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建設業許可・廃業届

建設業許可の廃業届は「出す前」が肝心です
全部廃業・一部廃業・事業承継までやさしく整理

建設業許可の廃業届は、会社をたたむときだけに関係する手続きではありません。一部の許可業種だけをやめる場合や、営業所技術者等・経営業務の管理体制などの許可要件に変化が生じた場合にも確認が必要です。全部廃業と一部廃業の違い、廃業届を出す前に確認したい選択肢、再取得を考える場合の注意点まで、順番に整理してご紹介します。

ホーム > 建設業許可 > 廃業届の確認ポイント

用語についての確認
2024年12月13日施行の建設業法改正後は、従来「専任技術者」と呼ばれていた営業所に置く技術者について、「営業所技術者」「特定営業所技術者」、これらを合わせて「営業所技術者等」という用語が使われています。本記事では、現行法に合わせて「営業所技術者等」と表記します。

図解:廃業届を出す前に整理する基本の順序
1
何が変わったのかを特定する

すべてやめるのか、一部業種だけなのか、要件が欠けたのかを整理します。

2
廃業以外の方法を確認する

後任者の確保、一部廃業、事業承継など別の選択肢がないか確認します。

3
期限を確認する

2週間以内の届出、30日以内の廃業届など、複数の期限を確認します。

4
手続きの順序を整理する

認可申請と廃業届の順序など、今後の事業方針から逆算して整理します。

建設業許可の廃業届が必要になる4つのケース

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 許可を受けた建設業をすべてやめる場合
  • 29業種のうち一部の許可業種だけをやめる場合
  • 会社の解散・合併・破産などで建設業を続けなくなる場合
  • 営業所技術者等の不在などで許可要件を満たせなくなった場合

建設業許可の廃業届は、建設事業そのものを終了するときだけでなく、一部の許可業種を廃止するときや許可要件を満たせなくなったときにも問題になります。特に許可要件を欠くケースでは、営業所技術者等だけでなく、経営業務の管理体制、欠格要件なども確認しなければなりません。何が変わったのかを特定し、影響する許可業種と必要な届出を整理することが出発点です。

許可を受けた建設業をすべてやめる場合

許可を受けている建設業を今後すべて行わないのであれば、全部廃業として廃業届を提出することになります。たとえば、建設事業から完全に撤退して別の事業へ集中する場合や、建設会社としての営業を終了する場合です。

廃業届が提出されると、建設業法第29条第1項第5号に基づき、許可行政庁は対象となる建設業許可を取り消します。許可期間がまだ残っていても、その満了まで許可が維持されるわけではありません。

ただし、この取消しは、違法行為などに対する監督処分としての許可取消しとは原因が異なります。大阪府なども、廃業届の提出により許可行政庁が許可を取り消すことを明示しています。

「もう積極的に工事を受注しない」という経営判断と、「建設業許可をすべて廃業する」ことは同じではありません。今後の受注可能性や事業計画まで確認してから決めることが重要です。

29業種のうち一部の許可業種だけをやめる場合

建設業許可は、取得しているすべての業種をまとめて廃業するだけでなく、一部の許可業種だけを廃業することもできます。いわゆる「一部廃業」です。

たとえば、土木工事業・舗装工事業・とび・土工工事業の許可を持つ会社が、舗装工事業だけを今後行わない場合、ほかの許可まで必ず廃業する必要はありません。廃業届の様式でも、「全部の業種の廃業」と「一部の業種の廃業」が明確に区別されています。

そのため、「特定の許可業種を減らしたい」「一部の業種だけ要件を維持できなくなった」という場合は、まずどの業種に影響があるのかを整理してください。一部廃業で対応できれば、会社そのものや残りの許可業種を維持しながら事業を続けられる可能性があります。

会社の解散・合併・破産などで建設業を続けなくなる場合

法人が解散する場合、合併によって消滅する場合、破産手続開始の決定により解散する場合なども、建設業法第12条に基づく廃業等の届出が問題になります。ただし、誰が廃業届を提出するのかは原因によって異なります。

廃業等の事由 届出をする者
個人の建設業者が死亡し、相続認可を申請しない場合 相続人
法人が合併により消滅し、承継認可がされていない場合 消滅した法人の役員であった者
破産手続開始の決定により法人が解散した場合 破産管財人
合併・破産以外の理由で法人が解散した場合 清算人
許可を受けた建設業を廃止した場合 本人または法人の役員

いずれも「30日以内」という期限がありますが、何を起点に30日を数えるかは廃業事由によって異なります。さらに、事業を他社や後継会社へ引き継ぐ予定がある場合は注意が必要です。

建設業法第17条の2の事業承継制度を利用する場合は、譲渡・合併・分割の効力が生じる前に認可を受けることが前提となります。承継する予定の許可を認可前に全部廃業してしまえば、承継すべき建設業者としての地位そのものに影響するため、廃業届を先行させてはいけないケースがあります。

一方、承継元と承継先の許可の組み合わせによっては、承継前に一部の許可を廃業する必要がある場合もあります。したがって、「事業承継なら廃業届は絶対に出さない」「先に全部廃業する」といった一律の判断は避け、認可申請と廃業届の順序を事前に確認することが重要です。

営業所技術者等の不在などで許可要件を満たせなくなった場合

営業所技術者等が退職した場合や、経営業務の管理体制を維持できなくなった場合など、建設業許可の要件を満たせなくなったときは迅速な対応が必要です。

ここで注意したいのは、廃業届の30日以内という期限とは別に、許可要件に関する2週間以内の届出が問題になることです。建設業法第11条第4項・第5項では、営業所技術者等の変更や、経営業務の管理体制・営業所技術者等に関する許可基準を満たさなくなった場合などについて、2週間以内の届出を定めています。

したがって、「廃業するかどうかを30日以内に考えればよい」と放置するのは適切ではありません。また、許可要件を欠く原因は営業所技術者等だけではありません。たとえば、次のようなケースがあります。

  • 経営業務の管理責任者等を含む経営業務の管理体制を維持できなくなった
  • 営業所技術者等がいなくなった
  • 欠格要件に該当する事由が生じた
  • 特定建設業で必要となる許可基準を満たさなくなった

どの許可要件を欠いたかによって影響範囲は異なるため、「資格者が辞めたから全部廃業」と決めつけず、2週間以内の変更・欠如に関する届出と、その後の廃業等の対応を分けて考えることが重要です。

全部廃業と一部廃業で変わる3つのポイント

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 全部廃業は許可を受けている建設業をすべてやめる手続き
  • 一部廃業なら残した業種の許可は継続できる
  • 一部廃業では変更届など追加手続きが必要になることがある

全部廃業と一部廃業では、手続き後に残る建設業許可が大きく異なります。「会社を残すかどうか」だけで判断するのではなく、現在持っている許可業種、営業所、営業所技術者等、今後の受注予定を整理し、どの許可を残す必要があるのかを確認することが重要です。

図解:全部廃業と一部廃業のちがい
全部廃業

保有するすべての許可業種を廃止します。取消し後は、従前の許可を前提とする建設工事を新たに請け負うことはできません。

一部廃業

廃業した業種以外は、要件を満たしていれば許可を残せます。会社や他の許可業種を維持しながら事業を続けられる可能性があります。

全部廃業は許可を受けている建設業をすべてやめる手続き

全部廃業は、その建設業者が保有している許可業種をすべて廃止する場合の手続きです。全部廃業の届出に基づいて許可が取り消されれば、その後は従前の許可を前提として新たに許可対象となる建設工事を請け負うことはできません。

そのため、「今は工事が少ないから」「会社自体は残るから」といった理由だけで安易に全部廃業するのは避けたいところです。会社を存続させることと、建設業許可を維持することは別の問題になります。

将来、建設事業へ再び力を入れる可能性がある場合には、現在の許可を手放した後に再取得が必要になる可能性まで考えて判断する必要があります。なお、廃業届に基づく取消しと、法令違反などを理由とする監督処分としての取消しは原因・性質が異なります。

一部廃業なら残した業種の許可は継続できる

一部廃業では、廃業した業種以外について、引き続き許可要件を満たしていれば許可を残すことができます。複数業種の許可を持つ会社で特定の事業だけ撤退する場合には、残る業種まで一緒に廃業する必要があるとは限りません。

たとえば、建築工事業と内装仕上工事業の許可を持ち、内装仕上工事業だけをやめる場合には、建築工事業について必要な要件を維持しているか確認したうえで、一部廃業を検討できます。

実際に、廃業届の様式は全部廃業と一部廃業を区別しており、一部廃業後に残る許可業種があることを前提とした作りになっています。会社を続ける予定があるほど、「全部かゼロか」ではなく、許可業種単位で判断することが重要です。

一部廃業では変更届など追加手続きが必要になることがある

一部廃業の場合、廃業届だけで関連するすべての変更が完了するとは限りません。国土交通省の現行の建設業許可事務ガイドラインでは、一部の業種を廃業する場合、営業所技術者等の変更があるときは様式第8号、営業所技術者等を削除するときは様式第22号の3など、必要な書類を廃業届と同時に提出する扱いが示されています。

つまり、「一部廃業だから常に同じ追加書類が一枚必要」という単純な話ではありません。たとえば、廃業する業種を担当していた営業所技術者等を削除する、その人が残る業種を引き続き担当する、営業所そのものの取扱業種も変更する、従たる営業所を廃止する、など、実際に生じる変更によって必要な様式が変わります。

一部廃業では、廃業届と現在の営業所・技術者・許可業種との関係を一体で確認することが大切です。

許可要件を満たせなくなったときに確認したい4つの選択肢

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 後任の営業所技術者等を確保できないか確認する
  • 問題のある業種だけ一部廃業できないか整理する
  • 事業承継によって許可を引き継げる可能性を確認する
  • 営業所や許可行政庁の変更に伴う許可換えが必要でないか確認する

許可要件に変化が生じたときは、廃業届だけに目を向けるのではなく、何を変更すれば事業を継続できるのかを確認することが大切です。ただし、許可要件を欠いた場合には2週間以内の届出が必要になるケースがあります。代替策を検討している間も法定の届出期限は進むため、検討と届出を並行して進めなければなりません。

後任の営業所技術者等を確保できないか確認する

営業所技術者等が退職する場合には、まず後任となれる人が社内または採用予定者の中にいないか確認します。営業所技術者等は、建設業許可の技術面の要件を支える重要な存在です。しかし、現在の担当者が退職するからといって、必ず許可そのものを廃業しなければならないわけではありません。

後任となる人が該当業種について必要な資格・実務経験等を満たし、営業所技術者等として配置できるのであれば、変更届によって対応できる可能性があります。

一方、後任がいる場合でも、変更後2週間以内の届出が必要となる点には注意してください。建設業法第11条第4項は、営業所技術者が置かれなくなった場合に代わる者がいるとき、2週間以内に必要書類を提出することを定めています。

営業所技術者等だけでなく、経営業務の管理体制を担う人が退任する場合にも同様に、許可要件を維持できる後任・体制があるか確認することが重要です。

問題のある業種だけ一部廃業できないか整理する

複数の許可業種を持つ場合、一つの業種について要件を維持できなくなっても、ほかの業種まで同じ状況とは限りません。そのため、全部廃業を考える前に、影響を受ける業種を切り分けることが重要です。

たとえば、一人の営業所技術者等が複数業種を担当している場合は、その人の退職がどの業種に影響するかを確認します。他の営業所技術者等が担当している業種には影響がない場合もあるでしょう。

一方、経営業務の管理体制など会社全体に関係する要件を欠く場合には、影響が一部業種だけにとどまらない可能性があります。つまり、「何の要件を欠いたのか」によって、一部廃業で済むのか全部廃業が必要になるのかが変わります。許可通知書、直近の申請書・変更届、営業所技術者等の担当業種を整理し、影響範囲を確認してください。

事業承継によって許可を引き継げる可能性を確認する

会社や建設事業を後継者や別法人へ引き継ぐ予定がある場合は、廃業届を提出する前に事業承継制度を確認することが極めて重要です。建設業法第17条の2では、事業譲渡、合併、会社分割について、事前に認可を受けることにより建設業者としての地位を承継できる制度が設けられています。個人事業主の死亡についても、第17条の3に相続認可制度があります。

特に注意したいのは手続きの順番です。事業承継の認可によって引き継ぐ予定の許可について、認可前に全部廃業してしまえば、承継対象となる建設業者としての地位を失うことにつながります。

事業承継を予定している場合は、承継手続を確認せずに廃業届を先行して提出してはいけません。

ただし、承継元と承継先が同じ業種について一般・特定で異なる許可を持っている場合など、認可を受けるために一部の許可をあらかじめ廃業する必要があるケースもあります。関東地方整備局の事業承継資料でも、一定の場合には承継日前の一部廃業が必要になることが示されています。

したがって、事業承継を考えている場合は、「廃業届を出すかどうか」だけでなく、「どの許可をいつ整理し、いつ認可を受けるか」という順序まで確認する必要があります。

営業所や許可行政庁の変更に伴う許可換えが必要でないか確認する

営業所の新設・廃止や所在地の変更によって許可行政庁が変わる場合には、「許可換え新規」が必要になることがあります。許可換え新規は国土交通省が使用している申請区分です。

国土交通省は、現在有効な許可を受けている許可行政庁とは別の許可行政庁に対して、新たに許可を申請する場合を「許可換え新規」と案内しています。たとえば、一つの都道府県知事許可から国土交通大臣許可へ変わる場合、国土交通大臣許可から一つの都道府県知事許可へ変わる場合、主たる営業所を別の都道府県へ移し、許可行政庁が変わる場合、などです。

これは、単純に現在の許可を廃業して終わる手続きではありません。営業所再編を予定している場合には、既存許可の取扱いと新たな許可申請のタイミングを確認し、工事受注に支障が生じないよう進める必要があります。

相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。

建設業許可について相談する

建設業許可の廃業届を提出する前に確認する5つのこと

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • どの許可業種を廃業するのかを特定する
  • 残したい許可業種の要件を維持できているか確認する
  • 進行中の工事や契約への影響を確認する
  • 後任者・事業承継など別の方法がないか検討する
  • 廃業後の事業方針まで含めて判断する

廃業届は、提出してから今後の方針を考える手続きではありません。特に会社を存続させる場合や、将来も建設工事を受注する可能性がある場合には、現在の許可業種だけでなく、許可要件、契約中の工事、承継計画まで整理してから判断することが大切です。

どの許可業種を廃業するのかを特定する

最初に確認したいのは、現在どの許可業種を持ち、そのうちどの業種を廃業するのかという点です。建設業許可は29業種に分かれているため、「建設業をやめる」という言葉だけでは全部廃業か一部廃業かを判断できません。

現在取得している業種を、今後も受注する業種、今後は受注しない業種、要件を維持できている業種、要件を維持できなくなった業種、に分けて整理すると判断しやすくなります。

許可通知書だけでなく、最新の変更届や営業所技術者等の届出内容も確認してください。数年前の許可取得時から役員・営業所・技術者の構成が変わっている場合には、現在の届出状態を基準に判断する必要があります。

残したい許可業種の要件を維持できているか確認する

一部の業種を廃業し、ほかの許可を残す場合には、残す業種について必要な許可要件を引き続き満たしているか確認します。営業所技術者等だけを確認すればよいわけではありません。

建設業許可では、一般建設業であれば建設業法第7条、特定建設業であれば第15条などに基づく複数の許可基準があります。たとえば、経営業務の管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎・金銭的信用、欠格要件、特定建設業に求められる追加的な要件、などを確認する必要があります。

特に経営業務の管理体制を担う常勤役員等が退任した場合には、会社全体の許可へ影響する可能性があります。「この業種だけ残したい」という希望と、「法令上その許可を維持できる」という判断は別です。残す業種についても要件確認を行ってください。

進行中の工事や契約への影響を確認する

廃業届を検討するときは、現在施工中の工事や締結済みの請負契約も必ず確認してください。

ここで重要なのは、廃業により許可が取り消されたからといって、それ以前に締結した請負契約に係る工事を直ちに中止しなければならないわけではないという点です。建設業法第29条の3では、許可が効力を失う前または許可取消し等の処分前に締結した請負契約に係る建設工事については、その後も施工できると定められています。さらに、その工事を完成する目的の範囲内では建設業者とみなされます。

一方で、許可が効力を失った場合や取消しを受けた場合には、原則としてその後2週間以内に、対象工事の注文者へその旨を通知しなければなりません。注文者には、その通知を受けた日などから30日以内に契約を解除できる制度もあります。

したがって、「工事が完成するまで廃業届を出せない」「廃業したら施工中の工事をすぐ止めなければならない」と一律に考えるのは適切ではありません。施工継続の可否だけでなく、発注者への通知、契約条件、工事完成までの体制をあわせて整理することが重要です。

後任者・事業承継など別の方法がないか検討する

廃業を考える理由が、人員の退職、代表者の引退、会社再編などであれば、廃業以外の手続きが利用できないか確認してください。営業所技術者等について後任者が要件を満たせる場合は変更届で対応できる可能性があります。

経営業務の管理体制についても、別の常勤役員等や補佐体制によって要件を満たせるか確認すべきケースがあります。また、経営者の引退に伴って事業そのものを後継者へ引き継ぐ場合には、事業承継・相続の認可制度を検討できる可能性があります。

ただし、承継を予定しているときに廃業届を先に提出すると、承継する予定だった許可に影響する場合があります。逆に、認可の条件を整えるために一部廃業が必要なケースもあるため、自己判断で手続きの順序を決めるのは避けるべきです。「廃業するか」ではなく、「今後どの形で建設事業を続けたいのか」から逆算して手続きを整理すると判断しやすくなります。

廃業後の事業方針まで含めて判断する

建設業許可を廃業するかどうかは、現在の状況だけでなく、数年先の事業方針まで考えて判断することが大切です。「今はその工事を受注していない」という理由で許可を廃業しても、翌年に必要な案件が出てくる可能性があります。

一度廃業した許可は、必要になったからといって自動的に復活するわけではありません。再び許可が必要であれば、その時点で新規許可申請を行うことになります。国土交通省も、許可業種の全部を廃業した者が再度許可を取得する場合は「新規」の申請区分になると案内しています。

今後どの工事を受注したいのか、会社を誰に引き継ぐのか、人員を補充する予定があるのかまで含めて検討してください。

廃業届の提出で注意したい3つのポイント

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 廃業届には提出期限がある
  • 一部廃業では関連する変更届も確認する
  • 廃業届を出しても過去の問題がなくなるわけではない

廃業する方針が固まった場合でも、単に廃業届を作成して提出すれば終わりとは限りません。廃業事由によって届出を行う人が異なるほか、許可要件を欠いた場合の2週間以内の届出、進行中工事の注文者への通知など、別の期限が並行して発生する場合があります。

廃業届には提出期限がある

建設業法第12条では、廃業等の事由が生じた場合、法定の届出義務者が30日以内に届け出なければならないと定めています。ただし、「廃業後30日以内」という一言だけで理解するのは十分ではありません。事由によって、30日を数える基礎となる出来事と届出義務者が異なるためです。主なケースは次のとおりです。

事由 届出義務者 30日の基礎となる事由
個人の建設業者が死亡し、相続認可を申請しない 相続人 建設業者の死亡
法人が合併により消滅し、事前認可がされていない 消滅した法人の役員であった者 法人の合併による消滅
破産手続開始の決定により法人が解散 破産管財人 破産手続開始の決定による解散
合併・破産以外の事由で法人が解散 清算人 法人の解散
許可を受けた建設業を廃止 本人または法人の役員 建設業を廃止したこと

建設業法第12条は、これらの事由ごとに届出をする者を定めています。なお、個人事業主が死亡し、相続人が建設業を継続する場合には別途、建設業法第17条の3による相続認可があります。相続認可の申請は死亡後30日以内です。

また、営業所技術者等や経営業務の管理体制などの許可基準を満たさなくなった場合には、廃業届とは別に建設業法第11条に基づく2週間以内の届出が必要になることがあります。

30日以内の廃業届だけを見て、2週間以内の届出を見落とさないことが重要です。

一部廃業では関連する変更届も確認する

一部廃業では、廃業届と同時に営業所技術者等に関する届出などが必要になる場合があります。国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、一部の業種を廃業する場合、営業所技術者等の変更には様式第8号、削除には様式第22号の3などを用い、必要な書類を廃業届と同時に提出する取扱いが示されています。

たとえば、廃業する業種だけを担当していた営業所技術者等を削除する場合と、その人が残る業種を引き続き担当する場合では必要な届出が異なります。営業所そのものの廃止・取扱業種の変更が伴う場合には、さらに関連する変更届を確認しなければなりません。

したがって、一部廃業では「廃業届の一部廃業欄を書けば必ず完結する」と考えず、自社で実際に何が変わるのかを基準に必要書類を確認してください。

廃業届を出しても過去の問題がなくなるわけではない

廃業届を提出して建設業許可が取り消されても、それ以前の事業活動に関する責任や問題が消えるわけではありません。たとえば、過去の工事に関する契約上の責任、施工上の瑕疵や契約不適合に関する責任、変更届等の未提出、法令違反に関する問題、発注者・元請・下請との契約上の問題、などは、それぞれ別に検討する必要があります。

また、許可取消し前に締結した請負契約に係る工事については、建設業法第29条の3による施工継続や注文者への通知のルールがあります。「何か問題があるから先に許可を返上すればよい」と考えるのは適切ではありません。

廃業届は過去の問題を清算する制度ではなく、許可を受けた建設業を廃止したことなどを届け出るための手続きです。

一度廃業した建設業許可を再取得するときの3つの注意点

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 廃業したからといって将来の再取得が保証されるわけではない
  • 再取得時にはその時点の許可要件を満たす必要がある
  • 将来取り直す予定があるなら廃業前の検討が重要になる

「必要になればまた許可を取ればよい」と考えて廃業する場合には注意が必要です。一度全部廃業した後の許可は自動的に戻るものではなく、再び必要になれば新規申請が必要になります。将来の事業計画がある場合ほど、現在の許可を廃業する影響を先に確認してください。

廃業したからといって将来の再取得が保証されるわけではない

自主的に建設業許可を廃業したからといって、将来必ず同じ許可を取り直せるわけではありません。全部廃業後に再び建設業許可を取得する場合は、新規申請として審査を受けることになります。国土交通省も、以前許可を有していた者が許可業種の全部を廃業し、再度許可を取得する場合は「新規」に該当すると案内しています。

以前許可を取得できていたことは、将来の許可を保証するものではありません。「当面工事を取らないから」という理由だけで廃業を決めるのではなく、再取得時の負担や許可がない期間の受注制限まで含めて検討することが重要です。

再取得時にはその時点の許可要件を満たす必要がある

建設業許可を再取得するときは、原則として再申請時点の制度・事実関係に基づいて審査を受けます。その間に、役員構成、経営業務の管理体制、営業所技術者等、財務状況、営業所、欠格要件、法令や申請様式、などが変わる可能性があります。

そのため、過去に許可を持っていた会社であっても、再申請時に必要な基準を満たしているとは限りません。「営業所技術者等がいないから一度廃業し、見つかったら取り直す」という方法を検討する場合も、許可がない期間の受注への影響や再申請の審査を考慮する必要があります。

将来取り直す予定があるなら廃業前の検討が重要になる

将来同じ許可業種が必要になる可能性が高い場合は、廃業届を提出する前に、現在の許可を維持する方法がないか確認することが重要です。たとえば、営業所技術者等の後任を確保できないか、経営業務の管理体制を別の方法で維持できないか、一部廃業にとどめられないか、事業承継によって許可を引き継げないか、営業所再編に伴う許可換え新規で対応できないか、といった選択肢があります。

もちろん、許可要件を満たしていない状態のまま許可を維持することはできません。しかし、将来再取得を予定しているからこそ、現在の許可を廃業する前に代替策を確認する意味があります。

会社を残すか廃業するか迷ったときの3つの判断基準

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • すべての許可業種を続けられないのか
  • 一部の許可だけ残すことができないのか
  • 後任者や事業承継によって事業を継続できないのか

会社を続けたい場合には、「全部廃業するか、そのまま維持するか」の二択で考える必要はありません。営業所技術者等、経営業務の管理体制、事業承継、営業所再編などを確認することで、許可の一部または全部を残せる可能性があります。

すべての許可業種を続けられないのか

最初に確認したいのは、今回起きた事情が本当にすべての許可業種へ影響しているのかという点です。たとえば、一人の営業所技術者等が退職する場合でも、その人が担当していた業種だけが影響を受け、別の営業所技術者等が担当する業種には影響がない可能性があります。

一方で、経営業務の管理体制を満たせなくなった場合のように、会社全体の許可に影響する可能性があるケースもあります。さらに、欠格要件へ該当する事由が生じた場合などは、単なる特定業種の技術者不足とは異なる検討が必要です。

したがって、「誰が辞めたか」だけでなく、「どの許可基準を満たせなくなったのか」を確認することが重要です。そのうえで、全部廃業が必要なのか、一部廃業で対応できるのかを整理してください。

一部の許可だけ残すことができないのか

一部廃業は、会社を存続させながら不要または維持できない許可業種だけを整理するための方法です。複数の許可業種を持っている会社で、一部の業種だけを今後行わない場合には、ほかの許可まで全部廃業する必要があるとは限りません。

ただし、残す業種について許可要件を満たしていることが前提になります。特に、同一人物が複数業種の営業所技術者等となっている場合や、営業所再編を伴う場合には、どの業種を誰が担当するのかを改めて確認しなければなりません。

一部廃業に伴って営業所技術者等の削除・変更が生じる場合は、廃業届とあわせて必要な届出を行います。残したい許可を基準に逆算して手続き内容を整理すると、不要な全部廃業を避けやすくなります。

後任者や事業承継によって事業を継続できないのか

経営者の引退、常勤役員等の退任、営業所技術者等の退職などを理由に廃業を検討しているなら、後任者や事業承継によって事業を継続できないか確認してください。営業所技術者等に後任候補がいる場合は、資格・実務経験等の要件を確認します。

経営業務の管理体制についても、別の常勤役員等や制度上認められる体制で要件を維持できないかを検討する必要があります。また、会社や事業そのものを後継者へ引き継ぐ場合には、建設業法第17条の2・第17条の3の事業承継・相続制度が利用できる可能性があります。

ここで最も避けたいのが、承継方法を確認する前に廃業届を提出してしまうことです。事業承継の認可を利用する予定がある場合、廃業届と認可申請の順番によって結果が大きく変わります。場合によっては承継前の一部廃業が必要となるため、自己判断で全部廃業を先行させないことが重要です。

建設業許可の廃業届で判断に迷ったら早めに確認したい3つの理由

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 許可要件を欠いた原因によって必要な対応が異なる
  • 一部廃業か全部廃業かでその後の事業に大きな違いが出る
  • 後任者や事業承継など廃業以外の方法を検討できる場合がある

建設業許可の廃業は、廃業届一枚だけを見て判断できる手続きではありません。特に許可要件に変化が生じた場合には、2週間以内の変更・欠如に関する届出、30日以内の廃業等の届出、事業承継の事前認可など、異なる期限・手続きが同時に関係することがあります。

許可要件を欠いた原因によって必要な対応が異なる

同じ「建設業許可を維持できないかもしれない」という状況でも、原因によって必要な対応は大きく異なります。たとえば、営業所技術者等が退職した、経営業務の管理体制を満たせなくなった、役員等に欠格要件に関わる事情が生じた、営業所を廃止・移転する、会社を解散する、他社へ事業を譲渡する、後継者へ相続・承継する、といったケースでは、同じ廃業届だけで解決できるとは限りません。

営業所技術者等や経営業務の管理体制に関する許可基準を満たさなくなった場合には、建設業法第11条に基づく2週間以内の届出が必要になるケースがあります。一方、許可を受けた建設業を実際に廃止した場合などには、建設業法第12条による30日以内の廃業届が問題になります。

相談や確認をするときは、許可通知書だけでなく、直近の変更届、役員・営業所技術者等の状況、退職日や解散予定日などが分かる資料を整理しておくとスムーズです。

一部廃業か全部廃業かでその後の事業に大きな違いが出る

全部廃業と一部廃業では、その後に残る建設業許可が大きく異なります。全部廃業すれば、現在持っている許可業種をすべて失うことになります。一方、一部廃業であれば、要件を満たしている残りの業種について許可を維持できる可能性があります。

その違いは、将来の受注範囲にも直結します。特に会社そのものは続ける予定の場合、「どの許可をなくすか」だけでなく、「今後どの工事を受注したいか」という視点で判断することが重要です。

また、全部廃業後に再度許可が必要になった場合は、新規申請となります。現在不要に見える許可でも、今後の事業計画では必要になる可能性があります。廃業届を提出する前に、将来の受注予定まで確認してください。

後任者や事業承継など廃業以外の方法を検討できる場合がある

廃業を検討する理由によっては、後任者の選任、一部廃業、事業承継、相続、許可換え新規など、別の方法を検討できる場合があります。営業所技術者等が退職するのであれば、後任者が要件を満たせないか確認します。経営業務の管理体制に変更があるのであれば、新たな体制で許可要件を満たせないか検討する必要があります。

後継者や別法人へ事業を渡すのであれば、事前認可による建設業者としての地位の承継が利用できる可能性があります。重要なのは、どの方法を選ぶかによって手続きの順番が変わることです。

特に事業承継では、認可前に承継対象の許可を全部廃業すると、予定していた承継に重大な影響を与えるおそれがあります。一方で、許可の組み合わせによっては事前の一部廃業が必要です。「廃業届を書いてから考える」のではなく、今後会社や事業をどうしたいのかを整理したうえで、必要な手続きを決めることが大切です。

次のような場合は、届出書を作成する前の段階でも確認できます。

  • 営業所技術者等が退職する予定になっている
  • 経営業務の管理体制を維持できるか分からない
  • 一部の許可業種だけ残したい
  • 会社は残して建設事業の一部だけやめたい
  • 後継者へ会社や事業を引き継ぎたい
  • 廃業後に再び許可を取り直す可能性がある
  • 施工中の工事を抱えたまま廃業を検討している

許可要件に関わる人の退職日、会社の解散日、事業譲渡日などが決まっている場合、2週間・30日・事前認可といった複数の期限が関係する可能性があります。期限が迫ってから手続きの順序を変更することが難しい場合もあるため、許可通知書や直近の変更届などをご用意のうえ、早い段階で確認することをおすすめします。

よくある質問

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • すべての許可を必ずやめなければならないか
  • 退職と同時に廃業届が必要か
  • 事業承継と廃業届の順序
  • 再取得のしやすさ

建設業許可を廃業する場合、必ず会社ごとすべての許可をやめなければなりませんか

必ずしもそうではありません。一部の許可業種だけをやめる一部廃業も選べます。残す業種について許可要件を満たしていれば、その許可を維持しながら事業を続けられる可能性があります。

営業所技術者等が退職した場合、すぐに廃業届を出す必要がありますか

退職そのものにより直ちに廃業届が必要になるとは限りません。まず後任者を確保できないか、変更届で対応できないかを確認します。ただし許可要件を満たさなくなった場合は、廃業届とは別に2週間以内の届出が必要になることがあります。

事業承継を予定している場合、廃業届を先に提出してもよいですか

承継する予定の許可を認可前に全部廃業すると、承継対象としての地位に影響することがあります。事業承継を予定している場合は、認可申請と廃業届の順序を事前に確認することが大切です。

一度廃業した建設業許可は、必要になったら簡単に取り直せますか

全部廃業後に再び許可を取得する場合は、新規申請として審査を受けることになります。以前許可を持っていたことが将来の許可を保証するものではないため、将来の事業計画も踏まえて廃業前に検討することが大切です。

まとめ|確認してから判断を

  • 建設業許可の廃業届は、会社そのものをやめる場合だけでなく、一部の許可業種を廃止する場合にも必要になります。
  • 営業所技術者等や経営業務の管理体制など許可要件を満たさなくなった場合は、廃業届とは別に2週間以内の届出が必要になるケースがあります。
  • 一部廃業では、残す許可業種の要件を確認するとともに、営業所技術者等の変更・削除など関連する届出も確認する必要があります。
  • 事業承継を利用する場合は、認可と廃業届の順序が極めて重要であり、承継内容によっては事前の一部廃業が必要になることもあります。
  • 廃業後も、取消し前に締結した工事については施工を継続できる制度があり、注文者への2週間以内の通知など別の義務も確認しなければなりません。

建設業許可の廃業は、「届出を一枚出せば終わり」という手続きではありません。全部廃業なのか、一部廃業なのか、そもそも後任者・事業承継・許可換え新規など別の方法があるのかによって、その後の事業は大きく変わります。

特に人の退職、会社の解散、事業承継などの日程が決まっている場合には、2週間以内の届出、30日以内の廃業届、事前認可など複数の期限が重なることがあります。

自社だけでは判断しにくい場合は、廃業届を提出してしまう前に建設業許可を扱う行政書士へ相談し、「今の許可のうち何を残せるのか」「どの順番で手続きを進めるべきか」まで確認しておくことが大切です。相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。

まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。

建設業許可の廃業届について相談する 国土交通省「建設業の許可とは」
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の許可要件、確認資料、届出方法は、届出時点の法令・各許可行政庁の最新案内をご確認ください。

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