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コラム

上陸特別許可を理解するために押さえたい3つの基本

2026年8月20日

「日本人と結婚したので上陸できるはず」「在留資格認定証明書が交付されれば大丈夫」と考えるのは注意が必要です。上陸拒否事由があるケースでは、…

「日本人と結婚したので上陸できるはず」「在留資格認定証明書が交付されれば大丈夫」と考えるのは注意が必要です。上陸拒否事由があるケースでは、過去の経緯や家族関係、日本への渡航を希望する理由などを踏まえた個別の検討が欠かせません。本記事では、上陸特別許可と在留資格認定証明書交付申請の関係、上陸までに確認しておきたいポイントを順番に解説します。

上陸特別許可を理解するために押さえたい3つの基本

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 上陸条件を満たさない外国人は原則として上陸できない

  • 上陸拒否事由に該当しても特別に上陸が認められる場合がある

  • 上陸特別許可は申請すれば当然に受けられる許可ではない

上陸特別許可を理解するには、まず入管法7条の「上陸条件」、5条の「上陸拒否事由」、5条の2の「上陸拒否の特例」、12条の「上陸特別許可」を区別することが重要です。上陸拒否事由があるから必ず同じ手続になるわけでも、家族関係など一つの事情だけで結論が決まるわけでもありません。

上陸条件を満たさない外国人は原則として上陸できない

外国人が日本に上陸するには、入管法7条1項に定められた上陸条件に適合する必要があります。

具体的には、有効な旅券を所持していること、査証が必要な場合には有効な査証を所持していること、申請に係る本邦での活動が虚偽のものではなく、入管法上の在留資格に該当し、必要な場合には上陸許可基準に適合すること、申請に係る滞在期間が法令の規定に適合すること、入管法5条の上陸拒否事由に該当しないことが審査されます。

また、入管法5条に定める上陸拒否事由に該当する外国人は、原則として上陸拒否の対象になります。ただし、一定の類型については入管法5条の2による上陸拒否の特例が適用される場合もあるため、「上陸拒否事由に該当する=必ず上陸できない」と単純化することはできません。

上陸拒否事由に該当しても特別に上陸が認められる場合がある

上陸拒否事由に該当している場合でも、法律上、上陸が認められる余地が残されていることがあります。

入管法12条の上陸特別許可は、入国審査官および特別審理官による審査を経て、法務大臣が異議の申出に理由がないと認める場合であっても、特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときに、例外的に上陸を許可できる制度です。

これとは別に、入管法5条の2では、一定の類型の上陸拒否事由について、法務大臣が相当と認めた場合、当該事由だけを理由として上陸を拒否しない特例があります。

したがって、上陸拒否期間中であっても、入管法5条の2による上陸拒否の特例が適用された事例や、入管法12条の上陸特別許可がされた事例があります。もっとも、どちらも個別事情を踏まえた判断であり、当然に適用されるものではありません。

上陸特別許可は申請すれば当然に受けられる許可ではない

上陸特別許可は、通常の在留資格申請のように、本人が独立した申請をして一定の要件を満たせば当然に許可される制度ではありません。

入管法上の上陸審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣への異議の申出という手続の中で、法務大臣が異議の申出に理由がないと認める場合であっても、特別に上陸を許可すべき事情があると判断したときに、入管法12条に基づく上陸特別許可が行われます。

出入国在留管理庁は、上陸特別許可を法務大臣の裁量的な処分と説明しており、上陸を希望する理由、上陸拒否事由の内容、事由発生後の経過期間、日本に居住する家族の状況や生活状況、内外の諸情勢などを、個々の事案に応じて総合的に考慮するとしています。

他人の許可事例と似ていることだけで、自分も同じ結果になるとは限りません。

上陸特別許可までに関係する4つの手続を整理

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 入国審査官が入管法7条1項の上陸条件への適合性を審査する

  • 特別審理官による口頭審理で上陸条件への適合性を確認する

  • 認定に不服がある場合は、認定後3日以内に法務大臣へ異議を申し出る

  • 異議の申出に理由がない場合でも、法務大臣が上陸特別許可をすることがある

入管法12条の上陸特別許可は、空港などで最初から独立して申請する通常の許可手続ではありません。入国審査官による上陸審査、特別審理官による口頭審理、法務大臣への異議の申出という一連の上陸審査手続の中で問題となります。なお、入管法5条の2による取扱いが事前になされている場合には、この経路を経ずに上陸できるケースもあります。

入国審査官が入管法7条1項の上陸条件への適合性を審査する

外国人が日本の空港や港で上陸を申請すると、入国審査官による上陸審査を受けます。

ここでは、有効な旅券および必要な査証の有無、申請に係る本邦での活動が虚偽のものではないこと、その活動が入管法上の在留資格に該当すること、必要な場合の上陸許可基準への適合性、申請に係る滞在期間の法令適合性、入管法5条の上陸拒否事由への該当性などが審査されます。

在留資格認定証明書が交付されている場合や、入管法5条の2による上陸拒否の特例が関係する場合でも、上陸審査そのものがなくなるわけではありません。

特に重要なのは、5条の2の効果は、対象となった上陸拒否事由だけを理由として上陸を拒否しないという点です。その他の上陸条件に適合しているかどうかは、出入国港で入国審査官が改めて審査します。

特別審理官による口頭審理で上陸条件への適合性を確認する

入国審査官が上陸条件に適合していると認定しなかった場合は、原則として特別審理官に引き渡され、入管法10条に基づく口頭審理が行われます。

口頭審理では、外国人が上陸条件に適合しているかについて改めて審理されます。特別審理官が上陸条件に適合すると認定した場合には直ちに上陸が許可されますが、適合しないと認定した場合には、その認定に服するか、法務大臣に異議を申し出るかを選択することになります。

なお、ここでいう上陸審査・口頭審理は、日本国内で不法残留などが判明した外国人について行われる退去強制手続とは別の制度です。

令和5年改正入管法により、2024年6月10日から監理措置、送還停止効の例外、退去等命令などの制度が施行されていますが、これらは主として日本国内の退去強制・送還段階に関する制度です。上陸審査における入管法10条・11条・12条の流れとは区別して理解する必要があります。

認定に不服がある場合は、認定後3日以内に法務大臣へ異議を申し出る

特別審理官から上陸条件に適合しないとの認定を受け、その認定に不服がある場合には、入管法11条に基づき、認定を受けた後3日以内に法務大臣へ異議を申し出ることができます。

異議の申出は、特別審理官の「上陸条件に適合しない」とする認定について、法務大臣の判断を求める手続です。

法務大臣は、異議の申出に理由があるか、つまり外国人が上陸条件に適合しているかどうかを裁決します。理由があると判断されれば上陸が許可され、理由がないと判断された場合には、原則として本邦からの退去を命じられます。

ここでいう「退去命令」は、上陸を認められなかった外国人に対する上陸審査上の命令です。令和5年改正入管法で整備された送還段階の「退去等命令」とは別の制度であり、同じものではありません。

異議の申出に理由がない場合でも、法務大臣が上陸特別許可をすることがある

法務大臣が異議の申出に理由がないと判断した場合でも、特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、入管法12条に基づき上陸特別許可をすることがあります。

つまり、異議の申出と上陸特別許可は無関係な別個の一般申請ではありません。異議申出に対する法務大臣の裁決手続との一連性の中で、12条による特別な裁量判断が行われます。

一方、上陸拒否事由が事前に判明しているケースのすべてが、実際に空港などでこの手続まで進むわけでもありません。

入管法5条の2の対象となる一定の上陸拒否事由について、事前の審査において同条による取扱いがなされ、在留資格認定証明書が交付されたうえで、在外公館から有効な査証を取得した場合には、当該上陸拒否事由以外に上陸条件上の問題がなければ、入管法12条の上陸特別許可手続を経ずに上陸が認められる場合があります。

したがって、在留資格認定証明書の交付や査証の発給だけから、入管法5条の2による取扱いが当然にされたと判断することはできません。

また、5条の2による取扱いがなされていたとしても、有効な旅券や必要な査証、申請に係る本邦での活動、在留資格該当性、必要な場合の上陸許可基準適合性、滞在期間、ほかの上陸拒否事由など、その他の上陸条件について審査される点に変わりはありません。

上陸特別許可を見据えて在留資格認定証明書交付申請をする3つの理由

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 日本で予定する活動や身分関係について入国前に審査の対象となる

  • 上陸拒否事由を含む事情について、入国前に審査される場合がある

  • 空港で初めて事情を説明するのではなく事前審査を経て入国手続に進める

上陸拒否事由が分かっている場合には、渡航してから事情を説明することだけを想定するのではなく、在留資格認定証明書交付申請を利用するケースについて事前に検討する意味があります。ただし、在留資格認定証明書交付申請は上陸特別許可の申請ではなく、証明書の交付や5条の2による取扱い、その後の上陸を保証する制度でもありません。

日本で予定する活動や身分関係について入国前に審査の対象となる

在留資格認定証明書は、日本に上陸しようとする外国人について、日本で予定する活動が在留資格に該当することや、必要な場合に上陸許可基準に適合することなど、在留資格に関する上陸条件を原則として入国前に確認するための書類です。

出入国在留管理庁も、在留資格認定証明書は、日本で行おうとする活動について在留資格該当性・上陸基準適合性を事前に審査する制度であると説明しています。査証の発給や上陸許可そのものを意味するものではありません。

たとえば「日本人の配偶者等」の在留資格を予定しているケースでは、婚姻の事実に加え、申請内容や個別事情に応じて、婚姻に至った経緯、夫婦関係の実態、日本での生活予定、生計の見通しなどが確認されることがあります。

上陸拒否事由も関係している場合には、在留資格に関する説明と過去の経緯を切り離して考えず、申請内容全体の整合性を確認しておくことが重要です。

上陸拒否事由を含む事情について、入国前に審査される場合がある

上陸拒否事由がある外国人が在留資格認定証明書交付申請をした場合、上陸を希望する理由、上陸拒否事由の内容、事由発生後の経過期間、日本に居住する家族の状況や生活状況などを踏まえて審査される場合があります。

もっとも、これらはすべての案件に共通する固定的な許可要件の一覧ではありません。

また、入管法5条の2は、すべての上陸拒否事由に適用される制度ではなく、一定の類型の上陸拒否事由についての特例です。対象外の上陸拒否事由であれば、同条の仕組みを当然に利用できるものではありません。

さらに、COEが交付されたという事実だけから、5条の2による取扱いがなされたと判断することもできません。5条の2が問題となる場合には、対象となる上陸拒否事由について、事前審査において同条による取扱いがなされていることが重要になります。

したがって、まず自分が入管法5条のどの上陸拒否事由に該当しているのかを確認し、そのうえで在留資格認定証明書交付申請を含む手続を検討する必要があります。

空港で初めて事情を説明するのではなく事前審査を経て入国手続に進める

上陸拒否事由が事前に分かっているケースでは、渡航してから初めて問題に直面する状態を避けるため、入国前の準備が重要になります。

在留資格認定証明書交付申請を行うことで、日本に入国する前の段階で、予定する在留資格や、上陸拒否事由がある場合の関連事情について審査の対象となり得ます。ただし、証明書の交付、5条の2による取扱い、査証の発給または最終的な上陸が保証されるものではありません。

COEが交付された場合、査証免除措置の対象となる場合などの例外を除き、通常は在外公館で必要な査証を申請し、その後、日本の出入国港で上陸審査を受けます。

COEの交付や査証の発給だけをもって、5条の2による取扱いがなされたと判断することはできません。また、5条の2による取扱いがある場合でも、出入国港での上陸審査が形式的になるわけではなく、その他の上陸条件について入国審査官による審査が行われます。

在留資格認定証明書から日本への上陸までの5つの流れ

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 申請人本人や代理人などが在留資格認定証明書交付申請を行う

  • 上陸拒否事由がある場合、その内容や入国を希望する理由などを踏まえて審査される場合がある

  • 在留資格認定証明書の交付後に在外公館で査証を申請する

  • 日本到着後に入国審査・口頭審理などの手続を受ける場合がある

  • 事前の取扱いを受けられない場合には、上陸特別許可が問題となることがある

在留資格認定証明書の交付、査証、出入国港での上陸審査は、それぞれ法的に別の段階です。また、上陸拒否事由がある人の全員が入管法12条の上陸特別許可まで進むわけではありません。5条の2の対象となる上陸拒否事由か、事前審査で同条による取扱いがなされるかも含め、自分のケースがどの流れに当たり得るのかを整理しておくことが重要です。

申請人本人や代理人などが在留資格認定証明書交付申請を行う

在留資格認定証明書交付申請は、日本への入国を希望する外国人について、原則として入国前に在留資格該当性などを確認するための手続です。

出入国在留管理庁は、申請人本人、受入機関の職員その他の法務省令で定める代理人、申請人本人の法定代理人、一定の申請取次者等を申請提出者として案内しています。

申請取次者が提出できるのは、原則として申請人本人または代理人が日本に滞在している場合です。具体的な提出者は、予定する在留資格と申請類型に応じて確認する必要があります。

このため、「本人が海外にいるので本人が制度上の申請提出者になることはない」「必ず日本にいる配偶者や受入機関だけが申請する」と一律に考えるのは適切ではありません。

また、地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士・行政書士などは、法令・制度上の条件を満たす場合に申請取次者として申請書類を提出できます。

上陸拒否事由がある場合、その内容や入国を希望する理由などを踏まえて審査される場合がある

上陸拒否事由があるケースでは、在留資格の該当性・基準適合性等に加え、上陸を希望する理由、上陸拒否事由の内容、事由発生後の経過期間、日本に居住する家族の状況や生活状況などが考慮される場合があります。

これらは「この項目を満たせば許可される」という固定的なチェックリストではありません。出入国在留管理庁も、考慮する事情の例として示しており、最終的には個々の事案を踏まえて判断されます。

また、事前審査を経てCOEが交付された場合でも、それだけで5条の2による取扱いがなされたことを意味するわけではありません。対象となる上陸拒否事由について5条の2による取扱いが問題となる場合には、その点を含めた事前審査の結果を踏まえる必要があります。

そのため、「家族と暮らしたい」という希望だけを書くのではなく、上陸拒否事由が発生した経緯や、その後の生活、現在の家族関係などを事実に沿って整理しておくことが重要です。

在留資格認定証明書の交付後に在外公館で査証を申請する

在留資格認定証明書が交付された場合、査証免除措置の対象者であるなどの例外を除き、通常は本人が在外公館で査証を申請します。

在留資格認定証明書は、査証申請や上陸申請の際に提出・提示し、手続の円滑化を図るための書類ですが、査証そのものでも上陸許可でもありません。

出入国在留管理庁も、COEを提示することによって在留資格に関する上陸条件について円滑な審査を受けられる制度と説明する一方、ほかの上陸条件への適合性は別途問題となることを明示しています。

したがって、COEが交付された時点で「日本への上陸が確定した」と考えるのは適切ではありません。

さらに、COEが交付され、その後に査証が発給されたとしても、その二つの事実だけから入管法5条の2による取扱いがなされたと判断することもできません。

上陸拒否事由がある案件では、COEの交付後に必要となる査証申請や、5条の2との関係、出入国港で確認される事項まで含め、手続全体を把握しておく必要があります。

日本到着後に入国審査・口頭審理などの手続を受ける場合がある

日本へ到着すると、入国審査官による上陸審査を受けます。

入管法5条の2の対象となる一定の上陸拒否事由について、事前の審査において同条による取扱いがなされ、在留資格認定証明書が交付されたうえで、在外公館から有効な査証を取得した場合には、当該上陸拒否事由以外に上陸条件上の問題がなければ、入管法12条の上陸特別許可手続を経ずに上陸が認められる場合があります。

したがって、在留資格認定証明書の交付や査証の発給だけから、入管法5条の2による取扱いが当然にされたと判断することはできません。

また、これは「COEや査証があれば上陸審査が省略される」という意味でもありません。

有効な旅券および必要な査証の有無、申請に係る本邦での活動が虚偽のものではないこと、その活動が入管法上の在留資格に該当すること、必要な場合の上陸許可基準への適合性、申請に係る滞在期間の法令適合性、ほかの上陸拒否事由への該当性などについて、出入国港で入国審査官が審査します。

その結果、上陸条件に適合しないと認定されれば、特別審理官による口頭審理などへ進む場合があります。

事前の取扱いを受けられない場合には、上陸特別許可が問題となることがある

入管法5条の2による取扱いを受けられず、実際の上陸審査で上陸条件に適合しないと判断された場合には、口頭審理および異議の申出を経て、入管法12条の上陸特別許可が問題となることがあります。

口頭審理で特別審理官から上陸条件に適合しないとの認定を受け、その認定に不服がある場合には、認定後3日以内に法務大臣へ異議を申し出ることができます。

法務大臣が異議の申出に理由があると判断すれば、上陸条件に適合しているものとして上陸が許可されます。

これに対して、異議の申出に理由がないと判断した場合であっても、特別に上陸を許可すべき事情があると認めれば、入管法12条の上陸特別許可が行われることがあります。

したがって、「COE申請→COE交付→査証取得→5条の2適用→上陸」という経路が当然に成立するわけでも、「COE申請→上陸特別許可」という一本の決まった手順が存在するわけでもありません。

どの法的経路をたどる可能性があるのかは、上陸拒否事由の種類、5条の2の対象となるかどうか、事前審査の内容、実際の上陸審査の結果などによって異なります。

上陸特別許可の公表事例から確認したい4つの事情

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 過去に上陸拒否事由へ該当することになった経緯

  • 退去強制や出国後にどの程度の期間が経過しているか

  • 日本人配偶者や家族との関係と日本へ入国する必要性

  • 現在の生活状況や、過去の違反・刑事処分後の事情も確認する

出入国在留管理庁は、上陸を特別に許可した事例と許可しなかった事例を定期的に公表しています。2026年7月31日には、令和7年中に上陸を特別に許可された事例および許可されなかった事例が公表されています。

なお、これらの公表事例は、上陸拒否事由に該当し、配偶者が日本人または正規に在留する外国人である事例から選出されたものです。上陸特別許可の判断基準を網羅的に示したものではなく、事例だけから一般的な許否基準を導くことはできません。

過去に上陸拒否事由へ該当することになった経緯

最初に確認したいのは、どの上陸拒否事由に、どのような経緯で該当したのかです。

出入国在留管理庁は、上陸拒否事由を、保健・衛生上の理由、反社会性が強いことによる理由、退去強制を受けたこと等による理由、日本の利益または公安を害するおそれによる理由、相互主義に基づく理由という5類型に分類して案内しています。

過去の不法残留を理由として退去強制されたケースと、一定の刑事処分による上陸拒否事由では、法的な位置付けが異なります。

また、現在の制度でも「退去強制」という法令用語は使われています。そのため、過去の処分について一律に「旧退去強制」と読み替えるのではなく、処分を受けた当時の書類や現行法上の該当条項を確認することが重要です。

退去強制や出国後にどの程度の期間が経過しているか

退去強制や出国からどの程度の期間が経過しているかも、確認すべき事情です。

出入国在留管理庁が公表する事例では、上陸拒否期間や退去強制からの経過年月が示されています。ただし、「一定年数が経過すれば必ず許可される」という基準が示されているわけではありません。

主な上陸拒否期間としては、初回の退去強制で一定の場合に5年、過去に退去強制や出国命令による出国歴がある一定の場合に10年、出国命令により出国した場合に1年といった類型があります。また、一定の刑事処分等を理由とする上陸拒否事由では、期間の定めがないものもあります。

さらに、上陸拒否期間中であっても、入管法5条の2による上陸拒否の特例が適用された事例や、入管法12条の上陸特別許可がされた事例があります。

経過期間だけで結論を出さず、その期間の生活状況や家族関係なども含めて確認することが大切です。

日本人配偶者や家族との関係と日本へ入国する必要性

日本人の配偶者や日本で生活する家族がいることは、個別判断において考慮され得る重要な事情です。

もっとも、日本人と婚姻しているという一つの事実だけで上陸が認められるわけではありません。

出入国在留管理庁の公表事例では、配偶者が日本人または正規に在留する外国人である事例について、婚姻期間、夫婦間の子の有無、上陸拒否事由、経過年月、刑事処分等の有無などが併せて示されています。

そのため、申請内容や個別事情に応じて、婚姻に至った経緯、現在の夫婦関係、家族との交流、子どもの養育状況、日本で予定する生活などを整理しておく必要があります。

「家族がいる」という結論だけではなく、具体的な生活状況として説明できるかが重要です。

現在の生活状況や、過去の違反・刑事処分後の事情も確認する

過去の違反だけでなく、その後の生活状況、再度の違反の有無、刑事処分後の事情なども、個別事案に応じて確認されることがあります。

たとえば、退去強制後の生活、家族との関係、現在の生計や生活基盤などは、事情を説明する際の材料となり得ます。

一方、公表された限定的な事例の中には、複数回の退去強制歴、国費送還、婚姻の信ぴょう性または生計安定性への疑義などが示されたうえで、上陸特別許可がされなかった例があります。

ただし、これらの事例だけから「この事情があれば不許可になる」といった一般的な基準を導くことはできません。

不利な事情も含めて事実を正確に整理することが必要です。

上陸特別許可を検討するときに避けたい3つの誤解

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 在留資格認定証明書が交付されれば必ず入国できるとは限らない

  • 日本人と結婚すれば必ず上陸特別許可が認められるわけではない

  • 上陸拒否期間中か、すでに期間が経過しているかを確認する

上陸拒否事由があるケースでは、「COEが交付されれば大丈夫」「日本人と結婚しているから認められる」といった単純化は避ける必要があります。反対に、過去に退去強制を受けたというだけで、現在も同じ上陸拒否事由に該当しているとは限りません。まず現在の法的状況を正確に確認することが重要です。

在留資格認定証明書が交付されれば必ず入国できるとは限らない

在留資格認定証明書は、上陸許可そのものではありません。

日本で行おうとする活動が在留資格に該当することや、必要に応じて上陸許可基準に適合することなどを事前に確認するための書類であり、交付後にも必要に応じた査証申請や、出入国港での上陸審査があります。

出入国在留管理庁も、COEを出入国港で提示する外国人について、在留資格に関する上陸条件については適合する者として取り扱われ、審査が円滑になると説明していますが、COEだけで上陸条件のすべてが満たされたことになるわけではありません。

また、入管法5条の2による取扱いがなされる場合でも、その効果は対象となった上陸拒否事由だけを理由として上陸を拒否しないというものです。

さらに、COEが交付され、査証が発給されたという事実だけから、入管法5条の2による取扱いがなされたと判断することもできません。

したがって、COEの交付を「上陸の内定」や「5条の2適用の証明」と捉えることは適切ではありません。

日本人と結婚すれば必ず上陸特別許可が認められるわけではない

日本人との婚姻は重要な事情になり得ますが、それだけで上陸特別許可が認められるわけではありません。

出入国在留管理庁が公表する許可・不許可事例には、いずれにも日本人配偶者がいるケースが含まれています。上陸拒否事由、退去強制後の経過期間、婚姻期間、子どもの有無、刑事処分等、さまざまな事情が示されています。

婚姻に関しても、申請内容や個別事情に応じて、婚姻に至った経緯、夫婦関係の実態、日本での生活予定、生計の見通しなどが確認されることがあります。

「結婚したから許可される」と考えるのではなく、自分の上陸拒否事由と家族関係を含む事情を総合的に整理する必要があります。

上陸拒否期間中か、すでに期間が経過しているかを確認する

過去に退去強制や出国命令による出国をした人は、現在も上陸拒否期間中なのかを確認することが重要です。

出国した日、処分の種類、退去強制歴や出国命令歴の有無・回数、刑事処分の内容などを資料に基づいて確認し、現在どの上陸拒否事由および上陸拒否期間に該当するのかを特定することが先決です。

退去強制の場合には、過去の退去強制・出国命令歴の有無などによって5年または10年となる場合があります。また、出国命令により出国した場合には1年となる類型があり、一定の刑事処分等では上陸拒否期間が無期限となる場合もあります。

上陸拒否期間がすでに終了し、ほかの上陸拒否事由にも該当しないのであれば、その拒否事由を前提とした5条の2や12条の検討が不要となるケースもあります。

上陸拒否事由がある場合に事前に確認したい4つのポイント

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 自分がどの上陸拒否事由に該当しているのか確認する

  • 過去の退去強制・出国・刑事処分などの記録を整理する

  • 日本へ入国する必要性を裏付ける資料を準備する

  • 申請前に、出入国在留管理庁の相談窓口等で一般的な手続を確認し、必要に応じて入管業務を扱う行政書士・弁護士に個別相談する

上陸拒否事由があるケースでは、申請書を書き始める前の事実確認が重要です。過去の処分内容、現在の上陸拒否事由、家族関係などを整理すると、自分のケースで何が問題となり得るのかを把握しやすくなります。

自分がどの上陸拒否事由に該当しているのか確認する

最初に確認するべきなのは、「以前、日本から帰されたことがある」といった大まかな記憶ではなく、現在どの上陸拒否事由に該当しているのかです。

出入国在留管理庁は、上陸拒否事由を、保健・衛生上の理由、反社会性が強いことによる理由、退去強制を受けたこと等による理由、日本の利益または公安を害するおそれによる理由、相互主義に基づく理由に分類しています。

同じ「過去に日本から出国した」ケースでも、退去強制、出国命令、自主的な出国などでは意味が異なります。

また、刑事処分の内容によっては、退去強制歴とは別の上陸拒否事由に該当する場合もあります。

手元に処分関係書類や旅券、判決書などが残っているのであれば、それらを基に事実を確認することが出発点になります。

過去の退去強制・出国・刑事処分などの記録を整理する

申請前には、過去の出来事を時系列で整理しておくことが重要です。

たとえば、最初に日本へ上陸した時期、当時の在留資格、在留期限、違反が生じた時期、出頭または摘発の経緯、退去強制や出国命令の有無、実際に出国した日、刑事処分がある場合はその内容などを確認します。

過去の出来事は時間の経過によって記憶が曖昧になりやすいため、旅券、在留カードの写し、判決書、退去強制に関する書類など、手元に残っている資料と照合することが大切です。

なお、令和5年改正入管法によって監理措置や送還停止効の例外等が導入されましたが、現在も「退去強制手続」「退去強制令書」という法令・実務用語は使用されています。過去の処分を一律に別名称へ置き換えるのではなく、実際に受けた処分を正確に確認してください。

日本へ入国する必要性を裏付ける資料を準備する

日本で家族と生活することなどを希望している場合には、その事情を具体的に説明できるよう整理することが重要です。

たとえば配偶者とのケースでは、戸籍や婚姻証明書だけでなく、夫婦の交流、これまでの共同生活、子どもの状況、日本での住居、収入・生活費の見通しなどについて、申請内容や個別事情に応じて説明資料の提出を検討します。

ただし、これらがすべての案件で法定の必須提出書類になるという意味ではありません。

出入国在留管理庁が公表している上陸特別許可に関する説明でも、日本に居住する家族の状況や生活状況などは、個別判断において考慮され得る事情として挙げられています。

資料の量だけを増やすのではなく、何を説明するための資料なのかを整理することが大切です。

申請前に、出入国在留管理庁の相談窓口等で一般的な手続を確認し、必要に応じて入管業務を扱う行政書士・弁護士に個別相談する

上陸拒否事由がある場合には、申請前に一般的な制度や必要手続を確認しておくことが重要です。

出入国在留管理庁は、地方出入国在留管理官署や外国人在留総合インフォメーションセンターなどを、各種手続について相談できる窓口として案内しています。

ただし、これらの窓口で行われる案内によって、個別案件の許否や申請結果が事前に保証されるものではありません。

過去の退去強制歴、出国命令歴、刑事処分、複数の上陸拒否事由などが関係する場合には、必要に応じて、資料を確認したうえで個別事情を検討できる入管業務を扱う行政書士・弁護士に相談する方法もあります。

相談する場合には、結論だけを尋ねるより、過去の処分資料や家族関係を示す資料を用意しておくと、確認すべき論点を整理しやすくなります。

上陸拒否事由がある場合は、入国前の準備が重要

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。

  • 上陸拒否事由があることを前提に手続全体を検討する

  • 在留資格認定証明書交付申請の段階から事情を正確に説明する

  • 個別事情によって結果が異なるため早めに確認を始める

上陸拒否事由がある人の手続では、単に在留資格認定証明書を取得することだけを考えるのではなく、自分がどの上陸拒否事由に該当するのか、5条の2の対象となり得るのか、事前審査において同条による取扱いがなされるのか、出入国港ではどのような上陸審査が行われるのかまで確認しておくことが重要です。

上陸拒否事由があることを前提に手続全体を検討する

過去の退去強制歴や刑事処分などがある場合には、通常の在留資格認定証明書交付申請と同じ必要書類だけをそろえて終わりにするのではなく、まず現在の法的状況を確認する必要があります。

そのうえで、予定する在留資格、該当する上陸拒否事由、上陸拒否期間、家族関係、日本への渡航を希望する理由などを整理します。

また、入管法5条の2の対象となる一定の上陸拒否事由について、事前審査において同条による取扱いがなされた場合には、その後の条件を満たすことにより、出入国港で12条の上陸特別許可手続を経ずに上陸できる場合があります。

ただし、COEの交付や査証の発給自体が5条の2による取扱いを意味するわけではありません。また、同条による取扱いがなされた場合でも、その他の上陸条件は出入国港で審査されます。

「空港で上陸特別許可を求めれば足りる」と考えるのではなく、事前の申請から出入国港での上陸審査までを一連の流れとして確認することが重要です。

在留資格認定証明書交付申請の段階から事情を正確に説明する

上陸拒否事由に関する経歴は、申請者にとって説明しにくい内容も含まれます。しかし、不利に見える事実を理由に曖昧な記載をしたり、事実と異なる説明をしたりすることは避けなければなりません。

重要なのは、上陸拒否事由となった出来事だけではなく、その前後の経緯や現在の状況を正確に整理することです。

いつ、何が起き、どのような処分を受け、いつ出国したのか。その後どのような生活をし、現在どのような家族関係があるのかを、可能な範囲で客観的資料と照合します。

在留資格認定証明書の交付、入管法5条の2による取扱い、査証の発給、最終的な上陸は、それぞれ同じ法的判断ではありません。

だからこそ、申請段階から事実関係と提出資料の整合性を確認し、その後の手続まで見通して準備しておくことが重要です。

個別事情によって結果が異なるため早めに確認を始める

上陸拒否事由があるケースでは、インターネットで見つけた一つの許可事例をそのまま自分に当てはめることはできません。

出入国在留管理庁の公表事例を見ても、上陸拒否事由、上陸拒否期間、経過年月、婚姻期間、子どもの有無、刑事処分等の有無など、複数の事情が示されています。2026年7月31日に公表された令和7年中の事例についても同様です。

しかも、公表されているのは限定された事例であり、すべての判断過程が公開されているわけではありません。

実際の準備では、古い処分関係書類を確認したり、海外の証明書を取得したり、家族関係を示す資料を整理したりする必要が生じることもあります。

将来の日本での生活時期を考えているのであれば、その直前に申請書だけを作るのではなく、まず上陸拒否事由の種類と現在の法的状況を確認することが大切です。

まとめ

  • 上陸拒否事由に該当する外国人は、原則として上陸を拒否されます。ただし、一定の類型について入管法5条の2による上陸拒否の特例が適用される場合があるほか、上陸審査、口頭審理および異議の申出を経て、入管法12条の上陸特別許可が認められる場合があります。

  • 入管法12条の上陸特別許可は独立した通常の申請制度ではなく、特別審理官の認定に対する異議の申出について、法務大臣が理由なしと判断する場合においても、特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときに行われる裁量的な処分です。

  • 在留資格認定証明書は、在留資格該当性や必要な場合の上陸許可基準適合性などを入国前に確認するための書類であり、査証や上陸許可そのものではありません。

  • 入管法5条の2による取扱いは、COEの交付や査証の発給だけから当然に認定できるものではありません。同条による取扱いがなされている場合でも、対象となった上陸拒否事由以外の上陸条件は出入国港で審査されます。

  • 過去の退去強制・出国命令・刑事処分、現在の上陸拒否期間、家族関係などを資料に基づいて整理し、自分のケースでどの制度が問題となるのかを確認することが重要です。

上陸拒否事由があるケースでは、「以前オーバーステイをした」「日本人と結婚している」「COEが交付された」「査証が発給された」といった一つの事実だけで結論を出すことはできません。

特に、入管法5条の上陸拒否事由、5条の2の特例、7条の上陸条件、10条の口頭審理、11条の異議の申出、12条の上陸特別許可は、それぞれ役割が異なります。さらに、在留資格認定証明書、査証、上陸許可もそれぞれ別の制度です。

COEが交付されたことや査証が発給されたことだけで、「5条の2が適用された」「上陸が確定した」と自己判断することは避ける必要があります。

過去の処分内容や上陸拒否期間が分からない、5条の2との関係をどのように確認すればよいか判断しにくい、家族関係をどのような資料で説明すればよいか分からない、在留資格認定証明書交付申請の段階で何を説明すべきか迷う場合には、まず手元の資料を集めて事実関係を整理してください。

そのうえで、出入国在留管理庁の相談窓口等で一般的な手続を確認し、必要に応じて入管業務を扱う行政書士・弁護士へ個別に相談すると、確認すべき論点や準備すべき資料を具体化しやすくなります。

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