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任意後見契約業務 4-14

任意後見契約後の見守り運用
新人行政書士が開始時期を見逃さないための実務

任意後見契約は、公正証書を作成しただけでは実際の支援が始まりません。任意後見監督人が選任されるまでの間に、定期電話、訪問、メール、家族・支援者連絡を通じて本人の変化を記録し、必要な時期に次の手続へ進める体制を整えます。

任意後見契約見守り契約おひとりさま支援新人行政書士向け実務教材

この記事で到達できること

この回の目的は、新人行政書士が、任意後見契約締結後から任意後見開始前までの見守り運用を一人で設計できるようになることです。契約後の見守りは、単なる安否確認ではありません。本人の生活、健康、金銭管理、郵便物、医療・介護状況を継続的に確認し、任意後見開始を検討する時期を見落とさないための実務です。

任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じ、任意後見人は監督人の監督のもとで契約に定めた特定の法律行為を行います。開始前の段階では、見守り契約、財産管理等委任契約、本人同意の範囲を分けて動くことが大切です。

相談内容がまとまっていなくても大丈夫ですまずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。資料がそろっていない段階でも、見守り頻度、連絡先、記録方法から順番に整えることができます。
図解|契約後見守り運用で押さえる7つの視点
生活状況食事、買い物、掃除、外出、転倒、近隣関係を見ます。
健康状態通院、服薬、入院、体調変化、医療書類を確認します。
金銭管理支払い、督促、不審支出、通帳・カード管理を見ます。
郵便物未開封書類、役所通知、銀行・保険書類を確認します。
本人同意同意の内容理解、立会い、記録、署名を検討します。
緊急対応連絡不通時の順序、警察・消防との接続を決めます。
開始検討任意後見監督人選任申立てへ進む目安を整理します。

この業務が必要になる場面

契約後も本人が自立している場面

任意後見契約締結時には、本人が自分で通院、買い物、預金管理、役所手続を行えていることがあります。その後、約束を忘れる、同じ話を繰り返す、請求書を処理できない、通院を忘れる、高額な契約を勧められるなどの変化が少しずつ出ることがあります。

おひとりさま・おふたりさまの支援

おひとりさまの場合、異変に気づく家族が近くにいないことがあります。おふたりさまでも、配偶者やパートナー自身が高齢、入院中、判断能力低下ということがあります。本人だけでなく、同居者や支援者の変化も見守り運用に含めて確認します。

見守り契約と接続している場面

任意後見契約は将来の代理権発動に備える契約であり、見守り契約は開始前の本人状況を把握する契約です。この回では見守り契約書の詳細条項ではなく、契約後に実際に連絡し、訪問し、記録し、判断する運用を扱います。

最初に押さえる基本知識

開始前にできること

任意後見監督人が選任される前は、任意後見契約に基づく代理権は発動していません。開始前に行う実務は、見守り契約に基づく定期連絡、本人同意に基づく相談、本人の同席・依頼による書類作成支援、財産管理等委任契約がある場合の委任事務、緊急連絡先への連絡、任意後見開始検討のための情報整理です。

医療契約、特に入院契約等は、入院手続、費用支払、保証的責任、医療行為への同意が混在していることがあります。契約内容、財産管理等委任契約の有無、本人同意の有無、保証的責任の有無を個別に確認します。

開始前に慎重に扱うこと

  • 本人の同意がない財産管理
  • 本人に代わる医療判断、手術、延命治療、身体拘束等への同意
  • 本人の意思確認をしない施設入所調整
  • 親族間紛争の代理交渉
  • 医学的な認知症診断
  • 税務申告(税理士業務)、登記申請(司法書士業務)など、他士業の独占業務
  • 連絡不通時に単独で管理会社へ開錠を求め、自宅へ立ち入ること
  • 本人の同意能力に疑義があるのに、形式的な同意だけで重要書類を確認・持ち出すこと
医療同意に関する重要な確認任意後見人には、原則として手術、延命治療、身体拘束等の医療行為について本人に代わって同意する法的権限は認められていません。開始前の見守り段階ではなおさら本人に代わる医療同意はできません。行政書士が行うのは、本人の意思確認、事前意思表示書類の所在確認、家族・医療機関・介護関係者への連絡、意思決定支援のための情報整理です。厚生労働省の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスも、本人の意思確認と医療・ケアチームによる話合いを重視しています。

本人同意は内容理解まで見る

認知機能低下が疑われる場合、「はい」「見ていいです」という返答だけでは十分でないことがあります。同意の有効性、意思能力の有無、内容理解が後日争われ、無効と評価されるリスクを踏まえ、どの書類を、何のために、本人の目の前で確認したかを記録します。必要に応じて、本人の署名または確認印、ケアマネジャー等の第三者立会いを検討します。

実務の進め方

図解|契約後見守り運用フロー
  1. 公正証書作成後、初回連絡日、連絡方法、訪問頻度、緊急連絡先、情報共有範囲を決めます。
  2. 契約後1か月以内を目安に初回連絡を行い、契約書の保管場所、通院、郵便物、支払いを確認します。
  3. 定期電話・訪問・メールを組み合わせ、前回記録との差分を見ます。
  4. 見守り記録簿に、生活、健康、金銭、郵便物、医療・介護、本人発言、次回確認事項を残します。
  5. 変化があれば見守り頻度、家族・支援者連絡、地域包括支援センターとの連携を見直します。
  6. 判断能力低下の兆候が続く場合、任意後見開始検討メモを作成し、次回以降の申立準備へ接続します。

定期電話

電話前に前回記録を確認し、体調、食事、買い物、通院、服薬、郵便物、支払い、契約勧誘、医療機関からの書類、緊急連絡先の変更を自然な会話で確認します。電話後は、本人の声の様子、会話の流れ、前回との違い、日付・曜日の認識、同じ話の繰り返し、次回確認事項を記録します。

定期訪問

訪問では、郵便物の滞留、部屋の衛生状態、薬の飲み残し、服装、歩行状態、訪問販売書類、近隣トラブルの兆候を確認します。入室、書類確認、郵便物確認は本人の同意を得て行い、本人の目の前で必要な書類だけを確認します。書類名、差出人、確認理由、本人の返答、持ち帰りの有無を記録します。

メール・LINE等

メールやLINEは補助的な連絡手段です。本人が本当に返信しているか、内容を理解しているかを確認しにくいため、重要な同意取得をこれだけで済ませないようにします。個人情報を送る場合は、誤送信に加え、端末共有、なりすまし、乗っ取り、第三者閲覧にも注意します。

家族・支援者連絡

本人の同意がある場合、家族、親族、友人、ケアマネジャー、民生委員、施設職員等と連絡体制を作ります。誰に、どの情報を、どの場面で共有するかを決め、本人の意思確認を省略しない運用にします。

確認する項目

生活状況

  • 食事、買い物、掃除、洗濯
  • 入浴、着替え、外出頻度
  • 転倒、けが、近隣トラブル
  • ゴミ出し、室温管理、ペットの世話

健康状態

  • 体調、通院予定、通院忘れ
  • 服薬、入院歴、救急搬送歴
  • 食欲、睡眠、歩行状態
  • 医療機関から渡された書類

判断能力の変化

  • 日付・曜日の認識
  • 同じ話の繰り返し
  • 前回の約束の理解
  • 書類や契約内容の理解

金銭管理

  • 年金、家賃、公共料金
  • クレジットカード、滞納
  • 通帳・カード紛失
  • 不審な支出、訪問販売、投資勧誘

郵便物・書類

  • 未開封郵便物
  • 役所、銀行、保険会社通知
  • 督促状、催告書
  • 確認した書類名と本人同意

医療・介護

  • かかりつけ医、介護保険
  • ケアマネジャー、訪問介護
  • 入院・手術予定
  • 医療意思表示書、緊急連絡先

判断の流れ

通常の見守りを続ける目安

  • 本人と定期的に連絡が取れる
  • 生活上の判断を概ね自分で行えている
  • 通院、服薬、金銭管理に大きな支障がない
  • 郵便物や請求書を処理できている
  • 本人が契約内容を理解し、相談できている

頻度を見直す目安

  • 電話に出ないこと、約束を忘れることが増えた
  • 通院忘れ、支払遅延、郵便物の滞留がある
  • 本人の不安が強くなっている
  • 家族・支援者から心配の連絡がある
  • 本人の同意が形式的で、説明内容の理解に不安がある

緊急時対応へ移る目安

複数回の連絡不通、近隣からの異臭・新聞滞留・電気がつかない等の連絡、医療機関・警察・消防からの連絡、詐欺被害、虐待、経済的搾取、ライフライン停止などがある場合は、通常の見守りではなく緊急時対応へ進みます。

連絡不通時の単独開錠・単独立入り本人と連絡が取れない場合でも、行政書士が単独で管理会社や大家に開錠を求め、自宅に入室することは、住居侵入、プライバシー侵害、契約違反等の重大な法的リスクがあるため、原則として行うべきではありません。必要な場合は、警察または消防へ安否確認を相談し、第三者立会い、記録化、必要最小限の確認を徹底します。

任意後見開始を検討する目安

  • 重要な契約内容を理解しにくくなっている
  • 預金管理、支払い、契約判断に継続的な支障がある
  • 介護サービス契約や施設入所契約を本人だけで判断しにくい
  • 郵便物や請求書を処理できず不利益が出ている
  • 医師、ケアマネジャー、家族等から判断能力低下の指摘がある
  • 任意後見契約で予定した代理事項の必要性が現実化している

作成・確認する書類

書類 主な項目 実務上の確認
見守り運用開始確認書 初回連絡日、頻度、連絡手段、報酬 契約直後に「次の連絡日」を決めます。
緊急連絡先一覧 家族、支援者、医療機関、施設、管理会社 連絡順と共有範囲を本人同意で決めます。
定期連絡予定表 電話、訪問、メール、次回確認事項 見守り頻度の見直しにも使います。
見守り記録簿 生活、健康、金銭、郵便物、医療・介護 事実と評価を分けて記録します。
訪問記録書 入室同意、確認書類、立会人、本人発言 本人同意の内容理解まで残します。
本人同意確認記録 説明内容、本人回答、署名、確認印 認知機能低下が疑われる場合に特に重要です。
財産管理契約併用記録 支払根拠、金銭出納帳、領収書、本人指示 見守り記録と財産管理記録を分けます。
任意後見開始検討メモ 変化の時期、支障内容、関係者情報 第4-15回、第4-16回へ接続する資料です。

文例・記載例

初回見守り連絡

〇〇様、先日は任意後見契約の公正証書作成、お疲れさまでした。今後は、任意後見が必要となる前の段階でも、定期的にご様子を確認し、生活上のお困りごとや体調の変化がないかを一緒に確認してまいります。次回は〇月〇日〇時ころ、お電話します。体調、通院予定、郵便物、支払い関係で困っていることがないかを確認します。なお、病院で手術や延命治療などの同意を求められた場合でも、私が代わりに医療行為へ同意することは、原則としてできません。その場合は、ご本人の意思や事前に作成した意思表示書類を確認し、ご家族や医療機関への連絡を支援します。

定期電話記録

令和〇年〇月〇日10時00分から10時20分まで、本人携帯電話に架電。本人が応答。声の調子は通常どおり。食事、買い物、通院は自分で行えているとのこと。〇月〇日の内科受診予定を本人が把握していた。郵便物について、介護保険料の通知が届いたが内容がよく分からないとの発言あり。次回訪問時に本人同意のうえ確認予定。医療機関から同意書等を求められている事実はないとのこと。現時点で緊急対応は不要。ただし、郵便物・支払い管理について経過観察。

訪問記録

令和〇年〇月〇日14時00分から15時00分まで本人宅訪問。本人の同意を得て居間で面談。玄関に未開封郵便物が約15通あり、うち市役所、銀行、保険会社からの封書が含まれていた。本人に対し、「市役所からの封書と電力会社からの請求書について、支払期限や手続期限があるかを一緒に確認してよいですか」と説明したところ、本人は「それは見てください」と回答。本人の目の前で、市役所からの封書1通、電力会社からの請求書1通のみ確認した。その他の郵便物は確認していない。前回訪問日を覚えておらず、同じ質問を3回繰り返した。次回は2週間後に電話確認。

医療機関への説明

私は、〇〇様との間で任意後見契約および見守り契約を締結している行政書士です。現時点では任意後見監督人は選任されておらず、任意後見契約に基づく代理権は発動していません。また、任意後見が開始した場合であっても、手術や延命治療等について本人に代わり医療行為への同意を行う法的権限は、原則として認められていません。私が対応できるのは、ご本人の意思確認支援、事前意思表示書類の所在確認、ご家族・緊急連絡先への連絡、必要な情報共有の範囲に限られます。

連絡不通時の記録

令和〇年〇月〇日9時00分、定期電話予定で本人携帯へ架電したが応答なし。同日11時00分、再架電するも応答なし。同日13時00分、SMS送信。返信なし。同日15時00分、緊急連絡先である姪〇〇氏へ連絡。姪からも前日以降連絡が取れていないとのこと。同日16時00分、地域包括支援センターへ相談。近隣支援者から新聞が2日分溜まっているとの情報あり。本人が室内で倒れている可能性を否定できないため、警察へ安否確認を相談。行政書士から管理会社へ単独開錠は依頼していない。

専門家・関係機関との連携

司法書士

不動産登記、相続登記未了、共有持分、家庭裁判所提出書類作成支援で連携を検討します。

弁護士

親族間対立、財産使い込み、虐待、経済的搾取、施設・医療機関との紛争性がある場合に接続します。

税理士

贈与税、相続税、所得税、不動産売却時の譲渡所得税、確定申告が関係する場合に接続します。

医師・医療機関

判断能力低下の疑いがある場合、行政書士は医学的診断をせず、観察事実を整理して本人同意の範囲で連携します。

地域包括支援センター

生活機能低下、介護保険申請、家族支援の不足、セルフネグレクト、連絡不通時の体制づくりで連携します。

警察・消防

連絡不通が続き生命身体の危険が疑われる場合、行政書士が単独で立ち入らず、安否確認を相談します。

医療機関との連携で区別すること

  • 本人の通院予定を確認する:契約・本人同意の範囲で可
  • 本人の意思表示書類の所在を確認する:可
  • 本人の同意を得て医療機関へ連絡する:可
  • 医療機関の説明に同席する:本人同意があれば可
  • 家族・緊急連絡先へ連絡する:契約・本人同意の範囲で可
  • 入院契約等の事務支援:契約内容、財産管理契約、本人同意、保証的責任の有無を個別確認
  • 手術、延命治療、身体拘束に同意する:不可
  • 本人に代わり治療方針を決める:不可

新人行政書士が注意したい点

注意点 実務での整え方
契約後に連絡しない 初回連絡日と定期確認日を契約直後に決めます。
雑談だけで記録しない 異常がないことも、日時、方法、本人発言、次回確認事項として残します。
医学的判断を書く 「認知症」と断定せず、「同じ質問を3回繰り返した」など観察事実を書きます。
医療同意ができると誤解する 任意後見人にも原則として医療行為への同意権限はないことを説明します。
本人同意を過信する 説明内容、本人回答、理解状況、確認書類、立会人を具体的に記録します。
財産管理と見守りを混同する 見守り記録と財産管理記録、金銭出納帳を分けます。
単独で開錠・立入りする 警察・消防への安否確認相談、第三者立会い、時系列記録を基本にします。
医療機関の書類を一律に扱う 医療行為への同意、入院契約、費用支払、身元保証を分けて確認します。

トラブルを防ぐ整え方

  • 契約直後に、見守り目的、頻度、緊急連絡先、情報共有範囲、報酬を文書で説明する
  • 本人同意を得て書類確認する場合の方法をあらかじめ決める
  • 医療行為への同意は原則として権限外であることを本人、家族、医療機関へ説明できるようにする
  • 連絡不通時の段階対応を、本人、緊急連絡先、支援者と共有する
  • 管理会社や大家には外観上の異変確認にとどめ、単独開錠を依頼しない
  • メール・LINE等で個人情報を扱う場合、誤送信、端末共有、なりすまし、乗っ取りに注意する
  • 見守り頻度を増やす場合は、本人に理由を説明し、契約・報酬との整合を確認する
  • 少なくとも年1回、緊急連絡先、医療機関、介護サービス、財産管理の必要性、任意後見開始検討の要否を見直す

ケーススタディ

契約後2年経過し物忘れが増えてきた場合

Aさんは82歳、独居。2年前に任意後見契約と見守り契約を締結し、月1回電話、3か月に1回訪問を続けています。最近、同じ話を繰り返す、前回訪問日を覚えていない、郵便物を開封していない、通院予定を忘れた、公共料金の督促状が届いた、近所の人から夜間外出の連絡があった、という変化が見られます。

最初に避けたい対応

  • すぐに「認知症です」と家族に伝える
  • 本人に無断で通帳や郵便物を確認する
  • 本人が「いい」と言っただけで郵便物をすべて開封する
  • 医療行為への同意書に署名する
  • 連絡が取れない日に管理会社へ鍵を開けさせて単独入室する

正しい初動

いつから変化が出たか、どの場面で支障が出ているか、支払遅延は一時的か継続的か、本人は困りごとを理解しているか、本人の同意の有効性や内容理解が後日争われる可能性はないか、医療機関からの書類が何を求めるものかを整理します。

運用の見直し

電話を月2回、訪問を月1回に増やし、郵便物確認日を決めます。確認時は、書類名、本人への説明、本人の返答、立会人の有無を記録します。必要に応じて、地域包括支援センター、ケアマネジャー、親族へ本人同意の範囲で情報共有し、任意後見開始検討メモを作成します。

記録例

令和〇年〇月以降、同一会話の反復、通院忘れ、郵便物未開封、公共料金督促状の確認が続いている。訪問時、本人は「大丈夫」と述べる一方、督促状の意味を十分理解していない様子であった。本人に確認目的を説明し、本人の面前で市役所からの封書1通、電力会社からの請求書1通を確認した。病院書類については、本人が内容を十分理解していない様子であったため、医療行為への同意は行わず、病院への確認事項を整理するにとどめた。

実務チェックリスト

契約直後

  • 初回連絡日を決めた
  • 電話・訪問頻度を確認した
  • 緊急連絡先を確認した
  • 情報共有範囲を確認した
  • 医療同意の限界を説明した

定期連絡

  • 本人と直接連絡した
  • 生活・健康・金銭を確認した
  • 郵便物・医療書類を確認した
  • 前回からの変化を記録した
  • 次回確認事項を決めた

訪問

  • 本人同意を得て入室した
  • 本人の目の前で書類確認した
  • 確認した書類名を記録した
  • 理解に不安があれば立会いを検討した
  • 勝手に通帳や引き出しを確認していない

変化がある場合

  • 変化の開始時期を確認した
  • 生活上・金銭上の支障を確認した
  • 見守り頻度を見直した
  • 関係機関連携を検討した
  • 任意後見開始検討メモを作成した

財産管理併用

  • 見守り記録と分けている
  • 本人指示を記録した
  • 領収書を保管した
  • 金銭出納帳を作成した
  • 医療同意はできないと整理した

緊急時

  • 本人へ複数回連絡した
  • 緊急連絡先へ連絡した
  • 地域包括支援センターへ相談した
  • 単独開錠を依頼していない
  • 警察・消防への相談を検討した

確認テスト

問題1
任意後見契約締結後、任意後見監督人が選任される前に、任意後見受任者が当然に預金管理を代理できますか。
答え:当然にはできません。開始前に預金管理を行うには、財産管理等委任契約など別の根拠と本人同意が必要です。
問題2
本人が「郵便物を見ていい」と言った場合、どのような記録が必要ですか。
答え:どの書類を、何の目的で、どのように説明し、本人がどう答えたかを記録します。認知機能低下が疑われる場合は、署名や第三者立会いを検討します。
問題3
任意後見が開始した後であれば、手術や延命治療に同意できますか。
答え:原則としてできません。任意後見人には、医療行為について本人に代わって同意する法的権限は原則として認められていません。
問題4
連絡不通時に、管理会社へ鍵を開けてもらい行政書士だけで入室してよいですか。
答え:原則として行うべきではありません。住居侵入、プライバシー侵害、契約違反等の法的リスクがあります。生命身体の危険が疑われる場合は、警察・消防へ安否確認を相談します。
問題5
見守り頻度を見直す場面を挙げてください。
答え:電話に出ないことが増えた、通院や支払いを忘れる、郵便物が溜まる、支援者から心配の連絡がある、本人の同意内容の理解に不安がある場合などです。

次回への接続

この回では、任意後見契約締結後から任意後見開始前までの見守り運用を扱いました。大切なのは、契約後に本人を置き去りにせず、定期電話、訪問、メール、家族・支援者連絡を組み合わせ、生活、健康、金銭、郵便物、医療・介護の変化を記録し続けることです。

次回の第4-15回では、今回の見守り記録を前提に、判断能力低下の兆候をどのように確認し、どの段階で任意後見監督人選任申立ての準備に進むかを扱います。第4-16回では申立準備、第4-17回では開始後の実務、第4-18回では報告・記録・金銭管理を扱います。

HANAWA行政書士事務所にご相談ください任意後見契約、見守り契約、財産管理、死後事務は、本人の生活状況や親族関係に合わせて整理することが大切です。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。

本記事は新人行政書士向けの一般的な実務教材です。個別案件では、本人の状態、契約内容、親族関係、医療・介護状況、関係機関の取扱いにより確認事項が異なります。

参考にした公的情報

任意後見契約の効力発生時期、任意後見監督人の役割、人生の最終段階における医療・ケアの意思決定支援に関する公的情報を確認し、実務上の注意点に反映しています。

HANAWA行政書士事務所|任意後見契約後の見守り運用

本人の変化を丁寧に記録し、必要な時期に次の支援へつなげます。

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