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第5-9回 親族関係資料の整理

成年後見申立ての親族関係資料整理
新人行政書士のための実務マニュアル

申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、親族照会、市区町村長申立ての検討まで。親族関係を「相続人調査」と同じ深さで追い過ぎず、成年後見申立支援に必要な範囲で整理するための実務手順をまとめます。

対象:新人行政書士成年後見申立支援親族関係資料・親族関係図・記録化

1. この回の到達目標

この回では、新人行政書士が、成年後見申立支援において本人の親族関係を実務上必要な範囲で整理できる状態を目指します。前回までに、申立人の確認、本人情報の整理、財産資料の収集を学習しています。本回では、誰が申立人候補となり得るか、親族が協力できるか、後見人候補者や緊急連絡先をどう分けるか、市区町村長申立ての検討につながる事情をどう記録するかに焦点を当てます。

  • 本人の配偶者、子、親、兄弟姉妹、甥姪等を確認できる
  • 申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先を分けて整理できる
  • 親族の協力状況、非協力の理由、連絡可否、所在不明を事実ベースで記録できる
  • 親族照会が行われる可能性を、相談者に過不足なく説明できる
  • 親族がいない、疎遠、高齢、非協力、虐待疑い等の場合に市区町村長申立ての検討材料を整えられる
  • 相続人調査と同じ深さで戸籍を追い過ぎるリスクを理解できる
  • 行政書士が行える周辺支援と、司法書士・弁護士へ連携する領域を説明できる
相談時の基本姿勢相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。

2. この業務が必要になる実務場面

申立人を決める場面

成年後見開始の申立ては、法律で定められた申立権者に限られます。後見開始の審判については、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検察官等が申立権者となります。

「未成年後見人」「未成年後見監督人」は、成年後見開始の審判申立てにおいても条文・裁判所案内上使用されている申立権者の名称です。成年後見開始だから成年後見人・成年後見監督人へ読み替える、という理解は避けます。実務上関与する場面は多くありませんが、制度上の名称として正確に把握します。

任意後見契約が登記されている場合は、任意後見監督人選任申立てとの関係整理が必要となり、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人が関係者として関与することがあります。ただし、任意後見受任者であることだけで、常に成年後見開始の申立てを当然に進めるわけではありません。

実務でよくある相談

  • 長男が相談に来たが、本人と長年疎遠で詳しい事情を知らない
  • 近所の人やケアマネジャーが相談に来たが、申立権者ではない
  • 甥が支援しているが、本人の子が遠方にいる
  • 配偶者はいるが、配偶者自身も認知症で申立てが難しい
  • 子はいるが、本人の財産を使い込んでいる疑いがある
  • 親族全員が高齢で、家庭裁判所対応が難しい
  • 任意後見契約の有無が不明で、法定後見との関係が整理されていない

親族照会と市区町村長申立てを見据える場面

家庭裁判所の運用により、申立て後、一定範囲の親族に対して申立て内容や後見人候補者について確認が行われることがあります。また、本人に身寄りがない、親族がいても高齢・病気・疎遠・所在不明・非協力等により申立てを期待しにくい場合は、市区町村長申立ての検討につながります。

実務上の注意「親族が拒否したから直ちに市区町村長申立て」と考えるのではなく、拒否の理由、背景、本人保護への影響、今後の連絡可否を具体的に記録します。自治体によっては、申立不能理由書や拒否理由書の提出を求めることがあります。

3. 基本知識

親族関係整理の目的

成年後見申立支援における親族関係整理の目的は、相続人を完全に確定することではありません。本人は生存しており、目的は、申立人候補、後見人候補者、親族照会、緊急連絡先、福祉的支援体制、市区町村長申立ての検討材料を把握することです。

整理する目的 実務での使い道
申立人候補の確認 法律上の申立権者か、実際に手続へ関与できるかを確認します。
後見人候補者の確認 候補者になり得るか、利益相反や親族間対立がないかを見ます。
親族照会への備え 反対や誤解が予想される親族を事前に整理します。
緊急連絡先の確認 病院・施設・行政との連絡窓口を確認します。
市区町村長申立て検討 親族に申立てを期待しにくい理由を記録します。

確認する親族の範囲

まずは配偶者、子、孫、父母、兄弟姉妹、甥姪、その他本人と実際に関係のある親族を確認します。あわせて、内縁関係者、事実上の支援者、友人、近隣者、任意後見契約・財産管理等委任契約・死後事務委任契約・見守り契約等の関係者も確認します。

おひとりさまの場合、法的な親族よりも、長年の友人、近隣住民、ケアマネジャー、施設職員が本人の生活状況をよく知っていることがあります。おふたりさまの場合も、配偶者やパートナー自身が高齢、認知症、入院中、介護疲れ等を抱えていることがあるため、形式上の関係だけで判断しません。

役割は必ず分ける

図解|親族情報は4つの役割に分ける
申立人候補申立権があり、手続に関与する意思がある人。
後見人候補者家庭裁判所へ候補者として示す人。選任は裁判所が判断。
緊急連絡先病院・施設・行政から連絡を受ける窓口。
実際の支援者通院同行、書類管理、買い物支援など日常的に関わる人。

緊急連絡先であることと、申立人になること、後見人候補者になること、身元保証人になることは別です。成年後見人に選任された場合でも、後見人は原則として法的な身元保証人・身元引受人になるものではありません。また、後見人には医療行為に関する包括的な同意権限は認められていません。ただし、医療機関から説明を受け、本人意思や生活歴を伝え、親族・関係者との連絡調整に関与するなど、個別の説明同意等への関与はあり得ます。

4. 実務の進め方

  1. 相談者の立場、本人との続柄、申立人になる意思、財産管理への関与を確認します。
  2. 本人を中心に、配偶者、子、親、兄弟姉妹、甥姪、支援者を洗い出します。
  3. 親族ごとに、申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、情報提供者の役割可能性を整理します。
  4. 親族の協力可否、協力できない理由、拒否理由、連絡不能の状況を事実ベースで記録します。
  5. 戸籍資料の必要範囲を判断し、相続人調査と同じ深さで無制限に収集しないよう確認します。
  6. 親族申立てを期待しにくい事情があれば、市区町村長申立ての検討材料として整理します。
  7. 任意後見契約がある可能性があれば、契約書・登記・任意後見受任者等の情報を確認します。

連絡記録の考え方

「非協力的」「信用できない」といった評価語だけで記録せず、連絡日、連絡方法、説明内容、相手の回答、協力できる範囲、協力できない理由を残します。例として、「長男に令和○年○月○日電話。制度利用には反対しないが、遠方在住・持病ありのため申立人になることは難しいとの回答」と記録します。

5. ヒアリング項目

本人について

  • 氏名、生年月日、住所、本籍地
  • 現在の居所、同居者
  • 本人の意思確認が可能か
  • 信頼している親族、連絡を望まない親族
  • 任意後見契約等の有無

配偶者・パートナー

  • 法律上の配偶者か、内縁・事実婚等か
  • 同居・別居、判断能力、健康状態
  • 申立人候補になれるか
  • 本人との利益相反がないか
  • 配偶者自身も支援を必要としていないか

子・孫

  • 実子、養子、前婚の子の有無
  • 死亡した子と孫の有無
  • 交流状況、申立てへの協力意思
  • 本人財産への関与
  • 虐待・経済的搾取の疑い

兄弟姉妹・甥姪

  • 人数、存命、連絡先
  • 高齢、病気、施設入所の有無
  • 申立てに協力できるか
  • 緊急連絡先になれるか
  • 申立てを拒否する理由

親族以外の支援者

ケアマネジャー、地域包括支援センター、病院の医療ソーシャルワーカー、施設相談員、訪問介護事業所、民生委員、友人、任意後見受任者、財産管理等委任契約の受任者、見守り契約の受任者なども重要な情報源です。ただし、本人のプライバシー情報をどこまで共有するかは慎重に判断します。

6. 判断フロー

図解|申立人候補から市区町村長申立て検討まで
  1. 相談者が申立権者か確認する。本人、配偶者、四親等内親族、保佐人・補助人等、任意後見契約関係者、市区町村長申立ての可能性を整理する。
  2. 配偶者、子、親、兄弟姉妹、甥姪、支援者を確認する。
  3. 申立人になれる親族がいる場合は、意思、協力可能性、利益相反を確認する。
  4. 申立人になれる人がいても協力が難しい場合は、高齢、病気、遠方、疎遠、対立、拒否理由を記録する。
  5. 後見人候補者になり得る人がいるかを確認する。詳細は第5-10回で扱う。
  6. 緊急連絡先が確保できるか、身元保証と混同していないかを確認する。
  7. 親族がいない、連絡不能、申立てを期待しにくい、虐待疑いがある場合は、関係機関と市区町村長申立てを検討する。
行政書士の業務範囲行政書士は、相談整理、事実関係整理、資料収集補助、親族関係資料の整理等の周辺支援を行えます。一方で、裁判所提出書類について、文案作成、代書、清書等を業として行うことや、提出代理、すなわち本人名義での代理提出を含む提出手続を行うことはできません。

7. 作成・確認する書類

親族関係整理表

項目 記載内容
基本情報 氏名、続柄、生年月日、住所、連絡先、同居・別居
関係性 本人との交流、疎遠、絶縁状態、本人が連絡を望むか
役割 申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、情報提供者
協力状況 積極的、限定的、非協力、連絡不能、協力できない理由
懸念事項 財産関与、使途不明金、利益相反、親族間対立、虐待疑い
市区町村長申立て 申立てを期待しにくい事情、拒否理由書等への協力可否
確認記録 確認日、確認方法、記録者、未確認事項

親族関係図の簡易例

図解|本人Aを中心にした親族関係の整理例

死亡

死亡
父母の子
本人A
82歳
弟B
80歳・施設入所
本人Aの配偶者・子
配偶者C
死亡
長男D
遠方・協力限定
長女E
近隣・申立人候補
長女Eの子
孫F
緊急連絡先候補

この図では、長女Eは申立人候補、孫Fは緊急連絡先候補として整理しています。緊急連絡先であることと、申立人・後見人候補者・身元保証人になることは別に考えます。

この図から、配偶者申立てはできないこと、長女Eが申立人候補となり得ること、長男Dは遠方で協力限定であること、弟Bは高齢・施設入所中で実務対応が難しいこと、孫Fは緊急連絡先候補であり申立人候補や後見人候補者とは別に整理することが分かります。

戸籍資料の概要メモ

本人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は原則として申立てに必要となる基本資料です。あわせて、申立人と本人の関係確認に必要な戸籍、本人の本籍地、筆頭者、配偶者・子の記載、転籍の有無、追加取得の必要性を整理します。相続人確定のための広範な戸籍収集は本回の対象外です。

8. 文例・記載例

親族照会の説明

成年後見の申立てでは、家庭裁判所が本人の親族に対して、申立ての内容や後見人候補者について確認を行う場合があります。必ず全員に連絡があるとは限りませんが、後から親族が「知らなかった」と感じると、手続が円滑に進みにくくなることがあります。そのため、申立て前に分かる範囲の親族関係、連絡先、協力の可否、反対が予想される親族の有無を整理します。

疎遠な親族がいる場合

疎遠な親族がいる場合でも、その方が申立権者や親族照会の対象になり得ることがあります。もっとも、長年交流がない親族へ、本人の病状や財産情報を詳細に伝えることは慎重に考える必要があります。まずは連絡先、申立てへの協力意思、家庭裁判所等から確認があった場合の対応可否を確認しましょう。

申立てを拒否した親族の記録例

本人の弟Bに電話で確認。Bは本人の状況について一定の理解を示したが、「自分も高齢で施設に入っており、申立ての書類作成や家庭裁判所への対応は難しい」と回答。後見制度利用自体には反対しない。申立人になる意思はない。自治体から確認があった場合、電話対応は可能とのこと。

身元保証と後見人の違い

成年後見人が選任されると、財産管理や契約手続について支援できる範囲は広がります。しかし、成年後見人は当然に身元保証人や身元引受人になるわけではありません。医療行為に関する包括的な同意権限も認められていません。ただし、本人の意思や生活歴を伝え、関係者と連絡調整するなど、個別の説明同意等への関与があり得ます。

行政書士の業務範囲

行政書士として、親族関係の整理、事実関係の確認、資料収集の補助、関係機関との情報整理は行えます。一方で、裁判所提出書類について、文案作成、代書、清書等を業として行うことはできません。また、提出代理、すなわち本人名義での代理提出を含む提出手続も行えません。必要に応じて司法書士または弁護士に連携します。

9. 他士業・関係機関との連携

連携先 連携を検討する場面
司法書士 裁判所提出書類の作成、親族関係図が提出書類の一部となる場合、補正対応、後見申立ての書類作成が必要な場合。
弁護士 親族間対立、使い込み疑い、虐待、経済的搾取、法的紛争、本人財産の保全措置が必要な場合。
社会福祉士・地域包括支援センター 独居、身寄りなし、セルフネグレクト、介護サービス契約困難、市区町村長申立て検討が必要な場合。
自治体担当課 親族に申立てを期待しにくい事情、虐待疑い、本人保護の緊急性、福祉的支援が必要な場合。
医療・介護機関 緊急連絡先、支払窓口、退院・退所時の対応先、本人情報シート関連の確認が必要な場合。
税理士 贈与、相続税、所得税、賃貸不動産、事業承継等の税務判断が必要な場合。

10. 新人が間違えやすいポイント

役割を混同する

申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、身元保証的役割は分けて整理します。

後見人で全て解決と考える

後見人は当然に身元保証人、医療同意者、死後事務担当者になるわけではありません。

親族がいれば市区町村長申立ては不要と考える

親族がいても、高齢、病気、疎遠、所在不明、非協力、虐待疑い等があれば検討材料になります。

拒否だけで判断する

拒否された事実だけでなく、拒否理由、背景、今後の協力可否を記録します。

相続人調査と同じ深さで戸籍を集める

成年後見申立支援に必要な範囲にとどめ、無制限な戸籍収集は避けます。

裁判所提出書類を作成する

裁判所提出書類について、文案作成、代書、清書等を業として行うことはできません。

任意後見受任者を当然の申立人と考える

任意後見契約がある場合は、任意後見監督人選任申立てとの関係を整理します。

未成年後見人を読み替える

制度上の申立権者として列挙されている名称を、成年後見人へ読み替えません。

11. トラブル予防策

  • 相談開始時に、行政書士が行う周辺支援と、司法書士・弁護士へ連携する領域を説明します。
  • 親族へ連絡する前に、本人の意向、プライバシー、虐待・搾取の可能性を確認します。
  • 親族との連絡内容は、日時、方法、説明内容、回答、協力できない理由まで記録します。
  • 未確認情報には「未確認」と明記し、相談者の主張と客観資料を分けます。
  • 相談者が本人の預金を管理している、本人宅に居住している、贈与を受けている等の場合は利益相反を確認します。
  • 契約書や説明書に、裁判所提出書類について文案作成、代書、清書等を業として行わないこと、提出代理を行わないことを明記します。

12. ケーススタディ

兄弟姉妹はいるが全員高齢で申立てに協力できない場合

本人A、86歳。独身、子なし。認知症が進行し、独居生活が難しくなっています。現在は入院中で、退院後は介護施設入所が検討されています。兄Bは90歳で遠方在住、要介護。妹Cは88歳で施設入所中、判断能力低下あり。弟Dは83歳で本人と20年以上疎遠、申立てには関わりたくないと述べています。甥Eはいますが、本人とはほとんど交流がありません。病院相談員から、預金管理、施設契約、退院調整のため成年後見申立てが必要ではないかと相談がありました。

確認すること

  • 相談者は申立権者か。病院相談員やケアマネジャーは通常、申立権者ではありません。
  • 本人の判断能力、診断書取得の見込み、本人意思確認の可否を確認します。
  • 兄弟姉妹と甥Eの連絡先、交流状況、申立てへの協力可否を整理します。
  • 申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、身元保証人を分けて整理します。
  • 任意後見契約がある可能性があれば、公正証書、登記、任意後見受任者等を確認します。

判断

親族が存在するため、直ちに身寄りなしとはいえません。しかし、兄弟姉妹はいずれも高齢・要介護・施設入所・疎遠であり、申立人として実際に手続を進めることは難しい可能性があります。甥Eについては、申立人になれる可能性を確認しますが、本人との交流が薄く、後見人候補者として適切かは別問題です。

親族が申立てを行わない、または行えないことが明確になった場合、地域包括支援センター、病院相談員、自治体担当課と連携し、市区町村長申立てを検討します。高齢、判断能力低下、疎遠、拒否理由、交流の薄さを具体的に記録します。

行政書士の対応

親族関係整理表、親族関係図、親族連絡記録、役割別整理メモを作成します。裁判所提出書類作成が必要な場合は司法書士または弁護士に連携します。親族間対立、使い込み疑い、虐待疑いがある場合は弁護士へ連携します。身元保証、入所契約、死亡時対応については、病院・施設・自治体・地域包括支援センターと別に整理します。

13. 実務チェックリスト

相談者確認

  • 氏名、住所、連絡先、続柄を確認した
  • 申立人候補か確認した
  • 後見人候補者になる意思を確認した
  • 本人財産への関与を確認した
  • 利益相反の可能性を確認した

親族確認

  • 配偶者、子、親、兄弟姉妹、甥姪を確認した
  • 前婚の子、養子の可能性を確認した
  • 親族以外の支援者を確認した
  • 任意後見契約等の関係者を確認した
  • 未確認情報を明記した

役割別整理

  • 申立人候補を整理した
  • 後見人候補者を整理した
  • 緊急連絡先を整理した
  • 身元保証と混同していない
  • 後見人の医療同意・死後事務の限界を説明した

申立権者

  • 本人、配偶者、四親等内親族を確認した
  • 未成年後見人等の制度上の位置づけを確認した
  • 検察官申立ては例外的事案と理解した
  • 任意後見受任者等を当然の申立人として扱っていない

市区町村長申立て

  • 親族不在・不明・連絡不能を確認した
  • 高齢、病気、疎遠、拒否理由を記録した
  • 虐待・経済的搾取の疑いを確認した
  • 自治体への相談材料を整理した

行政書士業務範囲

  • 周辺支援の範囲を説明した
  • 裁判所提出書類について文案作成等を業として行っていない
  • 提出代理を行っていない
  • 必要に応じて司法書士・弁護士へ連携した

14. 確認テスト

問1
親族関係整理の目的として最も適切なものは何ですか。
申立人候補、後見人候補者、親族照会、緊急連絡先、市区町村長申立ての検討材料を把握することです。
問2
申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先は同じ人でなければなりませんか。
同じ人である必要はありません。役割を分けて整理します。
問3
未成年後見人・未成年後見監督人の理解として大切な点は何ですか。
実務上関与する場面は多くありませんが、制度上の申立権者として列挙されており、成年後見人へ読み替えず名称として正確に理解します。
問4
親族が申立てを拒否した場合、何を記録しますか。
拒否の理由、背景、本人保護への影響、今後の協力可否、自治体への情報提供可否を記録します。
問5
行政書士が裁判所提出書類について注意すべきことは何ですか。
裁判所提出書類について、文案作成、代書、清書等を業として行わず、提出代理も行いません。必要に応じて司法書士または弁護士へ連携します。

15. 次回への接続

今回は、成年後見申立支援において本人の親族関係をどのように整理するかを扱いました。重要なのは、相続人調査のように無制限に戸籍を集めることではなく、申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、親族照会、市区町村長申立ての判断に必要な情報を、本人のプライバシーに配慮しながら整理することです。

まとめ親族関係資料は、成年後見申立ての入口を整理するための実務資料です。申立人候補、後見人候補者、緊急連絡先、実際の支援者を分け、協力できない理由や疎遠・所在不明の事情を記録します。裁判所提出書類の作成が必要な場合や紛争性がある場合は、司法書士・弁護士と連携します。

次回「5-10 後見人候補者の検討」では、今回整理した親族情報をもとに、親族後見人候補者が適切か、専門職後見人を検討すべきか、利益相反や親族間対立がある場合にどう判断するかを扱います。家庭裁判所手続は第5-11回、行政書士ができる支援・できない支援は第5-12回、市区町村長申立ての詳細は第5-14回で扱います。

HANAWA行政書士事務所|行政書士実務講座 第5-9回

本記事は教育・研修目的で作成しています。個別案件では、最新の法令、家庭裁判所の運用、自治体の取扱い、専門職の判断を確認してください。

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