討に入りやすくなります。

記憶だけで作るのではなく、在留カード、戸籍関係書類、住民票、給与関係書類、課税・納税関係書類など、確認できる資料と照合することが重要です。

「定住者」だけでなく就労資格など他の変更先も比較する

離婚後に日本で生活を続ける方法は、「定住者」だけではありません。

たとえば、本人の学歴・職歴と現在の仕事内容が在留資格の要件に合致すれば、「技術・人文知識・国際業務」など就労系の資格を検討できる場合があります。

仕事内容によっては、その他の就労資格が選択肢になることもあります。

一方、日本人の実子を実際に監護・養育しているなど、身分・生活上の事情から定住者を中心に検討する方が適切なケースもあるでしょう。

大切なのは、「離婚定住が難しい=日本に在留する方法がない」と直ちに考えないことです。

逆に、本来就労資格への変更が適切な方が、「離婚した人は定住者になるもの」と思い込み、定住者だけに絞ってしまうことも避ける必要があります。

どの在留資格を選択するかによって、要件も必要資料も審査される内容も異なります。

書類を作り始める前に、「自分はどの在留資格を検討すべきなのか」を整理することが重要です。

離婚後も日本で暮らしたいときは早めの在留資格確認が重要

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 離婚定住は婚姻年数だけで判断される制度ではない

  • 事情によって必要な説明や資料は変わる

  • 判断が難しい場合は出入国在留管理局や専門家に確認する

離婚後の在留資格は、「3年以上結婚していた」「日本人の実子がいる」といった一つの事情だけで結果が決まるものではありません。一方、一つ不利な事情があるからといって、他の事情を確認せずに結論を出すことも適切ではありません。在留資格、期限、婚姻実態、生活基盤、家族関係を整理し、早めに適切な手続を検討することが大切です。

離婚定住は婚姻年数だけで判断される制度ではない

離婚後の「定住者」について調べると、「婚姻3年以上」といった説明を目にすることがあります。

しかし、3年という期間は、「3年以上なら定住者への変更を許可する」と法律で一律に定められた条件ではありません。

離婚後の「定住者」への変更では、実体を伴う婚姻生活の期間を含め、

  • 婚姻生活の実態

  • 離婚に至った事情

  • 日本での在留状況

  • 離婚後の生活基盤

  • 日本人の実子の監護・養育

  • 日本との結び付き

  • その他個別の事情

などを整理して検討する必要があります。

出入国在留管理庁の公表事例を見ても、婚姻期間だけでなく、日本人実子、監護・養育、収入、DV、事業継続など、事案ごとの事情が示されています。

なお、永住許可ガイドラインにも、配偶者に関する婚姻期間・在留期間の特例が示されていますが、これは永住許可についての基準であり、離婚後の「定住者」変更の許可基準ではありません。

両者は目的も手続も異なります。

そのため、永住許可について示される婚姻期間・在留期間の数字を、そのまま離婚後の定住者変更の許可基準として使用しないことが重要です。

「3年あるから大丈夫」「3年未満だから絶対に無理」と自己判断するのではなく、実際の婚姻生活とその他の事情まで確認する必要があります。

事情によって必要な説明や資料は変わる

離婚した方全員が、同じ書類を提出すればよいわけではありません。

たとえば、日本人の実子を実際に監護・養育している方と、子どもはいないものの長期間日本で婚姻生活・就労生活を続けてきた方では、説明すべき中心的な事情が異なります。

DVが離婚の背景にある場合には、その事情を示す資料が重要になるケースもあります。

収入が不安定な場合には、仕事や今後の生活について、より具体的な説明が必要になることもあるでしょう。

別居期間が長ければ、その理由と婚姻実態について整理する必要があります。

また、「配偶者に関する届出」の対象であるにもかかわらず届出が遅れている場合には、その届出への対応と遅れた事情も確認しなければなりません。

インターネット上の「離婚定住の必要書類一覧」をそのまま集めるだけでは、本人固有の問題が抜けることがあります。

まず自分のケースで重要となる事情を特定し、その事実を裏付けるためにどの資料が必要なのかという順序で検討することが大切です。

判断が難しい場合は出入国在留管理局や専門家に確認する

離婚後の在留資格について判断が難しい場合には、一人で結論を出さず、地方出入国在留管理官署などで制度や手続を確認する方法があります。

特に、

  • 実体を伴う婚姻期間が短い

  • 別居期間が長い

  • 日本人の実子を監護・養育している

  • 配偶者に関する届出の対象なのに、まだ届け出ていない

  • 税金や在留手続に心配がある

  • 在留期間の満了日が近い

  • 現在「定住者」で、定住者の配偶者として取得した経緯がある

  • 就労系在留資格へ変更できるか分からない

といった事情がある場合には、早めに整理することが重要です。

個別事情を踏まえて在留資格の選択や申請資料について相談したい場合には、在留資格申請を取り扱う行政書士などの専門家へ相談する方法もあります。

その際には、

  • 在留カード

  • 離婚日

  • 結婚日

  • 同居・別居期間

  • 現在の仕事内容

  • 学歴・職歴

  • 収入

  • 日本人の実子の有無と監護・養育状況

  • 税金等の状況

  • これまでの入管手続

などを整理しておくと、具体的な検討を進めやすくなります。

なお、行政書士による在留資格の相談・書類作成・申請取次と、離婚そのものに関する法律問題は別の分野です。

離婚条件の代理交渉、離婚調停・訴訟、親権・監護権をめぐる争い、養育費等の法律問題については、必要に応じて弁護士への相談も検討してください。

まとめ

  • 「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で、配偶者として在留している方が離婚した場合は、原則として、離婚の日から14日以内に入管へ「配偶者に関する届出」が必要です

  • 市区町村役場へ提出する戸籍上の離婚届と、入管へ行う「配偶者に関する届出」は別の手続です。届出が必要な方が正当な理由なく14日以内に行わなかった場合には、20万円以下の罰金に処せられることがあります

  • 離婚後の「定住者」への変更は「婚姻3年以上」だけで許可・不許可が決まるものではなく、実体を伴う婚姻生活、離婚後の生活基盤、在留状況、日本との結び付きなどを個別に確認する必要があります

  • 日本人の実子がいる場合も、実子の存在だけで許可されるわけではなく、親権、同居、監護・養育の実態などを具体的に整理することが重要です

  • 「定住者の配偶者」であることを契機として定住者になった方の離婚は、日本人・永住者の配偶者から定住者へ変更した公表事例と同じ要件・同じ考え方で判断されるとは限らず、現在の定住者取得の経緯や、就労系資格など他の選択肢も含めて個別に検討する必要があります

離婚後の在留資格では、同じ「離婚」という出来事でも、これまでの婚姻生活、現在の在留資格、仕事、日本人の実子の監護・養育、生活基盤などによって検討すべき内容が変わります。

特に注意したいのは、「3年以上結婚していたから大丈夫」「在留期限までまだあるから急がなくてよい」「離婚後6か月までは何もしなくても大丈夫」といった自己判断です。

まず在留カードで現在の在留資格と期限を確認し、離婚日、婚姻・同居期間、仕事、収入、日本人の実子の状況、これまでの届出などを書き出してみてください。

整理してみると、「自分の場合は婚姻期間より実子の監護状況が重要なのか」「就労資格への変更も検討できるのか」「届出の遅れをどう扱えばよいのか」「現在の定住者をどのような根拠で取得したのかを確認する必要があるのか」など、確認すべき点が具体的になります。

自分だけでは判断しにくい事情がある場合には、在留期間の満了や配偶者としての活動を行っていない期間が長くなるのを待たず、早い段階で地方出入国在留管理官署や在留資格申請を取り扱う専門家に確認することが、適切な選択肢を検討するための第一歩になります。

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