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第5-6回 医師の診断書・本人情報シート

成年後見申立ての診断書・本人情報シート
新人行政書士が迷わない準備手順

成年後見申立てでは、医師の診断書と本人情報シートが、本人の判断能力や生活状況を家庭裁判所へ伝える重要な資料になります。この記事では、相談対応から資料整理、医療機関・福祉関係者への確認準備、行政書士の関与範囲まで、実務で使える順番で整理します。

対象:新人行政書士読了目安:約22分ケーススタディ・確認テスト収録
この記事の位置付け 前回は、本人の生活状況、医療・介護状況、判断能力、金銭管理上の困りごとを整理しました。今回は、その情報を医師の診断書と本人情報シートの準備にどうつなげるかを扱います。裁判所は、診断書作成の手引と本人情報シート作成の手引を公開しており、後見開始申立ての必要書類として診断書と本人情報シート写しを案内しています。

1. この回で身につける実務判断

  • 診断書と本人情報シートの違いを、本人・申立人に分かりやすく説明できる。
  • 主治医、医療機関、ケアマネジャー、地域包括支援センター、施設職員へ確認する内容を整理できる。
  • 本人の日常生活上の困りごとを、医師や福祉関係者に伝えるための事実メモにできる。
  • 診断書取得の時期を管理し、発行からおおむね3か月以内という実務上の目安を意識できる。
  • 本人情報シートは、福祉関係者等が作成することが望ましいが、適任者がいない場合には親族や申立人が作成することもあると説明できる。
  • 医師の診断内容、後見・保佐・補助の類型、家庭裁判所の判断を行政書士が断定しない姿勢を徹底できる。
  • 医療情報・生活情報を扱う際に、本人同意、守秘義務、個人情報保護を意識できる。
相談時の基本姿勢 相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。まずは現在の状況を伺い、必要な手続きや確認した方がよい内容を一緒に整理します。お手元に資料があれば確認がスムーズですが、資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。

2. 業務が必要になる実務場面

2-1. 診察室では見えにくい生活上の困りごとがある場面

本人が定期的に通院していても、医師が本人の日常生活をすべて把握しているとは限りません。診察時には受け答えができても、自宅や施設では、公共料金の支払い忘れ、同じ商品の複数購入、通帳・印鑑の紛失、服薬の飲み忘れ、介護サービス契約の理解困難などが起きていることがあります。

行政書士は、こうした出来事を「判断能力がない」と評価するのではなく、いつ、どこで、誰が確認し、本人がどのように反応したかを整理します。医師に伝えるべきものは結論ではなく、診断書作成の参考となる生活上の事実です。

2-2. おひとりさま・おふたりさまの申立準備

おひとりさまの場合、本人の生活実態を説明できる親族がいないことがあります。おふたりさまの場合も、配偶者やパートナー自身が高齢、病気、認知機能低下により十分に説明できないことがあります。

この場合は、ケアマネジャー、地域包括支援センター、施設職員、医療ソーシャルワーカー、訪問介護事業所、社会福祉協議会など、本人の生活を継続的に見ている人を確認します。

2-3. 申立人が「後見でよい」と考えている場面

相談では「認知症なので後見でお願いします」「施設から後見人を付けるよう言われました」と言われることがあります。もっとも、後見・保佐・補助のどれになるかは、診断書だけで自動的に決まるものではありません。家庭裁判所は、診断書、本人情報シート、申立書類、本人の意向、生活状況、財産状況、調査結果などを総合して判断します。

3. 診断書と本人情報シートの基本知識

3-1. 診断書の役割

成年後見申立てにおける診断書は、医師が本人の判断能力等について医学的見地から作成する資料です。家庭裁判所が後見・保佐・補助の判断や鑑定の要否を検討する際の重要資料の一つになります。

行政書士が行えるのは、診断書の必要性の説明、裁判所書式の確認、本人または申立人が医療機関へ依頼するための準備、生活状況メモの整理、取得後の形式確認です。医師に診断名や類型の結論を求めることは控えます。

3-2. 本人情報シートの役割

本人情報シートは、本人の日常生活、福祉サービス、金銭管理、契約理解、支援者の状況などを整理する資料です。裁判所の書式では、本人の判断能力等に関して医師が診断を行う際の補助資料として活用するとともに、家庭裁判所の審理のためにも用いる旨が示されています。

本人の生活状況を把握している福祉関係者等が作成することが望ましい一方、適任者がいない場合には、親族や申立人が作成することもあります。行政書士は、事実整理や記載補助はできますが、医学的・法的評価の主体にならないようにします。

3-3. 診断書と本人情報シートの違い

項目 診断書 本人情報シート
作成者 医師 生活状況を把握している福祉関係者等。場合により親族・申立人
性質 医学的判断資料 生活状況を伝える資料
主な内容 診断名、判断能力に関する医学的意見 生活場所、介護、金銭管理、契約理解、支援者、本人の意思表示
実務上の役割 家庭裁判所の判断資料の一つ 診断書作成時の参考資料となることがあり、審理資料としても提出
行政書士の関与 依頼準備、形式確認、時期管理 作成者確認、事実整理、記載補助、確認
注意点 医師の判断を誘導しない 行政書士が評価主体として記載しない
図解整理|資料の役割と情報の流れ
本人・申立人生活上の困りごと、本人の意思、申立てを検討する理由を整理します。
福祉関係者等本人情報シートで日常生活の様子や支援状況を記載します。
医師生活情報を参考にすることがあり、医学的見地から診断書を作成します。
家庭裁判所診断書だけでなく、本人情報シートや他資料を含めて総合的に確認します。

3-4. 後見・保佐・補助との関係

後見・保佐・補助は、本人の判断能力の程度や必要な支援内容に応じて検討されます。行政書士は「これは後見です」と断定せず、「診断書、本人情報シート、生活状況、財産状況、家庭裁判所の審理を踏まえて検討します」と説明します。

4. 実務の進め方

4-1. 標準業務フロー

本人情報の整理 → 主治医の有無確認 → 本人情報シート作成者の確認 → 医療機関へ相談する前の資料準備 → 本人情報シート作成依頼 → 本人または申立人を主体とした診断書作成相談 → 診断書取得後の形式・整合性確認 → 必要に応じて他士業連携

4-2. 本人情報を整理する

  • 本人の氏名、生年月日、住所、居所、生活場所
  • 主な病名、通院先、服薬状況、介護・福祉サービス
  • 判断能力に関する困りごと、金銭管理、契約理解、消費者被害の有無
  • 本人の意思、申立人との関係、利益相反の可能性
  • おひとりさま・おふたりさまの場合の緊急連絡先と日常的支援者

4-3. 主治医と医療機関を確認する

主治医が一般内科等であっても、診断書作成が直ちに難しいとは限りません。医療機関の方針や本人の状態によっては、主治医が作成する場合も、専門医への紹介が検討される場合もあります。行政書士が「専門医でなければならない」と決めつける必要はありません。

4-4. 本人情報シートの作成者を確認する

最も望ましいのは、本人の日常生活を継続的に把握している人が作成することです。ケアマネジャー、地域包括支援センター、施設職員、医療ソーシャルワーカーが候補になります。福祉関係者がいない場合は、親族や申立人が作成することもあります。

4-5. 医療機関への相談準備

医療機関への依頼は、本人または申立人が主体となって行うことを前提にします。行政書士は、依頼前の情報整理、生活状況メモ、本人情報シートの準備、確認事項の整理、同席時の記録化を支援します。

控えたい表現
  • 後見相当でお願いします。
  • 重い認知症という内容で書いてください。
  • この診断書なら必ず通ります。
使いやすい表現

診察時には会話ができる一方、生活上は支払い忘れや契約内容の理解が難しい場面があります。診断書作成の参考として、本人情報シートや生活状況メモを確認いただけるか、手続を教えてください。

4-6. 診断書取得後の確認

  • 裁判所の案内する書式か
  • 本人の氏名、生年月日、住所に誤りがないか
  • 作成日または発行日、医師名、医療機関名があるか
  • 発行からおおむね3か月以内か
  • 本人情報シートや申立理由と明らかな食い違いがないか
  • 空欄が不自然に多くないか
診断書の時期管理 後見開始申立ての必要書類として、裁判所は「本人の診断書(発行から3か月以内のもの)」を案内しています。もっとも、説明では「法律上の有効期間」と断定せず、管轄家庭裁判所の案内を確認しながら、申立予定日から逆算して準備します。

5. ヒアリング項目

5-1. 本人・申立人へ確認すること

  • 現在通院している医療機関、主治医、診療科、最終受診日、診断歴
  • 服薬管理、受診同行者、医師に生活上の困りごとを伝えているか
  • 通帳・印鑑・キャッシュカード、請求書支払い、契約書理解、訪問販売対応
  • 同じ話を繰り返すか、説明後に内容を説明できるか、意思表示が一貫しているか
  • 診断書取得と本人情報シート作成について本人が説明を受けているか
  • 本人情報シートが家庭裁判所に提出する資料として扱われることを説明したか

5-2. 福祉関係者へ確認すること

  • 本人との関与開始時期、面談頻度、生活場所、介護度、利用サービス
  • 金銭管理、契約理解、服薬、食事、入浴、排泄、移動の状況
  • 近隣トラブル、消費者被害、親族関係、今後必要と考えられる支援
  • 本人情報シート作成の可否、所属機関の個人情報提供ルール
  • 作成者自身が見た事実と、他者から聞いた情報を区別できるか

5-3. 医療機関へ確認すること

  • 成年後見申立用の診断書作成に対応しているか
  • 指定書式、受診予約、本人来院、付き添い同席の要否
  • 本人情報シートや生活状況メモを提出できるか
  • 診断書作成料、作成期間、受取方法、郵送対応
  • 同意書や委任状の要否、専門医受診の要否
  • 発行日が申立予定日から見ておおむね3か月以内に収まるか

6. 判断フロー

確認事項 進め方
主治医がいる まず主治医への相談準備を行う。一般内科であることだけを理由に候補から外さない。
主治医がいない 地域包括支援センター、医療機関、申立人と相談し、受診先を検討する。
医師が生活状況を把握していない 本人情報シートや生活状況メモで、診察室では見えにくい事実を整理する。
福祉関係者がいる 本人情報シート作成を相談する。医学的・法的判断は求めない。
福祉関係者がいない 親族または申立人による作成を検討し、直接把握している事実と伝聞を区別する。
診断書と本人情報シートに差がある 情報が医師に伝わっていたか、作成時期に差があるか、本人の状態に変動があるか確認する。
申立方針に法的判断が必要 司法書士または弁護士との連携を検討する。

7. 作成・確認する書類

7-1. 医師の診断書

  • 裁判所の案内する成年後見制度用の書式か
  • 本人情報、作成日または発行日、医師名、医療機関名に誤りがないか
  • 発行からおおむね3か月以内か
  • 管轄家庭裁判所の案内に合っているか
  • 本人情報シートや生活状況メモと明らかな不整合がないか

行政書士が確認するのは、形式面、時期管理、情報整理上の整合性です。診断内容の医学的妥当性は判断しません。

7-2. 本人情報シート

  • 作成者の氏名、所属、本人との関係が分かるか
  • 本人の生活場所、介護・福祉サービス、金銭管理、契約理解、意思表示が記載されているか
  • 作成者が把握していない事項を無理に記載していないか
  • 行政書士が評価主体として記載していないか
  • 医師へ共有する段取りが整っているか
  • 家庭裁判所へ提出する資料として扱うことを説明したか

7-3. 生活状況メモ

生活状況メモは、本人情報シートとは別に、本人・申立人・支援者から聞き取った事実を時系列で整理する資料です。できるだけ西暦や具体的な年月を用い、日付が不明な場合は「約3か月前」「2026年春頃」「2026年5月上旬頃」など、後から確認しやすい表現にします。

時期 出来事 情報源 本人の反応 支援上の確認点
2026年3月頃 電気料金の督促状が届いた 長女から聞取り 「払ったと思う」と発言 支払い管理の支援が必要か
2026年4月10日頃 同じ健康食品を3回注文 請求書、長女確認 「頼んだ覚えはない」と発言 消費者被害や重複購入の確認
2026年5月15日 施設契約の説明を受けた 施設相談員から聞取り 翌日、内容を説明できなかった 契約理解への支援が必要か

8. 文例・記載例

8-1. 本人への説明

今回の手続では、家庭裁判所に、今の生活状況や財産管理の状況を分かってもらう必要があります。そのために、医師に診断書を書いていただくことがあります。診断書は、先生が医学的に判断して作成するものです。こちらから先生に結論をお願いするものではありません。
普段の生活の様子は診察だけでは分かりにくいことがあります。そのため、ケアマネジャーさんや施設の方など、日頃の様子を知っている方に、本人情報シートという資料を書いていただくことがあります。この資料は、診断書とあわせて家庭裁判所に提出する資料として扱われます。

8-2. 申立人への説明

診断書は重要な資料ですが、行政書士が「後見相当と書いてください」と医師にお願いすることはできません。医師には、生活上の困りごとや金銭管理の状況など、事実を正確に伝えることが大切です。
本人情報シートは、ケアマネジャーや施設職員など、本人の生活状況を把握している方が作成することが望ましい資料です。適任の福祉関係者がいない場合は、親族や申立人が作成することもあります。

8-3. ケアマネジャーへの依頼文例

文例

現在、○○様について成年後見申立ての準備を検討しております。医師の診断書作成時の参考資料として、また家庭裁判所の審理資料として、本人情報シートの作成についてご相談したくご連絡しました。医学的判断や法的判断をお願いするものではなく、日頃の支援の中で把握されている事実をご記載いただければ足ります。個人情報の取扱いや作成可否については、貴事業所のルールに従ってご確認ください。

8-4. 医療機関への相談文例

文例

○○様について、成年後見申立てを検討しており、家庭裁判所提出用の診断書作成についてご相談したくご連絡しました。診断書の結論をお願いする趣旨ではなく、先生の医学的判断に基づいてご記載いただくものと理解しております。本人情報シートや生活状況メモを参考資料としてお渡しできるか、貴院の手続を教えていただけますでしょうか。

9. 関係機関・他士業との連携

連携先 主な場面
ケアマネジャー 本人情報シート、日常生活、介護サービス、金銭管理上の困りごとを確認する場面
地域包括支援センター おひとりさま、支援者不在、消費者被害、虐待疑い、市区町村申立ての可能性がある場面
施設職員・生活相談員 入所中の生活状況、契約理解、利用料支払い、本人の意思表示を確認する場面
医療ソーシャルワーカー 入院中、退院支援、施設入所、医療費支払い、身元保証関連の確認が必要な場面
司法書士・弁護士 申立書作成代理、裁判所提出代理、親族間の争い、財産使い込み、類型や代理権の法的判断が必要な場面
施設から後見人選任を求められたとき 施設が後見人選任を契約条件のように説明する場合は、なぜ必要なのか、本人の契約理解や支払い管理にどのような事情があるのかを個別に確認します。適法性や相当性が問題となる場合は、弁護士との連携を検討します。

10. 新人が迷いやすいポイント

場面 注意点 実務対応
医師への説明 結論を求める表現は避ける 支払い忘れ、契約理解、服薬など生活上の事実を伝える
本人情報シート 行政書士が評価主体にならない 事実整理、下書き補助、記載漏れ確認にとどめる
診断書 診断内容の当否を判断しない 形式、発行時期、他資料との整合性を確認する
類型判断 後見・保佐・補助を断定しない 家庭裁判所が総合的に判断することを説明する
個人情報 医療情報・生活情報を広く共有しない 本人同意または正当な根拠を確認し、必要最小限にする
非弁・非司法書士業務 裁判所手続の代理に踏み込まない 必要に応じて司法書士・弁護士へつなぐ

11. トラブルを防ぐ記録化

医療機関や福祉関係者と連絡した場合は、連絡日時、対応者、連絡した人、依頼主体、行政書士の関与範囲、本人または申立人の同意、必要書類、費用、作成期間、受取方法、次回対応予定を記録します。

記録では、「本人は何も分かっていない」ではなく、「2026年5月20日、介護サービス契約の説明を受けた約30分後に『何の話だったか分からない』と話した」のように、具体的な事実を残します。

医療情報・生活情報の扱い 診断書や本人情報シートには、医療情報、生活情報、福祉サービス情報が含まれます。行政書士法上の守秘義務や個人情報保護の考え方を踏まえ、本人の同意または正当な根拠に基づき、必要な範囲で取り扱います。

12. ケーススタディ

事案

Aさんは82歳、独居。長女は遠方在住。近所の内科に月1回通院しており、診察時には挨拶や簡単な会話ができます。一方で、2026年3月頃から公共料金の支払い忘れ、2026年4月に同じ健康食品の複数購入、2026年4月下旬に通帳紛失、2026年5月に訪問介護契約の内容を理解できないという出来事が続きました。

初動

  • 長女とケアマネジャーから、出来事の時期、内容、情報源、本人の反応を聞き取る。
  • 生活状況メモを作成し、抽象的な評価ではなく事実として整理する。
  • ケアマネジャーに本人情報シート作成を相談する。
  • 本人または長女が医療機関へ、診断書作成可否、本人情報シート提出可否、同席可否、費用、作成期間を確認できるよう準備する。
  • 診断書取得後、本人情報シートや生活状況メモとの食い違いがあれば、情報伝達の有無や作成時期を確認する。

このケースで大切なのは、主治医が生活実態を十分に把握していない可能性がある場合でも、行政書士が医師の判断を補正するのではなく、生活実態を事実として整理し、適切に伝わる準備をすることです。

13. 実務チェックリスト

A. 基本確認

  • 本人情報、申立理由、生活上の困りごとを確認した
  • 本人の意思確認を行い、反応を記録した
  • 申立人の立場と利益相反を確認した
  • 行政書士の業務範囲を説明した

B. 医療機関

  • 主治医、診療科、最終受診日を確認した
  • 診断書作成の可否、費用、期間を確認した
  • 本人情報シート提出の可否を確認した
  • 発行日が申立予定日からおおむね3か月以内か確認した

C. 本人情報シート

  • 作成者候補を確認した
  • 福祉関係者がいない場合の作成者を検討した
  • 医学的・法的判断を求めていないことを説明した
  • 家庭裁判所に提出する資料として扱うことを説明した

D. 内容確認

  • 診断書と本人情報シートの本人情報が一致している
  • 生活状況が具体的に記載されている
  • 医師の判断を誘導していない
  • 不整合がある場合、原因確認を行った

E. 個人情報

  • 本人の同意または正当な根拠を確認した
  • 医療情報の提供範囲を必要最小限にした
  • 保管・送付・廃棄方法を確認した

F. おひとりさま・おふたりさま

  • 緊急連絡先と日常的支援者を確認した
  • 市区町村申立ての可能性を検討した
  • 配偶者・パートナーも支援困難でないか確認した

14. 確認テスト

問1

診断書と本人情報シートの違いを説明してください。

診断書は、医師が本人の判断能力等について医学的見地から作成する資料です。本人情報シートは、本人の生活状況を把握している福祉関係者等が、日常生活、金銭管理、契約理解、支援状況などを記載する資料です。適任者がいない場合は、親族や申立人が作成することもあります。

問2

医師に「後見相当と書いてください」と伝えてはいけない理由を説明してください。

診断書は医師が医学的判断に基づいて作成するものであり、行政書士が結論を誘導することは適切ではありません。行政書士が整理するのは、生活上の困りごとや金銭管理上の問題などの具体的事実です。

問3

主治医が生活上の困りごとを把握していない場合、どのような準備をしますか。

本人・申立人・ケアマネジャー等から生活上の困りごとを時系列で聞き取り、生活状況メモを作成します。本人情報シートの作成者を確認し、本人または申立人が医療機関に提出可否を確認できるよう準備します。

問4

診断書の時期について注意すべき点を説明してください。

裁判所案内では、後見開始申立ての必要書類として「本人の診断書(発行から3か月以内のもの)」が示されています。実務では申立予定日から逆算し、管轄家庭裁判所の案内を確認します。

問5

本人情報シートに行政書士が関与できる範囲を説明してください。

行政書士は、聞き取った事実の整理、時系列メモ、下書き補助、記載項目の確認を行えます。ただし、医学的判断や後見相当性の評価主体として記載することは控えます。

15. 次回への接続

今回の要点 診断書は医師の医学的資料、本人情報シートは生活状況を伝える資料です。行政書士は、結論を誘導するのではなく、本人の生活実態を具体的な事実として整理し、本人・申立人・医療機関・福祉関係者が確認しやすい形に整えます。

次回5-7では、財産資料の収集を扱います。診断書と本人情報シートが「本人の判断能力と生活状況」を示す資料であるのに対し、財産資料は「どのような財産管理上の支援が必要か」を示す資料です。両者を整合させることで、成年後見申立ての必要性を具体的に説明しやすくなります。

ご相談の進め方 最初から資料がそろっていなくても大丈夫です。現在の生活状況、医療機関、支援者、困っている手続きから一緒に確認し、必要な書類と連携先を順番に整理していきましょう。

行政書士実務マニュアル|成年後見申立支援業務 第5-6回

本記事は教育・研修目的で作成されています。個別の案件では、最新の裁判所案内・法令・関係機関の運用を確認してください。

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