建設業許可票の掲示義務とは
営業所用・工事現場用の違いと確認しておきたいポイント
建設業許可票は、一度作って掲示すれば終わりというものではありません。営業所と工事現場では記載事項や大きさが異なるうえ、代表者の変更や事務所の移転、許可の更新などがあった際には、現在の許可情報と表示内容が合っているかを確認する機会になります。
この記事の対象
建設業許可を取得している事業者、またはこれから取得を検討している事業者のうち、営業所や工事現場に掲示している許可票の内容が、現在の許可情報と合っているかを確認したい方を主な対象としています。
営業所用の許可票を作成し、公衆の見やすい場所に掲示します。
代表者の交代、商号変更、事務所移転などがあったときは、掲示中の許可票の表示内容も確認します。
5年ごとの許可更新や業種追加のタイミングで、許可年月日や業種の表示を照合します。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。
まずは現在の許可情報、営業所や現場の掲示状況を伺い、確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に許可通知書などの資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
建設業許可票の掲示で最初に確認したい3つのポイント
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 建設業許可を取得したら許可票の掲示が必要になる
- 営業所用と工事現場用では確認する内容が異なる
- 掲示場所は「公衆の見やすい場所」が基本になる
建設業許可票を確認するときは、「許可を取得しているから問題ない」と考えるのではなく、どこに、どの内容を掲示する必要があるのかを分けて考えることが大切です。営業所と工事現場では対象や記載内容が異なるため、まず基本的な3点から整理します。
建設業許可を取得したら許可票の掲示が必要になる
建設業許可を受けた事業者は、許可通知書などを保管するだけでなく、法令に定められた標識を掲示する必要があります。一般に「建設業許可票」「許可看板」「金看板」などと呼ばれているものです。
建設業法第40条では、建設業者がその店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲げることを求めています。そのため、「許可通知書が会社にあるので許可票はいらない」という整理にはなりません。許可を受けたことを証する書類と、公衆に対して許可情報を示す標識では役割が異なります。
さらに、標識を掲げない者については建設業法第55条第3号により10万円以下の過料が定められています。許可票は、許可取得後に確認しておきたい法定の掲示物のひとつです。許可を取得したばかりであれば、許可後の手続を整理する際に、営業所の許可票まで整っているかを確認しておくと安心です。
営業所用と工事現場用では確認する内容が異なる
建設業許可票で特に注意したいのが、営業所に掲げる標識と工事現場に掲げる標識を同じものとして扱わないことです。建設業法施行規則第25条では、店舗と建設工事現場について、それぞれ標識の記載事項と様式を定めています。現行規則では、店舗に掲げる標識は別記様式第28号、建設工事の現場に掲げる標識は別記様式第29号です。
店舗用では、一般建設業または特定建設業の別、許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業、商号または名称、代表者氏名などを表示します。工事現場用では、これらに加えて主任技術者または監理技術者の氏名など、現場の施工体制に関係する情報も必要です。営業所に掲示している許可票と同じ内容を、そのまま工事現場に掲げればよいわけではありません。
掲示場所は「公衆の見やすい場所」が基本になる
建設業許可票は、書庫や事務室の奥に保管しておけばよいものではありません。建設業法第40条では、「公衆の見やすい場所」に標識を掲げることが求められています。営業所であれば来訪者などが確認できる場所になっているか、対象となる工事現場であれば標識の存在や内容を公衆が確認できる状態になっているかを意識します。
具体的な掲示位置は営業所や現場の構造によって異なるため、一律の位置で判断するものではなく、「公衆から見やすい状態か」という趣旨を基準に確認しましょう。なお、工事現場については、一定の要件のもとデジタルサイネージ等のICT機器を活用した掲示も可能とされています。最新の様式や取扱いは、国土交通省地方整備局などの案内で確認できます。
| 項目 | 営業所用(店舗) | 工事現場用 |
|---|---|---|
| 様式 | 別記様式第28号 | 別記様式第29号 |
| 大きさの目安 | 縦35cm以上×横40cm以上 | 縦25cm以上×横35cm以上 |
| 主な対象 | 建設業を営むすべての店舗 | 発注者から直接請け負った工事の現場 |
| 記載事項の特徴 | 許可区分・許可番号・商号・代表者氏名など | 店舗用の事項に加え、主任技術者・監理技術者の氏名等 |
※大きさは国土交通省の資料に基づく目安です。最新の様式・記載要領は管轄行政庁の案内でご確認ください。
営業所に掲示する許可票で確認したい3つのこと
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 建設業を営む店舗には許可票を掲示する
- 商号・代表者・許可番号など必要な記載事項を確認する
- 本店だけでなく営業所ごとに掲示の要否を確認する
営業所の許可票は、会社に一枚あれば足りるとは限りません。建設業法上の「店舗」に当たる拠点を整理し、それぞれについて掲示状況を確認します。あわせて、現在の許可情報と許可票の表示内容が一致しているかも点検しておきましょう。
建設業を営む店舗には許可票を掲示する
建設業許可を受けた建設業者は、その店舗に建設業の許可票を掲げる必要があります。ここで重要なのは、「本社に看板があるから対応済み」と考えないことです。建設業法上の営業所として建設業を営んでいる拠点が複数あれば、それぞれについて標識の掲示を確認します。
建設業法上の営業所とは、単に会社が「支店」「事務所」と呼んでいる場所を意味するわけではありません。一般には、本店や支店など、建設工事の請負契約について見積り、入札、契約締結などの実体的な業務を行う拠点かどうかが重要になります。そのため、営業所名だけで判断せず、その場所でどのような業務をしているのかという実態を含めて整理することが必要です。
店舗に掲げる標識は建設業法施行規則別記様式第28号で定められており、大きさは縦35cm以上×横40cm以上とされています。営業所を新設・移転した場合には、許可上必要となる手続だけでなく、新しい営業所の許可票まで確認すると漏れを防ぎやすくなります。
商号・代表者・許可番号など必要な記載事項を確認する
営業所に掲示する建設業許可票には、会社名だけを書けばよいわけではありません。建設業法施行規則第25条と別記様式第28号に沿って、現在の許可内容を正しく表示する必要があります。主な確認事項は次のとおりです。
- 一般建設業または特定建設業の別
- 許可年月日
- 許可番号
- 許可を受けた建設業
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- この店舗で営業している建設業
なお、営業所技術者等の氏名は店舗用許可票の法定記載事項ではありません。営業所技術者等が変更された場合には許可上必要となる手続を別途確認しますが、許可票の氏名欄をあわせて書き換えるという整理にはなりません。特に注意したいのは、許可取得後に商号や代表者などが変わったケースです。変更届などには対応していても、事務所に掲示している許可票だけ以前の情報が残ることがあります。許可票だけを眺めるのではなく、現在の許可通知書や届出関係書類と一項目ずつ照合すると確認しやすくなります。
本店だけでなく営業所ごとに掲示の要否を確認する
複数の営業所がある会社では、「本店に建設業許可票を掲示しているから全社として対応済み」と判断しないことが大切です。建設業法第40条では、「その店舗」への標識掲示を求めています。したがって、本店以外にも建設業法上の営業所となる店舗がある場合には、それぞれの掲示状況を確認します。
一方、会社が「○○支店」「○○事務所」と呼んでいる場所のすべてが、当然に建設業法上の営業所となるわけでもありません。該当するかは、建設工事の請負契約に関する業務を継続的に行う拠点であるかなど、実態に基づいて判断します。事務所を移転した、新しい支店を開設した、従来の営業所を廃止したという場合は、許可上の営業所情報にも影響する可能性があるため、届出の要否とあわせて、どの店舗に許可票を掲示するかまで点検しておきましょう。
工事現場に掲示する許可票で押さえたい3つの違い
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 現場の許可票は発注者から直接請け負った工事が対象になる
- 営業所用とは記載事項や確認内容が異なる
- 下請として入るすべての現場で自社の許可票が必要とは限らない
工事現場の許可票は、営業所用とは対象も内容も異なります。特に注意したいのが、2020年10月1日施行の改正で現場標識の掲示対象が見直されている点です。現在は、発注者から直接請け負った建設工事の現場について掲示義務を確認します。
現場の許可票は発注者から直接請け負った工事が対象になる
現行の建設業法第40条は、工事現場について「建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)」と明記しています。つまり、工事現場における建設業許可票の法定掲示義務は、発注者から直接その工事を請け負った建設業者について生じます。一般には「元請業者」と表現できますが、正確には「その工事を発注者から直接請け負った建設業者」という法令上の条件で理解することが重要です。
過去の制度では、工事現場で施工する建設業者に広く標識掲示が求められていたため、古い資料では現在と異なる説明が残っている場合があります。2020年10月施行の改正により、工事現場での標識掲示義務は発注者から直接請け負った工事に限定されました。古い記事や社内の従来運用だけで判断せず、現在の法令を基準に確認しましょう。
営業所用とは記載事項や確認内容が異なる
工事現場用の建設業許可票には、営業所用とは異なる情報を記載します。建設業法施行規則第25条では、店舗用の記載事項に加えて、工事現場用については「主任技術者又は監理技術者の氏名」を記載事項としています。具体的な表示は別記様式第29号によります。工事現場用では、主に次の事項を確認します。
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- 一般建設業または特定建設業の別
- 許可を受けた建設業
- 許可番号
- 許可年月日
- 主任技術者または監理技術者の氏名
- 専任の有無
- 資格名
- 該当する場合の資格者証交付番号
資格者証交付番号は、すべての主任技術者・監理技術者について無条件に記載するという意味ではなく、別記様式第29号の記載要領に該当する場合に記載します。また、「許可を受けた建設業」の欄には、会社が持っている許可業種を機械的にすべて列挙するのではなく、その工事現場で行っている建設工事に係る許可業種を記載する取扱いです。工事現場用の標識は、現在、縦25cm以上×横35cm以上とされています。2011年の省令改正により、それまでの縦40cm以上×横40cm以上から縮小された経緯があり、営業所用の寸法と混同しないよう注意しましょう。
下請として入るすべての現場で自社の許可票が必要とは限らない
下請として工事に参加する会社について、建設業法第40条を根拠に「参加するすべての現場に自社の建設業許可票を掲示しなければならない」と考える必要はありません。現行の建設業法第40条では、工事現場への標識掲示義務を「発注者から直接請け負った」建設工事に限定しているためです。したがって、発注者から直接工事を請け負った元請業者のもとで下請・再下請として工事に参加しているだけであれば、同条に基づく自社の建設業許可票の現場掲示義務はありません。
ここは古い制度との混同が特に起こりやすい部分です。2020年の改正前には下請業者にも現場標識の掲示義務があったため、改正前の資料を読むと現在とは異なる説明が記載されている場合があります。ただし、「自社の許可票を掲示しなくてよい」ことと、「現場で確認する義務が何もない」ことは同じではありません。施工体系図、施工体制台帳、技術者配置など、下請負人に関する記載事項を含めた別の制度があり、発注者や元請会社の現場ルールとして別途掲示等を求められることもあります。許可票の掲示義務と、その他の施工体制上の義務を混同せずに確認しましょう。
許可票の記載内容を確認したい4つの項目
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 商号または名称が現在の許可情報と一致しているか
- 代表者氏名が現在の内容になっているか
- 許可番号や許可年月日を正しく表示しているか
- 許可の種類や業種など必要な表示を確認する
許可票が掲示されていても、内容が古ければ現在の許可情報を正しく示せません。特に、代表者変更、商号変更、許可更新、業種追加などを経験している会社では、一部だけ以前の情報が残ることがあります。現在有効な許可関係書類と許可票を照合して確認することが大切です。
商号または名称が現在の許可情報と一致しているか
まず確認したいのが、許可票に記載された商号または名称です。商号または名称は、営業所用・工事現場用の双方で法定記載事項になっています。そのため、会社の商号を変更した場合には、登記や建設業許可上必要となる変更手続だけでなく、掲示中の許可票も確認します。
会社案内やWebサイト、契約書、請求書などは新しい商号に変更したものの、営業所入口の許可票だけ旧商号が残っているケースも考えられます。ブランド名と法人の正式な商号が異なる会社では、普段使っている名称だけを見て判断しないことも大切です。商号変更時には、「登記」「許可関係の届出」「契約書等」「Webサイト」「許可票」といった変更箇所をまとめて点検すると、対応漏れを発見しやすくなります。
代表者氏名が現在の内容になっているか
代表者の交代も、許可票を確認する重要なタイミングです。建設業法施行規則第25条では、「代表者の氏名」を店舗・工事現場双方の標識の記載事項としています。そのため、代表取締役など許可上の代表者が変更された場合には、掲示している許可票が現在の氏名になっているか確認します。
実務では、代表者変更に伴って登記、金融機関、社会保険、取引先への通知、各種許認可など多くの対応が同時に発生します。その結果、建設業許可の変更届には対応していても、事務所の許可票だけ旧代表者名のまま残ってしまうことがあります。代表者を変更するときは、「建設業許可上どの手続が必要か」と「許可票の表示を変更する必要があるか」をセットで確認すると効率的です。
許可番号や許可年月日を正しく表示しているか
許可番号と許可年月日も、許可票で確認したい重要な情報です。建設業法施行規則第25条では、「許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業」を標識の記載事項としています。ここで大切なのは、「更新したら必ず初回許可年月日のまま」「更新のたびに必ず別の日付へ書き換える」と自己判断せず、現在有効な許可通知書等に記載された許可情報と照合することです。
建設業許可は有効期間が5年間で、継続して営業するには更新手続が必要です。複数の業種について許可を受けている会社では、新規取得・業種追加・更新の時期などによって許可年月日が一律でない場合もあります。過去に作った許可票や記憶だけを頼りにするのではなく、現在の許可通知書、許可申請書、行政庁が公開する許可情報などを確認し、表示内容を照合する方法が確実です。更新手続のタイミングを「許可票も一緒に点検する日」と決めておくと、古い表示が残るリスクを減らせます。
許可の種類や業種など必要な表示を確認する
建設業許可票では、一般建設業か特定建設業か、どの建設業について許可を受けているのかといった情報も重要です。施行規則第25条では、「一般建設業又は特定建設業の別」「許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業」が記載事項として定められています。営業所用の別記様式第28号には、「この店舗で営業している建設業」という欄もあります。
一方、工事現場用の「許可を受けた建設業」の欄には、会社が保有する全許可業種を無条件に記載するのではなく、その工事現場で行っている建設工事に係る許可業種を記載します。業種追加や一部業種の廃業、一般・特定の区分変更などがあった場合には、以前の許可票の内容が現在の状態と一致しているか確認しましょう。許可票を単なる「看板」としてではなく、現在の許可内容を外部に示す法定標識として管理すると、確認すべきポイントが明確になります。
会社情報が変わったときに見直したい3つのケース
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 代表者が変わったときは変更届とあわせて表示内容を確認する
- 商号や営業所に変更があったときは許可票も点検する
- 許可の更新や業種追加があったときは古い表示が残っていないか確認する
会社情報が変わった場合、変更届などの行政手続に意識が集中しがちです。変更した内容が許可票の記載事項に関係していれば、掲示内容の確認もあわせて必要になります。変更届と許可票を別々に考えず、一連の変更対応として点検すると分かりやすくなります。
代表者が変わったときは変更届とあわせて表示内容を確認する
代表者変更があった場合には、建設業許可に関する変更手続だけでなく、営業所に掲示している許可票まで確認します。代表者氏名は許可票の法定記載事項ですので、旧代表者の氏名が残っていれば、現在の会社情報との間に不一致が生じます。
代表者変更時には、登記、金融機関、社会保険、取引先、許認可など、複数の変更対応が同時に発生することが一般的です。そのため、許可関係の届出を済ませた時点で安心し、掲示物の変更を後回しにしてしまうことがあります。「建設業許可上必要な届出」「許可票」「契約書等」「Webサイト」といった関連項目を一つのチェックリストにして管理しておくと安心です。行政書士へ変更手続を相談する場合も、「代表者が変わったので変更届だけお願いしたい」ではなく、「代表者変更に伴って建設業許可関係で確認すべき事項をまとめて見てほしい」と伝えていただくと、相談内容を整理しやすくなります。
商号や営業所に変更があったときは許可票も点検する
商号変更や営業所の移転・新設・廃止があった場合も、建設業許可票を見直すタイミングです。商号は許可票の記載事項なので、会社名を変更すれば表示内容への影響を確認します。営業所については、さらに「変更後の拠点が建設業法上の営業所としてどのように扱われるのか」「どの店舗に標識を掲示すべきか」も整理が必要です。
特に事務所移転では、所在地変更の手続や新しい営業所の要件に注意が向く一方、許可票が後回しになることがあります。旧事務所から看板を移しただけで終わらせず、次の点をあわせて確認するとよいでしょう。
- 表示内容が現在の許可情報と合っているか
- 法定寸法を満たしているか
- 公衆の見やすい場所に掲示されているか
- 新旧営業所について必要な届出が処理されているか
許可の更新や業種追加があったときは古い表示が残っていないか確認する
建設業許可の更新や業種追加を行ったときも、許可票を点検する機会に適しています。許可票には、許可年月日、許可番号、許可を受けた建設業、一般・特定の別などが表示されるため、更新後や業種追加後には、現在有効な許可情報と掲示内容を照合します。
特に業種追加では、営業所用の「許可を受けた建設業」「この店舗で営業している建設業」などへの影響を確認する必要があります。工事現場用についても、その現場で行っている建設工事に係る許可業種を表示するため、現在の許可内容を正しく把握しておくことが欠かせません。許可更新は5年ごとに行う手続なので、前回からの間に代表者、商号、所在地、営業所、許可業種など別の情報も変わっている可能性があります。更新時を「許可票も含めた許可情報全体の定期点検」と位置づけておくと、変更漏れを見つけやすくなります。
許可票の掲示で起こりやすい4つの勘違い
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 許可証があれば許可票を掲示しなくてもよいわけではない
- 許可票は一度作ればずっとそのままでよいわけではない
- 「金看板」でなければならないわけではない
- 許可票を掲示すれば許可取得後の義務がすべて完了するわけではない
建設業許可票では、許可通知書との混同、看板の材質や色に関する思い込み、旧制度との混同などが起こりやすくなっています。許可票を正しく掲示するだけでなく、何のための義務なのか、許可後の管理全体の中でどの位置づけなのかを整理することが大切です。
許可証があれば許可票を掲示しなくてもよいわけではない
建設業許可に関する通知書などを保管していても、それだけで建設業法第40条の標識掲示義務を果たしたことにはなりません。同条では、建設業者の店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場に、公衆の見やすい場所へ標識を掲げることを定めています。つまり、許可に関する書類の保管と、許可票の掲示は別々に確認する必要があります。標識を掲げない場合には10万円以下の過料の対象となる規定もあるため、許可通知が届いた時点で許可後の対応が完了したと考えず、営業所の掲示状況まで確認しておきましょう。
許可票は一度作ればずっとそのままでよいわけではない
建設業許可票には、商号、代表者、許可番号、許可年月日、許可業種など、将来変更が生じる可能性のある情報が記載されています。そのため、許可取得時に正しい許可票を作っていたとしても、その後の会社情報や許可情報の変更によって、表示内容が現状と合わなくなることがあります。商号変更、代表者変更、業種の追加・廃業、一般・特定の区分変更、許可更新といった場面では、現在の許可情報と許可票を照合しておくことが重要です。
許可票を一定期間ごとに必ず新品へ交換するという意味ではありません。重要なのは、掲示されている内容が現在の許可内容を正しく示している状態を保つことです。決算変更届、許可更新、代表者変更など許可情報を扱うタイミングに許可票の確認を組み込むと、忘れにくくなります。
「金看板」でなければならないわけではない
建設業許可票というと、金色の板に黒い文字を入れた、いわゆる「金看板」を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、建設業法令上、許可票を金色にすることや、金属製にすることは要件ではありません。重要なのは、法令で定められた様式、記載事項、大きさなどを満たし、公衆の見やすい場所へ適切に掲示することです。
「金看板」は実務上広く使われている通称・製品形態であり、金色にすることが法令上望ましいという意味ではありません。新しく許可票を作成する際には、見た目や商品名だけで選ばず、最新の様式と必要事項を満たしているかを確認しましょう。
許可票を掲示すれば許可取得後の義務がすべて完了するわけではない
許可票を正しく掲示することは重要ですが、それだけで建設業許可取得後の義務がすべて終わるわけではありません。許可取得後には、変更事項が生じた場合の届出、事業年度終了後に必要となる手続、5年ごとの許可更新など、状況に応じた管理が必要です。工事の内容によっては、技術者配置、施工体制台帳、施工体系図などについて別の建設業法上の義務が生じることもあります。
許可票を掲示したことと、それらの義務を履行したことは別の話です。一つの変更を起点に、行政への届出、許可票、営業所情報、許可関係書類、必要に応じてその他の法定管理事項まで確認する仕組みを作ることが、許可後管理の漏れを減らすポイントです。
変更時に確認漏れを防ぐ3つのステップ
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 変更後の許可情報を確認する
- 営業所や対象現場の許可票と照合する
- 必要な変更届と許可票の修正をあわせて確認する
変更後の対応は、「届出を提出したか」だけで終わらせず、その変更が許可票にも影響するかを確認すると整理しやすくなります。現在の許可情報、実際の掲示内容、必要な届出を順番に照合すれば、何を対応すべきかが明確になります。
何が変わったのか、現在の正しい許可情報は何かを整理します。
実際に掲示している許可票の現物を確認し、様式ごとの記載事項と照らし合わせます。
行政上必要となる手続と、許可票の表示変更の両方を確認します。
変更後の許可情報を確認する
最初のステップは、「何が変わったのか」と「現在の正しい許可情報は何か」を整理することです。代表者変更であれば新しい代表者氏名、商号変更であれば新商号、業種追加であれば追加後の許可業種というように、まず基準となる情報を確認します。この作業を飛ばして許可票だけを修正すると、どの業種を書けばよいのか、この情報は本当に変更対象なのかと迷いやすくなります。
現在の許可通知書、許可申請書・変更届の控え、国土交通省や許可行政庁が提供する許可情報などを使って確認するとよいでしょう。複数の変更が重なっている場合は、直近の変更だけを見るのではなく、現在の許可情報全体を一度整理する方法がおすすめです。過去の届出が整理されていないという状態であれば、許可票を書き換える前に許可情報から整理する必要があります。
営業所や対象現場の許可票と照合する
現在の許可情報を整理したら、実際に掲示している許可票と照合します。ここでのポイントは、パソコン内の許可票データや作成時の注文書を見るだけではなく、実際に掲示されている現物を確認することです。データは修正済みでも、壁に掲げている許可票が交換されていなければ、実際の表示は古いままだからです。
複数の営業所がある場合には、本店だけでなく対象となる店舗を確認しましょう。発注者から直接請け負った工事を施工している場合には、対象現場の許可票についても確認します。営業所用と現場用を同じチェック表だけで済ませず、それぞれの様式に沿って確認することが大切です。
必要な変更届と許可票の修正をあわせて確認する
最後は、行政上必要となる手続と許可票の修正をまとめて確認します。変更届を提出したからといって、営業所の許可票が自動的に書き換わるわけではありません。反対に、許可票を新しい情報へ変更したとしても、それによって必要な変更届が不要になることもありません。
たとえば代表者を変更した場合には、「建設業許可上必要な変更届を確認する」「届出後の現在の許可情報を整理する」「許可票の代表者氏名を確認・修正する」という流れで管理すると分かりやすくなります。商号変更や事務所移転でも同様です。社内で管理する場合には、変更事項ごとに「登記」「建設業許可」「許可票」「契約書」「Webサイト」などの確認欄を設けたチェックリストを作成する方法もあります。複数の変更が同時に発生している場合や、前回の手続から時間が経っていて現在の状態を把握しにくい場合は、建設業許可を扱う行政書士に許可情報全体を確認してもらう方法もあります。
許可票の掲示に迷ったときに確認したい2つの方法
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 最新の様式や取扱いは管轄行政庁の案内を確認する
- 許可情報の変更とあわせて確認したい場合は行政書士に相談する
許可票について判断に迷った場合は、過去に作った看板や検索で見つけた古い記事だけを基準にしないことが大切です。建設業法は改正されており、現場標識の対象や電子掲示など取扱いが変わった部分もあります。現在の法令と管轄行政庁の最新案内を確認しましょう。
最新の様式や取扱いは管轄行政庁の案内を確認する
建設業許可票を新しく作る場合や、古い許可票を交換する場合は、注文や作成の前に最新の様式を確認します。特に工事現場の標識については、過去の制度と現在の制度で重要な違いがあります。2020年10月の改正前には下請業者にも現場標識の掲示が求められていましたが、現在の建設業法第40条では、対象となる工事を「発注者から直接請け負ったもの」に限定しています。
また、現場標識のサイズも過去に改正されており、現在は縦25cm以上×横35cm以上です。さらに、デジタルサイネージ等を活用した標識掲示も一定の要件で認められるようになっています。「昔からこの方法だった」「以前購入した看板と同じものを注文する」という対応では、現在の制度とずれる可能性があります。許可票を作成・変更するときは、e-Govの現行法令、国土交通省、地方整備局、都道府県など、自社の許可に関係する公的情報を確認しましょう。
許可情報の変更とあわせて確認したい場合は行政書士に相談する
単に許可票を作り直すだけであれば自社で対応できるケースもあります。一方で、代表者を変更した、商号を変更した、事務所を移転した、営業所を新設・廃止した、業種を追加した、一般建設業から特定建設業への変更などがあった、過去の変更届が正しく提出されているか分からないといった場合には、許可票だけを切り離して考えない方が安心です。変更内容によって、建設業許可上の届出や別の確認事項が発生する可能性があるからです。
たとえば、「看板の代表者名を変更したい」とだけ相談するよりも、「代表者が変更になったので、建設業許可の変更手続と許可票をまとめて確認したい」と伝えていただいた方が、必要な対応範囲を整理しやすくなります。特に、前回の変更から時間が経っている会社、複数の営業所を持つ会社、何度か業種追加や更新を行っている会社では、現在の許可情報と実際の掲示内容を一度照合しておく意味があります。何の手続が必要なのか分からないという段階でも、現在の状況と変更内容を整理して行政書士へ相談すれば、必要な確認事項から切り分けることができます。
行政書士へ許可票の確認を相談することで整理できること
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 現在の許可情報と許可票の表示内容を照合できる
- 変更届が必要な事項と許可票の修正をあわせて整理できる
- 複数の営業所や重なる変更内容も一連の流れとして相談できる
行政書士による確認は、事業者から正確な情報が共有されることが前提です。双方の役割を決め、代表者、商号、営業所、業種などの変更を共有することで、必要な手続きと許可票の表示を一緒に整理しやすくなります。
現在の許可情報と許可票の表示内容を照合できる
許可通知書、変更届の控え、許可行政庁が公開する許可情報などをもとに、現在の正しい許可情報を確認し、実際に掲示している許可票の内容と照らし合わせます。営業所用と工事現場用では様式や記載事項が異なるため、それぞれの様式に沿って個別に確認します。
変更届が必要な事項と許可票の修正をあわせて整理できる
代表者変更、商号変更、事務所移転、業種追加などがあった場合、建設業許可上必要となる届出と、許可票の表示変更を別々に検討するのではなく、一連の対応としてまとめて確認できます。どちらか一方だけを済ませて安心してしまうことを防ぎやすくなります。
複数の営業所や重なる変更内容も一連の流れとして相談できる
複数の営業所を持つ会社や、代表者変更と業種追加が重なっているようなケースでも、現在の許可情報全体を整理したうえで、優先して確認したい事項から順に相談できます。制度や申請の流れは、下記のページでも詳しくご案内しています。
建設業許可取得後の届出や経営事項審査について確認する
決算変更届や経営事項審査など、許可後に必要となる手続きもあわせて確認できます。
許可票は取得時だけでなく変更のたびに確認するものです
この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 許可取得時だけでなく変更が生じた都度確認できることがある
- まずは掲示している許可票の現状を確認する
- 自社に必要な確認と手続きを早めに専門家へ相談する
建設業許可票は、許可を取得したときに一度作って終わる単なる看板ではありません。現在の許可内容を公衆に示す法定標識です。代表者変更、事務所移転、商号変更、許可更新、業種追加などがあった場合には、必要な届出を済ませたかだけでなく、営業所に掲示している許可票が現在の内容になっているかまで確認してみてください。
許可取得時だけでなく変更が生じた都度確認できることがある
参入時期や変更予定が決まっていなくても、毎年の掲示状況を見直す、営業所や現場の許可票を写真などで記録しておく、代表者や業種の情報を最新の状態で管理しておくといった対応は始められます。これらは許可票のためだけではなく、建設業許可を適切に維持し、自社の許可情報を正確に把握するためにも役立ちます。
まずは掲示している許可票の現状を確認する
- 営業所に許可票を掲示しているか
- 商号・代表者・許可番号・許可年月日が現在の内容と一致しているか
- 店舗用と工事現場用の様式・大きさ・記載事項を正しく区別できているか
- 発注者から直接請け負った工事現場に許可票を掲示しているか
- 代表者変更や許可更新などの際に許可票をあわせて確認する仕組みがあるか
不足が見つかっても、直ちに何か問題になるということではありません。どの項目が現状と合っていないのか、修正や交換の検討が必要かを整理すると、次の対応が見えやすくなります。
自社に必要な確認と手続きを早めに専門家へ相談する
必要な確認は、許可業種、営業所の数、直近の変更内容、掲示している許可票の状態によって異なります。許可通知書、変更届の控え、現在掲示している許可票の写真などがあれば、確認が進みやすくなります。
資料がそろっていない場合も相談を延期する必要はありません。「許可票の内容が現在と合っているか分からない」「事務所を移転したので許可票も含めて確認したい」という段階から、現在の状況と次に確認する内容を一緒に整理できます。
まずは現在の許可情報と掲示状況を整理します。
相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。お手元の資料を確認しながら、必要な確認と手続きをご案内します。
よくある質問
建設業許可があれば許可票を掲示しなくてもよいですか
建設業法第40条により、許可通知書の保管とは別に、店舗と発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに標識の掲示が必要です。許可を取得しただけで掲示義務が不要になるわけではありません。
営業所用と工事現場用の許可票は同じ内容でよいですか
様式や大きさ、記載事項が異なります。工事現場用には主任技術者または監理技術者の氏名、専任の有無、資格名など、店舗用にはない事項も記載します。
下請業者もすべての工事現場に許可票を掲示する必要がありますか
2020年10月の改正以降、工事現場への掲示義務は発注者から直接請け負った建設業者が対象です。下請として参加するだけの現場では、自社の許可票の掲示義務はありません。ただし、施工体系図など別の制度で確認が必要になる場合があります。
相談内容がまとまっていなくても相談できますか
ご相談いただけます。現在の許可情報や営業所・現場の掲示状況を伺いながら、確認した方がよい内容を一緒に整理します。
許可票は、変更のたびに確認しておきたい法定標識です
- 建設業者は、店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場について、法令に沿って標識を掲示する必要があります
- 営業所用は別記様式第28号、工事現場用は別記様式第29号で、記載事項や大きさも異なります
- 工事現場の法定掲示義務は現在、発注者から直接工事を請け負った建設業者が対象であり、下請業者がすべて自社の許可票を掲示する制度ではありません
- 商号・代表者・許可業種などが変わった場合は、必要な届出だけでなく、実際に掲示している許可票の内容も確認することが大切です
- 標識を掲げない場合には10万円以下の過料の対象となる可能性があり、様式や取扱いを確認するときは最新の法令・公的資料を基準にする必要があります
建設業許可票は、許可を取得したときに一度作って終わる単なる看板ではありません。現在の許可内容を公衆に示す法定標識です。代表者変更、事務所移転、商号変更、許可更新、業種追加などがあった場合には、必要な届出を済ませたかだけでなく、営業所に掲示している許可票が現在の内容になっているかまで確認してみてください。その際、店舗用は縦35cm以上×横40cm以上、工事現場用は縦25cm以上×横35cm以上であることや、営業所用と工事現場用では記載事項が異なることにも注意が必要です。
特に、複数の変更が重なっている場合や、以前の手続から時間が経っている場合は、許可票だけを個別に修正するよりも、現在の建設業許可情報をいったん整理してから照合した方が、対応漏れを発見しやすくなります。HANAWA行政書士事務所では、営業所や工事現場に掲示している許可票の確認から、代表者変更・商号変更・事務所移転などに伴う手続きまで、事業者の状況に応じて確認事項を整理します。正式に依頼するかどうかを決めていない段階でもご相談いただけます。